タイトル: バレンタイン強襲戦 マスター:WTRPGマスター
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3月8日 結果反映
(※重体・負傷反映を含みます)
大規模な作戦は全て終了済み。
シナリオ形態:大規模作戦
難易度: 特別
参加費: 無料
参加人数: 無制限
報酬:160,000C(全参加)
■オープニング本文

●アジアの遅い新年
「こちらは予測された結末といえ‥‥非常に遺憾だな」
 中国全域を収めた戦略図を見ながら、椿・治三郎(gz0196)中将はそう口にした。自身も戦士であり、士気にも配慮する優れた指揮官である彼が、作戦途中にそのような事を口にはする筈は無い。つまり、昨年度から続く北伐作戦は後始末まで含めて終了したのだ。
「しかし、前進ではあります。瀋陽が落ち、包囲網の一角は崩れました。ここを拠点に北京を伺う事も、十分に可能です」
 そう口にした将校の表情も、悔しげではあった。誰も予期していなかったカメルからの横槍さえなければ、新年の祝いは北京で行なえていたやもしれぬ。あるいは、参番艦と傭兵を北に回さなければ。一部にはそういう声も、あるようだが。
「‥‥いや。この国が本官を含めUPCの認識以上に広かった‥‥、と言う事だろう」
 瀋陽を落としても、裏の西安を抜かねば北京の解放は困難だ。そして、昨年初頭にラインホールドを失ったとはいえアジア方面の敵主力はいまだに健在。ウランバートルに巣食った兵力は、ロシアと北伐の二度の作戦においても、少ない兵力の投入しかしておらず、決戦を避けているように見えた。人類側はといえば、一昨年のインド侵攻での失地をようやく奪還しかけたばかりだというのに。
「参番艦は、どうしている?」
 室内の空気を変えようと、椿はそう問いかけた。グリーンランドで受けた痛手の処置の為にゴットホープにより、イギリスを目指す予定のはずだ。
「は‥‥。近日中に、プリマス沖へ投錨の予定と」
「そうか。問題はその先だな」
 専用のドックがある訳ではない英国では、あくまで応急修理を施すのが限界だ。相変わらず傷ついたまま、再び極海を抜けてアジアへ回航せねばならない。北極の敵基地が一つ消えたとは言え、人類側の艦艇も多大な被害を受けている。勢いに乗じて極地を人類の手に、というのは無理な状態だ。

 未だ、機は熟していない。椿は鋭い目で地図上の北京を見ながら、内心でそう思った。

●欧州のNeues Jahr
 ピエトロ・バリウス中将は眉間の皺を心持ち深くした。3月に入り、もう世間では新年気分も抜けているが、年度と言う区切りで見ればまだ来年を見据えて計画を立てねばならない時期だ。現状を確認した彼は、欧州軍が勝ちすぎていることを懸念していた。
「一昨年の欧州以来。どうにも、な」
 欧州南部に虫食いのように残っていた赤も、徐々に駆逐されている。スペイン北部や南部、それに地中海島嶼部やイタリア、ギリシャなどに残る敵拠点も。
「‥‥時間の問題だろう」
 既に手中にした情報からすれば、だ。そして、このような状態は長く続かないと、敗勢の名将は思う。バグアが、そこまで人類に甘いとは思えないのだ。アフリカに控えたバグア戦力は、オーストラリア以上と予想されている。それに、頭上は常に敵のものだという事実を、彼は忘れてはいない。マドリードへ襲来した飛行要塞の例も有る。敵がその気になれば、戦力の投入など自由自在なのだ。
「いや、制限はある、か」
 ロシア東部を見て、バリウスは僅かに顎を引いた。バグアが制限無く戦力を投入できるなら、ウダーチナヤパイプにあのような施設を建造する必要は無いはずだ。ダイヤモンドリング作戦によって陥落した巨大な移送施設の防衛に、バグアはラインホールドと呼ばれる巨大な人型要塞をも投入していた。それだけの価値のある物だったのだろう。
「では、次の手は?」
 何時に無く、口数の多い彼の言葉に答える物はいない。執務室には、バリウスの他には誰もいないのだから。それでも、彼は独り言を呟きながら、地図を眺める。
「‥‥このまま行けば、勝てるやもしれんな」

 あるいは、この戦局に至るまでの間に死んでいった戦友達が答えているのかもしれなかった。

(※以上、3月15日追記)


●傷ついた女王の凱旋
 沖田俊作はブリッジをゆっくりと見回した。疲れ果てたクルーは、視線に気づくこともなく己の職務に精励している。
「よく、ここまで持ってくれた」
 独り言を漏らし、感慨深げに外をみた。敵の勢力圏を脱してなお直衛についていた傭兵のKVが、ちょうど交代のために着艦する所だ。手に入れた慣性制御装置は、全部で15個。『Bogus Valentine's Day』初期の戦略目標は達したと言って良い。
 ――代償は、大きかったが。沖田は、艦内外への放送を指示してから、深く軍帽を被りなおした。
『我々は、ゴットホープを目前にしている。人類側の灯火の元へと帰り着いた。今はただ、この事実を喜び、感謝しよう』
 格納庫にいたズウィーク・デラードが、愛機のチェックの手を休める。極寒の甲板で、哨戒に出撃前の傭兵達と何やら喋っていたジェームズ・ブレストも、メットの中に響く声に耳を傾けた。
『手すきの諸君の時間を5分、捧げてほしい。我らの幸運にでは無い。我らを勝利に導く為に、その身を極海に沈めた勇敢な将兵の為に』
 非番だった者。そして医務室で横たわる者もまた。ある者は指を組み、またある者は胸に手を当てて、顔も知らぬ戦友を思う。普段の作戦行動に比して死者が多かった訳ではない。それなのに、勝利の味は甘くは無かった。
「‥‥俺たちが、守られる側になるってのはな」
 数々の大規模な作戦行動において、最も危険な激戦地に向かっていたのが、彼ら傭兵である事は間違いない。あるいは厄介ごとを押し付けられていただけやしれないが。多くの傭兵たちが、死地において生を掴んでこれたのは、手にした力ゆえの事。

 ――人は、こんなにも簡単に帰らぬ存在になるのだ。

 そう告げるように、参番艦が低い、低い汽笛を鳴らす。僅かに間をおいて、行く手の海上から音が返ってきた。ゴットホープに停泊中の艦船が歓迎の意を込めて。そして、労わりの意を込めて返す汽笛の音。

●サクラサク
「‥‥ふむ。作戦は成功と言う事だな」
 報告書の最初の五文字を見て、椿治三郎中将はそう呟く。しかし、同艦の傷は極めて深く、ゴットホープでの応急処置の後でイギリスへ回航される旨が報告されていた。海軍王国としての歴史を持つ同国といえど参番艦を収容できる港湾は無い。おそらくはプリマス沖の泊地に投錨する事となるだろう。
「流石だな。帰還は今月の半ばとなるか」
 報告を素早く閲覧し終えてから、椿は一言だけ口にした。心得た様子で、副官が書類を受け取る。流石と言うのは、艦長の沖田の手腕とデラード、ブレストらの援兵、そして傭兵達の健闘に対してのものだった。戦力比で言えば、沈まなかった事が幸いとしか言えぬ状況で作戦を無事に終えたのは、賞賛されるべき事だ。
「捕虜を得た、と報告を受けていますが、ゴットホープにて下船させたとの事です」
 そう補足した副官に無言で頷き返す。ハーモニウムと称する敵組織の構成員は、お互いに対して強い仲間意識を抱いているようだった。ならば、参番艦から降ろす方が囮となる。無事に貴重な装置を持ち帰ると言う作戦目的にはその方が良いという判断を、現地が下したのだろう。
「イギリスまで乗船させておかなかったのは、敵の意図を挫く為でしょうか。しかし‥‥」
「それほどに損傷が大きい、と言う事だ」
 たった一人の捕虜が下ろされたゴットホープと慣性制御装置を積載する参番艦では、どちらが優先目標であるかなど自明の理だ。しかし、報告にあるように、敵がまともな判断よりも感情を優先する子供の集団であるならば、話は変わってくる。
「‥‥敵が子供である事を、利用するか。手段は選べぬとは言え、寒い戦争だな」
「はっ」
 短く返した副官へ頷き、椿は窓外をみた。春の気配が、景色の所々に薄紅の印をつけている。
「サクラサク、か」
 老軍人のよこしてきた電文の冒頭を今一度見て、椿は微かに笑った。

●チューレの闇
 明かりの無い室内に、かりこりと音がする。こつこつと音がする。爪を噛む音と、床を蹴る音。
「ノア、大丈夫かな」
「知らないよ!」
 心配そうな声に、いらついた声が返る。ハーモニウムは、先の戦いの結果に消沈していた。共に戦っていれば負けることなどないと言う、作戦前に感じていた根拠の無い高揚感がそのまま、逆向きに作用している。
「まだ、死んではいないわ」
 仮面を外したアストレアが、そう呟いた。ゴットホープの基地放送を傍受したテレビ画面に、彼女の仲間が映っている。十重二十重に囲まれた中に見える、獣耳と尻尾の生えた少年の姿。
「‥‥あいつら、許さない」
 誰かがボソッと口にした。許さない。許さない、と声が続く。

「何だよあいつら。自分の無能のせいで足引っ張って。バッカじゃない?」
 別室でモニターしていた甲斐・蓮斗が、呆れたように言った。
「暫くは、様子を見るように。その方が面白そうですからね」
「はぁい」
 口をへの字にする少年の腕に、京太郎が白い布を巻きつけていく。脱出の際の戦闘で、蓮斗も浅傷を受けていた。氷上基地を失い、鼻先から慣性制御装置を掠め取られたというのは、バグアにとって明らかに後退だ。が、ハーモニウム以外の面々はさほど消沈してはいない。
「してやられた、ってとこですか」
「だが、悪くないぞ。確かにこの星の連中は面白い。貴様の手腕もだ、イェスペリ」
 頭を下げる海賊風の男から視線をはずし、リノは考える。少なくとも、先の侵略戦争の際にこのように有能なコマがいた記憶は無い。とすれば、地上で戦ってきた年月の間に、イェスペリは成長したのだろう。彼女が目を留めるほどに。
「悪くないな。‥‥よし」
 リノは再びそう呟いてから、振り返る。
「残りの面々も、この星に適応次第降りてくるように手配しよう。身一つで降りるなら、ブライトン様も否とは言うまい」
 玩具を手にした子供のように無邪気な顔で、少女は笑った。

Event illust : 沖田龍

 

■解説

基礎情報 北極圏のバグア、および味方の戦力状況
基礎情報2 関連依頼の一覧 ※自動更新中
統合情報1 第2次バレンタイン中止のお知らせ
統合情報2 第2フェイズ統合情報
統合情報3 第3フェイズ統合情報
追加情報1 グリーンランドの情勢とは
追加情報4 ユニヴァースナイト参番艦
追加情報5 『兵庫HW鹵獲事件について』
追加情報7 第1フェイズ・競技得点
   追加情報7-2 中立派・運営手伝い等 参加者一覧
追加情報8 もう一つの「学園」 ハーモニウム
追加情報11 慣性制御装置について
追加情報9 第2フェイズ・功績点
追加情報12 第3フェイズ・功績点※3/8追加

追加情報13 第3フェイズ・負傷者一覧※3/8追加

追加情報14 バレンタイン強襲戦 受勲者一覧※3/8追加


ジョン・ブレスト

イラストレーター : はがわ

お前達、よくやった。
大型の制御装置が2、中型の制御装置が13。
これだけの装置があれば、今後のバグア技術に対する研究は大きく進むだろう。
もちろん、バグアの全てのわかるという訳ではないし、すぐに我々も同じものを作れるというわけでもない。
だが、少なくとも敵を知ることができる。

ここから先は我々、科学者の戦いだな。
作戦に参加した将兵、傭兵、すべての期待に応えられるよう全力を尽くそう。
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ライバルと戦うべし
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