バレンタイン中止のお知らせ
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2月12日の報告

<報告書は前編:後編から成る>

【図書館】

●嵐の予感
「女の人からチョコを貰ったら‥‥ショックでボクの命は風前の灯火なんです! だから、バレンタインなんて絶対ダメなんです!」
「は、はぁ」
 ラストホープに位置する巨大な図書館。数多の文献を備えた、人類のあらゆる歴史を振りかえることのできるこの空間に、神鳥 歩夢(ga8600)の大きな声が響いた。
 本来なら図書館という場所は、静寂に包まれた中、皆が読書に勤しむ光景が一般的なのであろう。だが、今日はそんなことは許されない。女性への免疫がない為に、バレンタインデーは存在してはならないと意気込む神島。
 よく見れば彼だけではない。広い図書館内の外にも内にも、今日は何故か数え切れないほどのヒトひと人。
 この賑わいは一体どういうことか? その答えは簡単である。今日という日‥‥それは、バレンタインの存続を賭けた、大規模イベントが挙行される日なのだ!

「私達の愛の邪魔する方々には、お仕置きが必要ですね」
 王 憐華(ga4039)は、漸 王零(ga2930)や赤宮 リア(ga9958)の隣で高らかに声を上げた。その視線の先では、目をぎらつかせながらバナナをこれでもかとひたすら食べ続けるドッグ・ラブラード(gb2486)の姿が。
「うーん、後片付けが大変そうですね」
 モグモグと目の前でイチャついてるカップルに生温かい視線を送りながら、次々とバナナの皮を量産していくドッグ。
 そんな、イベント開始前から既にギラギラと燃えたぎる闘志を燃やす彼らだが、全員の目的はただ一つである。
 今回のイベントの主目標、直にこの図書館中心部へと運ばれてくるであろうチョコレートを奪い、目的地へ運び出す為、チョコ争奪戦が始るまでに何としてもベストポジションをキープすること。
 そう、云わばこれから始まろうとしているカオスな戦いは、一種の『陣取り合戦』なのだ。
「恋人と会えないバレンタインの切なさ、思い知れぇぇ!」
 こうして、メアリー・エッセンバル(ga0194)のなんとも悲痛な叫びとともに、今、熱戦の幕が切って落とされた――

●ここは図書館ですか? いいえ、ここは戦場です
「ふはは、嫉妬に狂った寂しい蛆虫が。愛は勝つ! 何度でも立ち上がるぞ!」 
「うるせぇぇ! てめぇらに俺らの気持ちが分るかぁぁ!」
 陣取り合戦開始直後、各々が死守したい位置へ赴きだす能力者達。勿論、それと同時に戦いも始るわけだが、こちらでは並んで並走しつつ、ハリセンをバッチリ構えた緋沼 京夜(ga6138)と藍紗・T・ディートリヒ(ga6141)の2人が、中止派の男と対峙していた。
 藍紗達の仲良さ気な光景が気に食わなかったのか、はたまた緋沼の挑発が効いたのか、そんな彼らに嫉妬団の鉄拳が迫る。だが
「京夜!」
 すかさず藍紗がその攻撃の盾に。
「な!?」
 そんな藍紗の反応に、思わず攻撃の手を止めてしまう男。
「くっ、大丈夫か?(イチャイチャ)」
「ああ、問題な‥‥痛っ!?(イチャイチャ)」
「怪我してるじゃないか! 待ってろ、今手当てしてやるから(イチャ×∞)」
 するとどうだろうか。殴ったには殴ったが、ほとんどダメージなどないはずなのに、急に藍紗の手当てを緋沼が始め出したかと思うと、その場所は一気に2人の桃色空間に。
「き、貴様ら‥‥」
 そんな彼らを見て、プルプルと怒りをあらわにする男だが、
(「ふっ、計算通り」)
 それが2人の戦略であることには勿論気づいていない。ああ、なんと哀れなことか。

「絶対‥‥通しません‥‥」
 一方、その横では向かってくる敵を次々と蹴散らす五十嵐 薙(ga0322)の姿が。緋沼達にも言えることだが、愛の力とはこれほどのものなのか。彼女もまた、愛する某人の為に用意したチョコを懐に、ひたすら腕を揮い続ける。
「はぁ‥‥もう、何故こんなことに」
 そんな、ある意味魂のぶつかり合いが繰り広げられている戦場の中、如月・由梨(ga1805)はあまり気が乗らない様子で、何となく中止派のメンバーの味方に付いていた。
 正直、個人の主義主張などに自分が介入する気はない。自身が渡す分のチョコはしっかり確保できていた彼女は、とりあえず適当に受け流しておこうと、当初は考えていたのだが‥‥
「まさかこの巨大ぴこぴこハンマーを振るう日が来るとはね‥‥! 隙ありぃ!」
「え!?」
 そこは負けず嫌いの彼女である。受付カウンターの影に隠れていたシャロン・エイヴァリー(ga1843)から思わぬ不意打ちを背中に受けた由梨は、
「‥‥良いでしょう。どうやら、私が間違っていたようですね」
 本気と書いてマジと読む。そう言わんばかりの勢いで、最前線へ駆けだしていくのであった。

「チョコ‥‥チョコ‥‥」
 場所は変わり、こちらは図書館の隅っこ。まだ到着していないチョコを求めて、ひたすら己が欲望をむき出しに徘徊する琥金(gb4314)は、特に戦いに興味はないご様子。
 むしろ、彼からしてみれば、チョコが食べられればどちらが勝っても問題ないのだが‥‥
「チョコよりも、もっと良いものをあげましょう♪」
 勿論、そうは問屋が卸さない。ココは既に戦場なのだ。呑気に構えていては生き残れるはずもなく、純粋な心の琥金に襲いかかる刺客――グリク・フィルドライン(ga6256)から、チョコ、チョコと呟く彼の口めがけ、黒い物体が放り投げられる!
「う‥‥これは‥‥!!」
 突然の出来事に戸惑う琥金。その数秒後、彼を今までに味わったことのない劇味が襲った。
「ふふ。それこそフィンランドが誇る、世界一マズイお菓子です! さぁ、どうです、ゆっくり味わってくださいね!」
 具体的な名称は伏せるが、グリク曰く、何でも世界の奇食家に愛される超激マズお菓子らしいその物体は、琥金の舌から食道と駆け廻り、彼の体を蝕む。
「チョ、ヂョゴォ‥‥」
 悲しきかな。こうして、チョコを求め参戦した舞台で思わぬ悲劇に襲われた琥金は、グリクの不敵な笑みを前に、そのまま戦線離脱するのだった。

「手前らの思い通りにはさせねぇぜ!」
 ――ドタン、パタン
 それは、開始何分後だったのだろうか。そこでは、美しく並んだ本が次々と空を舞い、明らかに一か所だけ壮絶な光景となっていくポジションが目を引いていた。
 その中心部にいた一人の青年は、バンダナを薙ぎ倒される本棚の風圧で靡かせながら、変わりゆく地形を自由自在に駆け巡る。
「ん‥‥煉。ここは図書館だぞ、少しは静かにできないのか‥‥」
「んだぁ、カララクか。いや、俺はどーでもいいんだけどな。実際」
 煉と呼ばれた青年――武藤 煉(gb1042)が振り向いた先には、中立派のカララク(gb1394)と、彼の隣に寄り添う冥姫=虚鐘=黒呂亜守(ga4859)が、手をゴキゴキと鳴らしている。
「へっ、随分と怖い顔してまぁ。今回は中立派じゃなかったのか?」
「度が過ぎた奴には‥‥鉄槌が必要だと思ってな」
 ゴゴゴゴ。そんな効果音が聴こえてきそうだが、冥姫とカララクVS武藤、ここでは、戦友でありライバルでもある彼らの戦いが幕を開けそうだ。あ、ちなみに良い子の皆は書物は大切にしましょうね。

 投げ合い、ぶつかり合い、掴みあい。そんな肉弾戦が目を引く図書館だが、勿論それだけが全てではない。なかには、知的な戦略を駆使して、アプローチを試みる者も多数いたことが、今回のイベントの見所の1つであろう。
 時はイベント開始前に遡る――

「そのっ。お、お前にあげようと思って‥‥だ、誰にも言うなよ!」
「え、あ‥‥(ドキュン)」
 図書館入り口。そこでは、整った顔立ちの美女が、中止派のリーダー格にチョコを手渡していた。
 強気な大学生といったところか。恥じらいながら目線をそむける姿が、実にけしかr‥‥可愛らしい。
「‥‥皆にはナイショ、ね‥‥?」
 更にその横でも、男にニコッと微笑みチョコを渡す女性の姿が。今までバレンタインなど一切見ず知らずが当たり前。自分とは一生縁がないと思っていただけに、そのチョコを渡された男達は戸惑うばかりである。
「でも‥‥これから俺達はバレンタイン中止の為に‥‥」
「そんな‥‥私達からバレンタインを奪うっていうの!?」
「え、あ‥‥いや‥‥」
 ウルウルとした眼差しを向けられては、今までバレンタインを中止する為に計画を練っていた自分達が馬鹿らしくなってくるではないか。結局、行き場のない心境に苛まれながら、戦闘に参加することとなった彼ら。言うまでもなく、彼らが本来の力を発揮することは不可能だろう。
 しかし、愚かな男どもは知らない。チョコをくれたあの強気な女子大生と、幼い顔立ちの照れ屋な女の子が‥‥
「ふっ、余裕だな。いや、まさかバレないとは思わなかったけど‥‥」
「目が完全にハートだった‥‥」
 実は女装した叢雲(ga2494)と空閑 ハバキ(ga5172)だったなんて!
 ちなみに、渡したチョコには『私は野郎だバァカ』のメモ書きが入っていたり。戦い終わった後、チョコを堪能しようと箱を開けた時に予想できる男の顔は、気の毒なほど涙ぐましいものだろうが、この際気にしないでおこう。
 一方、女装という手段を使わずとも、純粋に持ち合わせの美のみを武器にできたのは女性陣である。
 その中でも、特に印象深かったシーンを挙げるとすれば‥‥
「お〜っとコレは〜? 中止派でもやぁ〜ぱチョコが欲しいンですねぇ〜」
「い、いや! 別に俺はチョコなど!」
「いらないのか?」
「ぐ‥‥」
 やはり、この嫉妬団の微妙な心理を見事に突いた聖・真琴(ga1622)達であろう。
 何故か横で実況をしながら、イレーネ・V・ノイエ(ga4317)が手渡すシーンの撮影を始める聖。口元に邪を含んだ笑みを含みつつも、チョコと女性に緊張している男は、そのことに気づく余地がない。
「さて‥‥面白くなりそうだ」
「それじゃあ、次はあの人いってみよーか☆」
 こうして、次々とターゲットを絞り暗躍を続ける聖達。
 無論、これは中立派を装った彼女達の企みなのだが、撮影したシーンを何に使うかと言うと‥‥
「これ、本人が聞いたら卒倒ものですね‥‥」
「いいのいいの、細かいことは気にしなーい」
 妹の聖・綾乃(ga7770)の言葉に、ニヤッと笑い返す姉。そう、撮影した内容は、本部の放送部門の助力によって、中止派の皆さまにお披露目してもらう予定なのだ。
 どんな反応が返ってくるかワクワクが止まらない様子の3人を見て、つくづく女とは怖い生き物だと思い知らされる推進派の男性陣。
 後に、会場内に例の男性らの悲痛な叫びがこだまし、やがて内部分裂へと至ることは、想像に容易いことであろう。
 
 そして、時は再び混沌の最中へと戻るが、ここでも頭脳的戦略で立ち回る能力者が多数確認できた。
「ポイント確保、と」
 例えばそう、前述したドッグらによる【罠師】のメンバーである。奉堂 宮瀬(gb4296)や露霧(ga9675)は、自らを囮に仲間の轍(ga9665)達が仕掛けた罠へと敵を誘い、直に手を汚さず、しかし着実に戦局を傾けていく。
 今回は推進派の勢力が非常に大きく、どうしてもその物量差に押されていた中止派。しかし、人数は少ないながらも、このように個々での活躍が特に顕著であった彼らは、中止派の不利な状況が続くなか、見事一矢報いたと言っても過言ではなかろう。
 尚、バレンタインへの想いは人それぞれだが、中止派においては、とある共通の認識があったのもポイントだ。
 ある意味、それが一番の理由で本イベントに臨んだメンバーも少なくないだろう。それは、かのオリム中将も仰られた、『中止派が勝利した場合、チョコレートは世界の子供たちへのプレゼントになる』という誓約である。
「わぉーん♪ 行くよ、桜さん! 子供達が待ってるんだよー!」
「くぉら、あまり引っ張るでない、この天然貧乏犬娘! まったく、何故にわしがこんなお遊びをせねばならんのじゃ」
「皆喜んでくれるかな‥‥」
 その誓約を実現するために、本イベントに参戦していた響 愛華(ga4681)。まだ勝ってもいないのだが、喜ぶ子供たちの姿を浮かべ微笑む彼女を見ていると、その優しい心に和まされる。更に彼女の後ろでは、小さい体ごと巫女服をひたすらに綾嶺・桜(ga3143)引っ張られ顔を渋めているのだが、どうやら愛華から強引に連れてこられたご様子。
 愛する人の為。子供たちの為。友の為。そして、自らの為。
 各々が各々の想いを胸に、図書館は、更にドタバタなカオスへと空間を染めていく――


●佳境へ
「さ〜てっ、愚民の皆さんの盛り上がりも、いよいよ最高潮に達してきたようですね〜」
 中立派のハルトマン(ga6603)が実況するなか、図書館内で繰り広げられる陣取り合戦は、益々熾烈を極めていった。
「なっ、ここにも罠が!?」
「やった! ふふふ、混沌模様は面白いなー♪」
 時間が経つごとに、量がどんどん増えていくブービートラップの数々。忍びの格好をした少年、翁 天信(gb1456)は、見事に自分の仕掛けるトラップに引っかかった能力者を見てガッツポーズ。しかし
 ――バシィッ!
「うぎゃ!?」
 突如として頭上から振り下ろされた巨大ハエタタキ。そこでは、恋人とバレンタインすら一緒に過ごせず、寂しい気持ちをどっかにぶつけたい人限定で構成された【棘】のメンバーである秘色(ga8202)がニヤリと倒れた天信を見下ろしていた。
 メアリーらとの連携で確実に中止派勢力を駆逐していた彼女達。なかなかの撃退数を誇るまでに至った【棘】だが、この空間の中、そんな栄光を維持し続けることは難しい。そして、遂に悲劇はやってくる。
「ふ、他愛ないのう。さて、次は‥‥‥‥ん、この音は‥‥‥‥って!?」
 なんと、突如として頭上から来たるは本の雪崩! 推進派のポインターを巻き込んで彼女達を呑みこむ本の数々。しかも、角が当れば結構痛い。
「毎年毎年、お前はあげないのかとからかわれましたね。もう疲れてしまいました」
 見事な作戦勝ちを収めたのはトクム・カーン(gb4270)だが、ポツリと漏れる本音が何とも切実である。しかし、本の雪崩とは面白い発想ながらも、まさか書物がこんな使われ方をすることになろうとは、これらの著者も思うまい。

 既に原型を留めないほどにひどい有り様となった図書館だが、単に図書館と言っても、そこはラスホプの誇る施設である。広い書庫や、軽食堂なども存在するだけに、それぞれが散開し、自らが目標とする場所を確保すべく、休む暇など与えられない能力者達。
 その結果、自ずと激戦区になるであろう場所を予想することは容易い。‥‥そう、チョコの段ボールが届くであろう付近。つまり、図書館の中央部だ。
「何だかんだ言って、チョコ、欲しいんでしょ?」
 クスッと微笑みながら、物陰を移動しつつ華麗にモデルガンを撃ちまくるケイ・リヒャルト(ga0598)は、ハリセンも装備し近距離、遠距離両方に対応した動きで激戦区を駆けていた。
「はっ、違う違う。全世界の子供達に愛のチョコ配る為だ‥‥‥‥なーんてなッ!」
 その絶え間ない弾幕に、優等生っぽい姿で油断させようとした東 冬弥(gb1501)は突っ込み猛攻撃。
「暴力に出る男性なんて‥‥最低‥‥全力でいかせてもらいます‥‥」
「おっと、ここは通さないよ。お祭なんだし、小難しいことはこの際ナシ! ほら、あたしが全力で相手してあげるから」
 冬弥の行く手を阻もうとした朧 幸乃(ga3078)を、更に食い止めるべく立ちはだかったのは赤崎羽矢子(gb2140)。
 敵を視認するやいなや、朧は反射的に接近。そのまま赤崎を掴もうと腕を伸ばす! が、刹那、それを弾くとそのまま反転し赤崎は朧の背後へ。
「くっ‥‥」
「残念。ここには中止派以外の居場所なんか無いってことだね」
「はたして‥‥それはどうでしょうか‥‥」
「!?」 
 絶好のポジションを位置どり、朧の体を掌握したはずの赤崎。しかし、突然腕が自分の意思と反して動くではないか。すると、気づけば自分の体には‥‥
「ロープ!? いつのまに」
 すかさずほどこうとするが、させまいと朧は追撃の一手。ぶつかり合う2人。対人確保としての戦闘手段に秀でた朧のアプローチを、赤崎はギリギリでかわす! 拮抗する激しいぶつかり合い。激戦区ならではの光景が伺えるその横では
「個人に恨みは無い、恨みがあるのはその空気だ!」
 なんと切実な叫びなことよ。カルマ・シュタット(ga6302)が、クワっと自らの主張を行ったかと思うと、ハリセンの乱舞で次々と迫りくる推進派ジャマーを蹴散らしていた。
「退かぬ! 媚びぬ! 省みぬ! ‥‥でもチョコは欲しい‥‥」
 カルマが陣取った場所を確保すべく、そのまま攻撃に転じる同じく中止派の鉄 迅(ga6843)。だが、思わず本音、こぼれてます。

 さあ、いよいよ混沌聖戦も佳境へ突入し、そろそろ勝負が決する区画も出てきた様子。そんななか、図書館に響き渡る、集約された熱い熱い魂の雄たけびが!
「アッーーーーーー!」
「アアアアアァァァァァーッ!」
「あ〜っ!(照)」
 何事だよ! と、思わず突っ込みたくなる気持ちは置いといて、ここではチーム【極み】のメンバーが、見事な連携で敵チームをハメ落としていた。
 まず、ワイヤー等の罠を利用し、敵の動きに制限をかけるシン・ブラウ・シュッツ(gb2155)。同時にディッツァー・ライ(gb2224)が彼らの護衛に入り、罠が待ち受ける場所へとホイホイされた能力者にルチア(gb3045)がトドメのたらい落とし攻撃!
「皆さん、良い極みっぷりです♪」
 更に、追撃の手を止めない【極み】の白雪(gb2228)は、無邪気に笑いながら閃光手榴弾で目を潰しつつタバスコ弾をブチ込む。ドタバタの楽しそうなムードすら漂う空間だが、傍から見ればどう見てもシュールである。
「戦況は優勢だったはずですが‥‥思うように陣地を確保できませんね」
 当初、集まった人数差からも推進派が圧勝するだろうと予想されていたが、いざ蓋を開けてみればと言うと、思わぬ中止派の粘りと連携、そして見事な策略に推進派は思わぬ苦戦を強いられる結果となった図書館。
 一向に傾かない戦況を打開すべく、推進派に所属する二条 更紗(gb1862)の拳にも力が入っていた。
「人の恋路を邪魔する奴は、馬に轢かれて圧死です」
 可愛い顔して言うことは恐ろしい彼女。小さい体を丸めて繰り出すタックルの一撃は重く強烈だ。
「敵、接近中! って、うわ、後ろにも!?」
「どけぇぇええ! 愛の育みを邪魔すんなやぁぁ!」
「ウルセェェェーー! 男子校なめんなゴラァァ!」 
 そして、遂に戦いのピークを過ぎ去る頃には、開始前の美しい図書館は何処へやら。徐徐に戦況が確定し出すにつれ、図書館は硝煙やペイント、更に数多の叫び声に包まれていくのだった。
「くっ。こちらBポイント。ダメだ、推進派に占拠され‥ぐわぁ!」
「図書館では、後方に注意‥‥なんつってな」
 そんなカオスに呑みこまれることもなく、月影・透夜(ga1806)は本棚の上を警戒に飛び移りつつ、ペイントBB弾装填のエアマシンガンで立ち回る。
「ククク‥‥そうだな。確かに死角には注意すべきだ」
「しまっ!?」
 だが、高い位置から自由自在に奔る月影の更に後ろ――遮断物の陰に隠れていた鋼 蒼志(ga0165)が必殺の一撃!
 彼から放たれた攻撃を一身に受けてしまう月影だが、彼が受けた攻撃とは‥‥
「水‥鉄砲? って、うわ。く、くせぇ!」
 これぞ最終兵器。痛覚でも聴覚でも視覚でもない。嗅覚に大ダメージを与える必滅の水鉄砲(強烈なドリアン臭含)だ。
 さすがに、このシュールすぎる光景に悪臭まで漂うとなると、最早異次元の空間である。
 
 尚、どうしても派手なシーンや表での攻防が目につきがちだが、迫りくる嫉妬団に打ち勝つため、中には途轍もない策を用意していた者達もいた。
 例えば、レイチェル・レッドレイ(gb2739)達の様な、いわゆる『色気』を利用した、ちょっとイケナイ方法に出た者達である。
「独り身で寂しいんでしょ? 今だけはボクが恋人になってあげるよ♪」
 イメージしてください。独身でバレンタインなど邪道だと主張するあなたの前に現れた、妖艶な美と豊満な胸を持つ少女の姿を。
 しかも、その少女が怪しげな瞳で本棚の裏にいこうと誘っているではありませんか。ふっ、ホイホイ着いていくに決まってZE!
 こうして、男の欲求を逆手にとり自由自在に敵の心を鷲掴みにしたレイチェルや、
「「我ら、愛の伝道師!」」
 最大の武器は、自らの体とばかりに、2人のサンドイッチ攻撃を仕掛けたタイタス(ga6061)、ゴリアテ(ga6067)らの活躍もあり、混沌の伝染は波紋を次々と広げていき――第一フェイズも、いよいよクライマックスへと突入するのだった。


●そして、勝負の行方は
 さて、陣取り合戦が始って、一体どれほどの時間が経ったのだろうか。
 己の無力さを呪う者、対峙するカップルに苛立つ者、挙句自らの恥じシーンを公開放映された者。
 数々のドラマを生みだしたこの図書館も、徐徐に立っていられる者が減り、その戦局を次第に露呈していく。
 ここから先は、このカオスな聖戦に耐え残り、終盤まで戦い抜いた者達にスポットを当てるとしよう。
 その中でも、今回攻撃側として、最も多くの敵を撃退した人物はと言うと‥‥
「子供たちのためなら‥‥ボクの歌で! まだまだ倒れるわけにはいかない!」
 意外や意外。戦場には不釣り合いな格好が目を引く、現役アイドルのジーラ(ga0077)だ! 
 可愛い。もうこの一言である。戦場に降り立つ妖精とは彼女のことだろうか。
 血みどろの戦いが繰り広げられる中、必死に子供たちへ送るチョコの歌を歌いながら、推進派の説得を試みていた彼女。本来なら真っ先にカモとして狙われそうだが、彼女の歌の力か、はたまたその容姿が成せる技か。
 結局、彼女の説得を受け入れ、戦線を離脱した推進派のジャマーは数多かった。‥‥しかし、実際の裏事情だが、交換条件として彼女がコッソリ渡したチョコが最大の決め手だったことは、内緒にしておこう。
「考え直してください。日々の糧に困る人々、菓子の味など知らない子供達の事を‥‥貴方次第で生き延びられる家庭があるのですよ?」
 一方、彼女と同じく、戦いではなく心から訴える説得によって、敵の戦意を見事に削いだ人物がここにもいた。
 張央(ga8054)である。推進派のメンバーと云えども、確固たる信念で参加している者ばかりでなかったのは事実だ。その隙をついて、敵の心へと直に訴えた張央の叫びは、功を制することとなる。
 だが、勿論そんな甘い考えだけで上手く事は運ばないのも事実だ。ジーラ達中止派の活躍も目覚ましいものであったが、徹底的な武力行使に移行した推進派の攻撃陣も、そのポテンシャルは計り知れない。
「全ては愛する魔帝が為に――殲滅いたしましょう」
 引かれた引き金。撃たれたゴム弾と同時に、発煙筒が勢いよくトグロを巻く。
「私の恋人に触れさせはせん。手を出すなら己が血で贖って貰う」
 2人の愛を引き裂こうとする者達には、如何なる敵でろあうと愛の裁きを。リュス・リクス・リニク(ga6209)とルナフィリア・天剣(ga8313)は、完全に互いが互いを護りあう形で攻防を繰り広げていた。
 どちらかが傷つけられようものなら即座に襲い来る片方からの猛攻に、敵側もただ防戦一方になるばかりだ。
 また、このように攻撃側として優秀な成果を収めた者達がいれば、ポインター、つまり受けに回る側としても優秀な成績を残した者もいる。例えば、推進派としてはクリストフ・ミュンツァ(ga2636)や五十嵐、そして中止派では、何といっても【罠師】の面々だろう。
 特に、地味ながらも、確かな戦果をあげたドッグのバナナトラップはかなりの煩わしさで、しっかりストレスと言う名のダメージを推進派側に与えていったとか。

 こうして、最後まで予測のできない陣取り合戦が繰り広げられた図書館では、最終的に、推進派、中止派の痛み分けという形で勝負を決することとなる。
 具体的には、それぞれのポインターが全滅した為、お互いのジャマーがただただ相手の妨害を目的とした工作に勤しんだ結果、収拾できない混乱ばかりが残ったことになるのだが、当初の戦力差を考えると、中止派の頑張りには称賛の一言だ。
 結局、他のエリアに比べ、中止派が唯一勝利を収めた場所となった図書館では、尚も止まることを知らないカオスの波動に侵略されながら、次のチョコ争奪戦へとバトンが渡されるのであった。
 ああ、それぞれの想いと言う名の欲望を胸に戦う能力者達に、チョコレート神の祝福があらんことを――

<担当 : 羽月 渚>

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