名古屋防衛戦
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12月12日の報告12月7の報告12月4日の報告

 岐阜県南部の山中を這いずるようにして、ギガ・ワームは移動していた。
 UPC軍内では悪魔とまで称されたギガ・ワームだったが、今では本来とは比べものにならない速度しか出ていない。しかしそんな状態でも未だに名古屋へと向かっていた。

 そして、ガリーニンもそうであったように、巨大で遅い物体と言うのは的になりやすい。

「‥‥射撃訓練には丁度よさそうだな」
 ポアー小隊所属、ボアー1ことアルミア・エルミナール(ga0041)はG4弾頭によりできたギガ・ワームの亀裂目掛けてホーミングミサイルを撃ち込んでいく。続いてボアー2ミア・エルミナール(ga0741)がアグレッシヴ・ファングを乗せてツインドリルを回転させ、ギガワームの腹に風穴をあける。
「UUUUU!!」
 しかし彼女の前に現れたのはギガ・ワームの腹の中に飼われていたワームの山だった。
「もう少し大人しくしてもらいたいものわね‥‥」
 ボアー3ことシア・エルミナールがスナイパーライフルで狙撃するも、ワームは抵抗をやめない。加えてKVが再度攻撃してきたことを感知し、残った小型ヘルメットワーム達も集結してきた。
 しかし能力者達も引くわけには行かない。ここまでやっておいて最後の詰めを誤るようでは歴史に汚点を残すこととなる。
「けっ、ウジャウジャとうるせえぜ、とっとと落ちやがれってんだ!」
 咆哮とともにヴァールハイト・S(ga0288)が小型ヘルメットワームに攻撃を仕掛ける。
 そして彼の所属するチーム『率然』が指揮官であるシャルロット・フェリス(ga0289)を中心にルーク・ライアン(ga3780)、イリス・アンジェ(ga0286)の3人と共にヘルメットワームを各個撃破していく。
 続いて『ラビットイヤーα』の高川ことみ(ga0081)、マリア・ブラウニャン(ga0084)、香林さくら(ga0086)、シリス・レモネード(ga0088)の遊軍A、そして遊軍Bの香林もも(ga0404)、ロゼッタ・セレニア(ga4428)、志摩あすか(ga4429)、リーファ・クレオ(ga4430)がそれぞれ4人一組となりながら互いに連携をとりつつヘルメットワームを撃退していった。
 何とかKVの猛攻を逃れた小型ヘルメットワームの集団は名古屋目指して飛んでいく。それを上空で待ち構えていた『カルヴァリオ』、『Unicorn』の連合部隊が撃退していった。突撃する破壊班の後方の憂いを絶っていく。

 だが破壊班の問題は後方より目の前のワームだった。爆破して一掃するという手段もあるが、ワームに妨害される可能性が高い。加えてこのままではギガ・ワームの内部調査などできるはずが無かった。後ろではLuckyDays、機動戦技教導隊が突入口を少しずつこじ開けていっていたが、それでも見えるのはワームの集団ばかりである。
 怯む能力者達、その中で1機のKVが単機突入を試みていた。
「何が箱舟だ、こんな物‥‥!!」
 それは今回LuckyDaysから離脱した黒川丈一朗(ga0776)だった。
 ワームの腕を得物で弾き飛ばし、変形した機体でギガ・ワームの中に活路を見出す。
 ブラントンの演説が許せなかったのか、それともこれまでのバグアの所業が許せなかったのか。それは本人にしか分からない問題ではあるが、彼の全てをかけての特攻だった。
 続いて『ペガサス分隊』の指揮官である白鐘剣一郎(ga0184)、そして隊員のエクセレント秋那(ga0027)、エスター(ga0149)、クレア・フィルネロス(ga1769)、春風霧亥(ga3077)、朧 幸乃(ga3078)、レイニー・フォリュオン(ga3124)が遅れまじと内部へと突入。さらに『黒狼』幡多野 克(ga0435)、皆木 和羽(ga0527)、ボルフ・ベイドリッヒ(ga0528)、ロナルド・ファンマルス(ga3268)、亜鍬 九朗(ga3324)、雪村 香菜莉(ga4795)と『FANG』所属の九条・命(ga0148)、MAKOTO(ga4693)、九条・運(ga4694)が続いていく。

「できれば調査がしたい」
 そんな本音があったものの、命あってのものだねである。
 十分な戦力が確保されていない以上、調査をして作戦を失敗したというのでは笑い種になってしまう。
 埋め尽くされる程の大量のワームに『ヘイムダル』の沢村 五郎(ga1749)はアグレッシヴ・ファングで侵入路を確保しつつ進んでいく。隊長の嶋田 啓吾(ga4282)を始め、武田大地(ga2276)、アッシュ・リーゲン(ga3804)、ロバート・ブレイク(ga4291)、そして隊員ではないが軽井 羽澄美(ga4848)も随伴していた。
「退路は守りきるわよ!!」
 中に入って行ったKVを尻目に『部隊:アングラー』は退路を守ることを選択した。どこに入っていたのか疑問にさえ思えるほどの量のワームと、死力を尽くして守ろうとする小型ヘルメットワーム。その2つから退路を守ることは予想以上に困難なものとなっていた。エミール・ゲイジ(ga0181)、シャロン・エイヴァリー(ga1843)、五代 雄介(ga2514)、戌亥 ユキ(ga3014)、無荒戸 哲夫(ga3815)、ロバート・ブレイク
(ga4291)、這い寄る秩序(ga4737)、キョーコ・クルック(ga4770)、雪村 風華
(ga4900)、R・A・ピックマン(ga4926)総勢10名の『部隊:アングラー』。そしてそのアングラーと連携をとりつつ戦うビーストマン部隊『リンディ』は互いに背中を守りあうようにしてワームとヘルメットワームを退治していった。
「戦闘開始です! 相手は強固、落とす心算で攻撃してください!!」
 LuckyDays所属のrot、響月 鈴音が激を飛ばす。生きて帰るための戦いという再認識して能力者達は再び戦いを開始した。

 一方、中では埋め尽くされたワームの群れがKVの進路を塞いでいた。ワームの方としても攻撃を仕掛ける程の空間がないものの、代わりに死んでもKVにまとわりついて妨害をしている。始めに飛び込んだ黒川を始め、単機で破壊を狙った機体から順に落とされていく。
 進む手段が無い、そんな時に内部に大きな振動が起こる。そして内部に敷き詰められるほど存在したワームが一気に減っていった。そして減っていった先には大きな風穴、そしてその先には試作型帯電粒子加速砲を構えた緋霧 絢(ga3668)とLuckyDaysのKVがいた。
「フォースフィールドがいくら強靭でも、攻撃を一点に集中すれば‥‥何とかなるものね」
 淡々と語る緋霧、だがこれで突破口と同時に退却路も確保できた。突入部隊のKVには大量のワームによる負荷によって既に限界が近い。加えてワームの方は攻撃できるスペースができたこともあり、まだ抵抗を見せている。そこで爆弾をしかけ、ギガ・ワームごとワームを吹っ飛ばすという手段を採る事となった。
 爆弾を仕掛けるのはペガサス1白鐘、ヘイムダル03沢村、FANG所属の九条の3人だった。起爆を確認してからの脱出、極めて危険な任務ではあるが誰かがやらねばならない。他の隊員達が最後まで支援するが、状況を察したワーム達も更なる抵抗を見せる。
「内部写真‥‥ゆっくり撮影する暇はなさそうだな」
 爆破する最中、ギガ・ワームの内部を眺める。無機質な金属‥‥だが恐ろしく硬い‥‥で統一された内部には配線の類などなく、ただ彼らが「人類」ではないということだけは確認できた。
 やがて爆弾が起動。それを確認し、殿を務める3人が仲間の作ってくれた脱出路からギガ・ワームを抜け出す。しかし爆弾除去を狙ったワームにより、予定より先に起爆。まだ殿を務めた3人が退却が完了する前だった。
 爆風の直撃を背に受け、吹き飛ばされる3人。変形しようにも、どこかに異常が発生したのか上手く変形しない。それどころかまともに操縦者の言うことを聞いてくれない。
 撃墜を覚悟した3人。そんな彼らを受け止めたのは、それぞれが所属するチームメイトだった。
 
 爆風が戦闘の終焉を伝える。ギガ・ワームは内部から破壊され塵となっていた。戦闘終了を悟ったヘルメットワーム達も散り散りになって退散していく。
 能力者達は去っていくヘルメットワームを、そしてギガ・ワームのあったはずの場所を、KVの操縦席から、輸送機の治療室の窓から、そして仲間に支えられながら感慨深く眺めていた。


【担当 : 八神太陽】


●漆黒の悪魔
 名古屋防衛戦の最終局面、人類の前に立ち塞がった最凶の敵。
 一見人類側の航空機にも似たスマートな機体。だがそれこそが突如岐阜上空に現れ、KV数百機の攻撃をものともせず、逆に9機を撃墜したバグア軍最新鋭機、ディエア・ブライトン自ら「シェイド」と呼ぶ悪魔の戦闘機だった。
 M11という驚異の高速と運動性。加えてSES兵器すら寄せ付けぬ鉄壁の防御。
 だが、それでも「奴」を墜とさねばならぬ。
 この空を、再び人類の手に取り戻すために――。
 本部周辺の基地で補給と修理を終えた能力者たちが搭乗する精鋭148機のKV部隊は、悲壮な覚悟と共に再び蒼空へと飛び立った。

「‥‥敵編隊確認。奴だ。それに護衛のワームとキメラ多数!」
『天衝』総隊長、漸 王零(ga2930)は僚機に通信した。
 彼らの任務はまずシェイド周辺を守る他の敵機群を追い払い、後に続く本隊の露払いとなる事だ。隊長機の盾となるべく参(ga4921)、孤鉄(ga4954)が、続いて天衝援護班『朱翼』の五十嵐 薙(ga0322)、信楽有馬(ga2985)、シグント・ディオルグ(ga4669)ら各機がワームとキメラの群に突入する。
 また『WIZARD』中隊援護班の白鴉(ga1240)、黒檀(ga3571)、櫻小路・なでしこ(ga3607)、『海神』の汀祐作(ga0463)、田沼 音羽(ga3085)、小塚・雄吾(ga4303)ら各機も突入し、両軍の前衛同士で激しい空戦が始まった。
「地獄に一番近いところで雑魚を狩らせてもらうぜ!」
 ロストフェイス(ga4801)が雄叫びを上げてワームにロケット弾を叩き込み、『西研』のエカルラート(ga1323)、伊集院・帝(ga4745)らも徐々に分散されていく敵機の数を巧みに削っていった。
 護衛機とはいっても、小型ワームでさえその性能はKVを凌ぐ。しかし既に何度か会敵した経験を活かしつつ彼ら援護班はよくその務めを果たし、次第に敵機の編隊を崩すことで主力部隊を導くための血路を開くことに成功した。
 援護班の開いた風穴。その彼方に小さく見える黒い機影を目指し、本隊の116機が突入した。
「仲間のカリと東京のツケ、まとめて払ってやるから覚悟しときなよっ!」
 葵 コハル(ga3897)が怒りを込めて漆黒の機体をスナイパーライフルで狙う。
 が、そのとき――黒い怪鳥は突如として牙を剥いた。まるで眼下で繰り広げられていた空戦など全てお遊びだったとでもいうように。
 シェイドから数発の小型ミサイルらしき兵器が発射された。
 たちまち河崎・統治(ga0257)、エリク・ブラディクス(ga0439)、エル4(ga1877)らが餌食となる。
「ハッ、この程度で負けてたまるかよ!」
 愛輝(ga3159)が叫び、同様に他の能力者たちも一斉に攻撃態勢に入った。
 主力部隊は二手に分かれ、攪乱班がバルカン砲などでシェイドの動きを止め、より命中精度の高い兵器を搭載した撃退班が集中攻撃――これが今回の作戦概要だった。
 とはいえ、相手はワームを遙かに凌ぐ怪物である。ブースター&ブレス・ノウを駆使した短期決戦。人類側KVに勝機があるとすれば、それしかない。
 レーダーにシェイドを捉えるなり、能力者たちは各自ブースターをかけM6の吶喊をかけた。
 攪乱にあたったのは『天衝攪乱班・神鈴』桜神羅 乃衣(ga0328)、如月 紅(ga3257)、王 憐華(ga4039)他の各機、『WIZARD』攪乱班MIDOH(ga0151)、劉黄 柚威(ga0294)、火縄 優(ga4497)他各機、『Gleipnir』アリス・アンジェリカス(ga0293)、イヴル・エセルドレーダ(ga0295)、ドクター・アーリヤ(ga0456)、『ヘルム』稲葉 徹二(ga0163)、 獄門・Y・グナイゼナウ(ga1166)レイモンド・ディーン(ga0621)、他の各機。
「当たれ当たれーー!!」
 フィル=ノヴィス(ga0319)が祈るような気持ちで叫びつつ、すれ違いざまにガトリング砲を乱射。他の各機も同様にして、50機に及ぶKVから発射されたバルカン砲、ガトリング砲の弾幕が一瞬シェイドの機体を包み込む。
 降り注ぐ弾の嵐をこれみよがしにかわすと、シェイドは黒い翼を翻し、自ら能力者たちの編隊へ突入してきた。
 動きが読めない。ワームなどより遙かに優れた変幻自在の機動性と極音速。従来のプロトン砲やフェザー砲に加えてミサイルなど人類側に似た兵器まで用い、まるで遊戯のごとく次々とKVを屠っていく。
 ほんの1分足らずの間に久遠 里奈(ga0329)、識條 夢瑠(ga0330)、龍零鳳(ga2816)らの機体が炎に包まれた。
 それはつい8年前、初めて本格的に襲来したヘルメットワームと当時の人類側戦闘機の戦いを再現したかのような、ほぼ一方的な殺戮劇だった。
「‥‥敵サンも本気ってか?」
 その光景をコクピットから目の当たりにし、三間坂京(ga0094)が青ざめて呟いた。
 対する能力者たちのKVは、ブースター多用によりみるみるその練力を減らしていく。
 全ての希望が失われたかと見えた、そのとき。
「ディエア君に『神』の何たるかを語られたくないね〜!」
 ドクター・ウェスト(ga0241)、ロッテ・ヴァステル(ga0066)、ジュエル・ヴァレンタイン(ga1634)、姫川ミュウ(ga4713)ら各機のG放電管が一斉に放った高圧放電を浴び、にわかにシェイドの動きがぐらついた。
 奴とて決して完全無欠の悪魔ではなかったのだ。
 この好機に、真打ちとして控えていた撃退班の60数機がブースターを全開にして突入した。
「それが貴方達の切り札というのなら、その翼、堕とさせて頂きます!」
 叢雲(ga2494)が叫ぶ。オルランド・イブラヒム(ga2438)率いる『WIZARD』中隊25機、その他『西研』『天衝撃退班・神威』『Gleipnir』他の各機も温存していたミサイル、レーザー、荷電粒子砲をスキル併用で惜しみなく叩き込んだ。
「どんな相手でも絶対に隙は生じる‥‥その一瞬を狙い撃つ!」
 鷹代 由稀(ga1601)が最大戦速で一撃離脱を決め、先の戦闘で友人が撃墜された角田 彩弥子(ga1774)も仇とばかりミサイルを放った。
 わずか数分間に集中攻撃を受けたシェイドの速度が目に見えて落ちる。
 その時を待っていた一人の男がいた。
 天衝・神威隊隊長、煉条トヲイ(ga0236)。シェイドが姿を現した先の戦闘で、彼の率いる部隊は壊滅的打撃を被っていた。
「命に賭け時があるのなら、今がその時‥‥この一撃に全てを賭ける!!」
 敵機後方上空からブーストで相対速度を合わせ、人型変形した上で雪村による斬撃。
 練力を使い果たしたKVは失速したまま墜落するが、同時にシェイドに対しても大ダメージを与えていた。漆黒の凶鳥が墜落していく様を横目に見つつ、トヲイは無言で脱出ボタンを押した。

 ついに勝った――誰もがそう思った。
 しかし、それは新たな惨劇の幕開けに過ぎなかった。

●地上の煉獄
 きりもみ状態で落下を続けたシェイドは、地表に激突寸前に慣性制御で静止。次の瞬間、人型に変形して悠然と着陸した。
 ただ飛行機の形を真似ただけではない。奴はその設計にKV同様の変形機構まで取り込んでいたのだ。
 漆黒の巨人となって体勢を立て直したシェイドは、まず周囲で陸上戦に当たっていた人類軍に対して無差別攻撃を開始した。まさかバグア側に人型歩行兵器があるとは知らぬ陸上軍はわけもわからぬまま不意打ちをくらい、たちまち数機のKVが撃破された。
 シェイドの後を追い、慌てて能力者たちもKVを人型に変形させ降下する。だが、空中戦でブーストとスキルを多用した彼らに、もはや燃料も練力も残り少ない。
 それでも、
「切り札、か。ならば、これを倒せば終わると言う事だ‥‥!」
 御影・朔夜(ga0240)、鷹見 仁(ga0232)、UNKNOWN(ga4276) を始め、まだ余力を残した者たちがあるいは白兵戦用の槍で、あるいはガトリング砲で果敢に挑みかかる。
 対するシェイドも黒い槍を振りかざし、各種の光線を放って傭兵たちのKVを返り討ちにしていく。地上に降りても、奴の強さは桁外れだった。
 決死の覚悟で突進した明星 那由他(ga4081)の機体を捕らえ、黒い槍で串刺しにしようとした、そのとき。
 一条の光線が走り、シェイドの巨体がグラリと傾いた。
 見れば数百m先離れた先、UPC本部前に見慣れぬ人型の機体がずらりと並んでいる。
 F−104バイパー。まだ本格配備を前にした最新鋭機が、そこにいた。

『諸君、私は自分の部下を決して見殺しにはしない。ロシアでも日本でもだ!』

 聞き覚えのある声が、傭兵達の無線に響いた。
「プライウェン」作戦最高司令官ミハイル・ツォイコフ中佐。
 ガリーニンから脱出した彼はその足でUPC本部に現れ、上層部を一喝。本部が重要施設防衛のため最後まで温存するつもりだったバイパー隊から30機を引き抜き、自ら救援に駆けつけたのだ。
 バイパー隊の加速粒子砲が、シェイドを狙い一斉に放たれる。
 漆黒の巨人はなりふり構わぬ慣性制御でビームの嵐をかわし、装甲の一部を破損したものの第1波の攻撃を辛くもよけきった。
 未だ開発途上にある加速粒子砲は、次弾の発射に時間を要する。
 反撃に転じたシェイドは拡散フェザー砲を乱射。何機かのバイパーが大地に倒れた。
 中佐の指揮官機を狙い、敵が間合いを詰めようと動き出した、その瞬間。
「いくら性能が良くても、私達の包囲網から抜け出せはしない!」
 緋室 神音(ga3576)他、周囲のKV百数十機が残りの武器を全弾発射。
 バルカン砲からビームまで、あらゆる兵器の飽和攻撃を喰らい吹き飛んだ漆黒の巨人は、背後の高層ビルに叩きつけらた。
 衝撃でビルが倒壊し、巻き上がる粉塵が煙幕のごとく周囲を覆う。
「(やったのか‥‥?)」
 誰もが思ったそのとき、瓦礫の中から飛び去る黒い機影があった。
 追撃しようにも、傭兵達のKVにはもう武器も燃料も残っていない。

 その後、シェイドの逃走時刻はちょうど岐阜でギガワームが墜ちた直後である事が判明した。

【担当 : 対馬正治】


●最後の始まり
 坂崎正悟(ga4498)は、カメラのシャッターを切る。護るべき者のため、足掻く人々の記憶に留めるかのように。
 レンズの先では、ガスキン(ga4661)が、機体の部品を忙しく運びまわっている。その傍らで、時雨・奏(ga4779)は、瓦礫を片付けている。ジェット 桐生(ga2463)は整備場所の確保に努めている。
「そのっ、無茶しないで下さいね」
 宇佐見 香澄(ga4110)は、部品交換を終えると心配そうに言う。
「心配するな! クマッハッハッハッ!」
 モヒカン(ga4695)は、ヅラの位置を整えると、豪快な笑い声を残して、戦いに戻ってゆく。
 増援は止んだものの、依然、多数のワームやキメラが地上に残されている。
 ワームとの厳しい戦いは続く。
 街は死にゆく様相を見せ、各所に上った火の手が消されることなく放置されていた。
 
「さて、僕が敵ならどう動くかな?」
 真藤 誠人(ga2496)は言う。
「いきなり言われても、そんなことわからないわよ!」
 同じ『ガーデン』隊に所属する麓みゆり(ga2049)は続けると、傍に居た水無月 魔諭邏(ga4928)と彩里(ga1595)がビルに向かって、バルカンを放つ。弾丸に追われたワームが、路地を抜けた刹那‥‥。
「撃て!!」
 キーラン・ジェラルディ(ga0477)が号令をかけると、キザイア・メイスン(ga4939)、ファルル・キーリア
(ga4815)らの一斉射撃を開始される。罠に誘い込まれたワームは瞬く間に残骸となる。
「ワームがネギしょってるようだわ! あははっ!」
 フェブ・ル・アール(ga0655)が、言い放つ。
「そっちに向かいました!」
 伊河 凛(ga3175)が短く言うと。
「わかったわ」
 陽気な復讐者(ga1406)もまた、短く応える。すぐにワームが現れた。
 大通りに罠を張った能力者は『ガンアンツ』隊の十三名。
 誘導に徹したのは、『ガーデン』隊の八名と『長城小隊』の三名が主力であった。これらの隊の他にも、馳せ参じた能力者たちを加えて、大通りは最大の激戦区となっていた。
 大規模であったにも関わらず、能力者たちの息のあった攻撃により、効率的にワームを撃破することに成功していた。このことは称賛すべきことである。
 名古屋の大通りといえば100mもつ巨大さで知られている。この効果を存分に活かしきれた事は見事である。

 戦いは各地に拡散して、続けられている。重要施設らしき場所に侵攻を試みるワームも居た。
 しかし、充分な連携を持って戦いを挑んでくる傭兵達に対して、ワームが連携と呼べる動きを見せることはなかった。ただ単に数で押すことは連携とは言わないからだ。
「あらあら? どこに行こうというのかしら?」
 リディスは小声で呟くと、仲間の射撃班に合図を送る。
 数体のワームに対して、ジーラ(ga0077)、水上・未早(ga0049)、ヴィス・Y・エーン(ga0087)達が射撃を開始すると、
「さぁて、レッツダンス!」
 と、レイラ・ブラウニング(ga0033)が先頭立ち、『8246小隊』の斬り込み部隊がワームに向かって突撃を開始する。
 さらに、八重樫 かなめ(ga3045)、佐間・優(ga2974)、桜崎・正人(ga0100)がワームの背後に回り込み、退路を断つ。
 絶え間ない射線に晒されたワームは逃走することも叶わず、ただ弾丸をその身に埋め込むしかない。
 強敵であるワームも、一体、また一体と確実に打ち取られてゆく。
「ここで地上戦は終わらせるんだよっ!」
 八重樫 かなめ(ga3045)は空を眺めて言った。地上から空に向かって伸びる無数の煙の柱がみえた。

 他にも、能力者たちは様々な戦い方を見せていた。
 ルード・ラ・タルト(ga0386)は、平口 蝮(ga0362)の後ろに隠れるようにして敵に向かってゆく。
 『たそがれ』隊の一行であった。彼女にとっては、日常的なやり取りであったのかもしれないが、敵にはその理屈は通用しない。故に、容赦ない射撃で応じてくる。
「あぶないですよっ!」
 間一髪のところで、兎佐川・芽衣(ga4640)を始め『503隊』面々が、『たそがれ』隊の窮地を救う。
 相沢 仁奈(ga0099)が思い切りよく、止めの一撃を加えると、敵ワームは沈黙する。
 忌咲(ga3867)は、ぺこりと頭を下げると、思わぬダメージを受けてしまった仲間たちと共に後退する。
 こんな事で命を落としては、後味が悪すぎるだろう。もっとしっかりせねばと、忌瀬 神門(ga4905)も気まずい表情を浮かべていた。
 余談になるが、能力者達が、一辺倒の戦術ばかりでなく、時に無意味で多彩な戦いを見せた事が、ワームが戦闘するうえでのアルゴリズムを微妙に狂わせる場合も事があるかも‥‥と、後にリーフ・ハイエラ氏が分析したと言われる。

 一方、小牧山周辺に陣取っていた『櫻小隊』は、大きな損害を受けていた。
「これで終わって頂戴っ!」
 白鳳 雛那(ga4679)がアグレッシヴ・ファングのパワーを上乗せした一撃を加えると、ワームはを真っ赤な焔をあげて爆発する。
「何とか倒せましたね」
 リーダーの大曽根櫻(ga0005)は、額に大きな汗を浮かべて言う。
「できるだけ、街を破壊したくはなかった‥‥からな」
 クリスティーナ・ロート(ga0619)が、これ以上街が荒廃しないようにと願いをこめて言う。
「私もそう思いますわ」
 櫻も頷く。しかし、街の方を見ると幾筋もの煙が立ち登っている。
「私たちは、整備の方に回るわね」
 桜瀬真紅(ga0281)が言う。続けて、リタゼリーナ・ブルー(ga0003)、ミオ・大須=ブリーズ(ga4371)、蝦夷りす(ga1559)の三人もまた同様の意思を告げると、傷ついた仲間たちを連れて後方に下がってゆく。
『櫻小隊』は十三人もの能力者を擁し、気持ちも纏まっては居たのだが、惜しい事に戦闘での行動の連携に整合性を欠いて居た。その隙をワームに突かれたのだ。

 御嶽星司(ga0060)アグレッシヴ・ファングを込めた一撃を繰り出すと、敵は沈黙する。すかさず、御嶽眞奈(ga0068)、桐生 禍斗(ga0560)達が損傷を受けた仲間たちを後方へ運ぼうと駆け寄る。『Tier』隊もまた小隊として、機動力を重視し、戦線を支えていた。
「撃つべし! 撃つべし」
 と射撃を行っているのは『花咲兄妹』のチームであった。
「狙撃手の役割を最後まで果たすさ」
 ライアン・スジル(ga0733)は機体に装備された武器を使って射撃を行う。『ソーディアス』隊も射撃を中心に味方の攻撃力の底上げに徹していた。
 気持ちがすべて通じ合うわけではないが、異なる能力を持つ者達が互いに協力すれば、強敵にも打ち勝つ力になるのは確かだ。
「そこだなっ!」
 イレーネ・V・ノイエ(ga4317)は敵の気配に、眉ひとつ動かさずに弾を撃つ。砲口の先に立つ建物は粉々に砕け、煙の中からワームが姿を表す。
「やれることはやってやるぜ!」
 と、日向翔悟(ga0024)が言うと、榊兵衛(ga0388)は、傷ついた敵に迫り、鮮やかな槍さばきでトドメを刺す。
 浮足立つワームに対して、小鳥遊神楽(ga3319)は、レーザーを浴びせると、威龍(ga3859)が隙を逃さずに、クンフーの意地であると言い、弾丸を叩きこんで沈黙させるのだった。
 こうして、『チーム榊』の面々も残骸の溢れる街中を駆け回りながら戦果を積み重ねてゆく。

 遊撃部隊の攻撃を有効に働いていたのは、支援の射撃の力によるものも少なくなかった。飛来する弾丸のダメージだけでワームが撃破される事は稀であったが、これに接近戦が加わる事で攻撃に厚みが増していた。
「一匹も逃さないよ!」
 クリア・サーレク(ga4864)は、ワームの姿を認めると迷うこと無く弾丸を撃ち込む。
「こ、のぉぉぉぉぉ〜〜〜〜!!!」
 チーム『S.G』のイスク・メーベルナッハ(ga4826)響愛華(ga4681)、綾嶺・桜(ga3143)達もロボット形態でワームに戦闘を挑む。同時に攻撃を受けたワームは堪らずに後退する。
(「ワームってクロワッサンに似ているような‥‥)」
 などとあらぬ事に思いを巡らせながら、御坂 美緒(ga0466)はトリガーを押す、バリバリと放たれた火線がワームの後退を阻む。脚をが止めたワームが止めを刺されるのは間もなくの事であった。
 自分の出来ない事は、得意な誰かに依頼する。それを実行するだけで人間は強くなれるものだ。そして、それ可能にするのは信頼できる仲間たちの存在だ。

 戦闘で巻き上げられた煙が上空に黒い層を作り、太陽の光を遮る。風景は次第に暗くなってゆく。
「この戦いいつまでつづくんだ!」
 高坂聖(ga4517)は空を見上げて言う。大通りでは依然激しい戦いが続いて居た。

 長距離からの支援射撃を行っていた『リンクス』隊もいよいよ弾が足りなくなり高台から市街へと、移動を開始する。
「では‥‥参りましょうか」
 鳴神 伊織(ga0421)はディフェンダーを構えると静かに言う。
「無駄弾は使えない‥‥!」
 藤枝 真一が、虎の子のレーザーを放つと、ワームが木端微塵に爆発する。ワームの数が少なくなって来た。
「それでいいのよ! 今は目の前の敵を叩きましょう!」
 大川 楓(ga4011)が言う。写真の入ったロケット揺れた。

●勝利に向けて
 地上戦に参加した能力者たちの活躍により、ワームの多くが葬られていた。勝利は間近であるように見えた。
 テトラ・シュナウザー(ga0218)を中心に纏まった『テトラ』小隊は、まるで機械のような精密な攻撃で確実にワームを仕留めて行く。
「おいおい有栖クン‥‥俺は敵じゃないってば!!」
 相麻 了(ga0224)が、叫ぶが間に合わない。ワームは撃破されたが、一緒に吹き飛んだ影が見えた。
「後ろに下がってみんなでお茶でものみましょうか?」
 小川 有栖(ga0512)は言う。周囲でこそこそを怪しげな動きの気配があったが、何であるかはわかない。しかしこれが、後に『ひよこ隊』事件と呼ばれる事になったとか。

「そこなのにゃ!」
 西村・千佳が、戦線の突破を試みるワームを発見する。
「自分は信じる! 勇気と言う人の動力源となる力を!」
 寿 源次(ga3427)は叫ぶ。
「敵を‥‥駆逐する!」
 真田幸村(ga3922)が、仲間の武運を祈りに込めると駆けだしてゆく。
「あぶねぇ! 伏せろ!!」
 刹那、上空からの気配を察した桐生 綺羅(ga0043)が叫び声をあげる。
 黒い物体が猛スピードで降下してくると、周囲を薙ぎ払う。ジェイドであった。
 咄嗟にレナ・ユーティライネン(ga4985)が温存していた煙幕を展開する。
 間もなくジェイドは過ぎ去るが、後には、残骸となりはてたKVが散らばっていた‥‥。
 突然の出来事に、大混乱に陥いる地上部隊。
 今日まで、能力者たちはどうしようもない状況に打ち勝ってきた。ガリーニンの突入も成功させた! バグアに勝利するのだ! 己たちの力で何とげられないことなど有る筈がない。その信念があるからこそ此処まで戦ってこれたのだ。
 ここで終わるわけには行かなかった。
「いま行かないでいつ行くんだよ!」
 南春日 百合香(ga0206)、南春日 永治(ga0207)ら、力を残していたものが前戦に打って出て行く。
 崩れかけた前線が再び繋がる。
「みんな! もうひとがんばりだよっ!」
 白川 静香(ga4425)は呼びかける。少女の視線の先には、一斉に後退を後退を始めるワームの姿があった。
 追撃を開始する能力者たち。
「勝てる!」
 誰かが言った。
 瓦礫に埋もれ死につつある街は、その言葉に応えることはない。しかし、生きている誰もが瓦礫と残骸を乗り越えて、ワームに攻撃を仕掛けてゆく。
 灰を含んだ黒い雨が降り始めた。雨は無数に散らばる残骸の上に黒く流れる筋を作りはじめる。
「行こう! イエローマフラーの名のもとに! 勇気を力に!」
 流 星之丞(ga1928)は言う。
「餌を運ぶのが俺の役目だ」
 ウェンディゴ(ga4290)は『ハイエナ』隊の仲間に告げると、脚を破壊され動く事の出来ないワームの鹵獲に向かう。刹那、ワームは自爆する。まるで鹵獲を恐れているかのようだった。

 整備場は交代してくるKVの修理でごった返していた。三十人以上もの能力者達が整備に専念し、勇者達を再び戦場に送り返していた。整備隊の活躍なくして、戦線を維持することはできなかったであろう。
「どうかご無事に‥‥」
 羽曳野ハツ子(ga4729)は、祈りを込めて部品を嵌める。
「もう、いっぱいいっぱいです‥‥」
 霧島 深夜(ga4621)が周囲の様子を見て、弱音を漏らす。部品の残りも次第に少なくなってきていた。
「いや、そんなことはないぞ! わしらに不可能など、有る筈がない! ほっほほほ‥‥」
 Dr.Q(ga4475)が飄々とした口調で言いながら、関係者を元気づけていた。
 刹那、大きな爆発音が空気を揺らした。遠くの空に大きな煙が昇るのが見えた。
 雲は死を象徴する巨大な髑髏のようにも見えた。
 それがギガ・ワームを打ち破った瞬間だった。
 ギガワーム爆破の成功の報が入るのは、それから間もなくの事であった。
 知らせに廃墟と化した街から、歓声が沸き起こる。正規の軍人も傭兵も区別はなかった。
 そして、撤退して行くワームに能力者達は最後の攻撃を収束させるのだった。
 整備所の周囲には、残骸となった無数のKVが山のように積み重ねられ、静かに黒い雨を受け止めていた。

【担当 : 加藤しょこら】


●銀河重工爆破
 多くの能力者達が、ギガ・ワームとシェイドの迎撃にやっきになっている頃、一部の能力者は、急遽そのギガ・ワームが製造された八王子は銀河重工工場跡‥‥通称シリウスへと赴いていた。目的は、八王子工場の爆撃・破壊である。
「月狼隊各機へ、俺から皆に言う事は一つ・・死ぬな・・・皆にいと高き月の恩寵を・・・」
 勢い、八王子を急襲する形になった能力者たち。その中で、月狼中隊の総隊長である終夜・無月(ga3084)が、20名近い部下に命を下す。今回、各月狼中隊から、傭兵達を募って編成を組んだわけだが、それでも爆撃が危険な作戦である事に変わりはなかった。
「了解。第一小隊は、第二小隊と連携し、陽動に入る。各機、散開!」
 第二小隊小隊長のベル(ga0924)が、そう言って部下達を率い、紅雛 莱華(ga4516)らと共に、敵の前へと弾幕をはる。だが、そこへ出てきたのは、キメラ・中型ヘルメットワームの一大部隊だった。まだ、八王子までにはかなり距離があると言うのに。
「バベル作戦での恨み、今ここで晴らしてくれるわー」
 かつて、ここでの偵察任務で、機体を落とされた経験のある平坂 桃香(ga1831)、先陣を切り高速で突入を開始。スナイパーライフルを乱射し、変形後、剣を振るう。
「おらおらこっちだぁ! 派手にいくぜぇ!」
 だが、射程を短く取り、部隊の護衛に付いていた宗太郎=シルエイト(ga4261)が、中型に落とされる。それを見た2番隊の橙識(ga1068)が、隊員達にこう命じた。
「トリプルアタックを仕掛ける。今回は・・・手、抜きませんよ!」
「うふふ。月の三連星! ただ今参上ーー−♪」
 尾上・楓(ga1814)とNAMELESS(ga3204)が、楽しそうにくるくる入れ替わりながら、ワームへと攻撃を仕掛ける2番隊だったが、中型ともなると、3機程度では落とせない。
「けけけけけけけけけけけけけーーーーー! 逃がすかよー!」
「わぁっ。名無しさん、狙われてるってばーー!」
 狂ったように攻撃を仕掛ける名無しを庇い、楓の機体が落とされる。
「あの子に手を出すやつは、私が赦さない!」
「隊員はボクが守る」
 お互いを守るようにガトリングで支援している星野 空(ga3071)と月森 花(ga0053)も、他機を庇って撃墜されていた。
「味方の被害が甚大です。隊長、どうします?」
「もうちょっとで八王子工場だ。損傷率が半分を超えた奴は、本部へ戻れ。だがそれ以外の奴は、引き続き攻撃を仕掛けろ」
 雨霧 零(ga4508)が確認すると、無月はそう命じた。ここで散っては、何にもならない。その命を受け、ケイン・ノリト(ga4461)、紫 璃遠(ga4788)が、引き換えして行った。
「さって派手に暴れて引きつけるよー」
 そう言って、シールドで攻撃を受け止めた十得・梨緒(ga0524)は、突撃→スピアで攻撃→離脱を繰り返し、攻撃・支援・弾幕での牽制・撃墜と欲張った結果、撃墜者リスト行きになっている。
「第6、7、8小隊、生き残った者は、ドミノライン隊と合流。爆撃部隊の援護及び、空からの陽動攻撃を行なう」
 三分の一を落とされたアルフレッド・ランド(ga0082)がそう命じた。
「月狼の牙の恐ろしさ、教えてあげるわ」
「諦めるな!バラけてるヤツ等は俺に続けぇっ!敵を爆撃隊に近づけるなぁっ!」
「陣形は偃月(エンゲツ)! 敵を引き付ける、俺について来い!」
「派手にいきましょうか」
 隊員であるリズナ・エンフィールド(ga0122)、須佐 武流(ga1461)、セージ(ga3997)、各務(ga2356)が、それぞれの言葉でそう答える。だが、4機のうち、引きつけ役のリズナと、最後尾の各務が、それぞれ生贄になった。
「斬り込み隊参上! 天狼チーム、助太刀します!」
「行きがけの駄賃だ、ガトリングをたっぷり食らいな!」
 常夜ケイ(ga4803)とエルガ・グラハム(ga4953)が、その道を切り開くかのように、ガトリングとバルカンの弾をお見舞いする。
「皆の命、ドミノライン隊が守ってみせる。だからバグアよ、邪魔をしないで!」
 切り開かれたそこに、隊長の藤田あやこ(ga0204)が、熊谷真帆(ga3826)、三島玲奈(ga3848)と共に、ホーミングミサイルとガトリングを打ち込む。だが、お返しとばかりに、打ち込まれたビームが、牽制に回っていたキャル・キャニオン(ga4952)を撃ち落としていた。
 それだけの犠牲者を出す激しい攻撃を受けながら、能力者達は、ようやく目標地点‥‥コードネーム:シリウスをその視界内に捉える。だが、そこに現れたのは、まるで地上から雨のように吹き上がる、対空ロケット砲だった。
「ボクの波斬剣に断てぬもの無し! さぁかかってこい、ボクのこの剣は、悪を断つ剣なんだ!
 潮彩 ろまん(ga3425)が、人型に変形して暴れている。
「愛莉にお任せ♪ 愛莉の可愛さはギガ・ワームにも効果があったんだから!」
 それが本当かどうかは分からないが、神崎・愛莉(ga3993)もまた同様だ。
「誰も堕とさせはしません!」
 しかし、そんな二人を守るように、蒼井(ga2848)が、自機を盾に落ちて行った。彼ばかりではない、無茶をしていたヴァイオン(ga4174)も、だった。
「UNIT NOT FOUND、存在しないはずの404隊だ。やろうぜ!!」
 中々その数を減らせられない砲台に、404番隊が痺れを切らす。月薙・赫音(ga1628)、V・V(ga4450)、凶羽・月姫(ga4717)の3名が、ミサイル撃った後、ロケットランチャーをお見舞いする。ただ1人、ランチャーを撃たなかったリリエーヌ・風華・冬堂(ga1862)は、【Erfolg】陽動担当、ダグラス・コール(ga3315)、エルフレッド=ノア(ga4281)と共に地上に降り、彼らの建物破壊を手伝っていた。もっとも、彼らもまた、損傷率8割で撤退しているのだが。
「今の俺の力じゃ…まともに太刀打ちできない…だが!!!」
 二階堂 昶(ga4807)が、ディフェンダーを突き刺ながらバグアを倒している。するとそこへ新手が。
「あれは‥‥ヘルメットワーム! 東京方面からか!」
 どうやら、騒ぎを聞きつけて、東京にいる部隊が現れてしまったようだ。
「怯まないで。アクアリウム隊、予定通りフォーメーションWよ!」
 鯨井昼寝(ga0488)が、そう言って文字通り『W』の先頭へと陣取る。フォーメーションを組んでいる間に、他のKV達もいっせいに急降下を行っていた。
「神風特攻! 大和魂ー!」
「物を爆破するために生まれてきた・・・!」
 嬉々として、ミサイルをばら撒く天草・渉(ga0015)と、こう言う事に生きがいを感じているらしい花火師ミック(ga4551)が、真っ先にミサイルを撃ちこんでいた。アーヴァイン フランツ(ga4386)などは、温存せずに、1ターンに2発とも撃ちこんでいる。他にも、多数の能力者達が、二度とあんな物を作らせないとばかりに、急降下する。
「狙いは外さないさ。なんてったってこのボクがついてるんだ」
 自信たっぷりに鯨井起太(ga0984)がそう言って、隊長の合図を待った。右翼は起太と鏑木 硯(ga0280)、左翼にゴールドラッシュ(ga3170)と遠石 一千風(ga3970)を配し、アクアリウム隊は、呼吸を合わせて、ミサイルを投下する。
「今よ! 離脱して!」
 草壁 蛍(ga4708)がそう言いながら、ブーストを吹かす。他の機体も同じようにブーストを吹かし、工場から離脱する。その背後で、炎上する施設の一部。だが、それでも前に出すぎていた天草・渉(ga0015)と、花火師ミック(ga4551)が犠牲になった。
『シリウス、なおも健在。施設の15%を損傷した模様』
 本部のミクが、破壊の度合いを報告してくる。どうやら、ミサイルで爆撃できたのは、一部だけのようだ。
「了解。こちらヘルダイバー、目標視認、急降下爆撃開始。地獄に飛び込むわよ!!」
 部隊で編隊を組み低空で進入する綾波 結衣(ga4979)。その直後、バグアの警報装置に引っかかってしまう。
「怯むな! フレア爆撃」
 新条 拓那(ga1294)がそう言い、まるでジェットコースターのように上昇させる。それに続くヘルダイバー隊は、再び工場の直下へと急降下する。
「もう二度とあんな化け物を生み出させるものですか! くらいなさい!!」
「目標確認、投下!」
 ファルル(ga2647)、緑川 安則(ga0157)、【Erfolg】爆破担当の篠森 あすか(ga0126)もそれに習い、フレア弾を投下する。放課後隊所属のフレキ・クロックダイル(ga1839)、シャロン・シフェンティ(ga3064)、アイリス(ga3942)も同様だった。
 だが‥‥フレア弾は投下前にバグアの対空砲によって破壊。空中で爆発する。武装の弱いフォーカス・レミントン(ga2414)が、耐え切れずに沈んでいた。
「くっ。俺達の力を結集してもなお‥‥と言うのか!」
 三間坂 響介(ga4627)が、悲鳴じみた声を上げた。あすかと共に、【Erfolg】爆破担当として、ロケットランチャーを撃ちこんでいたのだが、奉天製では力及ばず、撃沈されてしまう。
「諦めるな! 閃華隊は、爆破隊を援護する」
「Erfolgもだ!」
 真田 一(ga0039)と、リヴィエラ・トゥルビナ(ga4038)が、それぞれの遼機を率いて、護衛に回るが、焼け石に水だ。
「拓那!意趣返しは徹底的にだぞ!」
 赤く染まった視界に、ゼラス(ga2924)は、残った放課後隊の面々を統率して、再度攻撃を仕掛ける。だが、その過程で、黄 鈴月(ga2402)、空間 明衣(ga0220)、それに前衛の近伊 蒔(ga3161)が落ちた。
「終極の音色を聴かせてあげるよ・・・」
 小隊に属さず、二機で組んでいた奏乃 蒼音(ga2828)とフル・リュミナス(ga4152)が、煙幕を使い、自身を視界から隠す。その闇に紛れ、フレア弾を投下しようとした刹那だった。
『東京方面から、多数のヘルメット・ワームが来ています! 注意してください!』
 ミクが悲鳴じみた報告を告げる中、現れるバグア軍。中々撤退しない彼らに業を煮やし、数十機を追加投入したようだ。
「一気に押す、いやここは一旦引いてから回り込んで…それとも…」
 彼らを殲滅するべく、牛猫(ga2811)がバルカンを向ける。だがその時、再び警報が鳴った。
『新型機がこちらに向かっています。これ以上の迎撃は危険です!』
 すでに、4分の1ほどの戦力が使い物にならなくなっている。自身の部隊も、かなり被害をこうむっている事を考慮した無月は、ぎりっと奥歯をかみ締めながら、こう命じた。
「作戦続行は不可能だ。全機、撃墜された機体パイロットを回収し、UPC制圧圏まで撤退する」
 しかし、ワーム達はそれでも、彼らを逃がさないとばかりに追いかけてくる。
「此処は通行止めだ…俺がいる限りはな…」
 退路の確保に努めていた荒志波 霧人(ga0414)の名が、回収リストに増えた。
「こちらブービー!英雄の帰還を祝福する。エスコートさせてもらうぜ」
 作戦失敗の段階で、英雄もへったくれもないもんだが、部隊の後方に回りこんだルクシーレ(ga2830)がそう言った。だがそこへ、ワームが襲い掛かる。
「ウォオオオオオオオオオオ!!」
 壁(ga0285)が、自身の機体を盾にルクシーレを庇う。無茶な庇い方をして、死亡フラグを量産する能力者が多い事に、春野川・榮二朗(ga0384)が、苛立ったように叫んだ。
「さっさと撤収するぞい。爆破で負傷した者達を助け出すのじゃ」
「さぁ、こちらです!ここなら安全に避難することが出来ますわ!」
 同じように避難経路を現状から的確に判断し指示し、一人でも重傷者を減らすよう努めていた菜姫 白雪(ga4746)が、道を指し示した。
「‥‥KV各機、機体損傷者を回収し、作戦空域から撤収してください」
 ミクが言い方を変えたのは、せめてもの気遣いと言う奴だろう。
「了解。零番隊は、撤収を支援します」
「『白狼』の名に懸けて、仲間を守り抜いてみせましょう」
 そう言って、一番後ろに回りこむ如月・由梨(ga1805)とリヒト・グラオベン(ga2826)だったが、後方からヘルメット・ワームの攻撃を受けて、やっぱり生贄リスト送りだ。
「せめて本部も、作戦伝達の分かり易い場を設けてほしかったものだな‥‥」
 彼ら月狼隊の動きに、奉丈・遮那(ga0352)は、敵に攻撃を仕掛けながら、そう呟く。
 こうして、シリウス爆破は、未遂に終わった。能力者達は、その20%を削られ、しぶしぶと言った調子で、UPC制圧圏内へと帰還するのだった。

 【担当 : 姫野里美】

※今回の被撃墜者は以下の通り。
生命力が極端に減少している。回復に留意すること。

特盛イエス(ga4182)
黒川丈一朗(ga0776)
エイト・マインド(ga4373)
曽谷 弓束(ga3390)
九条・命(ga0148)
白鐘剣一郎(ga0184)
沢村 五郎(ga1749)
真壁健二(ga1786)
スイナ(ga4580)
火野坂・猛(ga4654)
霧隠・孤影(ga4702)
飛鳥 夕夜(ga4794)
宗太郎=シルエイト(ga4261)
尾上・楓(ga1814)
星野 空(ga3071)
月森 花(ga0053)
十得・梨緒(ga0524)
リズナ・エンフィールド(ga0122)
各務(ga2356)
キャル・キャニオン(ga4952)
蒼井(ga2848)
ヴァイオン(ga4174)
リリエーヌ・風華・冬堂(ga1862)
ダグラス・コール(ga3315)
エルフレッド=ノア(ga4281)
天草・渉(ga0015)
花火師ミック(ga4551)
フォーカス・レミントン(ga2414)
三間坂 響介(ga4627)
黄 鈴月(ga2402)
空間 明衣(ga0220)
近伊 蒔(ga3161)
壁(ga0285)
如月・由梨(ga1805)
リヒト・グラオベン(ga2826)
河崎・統治(ga0257)
エリク・ブラディクス(ga0439)
エル4(ga1877)
久遠 里奈(ga0329)
識條 夢瑠(ga0330)
龍零鳳(ga2816)
煉条トヲイ(ga0236)
サイクロン(ga0284)
霧雨 左京(ga0449)
晴彦(ga0711)
影守・千与(ga4725)
ハティ・クライスト(ga3975)
撃(ga5012)





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