北アフリカ進攻作戦
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バグア軍・ドーム要塞『α』出現

(※ドーム要塞『α』内部想像図 類似施設情報から合成された画像)

●ドーム要塞『α』
 アフリカの様子は、これまで殆ど分っていない。
 だが、敵の行動や数少ない偵察の結果、大陸北部のどこかに大型拠点が存在することだけは、確実視されていた。
 それは『α』と名づけられ、パールネックレス作戦、及びグラナダ戦役の際の増援の出撃パターンから、エジプトに存在すると思われていた。
 しかし、チュニジアに侵攻した人類は、その眼前にドームを発見する。直系5kmほど、高さは1kmほどのそれは、丁度フライパンをひっくり返したような形状だった。北極にあったゼロレイリーと似た形状であり、バグア様式の要塞である可能性が極めて高い。また、その近辺にはギガワームが複数確認されている。
 幸いな事に、人類の奇襲は敵の不意を衝く事に成功した様子だった。海岸線同様、『α』の稼動戦力は、規模と守るべき範囲の割りには僅少と思われる。
 ただし、要塞自体の防衛設備はこれまでに劣るとは思えず、アグリッパや自律ワーム、キメラなどからなる外郭を突破しても、要塞内部の状況は想像できない。
 しかしながら、第二の幸運として、この施設の小型版とおぼしきものを人類はグリーンランドで確認している。バグア様式のドーム要塞の内部は比較的単純であり、動力炉に類する装置も中央に固まっていると予想された。これは、瀋陽が(元々人類側のものであったとはいえ)複雑な要塞と化していたのと対照的だ。
 おそらくは彼らが自分達の膝元へ反撃を受けると言う思考をもっておらず、単純な効率をもとに設計したが故と思われる。
 それでも、内部にガードワームやキメラが放たれ、多数の強化人間が存在するのは確実視されている。突入した部隊の生還が楽観視されるという事は無い。


●人類側の増援

(※UPC特殊作戦軍准将ハインリッヒ・ブラッド(gz0100)とユニヴァースナイト弐番艦)

「事態は順調とは言えないようだな」
 長距離通信の乱れた映像の向こうで、ヴェレッタ・オリム(gz0162)は眉一つ上げずにそう言った。
「そうでもない。被害は想定の範囲内だ。しかし、誤算もあった。敵の要塞だ。そういったものがある事を予測はしていたが、おそらくはエジプトに存在すると考えていたのだ」
「まさか上陸地点のすぐ南だったとはな。私ならば、諜報部の責任者を更迭する」
 ピエトロ・バリウス中将には、上げる眉もない。だから、彼は軽く肩を竦めて話題を変えた。
「現状はデータの通りだ。私から貴君に頼む事は――」
「頼み、だと?」
「そう、頼む事はだ。ハインリッヒ・ブラットをこちらに回して欲しい。速やかにだ」
 会話の最中に口を挟まれる事に、高級将官は慣れてはいない。そういう世界に住んではいないからだ。にもかかわらず、何事もなかった様に言葉を続けるバリウスを少し意外に思う。
「少し、時間を貰おう」

 オリムの思案の時間は短かった。首を振り、それだけでなく言葉でも彼女は返答を伝えようとする。
「無理だな。個人的にはそうしたいが、今弐番艦を動かすのは――」
「弐番艦は要らん。必要なのはブラットだ。彼の頭脳が要る」
 今度は自分が言葉を遮られたオリムは、怪訝な顔を隠そうとはしなかった。今のアフリカを考えれば、戦力こそが必要な筈だ。
「死ぬ気か、バリウス中将」
「可能性はこの十年で最も高い。そして、私が死ねば事態の収拾はツォイコフの手に余る」
 オリムもその分析には同意した。ミハイル・ツォイコフ大佐は本質的に前線指揮官だ。それは得がたい資質ではあるが、この局面で判断を委ねる事が出来る相手ではない。
「ベルリンの三ツ星どもがいるだろう」
「大将の椅子に座るような軍人に、戦場の機微は判るまい。‥‥少なくとも、本部の大将はな」
 作戦の失敗で降格されるまでの僅かな間だけ大将の座にあったオリムに配慮するかのように、バリウスは言葉を付け足した。実際、彼らよりも上の階級の軍人は、KVとUFOが飛び交う戦場を理解するには年を取りすぎている。だからこそ、人類未曾有の連合軍の指揮を、彼ら中将達がこれまで取り仕切っているのだ。
「アジアの椿は本質的に攻めの男だ。今でこそ守りに入っているが、得意という事はなかろう。貴官も机上を離れた現場の纏めは苦手であろうしな。やはりここはブラットが必要なのだ」
「‥‥」
 淡々と言うピエトロの言葉に、冷徹と言われるオリムはただ、瞑目した。敵の幹部が相次いで倒れ、北米の状況がいつ大きく動くやもしれぬという現状さえなければ、オリムとてそうしたい。アフリカへの攻撃には、それだけの魅力が有る。
「この十年、我々はバグアと戦争をしていた。土地を、命を、奪って、奪い取られる日々を過ごしてきたが、それは奴らの定めたルールと範囲でのことだ」
 ピエトロが言う。アジア、欧州、南北米。バグアが譲る事があったのは、その範囲だ。宇宙と豪州、そしてアフリカ大陸に反攻を許した事はない。人類は勝利を重ねつつも、それが敵の情けによる物だという疑いを捨て切れなかった。
「何が言いたい」
「寸土を奪えば十分なのだ。奴らはこれまでの方針を改めるだろう。そして、我々は彼らに対して再び挑戦する」
 アフリカに人類の旗を立てる事を、バリウスが個人の復讐心でのみ欲しているという噂は、オリムの周りにもあった。しかし、彼が望んでいるのはそれではない。ピエトロ・バリウスは目前の巨大な敵に対して、自分達が再戦を挑むに足る挑戦者である事を主張しようとしているのだ。そして、それは現状に甘んじかける一部の人類に対しても、大きなアピールになる筈だ。

 ピエトロとの回線を切ってから、オリムはしばらく黙していた。長いようで短い3分が過ぎ、彼女は通話機を取る。
「‥‥ブラットに私の元へ来るように伝えろ。それから、弐番艦を用意するように」
 敵の横っ面を張り倒す事には、危険を冒すだけの価値があると彼女も認めたのだった。




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