北アフリカ進攻作戦
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北アフリカ進攻作戦 第2フェイズ統合情報


(ヴァルキリー級一番艦 ブリュンヒルデ)

 チュニジア、及びジブラルタルへの強襲は、尊い犠牲を出しつつも橋頭堡の確保に成功した。
「移動橋梁『ミカエル』の損害も予想の範囲内だ。ユニット船は現在も数隻が回航されており、このままであれば維持に問題は無いだろう」
 ピエトロ・バリウス中将の言葉を裏付けるように、初老の参謀が低い声で報告を開始する。この会議に先立って主だった前線指揮官には呼集がかかっており、『ブリュンヒルデ』艦長のマウル・ロベル少佐をはじめ、チュニジアの『ユニヴァースナイト』からは回線越しにミハイル・ツォイコフ大佐も参加していた。
「確認された敵の戦力ですが、タロス、本星型ワームの比率が従来よりも高いようです。それと‥‥」
 直径1kmサイズのギガワームが、ジブラルタルとチュニジアに一隻づつ確認されていた。また、ゾディアックが2名、ゼオン・ジハイドを名乗る敵が3名現れたが、それぞれ退けられている。
「現在、その全ての後退を確認。しばらくは敵に動きはないものと思われます」
 順調といってよい。しかし、ピエトロの表情は浮かなかった。アフリカ北部にバグアの大型施設があるのは確実視され、『α』のコードネームまで与えられていたのだが、事前の予測ではそれはエジプトにあると思われていたのだ。
「まさか、『α』があるのがチュニジアの上陸地点の目と鼻の先とはな‥‥」
 かつてナールートと呼ばれた都市の近郊。山脈を背に、直径が5km、高さが1kmほどのフライパンをひっくり返したような形状のドーム施設が存在していた。ギガワームも、その付近から出撃したと思われる。バグアの防衛網が予想外に甘かったのも、自身の膝元への強襲はないと考えていた油断ゆえだろうか。
「しかし、偵察隊は現地上空付近まで全く迎撃を受けていません。防備が無いと言う可能性も‥‥」
「無いな。傭兵の対地カメラは武装を幾つも捕えている。奴らは我々に見せ付けたのだろう」
 参謀の言葉は、ピエトロににべもなく打ち消された。さもあらん。この上陸作戦終盤に出てきた戦力だけでも、吹けば飛ぶような偵察隊を全滅させてお釣りが来る。

「今から撤収を行えば、敵の追撃で友軍の過半が失われるでしょう」
 ミハイルは苦虫を噛み潰したような表情で言う。抗している間にも、揚陸艦が吐き出した工兵は確保した海岸を拠点化しているはずだ。上級将校達が脳裏で善後策を講じる間に、刻一刻と貴重な時間が過ぎていく。

「僭越ですが、意見を述べてもよろしいでしょうか」
 マウルが緊張した様子で口を挟んだのは、その沈黙が秒針一回りを数えた頃だった。ミハイルが、次いでピエトロが頷くのも待ってから、彼女は言葉を続ける。
「要塞の規模は、瀋陽に遠く及ばず、カメルのグレプカかあるいはグラナダ程度です。ならば、機に乗じて攻略も可能なの‥‥では‥‥」
 尻つぼみになったのは、2人の尊敬すべき軍人達が、食い入るような目で彼女を見ていたがゆえ、だ。
「フフフ‥‥、フフフフフ」
 ややあって、モニター越しに互いを見てから、中将と大佐の階級にある男達は笑い出した。周囲の怪訝そうな目を気に留めず、楽しげに。アフリカ時代からピエトロ部下だった参謀は、ぽかんと口をあけたまま固まっていた。
「‥‥敗北主義は悪弊だと思っていましたが」
「我々こそが、毒されていたようだ」
 ひとしきり楽しげに笑ってから、ピエトロは気を引き締める。
「これより、『ブリュンヒルデ』はツォイコフの指揮下に回れ。傭兵達も全員だ」
 ツォイコフが口を挟もうとするのを制して、彼は鋭い目で言った。
「繰り返す。全ての傭兵戦力、並びに『ブリュンヒルド』は、敵要塞の攻略任務に当てるのだ。ジブラルタルのミカエルは貴重だが、敵ドーム要塞を殲滅しなければ、無用の長物だ。数日持ちこたえる事はしてみせよう」
 それは、中将には珍しい長広舌だった。実の所、傭兵を手放した中将の指揮下にはKVがほとんどいない。その状態で海峡を死守する事が、どれほどの流血を意味するのかをツォイコフは知っていた。そして、アフリカ戦線を生き延びてきた古参兵達はそれを成し遂げるだろうことも。

 回線を切断したマウルは、艦橋から自分の艦を見回した。戦場からやや後方にいた『ブリュンヒルデ』は、幸いにして大きな損傷を受けていない。
「全員が無事に、戻ってこれるのかしらね」
 上陸作戦に従事したジョーダン中佐の隊にも戦死者は出ておらず、KV隊もアナートリィ中尉が傷を負った程度だ。しかし、次回も同様の幸運に恵まれるとは限らない。
「おいおい、上に立ってる奴はそう言う顔するもんじゃねえぞ」
 そのジョーダン中佐が、若い艦長を元気付けるように笑いかけた。俯いていた白瀬留美少尉が、顔を上げる。
「‥‥計算上は、7.4%なの」
「おいおい、何を暗算してるんだ」
 その数字を大きいと見るか、小さいと見るか。少なくとも、0でない事は確かだ。
「ありがと、白瀬。元気が出たわ」
「‥‥?」
 首を傾げる少女に頷いてから、マウルは艦に凛と響く声で指示を出しはじめる。
「足のある傭兵は随伴して飛んで。陸戦機体を優先で収容。少々窮屈でも構わないから詰め込みなさい!」
 ヴァルキリー級飛行空母がユニヴァースナイトに勝る唯一の点は、その飛行速度だった。設計上の最高速度はマッハ2に及ぶ。
「急ぐわよ。ブリュンヒルデ、浮上!」
 純白の戦乙女はその身を優雅に浮かせると、雷の如き音と共に東を指して飛翔した。

 人類が攻撃を行おうとしている要塞の内部で、ゼオン・ジハイドと自称する者の幾人かは会話を交わしていた。巨躯のデヴィル以外は、概ね人類と似たサイズだ。幾人かは、実際に人類の身体を使っているようだった。
『で、我々はキミの指揮下に入る、と?』
『そういう訳ではない。だが、奴らが次に来るのは私の所だと思う』
 ふむ、とキュアノエイデスは首を傾げた。次の出撃では、リノと共にあの橋を攻撃する心積もりだったのだ。だが、とうのリノはといえば。
『よかろう。タロスは壊されたが、別に支障はない』
 乗り気だった。どうやら、傭兵達が気に入ったらしい。その向こうで、カードを弄びながらニヤついている東洋人の男が、音も無く立ち上がった。
『じゃ、俺も一緒に行こうかねえ? せっかく揃い踏みなのに、祭りに遅れちゃつまらないしさ』
 彼もまたゼオン・ジハイドの一員であるらしい。たまたま立ち寄った、と言う割には機体の準備まで手を回していたあたりが食えない男だ。
『キュアノと一当てしてきたようだが、楽しかっただろう?』
『ここしばらくは会った事が無い程に面白い相手だったねえ』
 せっかくだし他の面々も呼び寄せればいい、という彼に、リノは楽しげな笑顔を返した。
『奴らは私を殺してくれるかもしれん。お前も殺されるやも知れないぞ、ミスターS。あいつらはそれほどに私を昂ぶらせてくれる』
 物騒な言葉とは裏腹の表情で、2人は地下の指揮室を後にする。人間で言う別れの挨拶などとは無縁の生き物のようだ。
『‥‥さて、貴君にはしてもらわねばならん事がある』
 そして、最後に残ったキュアノエイデスに、デヴィルが重々しく声をかけた。



追加情報7 ドーム要塞「α」出現
追加情報11 両軍の新兵器紹介
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