北アフリカ進攻作戦
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北アフリカ進攻作戦 第1フェイズ統合情報

(※ゼオン・ジハイド4 ザ・デヴィル)

●第1フェイズ・オープニング

「32空挺師団、準備よし」
「ガリーニン7、定位置に入りました」
 ユニヴァースナイトの艦内に、友軍からの連絡が引っ切り無しに入る。大天使のコードを持つ作戦は、既に3時間前に発令されていた。イタリア各地に配置された部隊が、ある物は慣れぬ波間の輸送船内で、あるいは狭い輸送機の中で出撃の時を待っている。否、一部は既に地中海の空を南進していた。
「ユニヴァースナイト、浮上。先行する空挺各隊を追い抜き、バグアの前衛部隊を蹴散らす」
 ミハイル・ツォイコフ大佐の声に、各部からの復唱が返る。人類最大の飛行空母は、新たな戦いの空へと飛び立った。
『予定より2分遅れだな、大佐。原子時計のようには中々いかぬか』
 通信回線の向こうで、今回の作戦の総指揮をとるピエトロ・バリウス中将がニコリともせずに言う。『原子時計』とはピエトロのかつての部下であった特殊作戦軍のハインリッヒ・ブラット准将の異名だ。
『懐かしい名です』
 ミハイルは視線を前へ向けたまま、頷いた。今回の中将の作戦に、彼は決して賛同してはいない。それを承知の上で、中将は彼に主力部隊の指揮権限を委ねていた。階級から言えば大佐に過ぎぬミハイルだが、イタリア方面に展開するロシア軍にとっては英雄である。階級から言えばミハイルより上となる将官からも、異論は出ていない。実務的な面から言っても、バグアのジャミングに対抗する能力を持つ同艦に指揮座を置く事は妥当といえた。
『イネース・サイフェルはおそらく、今回の件を静観するでしょう。ユカ・ユーティライネンとジャック・レイモンドの消息は相変わらず不明。つまり両者共に単独行動を取っていると思われます。バルセロナのサイラス・ウィンドは‥‥』
『今、動くほどバカではあるまい。警戒すべきは突然やってきたダム・ダルのみだな』
 中将は重々しく頷く。いずれの名も、端倪すべからざる強敵である。が、強敵であるが故にその動向は注視されていた。ある者はやる気が無く、ある者は戦力を保持していない。それらを見切った上での、『大天使作戦』の発令だ。
『では、私は直属部隊と共にミカエルと合流する』
『了解です。作戦に変更はありませんか』
 マドリードに在する中将こそが、ユニヴァースナイトにいるべきだと大佐は思う。アフリカに橋頭堡を築く今次作戦において、戦力は一点に集中させるべきだ、とも。しかし、中将は意見を異にしていた。
『彼の地で会おう、大佐』
 ブン、と音を立てて通信回線は途絶する。
「‥‥ミカエル、か」
 その名を、大佐は小さく口にする。自身と同じ名を持つそれは戦闘艦などではなく、巨大なハリボテだ。中央に設置された大型の慣性制御装置は、巨大すぎる構造物の重量を打ち消す為にのみ使われている。20kmに満たないジブラルタルの狭隘部を埋める、大小多数のブロックからなる連結式移動橋梁が『ミカエル』の正体だった。
「傭兵隊はどうしますか」
 艦内に待機している面々を思い、大佐は厳つい顔を僅かにほころばせた。おそらく、今しも飛び立とうと逸っているのだろう。
「現状のまま待機せよ、と伝えろ。彼らの出番はまだ先だ」
 大佐は行く手へ視線を向けた。強襲予定地のチュニジアとリビアの国境付近に、敵が対空網を構築している事は既に把握されている。かつてその地で暮らしていたはずの、人類の市民の姿は無かった。
「‥‥本艦も、場合によっては砲戦の覚悟をせねばならん。気を引き締めろ」
 アフリカに、バグアの戦闘母艦『ギガワーム』が存在する事は確実視されている。今日は、長い一日になりそうだ。


『人間達が? 面白い』
 イタリアから南下する部隊有り、との報を受けたバグアは、全身を揺するようにして笑った。彼らの目こぼしと手抜きで生き延びている弱い種族が、事もあろうに彼の守る拠点へ向かっていると言うのだ。
『とすると、これは陽動かな? なかなか、やる』
 彼の目が、盤面を滑った。人類がジブラルタルと呼ぶ海峡に、小規模なUPC艦隊が到達している。それを楽しげに見ていたバグアへ、敵襲の知らせを告げた男が片眉をあげた。
『心した方がいいぞ。奴らは手ごわい』
 浅黒い肌の男は、旧知の戦士へ忠告を告げる。この身体をヨリシロとしてより1年以上、この星の生き物のしぶとさを、ダム・ダルは文字通り肌身で感じていた。
『ダム・ダルよ。彼等が相対した者達の中では見所のある種族である事は理解しているが、私にも楽しむ権利はあるだろう』
 大口を開けて笑う黒い肌の巨人の名は、地球風には発音が出来ない。それ以前に、ゼオン・ジハイドの4、という称号だけで彼にとっては充分だった。それでもあえて人類の言葉に直せば、ザ・デヴィルとなろうか。3mを優に越える巨大すぎる体躯は専用機に乗り込むにすら窮屈だったが、彼はこのヨリシロを気に入っていた。

『では、まずは挨拶といこう。アニヒレーターを用意しろ』  映像のなかの小艦隊へ、デヴィルは太い指を突きつける。彼の居る要塞から数百キロ離れた海峡で、その命令は正確に復唱された。
『アニヒレーター開口。発射用意完了』
 アビラ山の山頂近くの岩肌が、丸く開く。ついで、開口部の上部に円盤のような装置が浮かび上がった。グレプカ攻略に参加した者であれば、それが一種の反射板だと見抜いただろう。
『発射』
 海峡を睨む砲台からの攻撃は、僅か10秒の照射で艦隊をあっさりと壊滅させ
た。報告を受けたデヴィルは、詰まらなそうに首を振る。
『やはり、これでは面白くないな。手元に引きずり込んで、見極めさせてもらおうではないか。我等の為に、彼等にはより強くなってもらわねばな』
 彼の振り下ろした拳は、文字通りあらゆる敵を肉塊に変えてきた。強者と戦い、自らの手で叩き潰す。その過程と感触を、彼はこよなく愛している。他人に譲ることなど考えもせぬほどに。
『‥‥忠告はしたぞ』
 ダム・ダルはそう言い置いて回線を切った。ブライトンを始め、バグアの幹部は戦闘の場に出てくる事はほとんどない。ゆえに、ゼオン・ジハイドは、前線の戦力としては最強の名のはずだ。しかし、その名に以前ほどの頼もしさを覚える事が無いのは。
『奴らは、手ごわいのだ。ザ・デヴィル』
 今一度、暗くなったモニターへそう告げる男の目は、感情を覗かせはしなかった。


 マドリードに集結した軍団を、ピエトロ中将はむっつりと眺めていた。
「光線砲、か」
 ジブラルタルは要衝だ。『ミカエル』による架橋などという事態は予想せずとも、バグアが防衛戦力を用意しているのは確実だった。しかし、彼の幕僚の予想の中に、小艦隊を壊滅させる程の砲台の存在は、含まれていない。
「ここに至って、中止は‥‥」
 隊列の中には、胸に黒の喪章をつけた兵の姿も見える。ピエトロ・バリウス直属の軍団は、10年前のアフリカ戦線の生き残りが多数復員してきた事で平時の倍近い人数に膨れ上がっていた。それに、北米からの戦車師団やドイツの重火砲隊などが加わっている。KVの数こそイタリア戦線の戦力に劣る物の、打撃力では引けを取っていない。これだけの戦力を、二度用意するのは困難だ。

 ピエトロは、決断した。
「イタリア側の作戦開始を待ち、ミカエルへ移動を指示せよ」
 フランスはトゥーロン沖に構築されていた巨大な建造物が大きく汽笛を鳴らす。ソレを見る物は、驚きに目を見張っただろう。内部で何かを建造中と思われていた浮きドックの群れと大型船舶の塊が、ごてごてと繋がった形のままで動き出したのだ。
「予想合流時刻は、2時間後です」
 士官の言葉に、中将は頷く。その2時間でバグアの封鎖戦力を排除する必要があった。
「よろしい。待機の傭兵隊に連絡を。それから、『ブリュンヒルデ』を前線へ出せ」
 能力者のみからなる傭兵が、人類圏で最も強力な遊撃部隊であるのは間違いない。そして、ブラット准将から託された新型艦と、オリム中将の秘蔵っ子。
「全部隊に通達。これより我が軍団はアフリカへ帰還する。各自計画の通り、進軍を開始せよ」
 号令と共に、地響きを立てて兵団が動き出した。サイは投げられたのだ。
「戦場に掛ける橋、ですか」
 北米軍の士官が、有名な行進曲を口笛で吹いた。しかし、中将はむっつりと首を振る。
「知らないのかね? あの橋は、映画の最後に落ちるのだ」



追加情報2 慣性制御装置の研究成果報告
追加情報4 ヘラクレスの砲台※4月30日更新
追加情報5 第1フェイズ選択肢※4月30日更新

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