バレンタイン強襲戦
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第1フェイズ統合情報

●カンパネラ学園・生徒会室
 人類側で開発不能な重力制御装置。これは、自爆されなかったHWの内部から得られる物だった。
バグアとの遭遇初期には数度、鹵獲に成功してはいたものの、それ以後は好機に恵まれていない。弐番艦計画がクォーターサイズになったのも、参番艦計画が海に行き場を求めたのも、突き詰めれば人類に重力制御技術が存在しないゆえ、である。
 昨年、神戸にてHWが無傷で確保された事は、実に数年ぶりの快挙だった。
「‥‥で、何故俺に知らせが来るのがこんなに遅くなった」
 ジョン・ブレスト副理事は何時にも増してしょぼくれている。どうせ物を鉄くずに変えるだけの男だと思われているんだろう、とかブツブツ言う彼に、龍堂院 聖那が紅茶を注いだ。
「俺はコーヒー党‥‥あー、まぁいい」
 リヴァプール伯ウォルター・マクスウェル准将が仕切る優雅なこの会合の場では、明らかに彼は少数派だった。

「で。何故奪取できたかの理由は?」
 椅子にもたれた楽そうな姿勢から、准将は首を傾げる。
「いわゆる無人機ではなかった‥‥のが大きい。屋内で隠蔽されて機関停止中な上に、パイロットが新たな指示を出せない状況。いわばアクシデントが重なった故の幸運だろう」
 紅茶の香りに顔をしかめつつ、ブレストが言った。それを受けて、准将は顎先へ手を当てる。
「と、言う事はだ。有人機の基地を奇襲し、パイロットを速やかに制圧すれば良いのだろう?」
「そんな事が可能ならば、だ。それに回収の問題もある」
 難しい顔で返したブレストへ、准将は口の端だけで笑って見せた。彼は、ブレストとの会談に先んじて既知のバグア基地を聖那に整理させていたらしい。という事はつまり、ティグレス・カーリッジに。そして、彼はグリーンランドに存在するとある敵基地がその条件に合致すると弾き出していた。
「有人機の出撃拠点で戦力規模は適度、海に近い。指揮官の顔と性格は割れています」
 長い指を折りながら、ティグレスはその地点を選んだ理由をあげていく。イェスペリという名の敵指揮官は、攻撃前のUPCに取引を申し出るなど惚けた所があるという。彼は比較的『優しい支配者』であり、現地の住人達にバグア支配下としては破格な程の待遇を与えているとも。
「冬のグリーンランドは過酷だ。逃げ出せば死ぬ。つまりは檻の中の自由、‥‥だな」
 おそらくは、それゆえに住人に自由が認められているのだろう。基地の外部や滑走路の除雪作業などに彼らを使っているという報告もある。
「だが、覚醒中の能力者であればこの環境とて踏破は可能だ。殊に、その地区は地下通路が縦横に走っている。うまくすれば現地まで繋がっているやもしれない」
 奇襲を仕掛け、HWに乗り込む前に敵を制圧する事が出来れば、戦果は大きいと准将は付け足した。
「だが、戦力を集結すれば怪しまれるぞ」
 ゴッドホープは、カンパネラ学園の外部施設とはいえ常駐する戦力はそこまで多くは無い。三桁を超える能力者が乗り込めば、怪しまれる可能性は高かった。
「集まっても怪しくない理由があればいいのですか。‥‥そういえば、丁度バレンタインですわね」
 紅茶の替えを持ってきた聖那が、ふと首を傾げる。
「君は何を‥‥あ、いや待て。あの演習を今年もやる、という事でゴッドホープを開放すれば良いという事か」
 直感で正解を導く聖那に流石だと思いつつも、ティグレスは複雑な表情を浮かべた。真面目な彼は去年の演習に良い思い出はあまりない。そもそも、バレンタインデーのカップルに対する嫉妬を抑える為にレクリエーションを行う、などという発想自体が、彼の想像の外にあったのだ。
「確かに。ゴッドホープはちょうど大掃除前だが、却って都合がいい」
 准将が面白そうに笑ってそう言う。眉を顰めたまま、ブレストは諦めたようにティーカップを手に取った。
「しかし、去年に続いてこんな馬鹿げた事をするには理由は必要だろう。敵の目もあるしな」
「それはそう難しい事でもないな。一部の傭兵がこの時期にストレスをもてあましているという事実は、確かにあるのだから」
 バレンタイン。こと恋愛において勝者と敗者を分けるこのイベントは、LHにもしっかり定着していた。
「皆様には、いつお知らせするのでしょう?」
「情報が漏れるのはまずい、が‥‥」
 聖那の疑問に、ティグレスが考え込む。
「遅くともレクリエーションを募集する時には知らせるべきだろうな。どうせ一年に一度の馬鹿騒ぎ、事情を知ってる方が『真剣に』騒げる」
 骨の髄から英国紳士である准将は、落ち着き払ってそう告げた。
「‥‥そういう事ならばバグアを騙してやろうじゃないか。盛大に」
 諦めたようにいうティグレスの横で、聖那が晴れやかに笑う。
「楽しくなって参りましたわね」

 ――作戦名【Bogus Valentine's Day】
 執筆 : 紀藤トキ



基礎情報 バレンタインイベントの背景
追加情報2 「第2次バレンタイン終了のお知らせルール」解説※2月10日追記
追加情報3 「バレンタイン終了のお知らせ」簡略版ルール

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