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白瀬留美
イラストレーター :ゆらり
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忙しい人でもわかるように出来るだけ短くまとめた資料なの。
これでもまだ長いって言わないで欲しいの。
基本的にすべて伝聞情報だから、「らしい」とか「ようだ」とかは自分で足して欲しいの。
全文の報告書はこっち
今来た人向けに3行にまとめるの。
・スチムソン博士はこの世界におらず、博士の姿をした「エミタ」をスッチーと呼ぶの。
・バグアとエミタ金属は同じ星の出身で力の源も同じだけど、生物と鉱物という違いがあるの。
・G4弾頭改良の目途はついたけど、期待してたほど色々なことはできないみたいなの。
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概要
- 200人以上の傭兵が集り、関心の高さが感じられる状況であった。
- そう多くはない端末を利用して対話ということもあり、会場は混雑することになった。
- いくらかのイベント慣れした傭兵のサポートにより、大きなトラブルは発生はしなかった。
- 当然のようにマウルが弄られたのは余談である。
- 「現在のスチムソン博士」は姿形こそ同じであるが、「本来のスチムソン博士」とはまったく別の存在であるとのことだ。
- 故に本来のスチムソン博士と同一視せず、区別する為の名前が必要とされた。
- 採用された名称は「スッチー」
- この名前の良し悪しをスッチーは把握する基準を持っていないようである
- しかし、この名称に込められた親愛の情を認識はしていたと思われる。
能力者とエミタについて
- 覚醒による変化は、能力者の精神の形状を外面に顕現しているものである。
リネーアさん、胸が欲しいのか。のような単純に本人の願望などといったような表層的なものではない。
- 本人すら知覚もできないような深層のものを含めてのことである。
- ビーストマンの変化もまた、他の能力者と変わるものではない。
- 能力者になれるかどうかの適正についても同様であるようだ。
- 精神の形状が適切でないと能力者になることができない。
- これは遺伝や肉体の形質に影響されるものではない。
- 人工的に能力者を作れるかはスッチーにもわからない。
- しかし、元能力者の強化人間の例を見た場合、洗脳程度で変質するものではないようである。
- 逆にエミタのほうを一般人に合わせることも望めない。
- エミタは本質的に変化しない為だという。
さらなる力をえることは?
- 上級職を超える新しい力は今のところ見込めない。
- 少なくともスッチーの把握している知識からは作り出せるものではない。
- 肉体的な改造は少なくとも、エミタの力を強化することには直接の関係はない。
- 現状でエミタにこれ以上近づきすぎるのは危険である。
- 遠い未来に人間の精神の進化によって変わりうる可能性は否定しない。
- しかし、それは人間の寿命で届く範囲での話ではない。
- ただし、スッチーが人間の下を去った後に研究されていることもある。
- それらで何がしかの成果が出る可能性は否定していない。
メカに関する話
- G4弾頭の改良は可能である。
- ジョン・ブレストにデータを送ったので、何がしかの成果が期待できるだろう。
- AU-KVはスチムソン博士の知識の範囲外である。
- 開発者はジュリア・ラナンであり、彼女もまた「天才」の一人である。
- 天才の発想、知識は十分に共有されずにそれぞれが深化している傾向は残念ながら存在する。
- SES機関の用途拡大について、水素確保と排気ができるのであれば条件を問わずに使うことができる。
- 今まで使っていた水中はもちろん、真空中での使用も可能である。
- SESそのものの性能向上はこれ以上見込めないが、他の動力部分での最適化や工夫の余地は残っている。
- フォースフィールドに対して有効な遠隔操作兵器(子機、地雷など)は難しい。
- ナイトフォーゲルはバグアの技術と被るところはない。
- 重体でもKVの操作限界が低下しないのは、エミタのサポートによるもの。
- 生身での飛行能力を得るほどにエミタに近づくのは危険である。
- 能力者の在り様は生物の進化とは異なるものである。
- 純粋な技術力でバグアに追いつくのは困難である。
- しかし、スッチーはバグアと人類が伍するだけの力を与えたいと考える。
バグアについての話
- バグアの限界突破と能力者の覚醒による変化は似ているが別物である。
- 能力者の覚醒は能力者自身の中にある精神の顕現である。
- バグアの変容はバグア自身が取り込み己の物とした情報を吐き出している物である。
- バグアは精神に寄生する存在ではない。
- 存在そのものの情報を丸ごと取り込んでしまう存在である。
- しかし、バグアは自分自身で変化を起こすことのできない存在である。
- 変化をする為の情報を得る為にバグアは多くの惑星を襲ってきたと推測される。
- 情報取り込みの原理自体はエミタにも備わっており、両者は似ている存在である。
- バグアが宇宙のどの辺りから来たのかは不明である。
- バグアと同じ方法で宇宙を渡る生物の存在確率はかなり低い。
- バグア専用の装置はフォースフィールドを使えることが操縦の前提条件である。
- 地球上のバグア最強の個体はディエア・ブライトンである。
- 地球上でバグア最強の機体はユダである。
- 軍事関係者の肉体が多くヨリシロにされている事実は、バグアは地球人の軍事的な才能を高く評価しているからだろう。
- ヨリシロにされた人間を生きたまま救出できるなら、スッチーもその方法を知りたいという。
強化人間について
- 強化人間の復元は、その基礎技術を獲得することが出来れば可能である。
- その為には少量のエミタ金属を休眠状態にする必要がある。
- その期間は人間の寿命を超える年月である。
- バグアによる洗脳についてはスッチーは直接関与できる要素がない。
エミタとは何か?
- エミタによって人間が犠牲になる可能性は極めて小さい。
- エミタ装着によって人間が変化することを否定しないが、それは環境や状況の変化と違うものではない。
- 少なくともエミタによる直接的な精神の変容、置換はおき得ない。
- エミタと能力者は現状でうまくバランスが保たれているので、これ以上の接近は基本的にない。
エミタとスチムソン
- 今のエミタ金属に加工される以前にスッチーの元となったエミタ金属はばらばらの鉱石であった。
- スッチーが生まれたのはスチムソン博士の実験の際であり、年齢は4歳ということになる。
- 本来のスチムソン博士の意識はどこかに情報として残されている。
- エミタは鉱石であって生物としての知識、記憶はない。
- その為、能力者を乗っ取ることに意味はなく、魅力も感じるものではない。
- スッチーの存在はあくまで事故である。
- ジョン・ブレスト博士が同じ事故を起こす危険があったので、スッチーがエミタを完成させた。
スッチーの目的
- スッチーの目的は事故に失われてしまったスチムソン博士を再構成することである。
- バグアと人類のどちらが正しいかを判断する立場にスッチーはいない。
- だが、スッチーの望みを叶えた後、スチムソンが帰るべき場所がないのは悲しいという状態である。
- 故に希望として人類が生き延びることを希望する。
- 能力者はスッチーの目的を達する上での重要な観察対象である。
- スッチーは人として生きることを望まない。本来あるべき姿ではないからである。
- けれど、スチムソンへの贖罪はきちんと果たしたい。
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トマス・スチムソン博士
イラストレーター :内田緋竜
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『未来は不確定であり、それこそが希望である』
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