人類の持っている可能性を最大限に引き出すことが出来るのが、
 お主らが『SES』と呼んでいるものじゃ。
 ま、言っても理解は出来んだろうから、ワシから詳しい説明はしないがの。
 お主らの中でも何人がうまく使いこなせるか、じっくり見させてもらうとするわい。

スチムソンエネルギーシステム(SES)
 SES(スチムソンエネルギーシステム)とは、スチムソン博士が開発したエネルギー効率を飛躍的に高める理論である。
 SES理論の格となっているのは「エミタ」と呼ばれる特殊金属である。エミタに科学技術を加え、エンジン(動力発生)部分に組み込むことで水素イオンを瞬時に濃縮し、エネルギーを発現させることができるのだ。
 このSESの開発により、人類は原子力や反物質といったような高出力であるが危険なエネルギー発生手段に頼らずとも、高出力で安定したエネルギーを手に入れることができるようになった。
 また、SESはエネルギー発生装置ではなく『増幅装置』であるがゆえに、普及までの障害は(エミタが希少金属であるという制約を抜けば)存在せず、SESの登場は「蒸気動力発見以来の大革命」と表現されることになる。
 SESを用いた研究開発はバグアの執拗な攻撃を受けながらもブレスト・スチムソン博士を中心とする世界中の科学者の手によって行なわれ、世界中のありとあらゆる科学技術に関係するものは飛躍的な成長を遂げた。
 しかし、絶え間なき機械の高性能化---特に戦闘機におけるそれ---は、人体機能の発達や人体機能をケアする技術を瞬く間に超越し、研究開発の結果生み出された高性能機体を操る人間がいないという皮肉な結果を生み出してしまう。
 『科学力に見合う人間の変化・進化』が求められるようになったのである。
エミタ
 SESを使用するために必要な、非常に希少な金属。1996年、スチムソン博士の手によって発見された。
この金属には一定の科学技術を導入し、動力発生部に組み込むことによってエネルギー発生効率を飛躍的に高めることができる。また、加工方法によっては、手術によって人体に埋め込むこともできる。エミタに対して拒絶反応を持たない人間は全人口の約1/1000と、かなり限られているが、才覚ある人間にこの加工された金属を埋め込むことによって、一時的にではあるが人類の常識を超えるほどの特殊な力を得ることができる。
 一般的にエミタは掌に埋め込まれることが多く、体内に取り込まれた水素を濃縮イオン化させると共に、人体のエネルギー消費を飛躍的に効率化させる。
 能力を発動している間、肉体には瞳や髪の色が変わる、身体の一部が隆起するなど、変調が見られることが多い。これは超人的な能力を補佐するために身体が適合しているためであるといわれているが、詳細はまだ分かっていない。

 つまるところエミタとはあくまで原材料の名前であり、エネルギーシステムそのものの名前ではないのであるが、人体に埋め込むタイプのSESは主にエネルギーシステムといったような名称を人体につけるべきではないという人道上の配慮などから『エミタ』の名前で呼称されている。

人類側武装
 バグアの持つフォース・フィールド(電磁障壁)は強力な防御力を持っており、ほぼすべての通常兵器を半ば無効化する。  そこで、人類側武器にはSESが内蔵されており、インパクトの瞬間に大きな衝撃を相手に与えるようになっている。  エミタによって発揮されたエネルギーの一部を伝道することによって力を発揮する。

 ウェポンに搭載されているSESの発動により強力な能力を発揮することができる。(正確にはウェポンが発動するエネルギー量は非常に不安定であり、その制御にAIを使用している。AIについては後述)
 ウェポンにはメトロニウムと呼ばれる合成金属を使用しており、未知生物対策組織と未来科学研究所がその製作を担っている。
 バグアが操るワームやキメラの中にはエミタによって精製されたエネルギーでしか破壊できないモンスターも存在しており、ウェポンへのエネルギー付与(制御)は非常に重要な能力になっている。
 SESの構造上、人類側兵器にはすべてエアインテーク・エアダクトが存在することも特徴のひとつである。
AIとは
 エミタにはAIシステム(擬似人格)が埋め込まれている。
 AIは人語を解するといわれているが、基本的に話すことはない。
 意思の疎通はすべて能力者の感覚に直結しておこなわれる。

 AIは攻撃兵器に用いられるSES(エミタ)本体のバランスの調整役など、
 すべてのエネルギーバランスを制御する役割を持っている。
 特に航空機訓練を受けていない者が皆それなりに戦闘機等を操縦することができるのはこのためである。