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己丑北伐‐カメル南征

●グレプカ破壊作戦
<バイオステアー>
 異形のフォルムながらも、兵器としての側面が色濃かったステアー。
 それが突然暴走を開始した理由は現時点では不明である。北米で沈んだ小野塚機との相違は多数に及び、予断を許さぬ状況だ。
 大量に吐きだされた人型生体兵器の形状の一部が、死亡を確認されたパイロット『シモン』を思わせる点から、何らかの彼の意思の介在を指摘する声もある。
 しかし、それぞれが模しているのは目や腕、あるいは髪などの一部のみであり、総じて似ても似つかぬ代物であるのは否定の余地が無い。
 いずれにせよ、現時点で我ら人類が『バグア』について知っていることは極めて少ないと、改めて突きつけられる事件だ。

 バイオステアーは概ね小型車程度の大きさで、兵装を搭載してはいない。あるいは、それを利用する知性が無いのかもしれないが。
 しかし、繰り出す触手は、参番艦内部のメトロニウム鋼の主隔壁を容易く貫通し、切り裂いている。
 巻き付く、締め上げる等、生物的な動きは予測困難な為、苦戦は必至だろう。
 シモンの形状を留める生体兵器も人と同様の形状、サイズをしてはいるが、戦闘方法は触手を伸ばし粘液を打ち出すなど原始的なようだ。
●作戦詳細
【参番艦救援作戦
・概要
 第二フェイズにて撃墜されたシモンのステアーは、参番艦に回収されます。
 が、帰還途上の同艦からの緊急連絡は、突如としてステアーが暴走を開始したというものでした。
 艦の一部ごとステアー本体は再投棄されましたが、先端部分は艦内へ侵入し、辺りの物と融合を開始。
 ワームの出来損ないやパイロットのカリカチュアのような生体兵器を吐き出しています。

 プロトン砲などの武装使用は確認できず、ステアーほどの戦力は無いと想像されます。
 が、こちら側も武器の使用を慎重に行わざるを得ない為、排除は極めて困難です。
 なお、この敵にUPCがつけたコードは異形が『バイオステアー』、人型が『分裂体』という物です。

・第2フェイズの目的
 参番艦内部に侵入した『バイオステアー』及び『分裂体』を殲滅してください。

<1.戦闘>
 動力炉を目指して艦内を侵食しつつある移動型のバイオステアーを、KVで撃退する任務です。
 艦への損害はある程度は許容されますが、解放的な区画での迎撃が要請されています。

<2.精鋭機対応>
 艦底に根を張った最大のバイオステアーを撃破する任務です。
 最も近いKV用エレベーターから、内壁を慎重に破壊して敵へ向かい、破壊してください。
 なお、第三艦橋の跡を通って水中戦KVによる攻撃を仕掛ける事も可能です。

<3.歩兵戦闘>
 艦内に多数放たれた分裂体を排除する任務です。
 また、バイオステアーを攻撃するKV隊の支援も行う必要があるでしょう。

<4.後方支援>
 補給、整備、医療、救難などの後方支援任務です。
 参番艦内全域を対象とした通信、管制、情報なども後方支援に含まれます。
 狭い範囲(部隊内、前線で目の届く範囲)での通信、管制、情報などの任務は歩兵戦闘や精鋭機対応の選択肢中でも対応可能です。

<5.精鋭対応・歩兵>
 役割は歩兵戦闘と同じで、より積極果敢に分裂体に向かっていきます。
 実力があれば自動判定部分で高い功績点を得ることができますが、実力が足りなければあっという間にやられてしまうでしょう。


【オーストラリアバグア迎撃作戦】
 参番艦におけるバイオステアーの暴走は、バグア側にとっても予想外の要素だったようです。
 傍受された敵の通信などからも、それは判明しています。
 しかし、これを奇貨としたバグア豪州軍は、再び攻撃部隊を送りだします。
 それを防ぎうる位置にいたのは、度重なる戦闘で傷ついた弐番艦のみでした。

 参番艦は艦底を侵食され、航行速度を大幅に落としています。
 現状の損傷度合いで沈む危険はありませんが、艦内での戦闘によって損害は増えると予想されます。
 更に外部からの攻撃に晒された場合、最悪のケースも考慮に入れる必要がある、とUPCは考えました。
 弐番艦が向かったのは、その場合の救助も視野に入れての事です。

・第2フェイズの目標
 UK参番艦を目指す敵の機動部隊を、弐番艦と共に撃退してください。

<1.戦闘>
 バグア軍部隊との戦闘を中心に行います。
 豪州軍のヘルメットワームと大型飛行キメラなどが敵として想定されます。
 飛行タイプの機体を推奨します。

<2.精鋭機対応>【危険】
 バグア軍の精鋭機との戦闘を行います。
 単機〜少数で際立った動きを見せるエース機やビッグフィッシュに対処するのが主な任務です。
 著名なエースパイロットは確認されていません

<3.歩兵戦闘>
 生身での戦闘を行います。
 海空の航空戦という性質上、直接戦闘に関わることはできませんが、救難部隊のヘリコプターに搭乗し、要救助者を救出する役割を持っています。

<4.後方支援>
 補給、整備、医療、救難などの後方支援任務です。
 ユニヴァースナイト弐番艦に搭乗し、正規軍に協力する形で戦うことになります。
 広範囲を対象とした通信、管制、情報なども後方支援に含まれます。
 狭い範囲(部隊内、前線で目の届く範囲)での通信、管制、情報などの任務は戦闘や精鋭機対応の選択肢中でも対応可能です。

<5.精鋭対応・歩兵>
 歩兵戦闘と同じです。
 実力があれば自動判定部分で高い功績点を得ることができますが、実力が足りなければあっという間にやられてしまうでしょう。


入力締切は11月15日!
 プレイングを提出する
 


●概要

 超長距離プロトン砲「グレプカ」は、貴い犠牲を出しつつもこれを破壊することに成功しました。
 これによって、グレプカは発射不能になっていると見られており、また復旧にも多くの時間と労力が必要になるであろうところまで十分にダメージを与えたと考えられます。
 目的は達しましたが、この作戦のもっとも困難である点は、この敵地の真ん中から脱出することです。

 当初は、決死部隊が自力で西海岸まで踏破し、UK弐番艦、UK参番艦のいずれかに回収されるという方針でしたが、オーストラリア・バグア軍の増援により、UK参番艦が発見されてしまいます。
 また、決死隊の負傷者の多さも鑑みて、UPC司令部は作戦の変更を決定しました。
  「移動には及ばず。火山にてUK弐番艦を待て」
 負傷者や損傷したKVを引き連れてジャングルを踏破するよりも、火山を拠点にして防衛線を維持することは負傷者保護などの観点からも悪いことではありません。
 しかし、一方で救出部隊がたどり着けなかった場合、全員が脱出できないとリスクは大きくなっています。
 はたして、吉と出るか、凶とでるか?


<設計図等からの再現モデル>


●作戦目的
 「グレプカ」破壊に成功した決死隊を救出します。
 彼らを救出の完了を持って、「グレプカ破壊作戦」の完全成功とみなします。

●作戦情報
・グレプカ発射基地
 カメル西部の休火山の火口に建設されています。
 山の麓は鬱蒼としたジャングルですが、休火山自体は火山岩と火山礫が堆積し、樹木のない荒涼とした岩原が広がっています。
 大きな岩がごろごろとしていますが、KVを隠す遮蔽物にはならず、それでいて足場としては不安定です。



<再現映像:グレプカ発射の様子>

●カメル方面の状況
 UPC軍発表、敵軍の数字には大きな誤差の可能性有
 味方情報に欺瞞や戦闘推移による誤差有

バグア軍戦力
【シモン直轄部隊】
輸送艦(ビッグフィッシュ)× 10〜30
小型HW× 100〜200
中型HW× 50〜100
大型HW× 20〜80
本星型HW× 10〜30
キューブワーム× 200〜
飛行キメラ× 1000〜(計測不能)
NDF・本星型HW× 1〜4
漆黒の本星型HW× 1
ステアーZC× 1

【グレプカ防衛部隊】
 カメル内の増援部隊含む
輸送艦(ビッグフィッシュ)× 10〜20
小型HW× 50〜100
中型HW× 20〜70
大型HW× 10〜30
陸上ワーム× 300〜
タートルワーム× 300〜
レックスキャノン× 100〜
ゴーレム× 150〜
キューブワーム× 200〜
キメラ× 20000〜(計測不能)
NDF・本星型HW× 1〜4

【オーストラリア方面軍】
 オーストラリアとカメルは指呼の間であり、
「己丑北伐」の開始とともに電波通信量が増大するなど
グレプカ破壊作戦に影響を与える可能性は高い。
 1999年の占領以降、大規模な戦闘を行っていない為、
相当数の戦力が温存されているとする説がある。
 一方でアジア決戦やラインホールドに代表されるように、
各地に戦力を派遣していることも確認される為、
それほどまでは多くないとする説もあり、正確な実態は不明。
輸送艦(ビッグフィッシュ)× 200〜
小型HW× 1000〜
中型HW× 800〜
大型HW× 300〜
本星型HW× ?
キューブワーム× 1000〜
キメラ× (計測不能)
ギガワーム× ?(配備の可能性?)
ラインホールド× ?(配備の可能性?)


味方戦力
・UPC軍
 UK参番艦、ならびに海上艦隊の到着は第2フェイズ。
 参番艦は第2フェイズでの救出作戦に備えて、隠密作戦中です。
F/A-18E改× 2000
太平洋軍所属艦艇× 多数
ナイトフォーゲルS-01× 20
R-01× 20
H-114× 100
HA-118× 30
F-104× 120
ES-008× 20
R-01E× 60
PM-J8× 40
A-1× 120
F-201A× 20
H-223A× 40
ユニヴァースナイト弐番艦× 1
ユニヴァースナイト参番艦× 1
●概要/フェイズ1

 カメルにおいて、超長距離プロトン砲「グレプカ」の存在が確認された。
 この兵器は静止衛星「サテライトフラワー」をもって発射されたプロトン光線を屈折、南半球から北半球を直接攻撃が可能な戦略兵器である。
 現在、もっとも大型の衛星が瀋陽上空で静止しており、この一帯が射程に収められているものと思われる。
 しかし、この衛星の数が増えていけば、いずれ世界中がグレプカの射程に収まることは明白である。
 現状では地球側には衛星を破壊可能な宇宙戦力は存在しない。
 であれば、作戦はおのずから地上のグレプカそのものを破壊しなければならない。

●作戦目的
 本作戦は大規模作戦「己丑北伐」の「カメル方面」である。
 作戦の目的は「グレプカの破壊」である。

 カメル方面は2部隊にわかれて、グレプカ破壊を行う。
 一つは陽動部隊であり、一つはグレプカ破壊を担う決死隊である。
 陽動部隊がカメル方面のバグア軍を十分にひきつけた後、
スクラムジェットブースターを使った決死隊が敵の薄くなった防衛網をマッハ10で飛びぬけて、
カメル西部の休火山を奇襲、グレプカを破壊します。

●作戦情報
・グレプカ発射基地
 カメル西部の休火山の火口に建設されています。
 山の麓は鬱蒼としたジャングルですが、休火山自体は火山岩と火山礫が堆積し、樹木のない荒涼とした岩原が広がっています。
 大きな岩がごろごろとしていますが、KVを隠す遮蔽物にはならず、それでいて足場としては不安定です。

・バンダ海
 バンダ海は太平洋西部にある海でインドネシアの島嶼によって、境界が形成されています。
 北から時計回りにモルッカ諸島、カイ諸島、タニンバル諸島、ソロール諸島、ブトン島、スラウェシ島があります。

・カメル共和国
 オセアニア大陸北西に浮かぶ島国。
 ゾディアック射手座のシモンによって、事実上占拠されている新バグア国家です。
 先日、UPC軍に対する宣戦布告を行っており、UPCと“戦争をしている”国家である。
 詳細はコチラから → マニアック資料【カメル共和国】
(※運営注・カメルは東ティモール付近に設定されているCTS独自の架空の島国です)

・敵戦力
 カメル駐留の戦力は、小国故に駐留可能な戦力には限界があり、シモンとその腹心が強力であるものの、数の面では十分とは言えない。
 その点で陽動作戦は如実に作戦の成否を左右するであろう。
 しかしながら、カメルはその後背に完全にバグアに支配されているオーストラリアがあり、そこからの援軍がはたしてどれほどのものになるかは情報が圧倒的に不足している状況である。

<バンダ海上空戦・戦闘報告書>

●バンダ海の悪魔
「くそっ‥‥何だ、こいつらは!?」
 インドネシア沖合、バンダ海上空のUK弐番艦から発進、カメル攻撃に向かったUPC軍KV部隊は予想外の苦戦を強いられていた。
 カメル領空の手前で迎撃してきた数知れぬHWとCW、飛行キメラ群――これは当初から織り込み済みの敵戦力だ。
 だがその中で特にUPC軍パイロットを悩ませたのは、機体を青くカラーリングした4機編隊の本星型HWだった。
 2機1組でロッテを組んだ本星型HWは巧みな空戦機動でバイパー改の砲火をかわし、逆にプロトン砲の光線が走る度、1機、また1機と人類側KVが撃墜されていく。
 しかも「彼ら」は撃墜機から脱出したパイロットさえ見逃さず、容赦なく拡散フェザー砲で焼き払っていった。
『ウフッ‥‥クスクス‥‥』
 オープン回線の無線から、凄惨な戦場に不似合いなあどけない笑い声が響く。
「‥‥子供?」
 パイロット達の困惑をよそに友軍の被害は増すばかり。このままではカメル本土攻撃どころか、後方にいるUK弐番艦すら危うい。

「トマス、マティア。あまりハメを外すんじゃないぞ。仮にも僕らの初陣なんだから」
「は〜い」
 NDF(ネオ・デビルフォース)リーダー、マルコの通信に、幼い少年少女の声が渋々答えた。
「でも、案外脆いのね。あんなのが人類軍の精鋭部隊だなんて‥‥私でも笑っちゃうわ」
 青い本星型HWの機内で、褐色の肌に銀髪をカールさせた少女がクスリと笑う。
『そう? なら見せてあげるわ。本当のエースの実力を』
「――誰!?」
 返答代りに撃ち込まれた8式螺旋弾頭ミサイルの炸裂が、強化FFを通し本星型HWの機体を揺すぶった。
「フェニックス!? いったいどこから――」
『おっと。ボクらのことも忘れないでね♪ っと、援護の方ヨロシク!』
『了解なんだよー』
 遙か後方のロングボウから発射されたK−02ミサイルがマルチロックオンで4機のHWへ同時に命中する。
 そしてあっという間に距離を詰めてきたシラヌイS型が、ソードウィングの吶喊でHWの外装甲を切り裂いた。

「ブルーファントムか‥‥嫌な連中が来たな」
 相良・裕子(gz0026)、チェラル・ウィリン(gz0027)、そしてリーダーの冴木 玲(gz0010)。
 情報として知らされてはいたが、よりによって初の機体戦で、UPC軍きってのエースチームとの遭遇に舌打ちするマルコ。
 とりあえず周囲のHWとCWを呼び寄せ態勢を立て直そうとした矢先、「司令官」からの通信が入った。
『もうよい、下がれ。あれはおまえ達の敵う相手ではない』
「――はっ。面目ございません」

「うわっ、ステアーが来たっ!」
 青いエース機部隊と周辺の無人HW群があっさり引き下がり、その後方から矢の如く加速して来る赤黒い機体を目にしたチェラルは思わず声を上げた。
 カメル・バグア軍司令官。そしてゾディアック「射手座」シモンの搭乗するステアーだ。
「落ち着いて。もうステアーも無敵じゃないわ――裕子は後方から援護射撃を、チェラルは奴を近距離から攪乱、私が接近するための隙を作って」
「OK!」
「頑張るんだよー」
 シラヌイSをブーストオンしたチェラルは試作型超伝導ACEを展開、ステアーから打ち込まれる20連装プロトン砲の衝撃に耐えつつ肉迫した。
 いったんすれ違うと見せ、急降下半ループで素早く敵機の背後を取る。
「いっけぇーーっ!!」
 超伝導アクチュエータ起動。南米で傭兵部隊が切り落としたという片翼の先端部を狙った剣翼突撃。
 その時、奇妙なことに気づいた。
(「あのステアー、何かおかしい‥‥?」)
 KVよりわずかに大きなその機体を、ぼんやりと青白い光が包んでいる。
 強化FFや練力消費による一時強化とは明らかに違う。
 考える間もなく、シラヌイの翼刃がステアーの主翼に食い込んだ。
 だが――。
「うわぁあああっ!?」
 渾身の一撃がステアーの主翼を切り裂く代り、大きく弾き返されたのはチェラル機の方だった。機体を立て直す暇もなく、至近距離から連射されたバグア式スナイパーライフルの砲弾がシラヌイSを撃破し、眼下の海面へと叩き墜とした。

(「――来る!」)
 能力者として、同じスナイパーとしての直感。
 遙か前方にいるシモンの狙いが、次は自分に向けられたことを裕子は悟った。
 離脱か、それとも応戦か――少女の脳内を凄まじい速度で思考が駆け巡り、過去のデータから推測されるステアーの性能、そして自らのKVのそれを比較する。
 裕子は迷うことなく応戦を決意した。
 一般的に防御が脆いとされるロングボウだが、エース仕様機として独自にカスタマイズした彼女の機体はもはや別物といってよい。
「プロトン砲、スナイパーライフル、多目標ミサイル‥‥何が来ても、裕子の機体なら最初の1撃には耐えられるよ!」
 新型複合式ミサイル誘導システム、起動。全兵装を叩き込み、差し違え覚悟でシモン機にダメージを与えるべく機体をブーストさせる。
 ステアーの機首部分が光った。
 プロトン砲でもSライフルでもない。凶暴な光の奔流がロングボウの機体ほぼ半分を消し飛ばし、そのまま遙か後方のUK弐番艦へ命中。激しい爆発が起こり、空中母艦の巨体が大きく傾く。
 その場に居合わせたパイロット達、全員が我が目を疑った。
 ディメント・レーザー。かつて五大湖戦で、シェイドが一撃でUK壱番艦を撃沈した同じ兵器を、なぜステアーが搭載しているのか?

「よくも‥‥っ!」
 実の妹にも等しい仲間2人を目の前で撃墜され、玲は怒りに唇を噛みしめた。
 だが冷静さまで失いはしない。そのとき、彼女のフェニックスは既にディメント・レーザー発射のため速度を落したステアーの至近距離まで迫っていた。
「SES2000」オーバーブースト、空中変形スタビライザーを同時発動。
 練剣「雪村」実体化。
「おまえはここで墜とす! いま中国で戦ってるみんなのためにも!」
 応戦する様に空中変形したステアーが、腕代わりに伸ばした2本の触手からレーザーブレードを実体化させた。
「‥‥?」
 その瞬間、玲もまたチェラルと同様の違和感を覚えた。
 陸戦形態を取ったステアーの胴体部分に、青白く光るケーブルらしき細い管が複数走っている。角度により非常に見辛く、トップクラスの能力者である玲の動体視力だからこそ発見できた、既存ステアーとの違い。
(「もしや、性能向上のため増設された機関?」)
 咄嗟の判断により、ケーブルの1本に切りつける。
 光の刃がケーブルを切断すると、ステアーの挙動が揺らいだ。
「やっぱり‥‥この機体はただのステアーじゃない!」
 残る行動力で他のケーブルも切断しようとする玲。
 だがその前に激しい衝撃を受け、フェニックスの機体が止まった。
 ステアーのレーザーブレードの1本が右肩口、もう1本が左脇腹に食い込み、空中で玲の機体を捕らえたのだ。
『惜しかったな。いかにエースといえども、貴様ら地球人にこのステアーZCは墜とせん』
 初めて耳にするシモンの声。風防越しに、奇妙なヘッドギアを被った若い男の姿が覗いた。
「くっ‥‥せめて、もう一太刀!」
 しかし無情にも2本のレーザーブレードに切り裂かれ、4つに切断されたフェニックスの機体は炎を引いてバンダ海へと墜ちていった。

 玲機を撃墜した直後、シモンはステアーを再び飛行形態に戻し、何を思ったかおもむろに機首を翻した。
「臨界モード解除。ノーマルモードに移行‥‥」
 無数のケーブルでコクピットに繋がれたヘッドギアを脱ぎ、額の汗を手の甲で拭う。
「ふむ。肉体にかかる負荷もバカにならんが‥‥実戦テストとしては上出来か。これならエミタ・スチムソン(gz0163)のシェイドにもひけをとらん。ふふふ‥‥」
 NDF、その他の配下にも帰還命令を出してカメルへと進路を取ったステアーの傍らに、簡易光学迷彩を解いた漆黒の本星型HWが寄り添った。
「お見事です。シモン様」
 シモンの側近、そしてバグア工作員でもある結麻・メイ(gz0120)。彼女は直接戦闘には加わらず、やや離れた距離から改造機・ステアーZCの戦闘データを記録していたのだ。
「‥‥しかしよろしかったのですか? 敵の母艦にとどめを刺さずに」
「深追いは禁物だ。どうやら生体エネルギーの伝導ケーブルを1本切られた様なのでな。なに、基地に戻ればすぐにでも修復できる」
「伝導ケーブルを‥‥? まさか、ステアーZCの秘密を悟られたのでは?」
 メイの声に微かな不安が混じる。
「判らん。まあ、一応対策を講じる必要はあるな」
 機体を覆っていた青白いオーラは消え、それはいつもと変わらぬ赤翼のステアーへと戻っていた。