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『兵庫HW鹵獲事件について』

●バグア機体確保状況
 バグアの襲来以降、人類が敵機の鹵獲に成功した例は、そう多くない。
 フォースフィールド同様、人類にとって未知の技術である慣性制御装置は、戦場においてバグア機体が地球上の機体より優位に行動できる所以であり、人類はその解明に全力を注いできた。
 しかし、無傷で鹵獲されたヘルメットワームは、人類史上十機程度しか存在しないと言われる。人類側の狙いに気付いたバグアが対策を厳重にして以降、研究サンプルは不足の一途を辿っていた。また、研究の成果も決して十分ではない。
 そもそも自爆装置を持つバグア機体を鹵獲する事は非常に難しく、戦闘の末撃墜された敵機の破片からでは、十分な研究結果は期待できない。過去の大規模作戦ではファームライドが鹵獲され期待が高まったものの損傷が激しく、その後撃墜されたステアーに至っては原型すら留めていない有様であり、それらが本来持ち得る価値の幾割かを失った状態に過ぎなかった。


 現在、人類はいまだその秘密にたどり着いてはいない。UK壱番艦に装備された4機を含め、人類の持つ重力制御機関は全て、鹵獲したヘルメットワームの物だ。弐番艦には1機、それ以外にも数機が人類側のどこかで稼動中であるという噂はある。人類側でのブラックボックスの利用はおそらく、バグアの耳にも届いていた。それが故の、対策の厳重化だろう。言葉にこそ出されぬ物の、未来研究所ではもはや新規の入手は諦められていた。

 だが、2009年8月。
 日本・兵庫県に展開する兵庫UPC軍により、ヘルメットワーム鹵獲が為されていた。
 その情報がULTの当該部署へ伝わるのが遅れた理由が、ありがちな書類のたらい回しと聞いたブレストは、長い長い溜息をついたという。
 それは、前線が事態の重要さを忘却するに相応しいほどの長きに渡る沈黙を経た、実に『十数年振り』の快挙であった。


●兵庫県香美町佐津地区奪還作戦
 2009年8月、兵庫県北部にて、バグア占領下の小さな町『佐津』の奪還作戦が発令された。
 ULT傭兵のナイトフォーゲル部隊、及び歩兵部隊の計25名が制空権確保と地上のキメラ製造施設の制圧にあたり、兵庫UPC軍のナイトフォーゲル部隊、戦車部隊、歩兵部隊が敵地上戦力を迎撃・駆逐する、傭兵と正規軍の合同作戦であった。
 空の敵戦力には、キメラ、ワーム群の他、最終的に日本海上にビッグフィッシュとゾディアック山羊座のファームライドまでもが確認されたものの、傭兵達の活躍により迅速な制空権確保が実現し、敵新兵器と見られるビッグフィッシュ内積載物の奪取など、数々の目覚ましい戦果を残した。
 そして、キメラ製造施設制圧に向かった傭兵達もまた、その前に立ち塞がったキメラ、及び兵庫バグア軍副官と交戦し、激戦を強いられる。だが、ここでも傭兵達は、巧みな作戦と戦術により施設の制圧に成功し、副官のバグアをも圧倒し重傷を負わせるに至った。
 敗北を悟ったバグアは、戦場となった小学校の体育館を目指し逃走を開始する。だが、この時、作戦に参加した傭兵達の中に、正規軍ですら感知していなかった『逃走用ヘルメットワーム』の存在に気付いた者があった事が、後の人類にとって大きな戦果を残すに繋がったのだ。
 体育館への侵入を阻止されたバグアは、その中に隠蔽していた愛機を放棄して逃走。頑強に改造された体育館内で傭兵達が目にしたものは、主人を失い沈黙したままの、1機の小型ヘルメットワームであった。
 結果、長く兵庫UPC軍を苦しめていた兵庫バグア軍の副官機は、その後の追撃作戦によってパイロットを永久に失い、無傷の状態で淡路島軍事演習場へと移送され解析が進められることとなった。

 そして2010年2月。
 幾つもの偶然が重なり人類の手に渡ったヘルメットワームは、人類にとっての貴重な研究サンプルとして、LHのULTへの移送が決定した。

●ヘルメットワームの鹵獲
 人類にとってオーバーテクノロジーにあたる兵器には、厳重な防護措置が施されている。大はギガワームから手持ちの光線銃に至るまで、細かなパーツ単位での自壊機構が内蔵されているのは周知の事実であり、それだけに人類は彼らの超技術への対抗策に後手を踏んできていた。
 今回の兵庫にて確保できた物も、幾つかの条件下に起きたレアケースである。その条件は、今月、一件の重大さが確認されて以後、報告書を精査した本部の手によって速やかに解析されていた。

・ヘルメットワームが有人仕様機であった事
 バグアは、命令無く起動するだけの判断力を持った有人機を好まないと報告されている。
・パイロットが命令を出せる状況に無かった事
 有人機は、バグアの命令が事前、あるいはその瞬間にあった場合には、主を回収するなどの単純な任務は行なえる。
・ヘルメットワームが停止状態であった事
 いわゆる『アイドリング中』であれば、それでも自壊装置は作動したであろうと分析されている。

 この一件はバグアにとって不幸な事故であろうが、人類にとっては希望であった。

執筆 : 桃谷かな



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