名古屋防衛戦
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12月4日の報告

【防衛ライン外輪】
 意外な事だが、まだギガ・ワームは飛び立つ気配は無いという。UPCの上層部の中には、ギガ・ワームがまだ未完成であるため飛び立てないのだと言うものもいる。確かに作戦前にもたらされた情報ではギガ・ワームは完成していない。しかし今回のプライウェル作戦の全権を握るツォィコフ中佐は別の見解だった。
「奴らは様子見をしている」
 仮に様子見が真実であれば、バグア側はまだそれなりの戦力を保有していることを意味する。量では勝るものの質では劣る能力者達にとって、それはあまり面白くは無い事態だった。だが中佐は能力者に檄を飛ばした。
「だったら目に物見せてやるが良い」
 そしてそんな悪い展開を打破するかの様に、能力者達は様々な戦法でヘルメットワームやキメラに対抗していった。

「行くぞバグア。俺たちの反撃の一太刀、しかとその身に刻め!」
 白鐘剣一郎(ga0184)を指揮官としたペガサス分隊は、隊員六人で一匹のバグアに対し波状攻撃を仕掛けていた。中衛に位置する春風霧亥(ga3077)、レイニー・フォリュオン(ga3124)がそれぞれホーミングミサイルと84mm8連装ロケット弾ランチャーで攻撃。先制攻撃と同時に敵のかく乱を狙う。
 続いて後衛のエスター(ga0149)、白鐘がそれぞれスナイパーライフルとホーミングミサイルで攻撃。そして最後に敵が態勢を整える前にエクセレント秋那(ga0027)、朧 幸乃(ga3078)の両名が飛び込み、突撃仕様ガトリング砲の一斉掃射という作戦だ。
 特に最後のエクセレントと朧は捨て身に近い態勢になるわけだが、中衛、後衛のバックアップもあり、撃墜数を稼いでいった。しかし同時に被弾率も少なくは無い。特にヘルメットワームのプロトン砲には隊そのものが飲み込まれかけていた。

 『アングラー』はギガ・ワームを誘い出すために中型〜大型のヘルメットワームを中心に狙っていった。隊員は全部で六名、結城 朋也(ga0170)、潤・アレクサンドル(ga0177)、エミール・ゲイジ(ga0181)、五代 雄介(ga2514)、戌亥 ユキ(ga3014)、ランドルフ・カーター(ga3888)。
「狙うは大物一本釣り! デカイ撒餌を撒いて、巨大エイを釣ってやるさ」
 ヘルメットワームは大きくなればなるほど攻撃力が上がっていき、同時に攻撃の種類も増えていく。見たことの無い攻撃に壊滅寸前まで追い込まれたアングラーだったが、部隊最大火力であるエミールの放った試作型帯電粒子加速砲は中型ヘルメットワームを見事捕らえて撃墜に成功している。最後まで身を挺して守ってくれた隊員達がくれた金星であった。
 これに対し即座にギガ・ワームが出てくると言うことはなかったが、今後の戦況に大きな影響を与えたことだけは間違いない。 

 『起動戦技教導隊』は部隊を二つに分けていた。一つは夕凪 沙良(ga3920)を隊長としたライトニング部隊、もう一つは雪野 氷冥(ga0216)を隊長としたスターズ部隊だ。 ライトニングは主武器を3.2cm高分子レーザー砲に設定。隊長である夕凪を中心に、挟霧 蓮(ga0213)、金城 エンタ(ga4154)と一人だけ主武器をガトリング砲ニルナ
・クロフォード(ga0063)の四人でトライアングルフォーメーションを組み、ヘルメットワームに集中砲火。最後は変形してディフェンダーで止めを刺し、撃墜数を積み上げていく。
 対してスターズは、後方からの支援射撃を中心に働いていた。八神 紗夜(ga4709)、
エレナ・クルック(ga4247)は3.2cm高分子レーザー砲を主武器に、柊 晶(ga4251)はスナイパーライフルを駆使して味方を援護。そして隊長である雪野を中心にトライアングルフォーメーションを組み、好機を見つけては雪野がKVスピア片手にヘルメットワームに致命傷を与えていった。
 射撃を中心にしているため、補給やリロードのタイミングが難しい。それでもフォーメーションとして成立したのは両隊長の指揮とチームワークによるものだった。

 異なるフォーメーションとして【アクアリウム】はフォーメーションYを選択。人数が5名ということで右翼が薄くはなったものの、主武器に3.2cm高分子レーザー砲を、副武器にツインドリルを装備した鏑木 硯(ga0280)を配置することで攻撃力不足を解消。中心部に鯨井昼寝(ga0488)、その後方に兄の鯨井起太(ga0984)が付いてスナイパーライフルで前衛を援護する。
 残る左翼をゴールドラッシュ(ga3170)、遠石 一千風(ga3970)が担当。未だ姿を見せないギガ・ワームを炙り出すために一機でも多くの敵を倒すことを目標にしてはいるが、それ以上にフォーメーションを崩さないように心がけていた。
「目に付いたヤツ全部倒すわよ!」
 速さを追求したフォーメーションで敵陣営をかき乱し、着実に敵を倒していく姿はUPC軍人にも勇気を与えていた。

 一方、キメラに対してはオルランド・イブラヒム(ga2438)率いる総勢24名の『WIZARD隊』が集団戦を行った。今回の作戦の背景には『質のバグア、量の人類』というものがある。WIZARD隊はその象徴とも言えるだろう。個々の戦力はそれほど強大ではないが、1対多を前提とした戦い、定期的な補給は有効だった。 「この手で明日を取り戻す、か。たまには熱く燃えるのも悪くない」
 個々人の撃墜数を考えれば決して多くは無い。だが大局的に見れば戦線を保つのに最も効果的な方法の一つでもあった。隊長の士気の高さも、隊を1つにまとめあげた要因であった。

 またヘルメットワームやキメラを倒すことだけが、今回の作戦の目的ではない。ホアキン・デ・ラ・ロサ(ga2416)を隊長とした『カルヴァリオ』は、敵を倒すこと以上に補給用輸送機の護衛に重きを置いていた。
「カルヴァリオ1〈Quena〉より全機へ。全員で確かに届けよう…幸運を」
 総勢10名の隊員で目視による対空監視を中心に行い、敵遭遇時には集団戦を徹底するという戦い方が功を奏していた。
 ホアキンが全体指揮を執りつつ、翠の肥満(ga2348)を中心にバルカンやホーミングミサイルで敵の動きを牽制。止まったところを赤村 咲(ga1042)が高分子レーザー砲で狙い撃ちしていった。距離もあるため必中とまではいかないものの、一時的な場凌ぎとしては十分だった。
 撃墜数こそ多くはないものの、彼らのおかげで戦線が保てたことは誰の目から見ても明らかだった。

 今回初めてヘルメットワームと戦った能力者も多く、全員が全員効率の良い戦いとは言えなかった。またバグア側も本腰を入れて攻め込んでいるとは言えない、何よりまだ肝心のギガ・ワームが後ろに控えていることは間違いない。加えて戦線は多少押し込まれている。
 だが中佐の顔には自信の色が見えた。部下を前に動揺を見せまいという虚勢ではなく、本物の自信だ。戦線が押し込まれたことにより、このまま撤退するという素振りを見せることができるからである。上手くいけばギガ・ワームとの激突位置をある程度人類側がコントロールできる。
 しかし一歩間違えれば、そのまま名古屋まで押し切られる可能性が無い訳でも無い。今回のバグアの攻撃が本当に様子見だとすると、多少歩の悪い賭けと言わざるを得なかった。 
 多少押し込まれた戦線をどう読むか。そしてバグアがどの程度の余力を蓄えており、今後どれくらいの援軍が派遣されるのか。それが今回のプライウェル作戦の最大の焦点である、人類の命運をかけたガリーニンとG4弾頭のギガ・ワームへの特攻。その成否を分ける要因となりそうだった。

  <報告者 : 八神太陽>


【陸上防衛戦】

●無くなる境界
 ざわめく森林地帯。
 いつもは静かなはずのそこは、いつもの雰囲気を掻き消していた。
 立ち並ぶKV。
 そして迫りくるキメラ、バグア。
 それぞれの引いたラインが交わり、無くなる。
 激しい戦闘が、始まった。

●混戦乱戦
 森林地帯に潜み、敵を待つ。
 あるものは生身のままで、あるものは、KVに乗り込んで。
 始まりは、高笑いだった。
「はーーーはっはっはっは!! この僕の美しさに見惚れるがいい!!」
「しゃあねぇ、俺が守ってやるぜっ!!」
 腐れ縁の七瀬帝(ga0719)と蓮沼千影(ga4090)。ディフェンダーで守る千影の後より帝のガトリングの音が響く。
 それと同時に傷をおったキメラたちの鳴き声があがる。
 地上でうぞうぞと動く大量のキメラ達に向かって幸臼・小鳥(ga0067)はロケットランチャーを発射。全弾打ち込み、援護へと回る。
 近くにいたキメラをスピアで攻撃したのはマリア・ベネット(ga3254)。
 キメラがその攻撃でバランスを崩したところで、佐藤 理奈(ga3934)のライフルから放たれた弾が急所を貫く。  いたるところから行われる攻撃。もちろん敵も攻撃を仕掛けてくるのだが、地の利はこちらにあった。
 前もって、そして今もまだ作られていく塹壕やトーチカ。
 ガンアンツのメンバーは交代でKVに乗り込み塹壕を作っていく。
「うっうー! アリのように巣を掘ります。我ら名前を『ガンアンツ』!」
「‥‥其処から先は『ガンアンツ作業中につき通行禁止』、ですよ」
 比留間・トナリノ(ga1355)が掘っているところを攻撃にくるキメラ。キーラン・ジェラルディ(ga0477)はそれを防ぎ、またラマー=ガルガンチュア(ga3641)も近づいてきた敵の迎撃へと向かった。
 塹壕を作っているのはガンアンツだけではもちろんない。
 完成手前の塹壕を作っておくのはフィル=ノヴィス(ga0319)。打ち破られたならすぐ他の場所へ行き完成させ使っていく。攻撃と塹壕を同時に行う者もいれば、支援、と塹壕を作りやむを得ないときのみ戦うものたちもいた。工藤 悠介(ga1236)もその一人。
「上手く動かせると良いが‥‥」
 まだ慣れないKVでバックアップも大切な事。メディウス・ボレアリス(ga0564)も「地道な下準備!」と声を出しながら掘っていた。
 押し寄せるキメラの群れは統率がとれているようで、とれていない。
 それならばチームワークをもったこちらの方が有利だ。
 『黒狼』の雪村 香菜莉(ga4795)、ボルフ・ベイドリッヒ(ga0528)らは固まってそれぞれの役割をこなしながら戦場を走る。
 また同じ狼を何持つ、いくつもの部隊にわかれた『月狼』。
 それぞれの隊にリーダーを掲げ、統率のとれた動きでキメラを囲んでいく。
「‥‥私達だけで、戦っている訳じゃないものね!」
「背後は気にせず、前方の敵に集中して‥‥!」
 声を掛け合い、士気も高めていく。
 アルトレイア(ga3958)の援護射撃を受け、醐醍 与一(ga2916)は「ドリルは男の浪漫!」とツインドリルを振りかざす。
 と、後退の命令が出た『月狼』のとある一隊。
 下がりつつ、キメラに押されそうになるところを上空からの援護が入る。
 アッシュ・リーゲン(ga3804)と嶋田 啓吾(ga4282)からの支援行動だ。
 敵味方入り乱れてゆく。
 他にも『零』、『氷河』、『Garm』、『CDL部隊』と規模は違えども協力をし合う仲間はたくさんいた。
 大型のキメラもいれば、小型のキメラも。多種多様、対応を間違えば苦しい戦いになりそうだった。
 だが作戦をもてば倒すことは難しくない。
 ひそりとトーチカに潜み、オリガ(ga4562)は息を殺す。身を隠しての射撃で油断しているキメラを打ち抜いた。
 またの木々を上手く利用しながら戦っていくものもいた。流 星之丞(ga1928)だ。
「背負ってしまった運命なら、僕はこの運命ごと未来を切り開いてみせる!」
 気持ちを高く、前向きに戦闘に気を向ける。
 他にも息をひそめる者はいた。
 綿貫 衛司(ga0056)はフェイスペイントと偽装網によるカムフラージュを行い森林地帯でアンブッシュを行い、一撃を加えたら離脱し、また別のところで敵を待つという戦い方をしていた。
 静かな戦いもあれば、動いて動いて、叩くものたちもいる。
「穿て、貫け、ぶち破れ!!」
 高雅 聖(ga4128)と御嶽星司(ga0060)が攪乱をかける。生まれた一瞬の隙に桐生 禍斗(ga0560)ら『Tier:遊撃』の仲間の攻撃が決まる。
 あぶなくなればセイリーン・ガーランド(ga0070)が混乱を誘い、離脱を全員でかける。
 また翼あるキメラを撃ち落とすものたちも、もちろんいる。
 下から上へと、走る光のライン。
 逆に上から下へ、蒼仙(ga3644)、フォーカス・レミントン(ga2414)らは空から新たに現れた敵に爆撃を行う。
 遊撃隊『ハイエナ』のユノーナ(ga2304)も同じく空からの攻撃を。味方の援護をしてゆく。地上にいるメンバーも、アタッカーたるスヴェトラーナ・王(ga4482)を支える。
 だが闘いが激しくなればなるほどどちらも消耗していく。
 壊れたKVと、それに乗っている者を宇佐見 香澄(ga4110)は敵を牽制しながら助けにいく。
「大丈夫、動けなくても見捨てたりしないから」
 ここでは、一人ではないのだ。

●雪崩くるもの
 良くない一報が、戦場を駆け巡る。
 一部のキメラが、市街地に入ったとのこと。
 量で勝るキメラ。市街地を防衛しているものたちの手助けに早く、と攻撃はさらに激しくなっていく。
 森を抜けたところで待機していた『8246小隊』のメンバーやギンタ・ロバートソン(ga0400)、実崎 知花(ga0233)、ダーク(ga0020)らはこの現われたキメラを押しとどめるよう奮戦していた。
 本部は近い、となるとそこで防衛をしていた者たちも、前へでてくる。
「8246小隊、綾峰透華、小型の敵の梅雨払いを行います!」
 小型キメラをガトリングで掃討する綾峰・透華(ga0469)、向かってくる大型には仁王立ちで構えていたパワーマン(ga0391)が声を高らかと上げて、キメラ達の中へつっこんでいく。
「ぶった斬る!」
「が‥‥がんばります!!」
 雨宮慶(ga4715)は遠距離攻撃を、その攻撃をよけたキメラを塹壕から飛び出たモヒカン(ga4695)が武器でド突く。
 レイラ・ブラウニング(ga0033)は一区画に腰を据えて侵入してきた敵を掃討。8246小隊狙撃組の護衛も兼ねていた。
 一時退却して傷を癒していた者たちも、この状況に動こうとする。
 となると、治療にあたっていた者たちは大忙しだ。
 ミオ・大須=ブリーズ(ga4371)、リタゼリーナ・ブルー(ga0003)ら、『櫻小隊』の治療などにあたる者たちは走り回っていた。
 守らなければいけない場所には、仲間もいる。
 今までじっとしていた分平坂 桃香(ga1831)はKVの形態を使い分けて地上と、低空を飛ぶキメラを片付けていく。
「まだ三途は渡らない!!」
 苦しい戦いの中、士気をあげるように真田幸村(ga3922)は仲間を励まし戦う。
 フル・リュミナス(ga4152)は奏乃 蒼音(ga2828)とともにこの場所を守るtことを最優先として戦っていく。  ここは市街地であり、できるだけ被害を少なくしたい。
「気持ちはいつも平常心‥‥行きます!」
 言葉を発して、フィアナ・アナスタシア(ga0047)はスナイパーライフルで一匹ずつ仕留めていく。少し高い場所から、確実に狙い撃ちだ。
 また一時補給へと戻っていた者たちも、やがて参戦しだす。
 日乃 晃(ga1085)は自分が思っていたように市街戦になったことを悔しく思いつつ、また機体へ乗り込む。  拠点前で守っていた壁(ga0285)は、補給を終えた者たちとともに前へと出ていく。守りを前へ、キメラたちを追い返すように。
 『リンディ』のメンバーは自称リーダーのソフィア・リンドホルム(ga1825)の指揮で動いていた。ソフィア自信はイフルによる狙撃を。
 実質的リーダー、野村 承継(ga4870)もライフル中心に、白河・瑞穂(ga4867)は手薄と思える場所の援護を。エリス・セプテンバ(ga1824)、ミーア・ステンシル(ga4686)は前へ出て闘っていた。
 やがて前線の動きも優勢となったのか、こちらへ流れ込んでくるキメラの量が減ってくる。
 森林で戦っていた者たちも、進行してくる敵の数が減ったのか、はさみうち、と効率よく叩けるように。
 このまま終わらせてしまえ! と勢いもって双方からキメラを確実に撃破していく。
 それはまだ、余力を残すという余裕をもって行われていった。
 市街地への被害は甚大、ではなく小さくおさまった。
 それは喜ばしいことだが、戦いに参加した者たちは、やはり疲弊していた。
 余力はあったが、やはり疲れは疲れ。
 次に備えて、一時の休息が始まる。
 だが、治療に専念するものたちはまだ休むことはなかった。
「前に出るだけが戦いではありませんわ!」
 篠崎 美影(ga2512)、軽井 羽澄美(ga4848)たちは戦闘中、戦闘後とまだまだやることはたくさんあった。  戦い終わり、それぞれの無事を喜び、また英気を養うのは、今一番必要なこと。

●戦いの終わり
 長い時間、戦いは続いた。
 陽が落ちるその前に、戦闘は落ち着き、キメラの姿はもう見られなくなっていた。
 大量の、地を埋め尽くすほどいたはずのキメラが全くいないのは喜ばしいことであると同時に、どこか不気味だった。
 まだ、不安は残る。
 まだ。始まったばかり。何か波乱がまだあるに違いないとだれもが思っていた。
 だが今は、受けた傷をいやし次に備えることが戦ったものたちのこれからの仕事となる。
 一時の休息、そしてまた戦いが待っている。

<報告者 : 玲梛夜>


【防衛ライン中心】
 本部周辺には、200人近い能力者が集まっていた。能力者がこれだけ集まると、なかなか壮観である。隊を作っている者もいれば、個別に頑張っている者もいる。そのかいあって、キメラ達を相手に、善戦する能力者達。そのかいあってか、大型キメラに対しては、KVの能力を実証する事が出来た。さらに、戦線の維持にも努められ、防衛線の内側では、能力者達の攻勢に見えたのだったが、その刹那、周囲に警報が鳴り響いた。どうやら、先ほどのキメラは、ただの先遣部隊、本隊と思しきワーム達が、大挙してやってきたようだ。しかも、新兵器を搭載してのお出ましである。
「管制機、こちらブービー。エレメントを組む相棒がいない。誰か紹介してくれ」
 ルクシーレ(ga2830)が本部にそう要求している。と、本部のミクがやはり岩龍護衛を個別に行う機を探していた南部 祐希(ga4390)を紹介してくれた。
 ワーム達は、KVをもってしても、かなり強敵だ。だが、その過程で傭兵達は気付いた。本部の周囲で戦う者も多いのだが、キメラもワームも、本部の方へは行かず、若干方向の違う場所へと向かおうとしている‥‥と。
「初仕事が‥‥コレ‥‥ついてるのか‥‥な?」
 艶色小隊として、藍乃 澪(ga0653)とエレメントを組むユニ・シュヴァルツ(ga4487)が不安そうに言いながら、突撃仕様ガドリング砲を放つ。それを撃ちつくすと、今度は地上に降りて人型となり、KVスピアを振るう。
「あ、足引っ張らないよう頑張んないと!」
 ちょっとビビりぎみの城代 有紀(ga4750)。大間 龍我(ga4748)と御東間・益零(ga0357)と協力して、一体づつ各個撃破している。ただ、相手も強力なので、時間はかかっているようだ。
「とにかく生き残る事が最優先です」
 オラトリオ隊各機も、ワームを狙っていた。オラトリオ1、ノーベンバーこと天上院・ロンド(ga0185)が、そう言いながらワームを遠距離から狙撃中。その間に井上・セレスタ(ga0186)、高木・ヴィオラ(ga0755)、の高木・リート(ga0757)の3人が、攻撃を開始する。
 互いにエレメントを組み、チーム戦を挑む傭兵達。だが、ワームはKVを使用したとしても強敵。キメラに対しては攻勢だったはずの彼らは、次第に補給の回数が増え、弾数も少なくなり、劣勢に追い込まれていく。
 と、その時だった。主力ともいえるヘルム隊、放課後隊、LuckyDays、そして天衝隊が姿を見せる。それぞれにリーダーを要する各隊は、その隊だけで依頼に赴けそうな数を持って、中型以上のワームにも挑んで行く。
「人類の逆転へのこいつは‥‥前哨戦だ!バグアは踊り狂う死神が‥‥裂き飛ばす!」
 放課後隊隊長、ゼラス(ga2924)が、空域旋回しつつ、ミサイルで先制。回避運動とりつつ接近し、ガトリングを掃射。
「地上の敵を優先しろ。空は別の奴に任せれば良い!」
「了解。kamille、支援します」
 その花言葉のように――逆境に負けるもんか! と、柚井 ソラ(ga0187)が、ライフルとミサイル、ガトリングをお見舞いしている。
「皆が生還できるように頑張るだけだ」
 空間 明衣(ga0220)が、主力が攻撃に専念できるように牽制射撃をし、敵の注意を引き付ける。
「お待たせしました、キミのSOS‥‥確かに受信しましたよ?」
 コクピットの中からじゃ、ウィンクも見えないかもしれないが、それでも赤霧・連(ga0668)は、そう言いながら、後方から支援している。
「俺さんがフレキであるために、強く、強く。鰐の様に噛み付いてみせるさ」
 どう言う意味か分からないが、フレキ・クロックダイル(ga1839)は、その支援を受けながら、KVスピアで突貫。攻撃を自分に集中させるようにする。
「ヘルム1、『ZERO』出撃します。‥‥さて、きっちりケツ持ち始めますか!」
 ヘルム隊隊長、稲葉 徹二(ga0163)が、そう言ってヘルム各機に指示。
「送り狼ならぬ、迎え狼‥‥と言った所かなー? 舐めるなよ宇宙人‥‥!!」
 ヘルム2、Silberの獄門・Y・グナイゼナウ(ga1166)が、ヤバそうな面々を見つけては、各機に連絡している。どうやら、ヘルム隊は全員、救援に回るようだ。時間がかかっていたり、弾切れを起こした面々のカット作業を続けるようだ。
「重装甲KVの真髄を見せてさしあげましょう」
 真壁健二(ga1786)が、岩龍とワームの間に陣取りながらそう言った。重装甲を活かし、分厚い壁として、回避せずに、両側の敵に弾をばら撒いている。
「我が最愛の息子の為にも、頑張らなくてはな‥‥」
 彼と組んでいるレイモンド・ディーン(ga0621)‥‥ヘルム3、amaranthも、前に出て攻撃。こうして、彼らに助けられる機体は数知れない。いずれも、生き残る事を目標に、平均損傷率50%を越えたあたりで離脱していた。 「誰一人として欠けさせるつもりはない‥‥」
 アイン・ティグレス(ga0112)がそう言った。変わって現れたのは、LuckyDays隊。TACネームはManeuverだ。 「LittleWing出ますっ! ジミの名曲を背に! ロックンロールやっ!!」
 音楽を流しながら、篠原 悠(ga1826)が、前衛・後衛の中間でレーザーを放った。前衛組は、バルカンとガトリングの差はあれど、空中では牽制をして、ひとまとめにし、そこを手持ちの武器で抑えると言う、武器は違うが、それぞれ統一された動きで、撃破数よりチームの生存率を重視に行動していた。
「無事に帰ってきて、また皆さんと楽しくお話したいですね」
 コクピットの中で微笑みながら、そんな前衛班を支援する水鏡・シメイ(ga0523)。主に突撃仕様ガドリング砲×2で、弾幕を張っている。
「撃破数より生存率を高めたいです」
 その後方から、響月 鈴音(ga0508)が、ブレス・ノウ付スナイパーライフルで支援作業。こうして、統率されたLuckyDays隊の動きに、ワームのかなりの数が押さえ込まれていた。
「皆さん‥‥参りますよ。 天衝偵察班:天神、R-01【荒神】‥‥出撃る!」
 桜神羅 乃衣(ga0328)が、部下を率いて飛び立った。天神を指揮する彼。敵を発見次第、部隊全軍に伝令を行う。
「皆さんの後、決して取らせはしません。 落ちなさいっ!」
 識條 夢瑠(ga0330)も同じだ、彼女のTACはおりしも天照。仲間の部隊名を関する以上、援護を怠るわけには行かない。
「やはり、殆どが新兵器か‥‥。天神隊、ご苦労だった」
 その天神隊が、ワームの兵器が見た事もないものだと報告した所で、漸 王零(ga2930)が、部下達にそう言った。
 本部護衛部隊の主力ともいえる、天衝隊の総隊長殿が下した判断は‥‥総攻撃。
「破天より天衝隊全軍へ通達。陸空問わず敵の掃討を行う。我らは勝って誰一人欠けることなく皆と共に未来を掴むために戦うんだ!!」
 まだ若い総隊長殿、そう言って部下達を鼓舞している。取りこぼしたワーム達は、自分がフォローすると告げ、彼はこう命じた。
「全軍‥‥出撃!」
 きゅぃんきゅぃんきゅぃん‥‥と、KVのメインエンジンが鬨の声を上げる。
「帰ってこれたら、みんなでクリスマスパーティーをしましょう」
 悪夢のクリスマスイブとならないように。そう願いながら、遊撃隊『閃天』が、まとまって動く。メンバーはアグレアーブル(ga0095)、OZ(ga4015)、TACネーム:サイズのキリト・S・アイリス(ga4536)だ。
「さぁ、行くぜ。良いところ見せて、響子ちゃんとの縁を回復だ!!」
 天衝遊撃班:碁練を指揮する足立幹也(ga1947)が、思いを寄せる女性がいるらしく、行動を開始する。
「さて、バグアのバカヤロー達に一泡吹かせてやろうじゃないのよ!! アマテラス、準備は良い?」
 コー(ga2931)がそう言うと涼宮響子(ga3125)が、前へと進みながらそう言った。ガリーニンの姿はここからは見えないが、彼らを守る為に、傭兵達は戦っているのだから。
「やるだけやろう。後ろからの援護はバッチリ任せてくれ!」
 その彼らが戦う後ろからは、天衝遠距離援護部隊:アマテラスが、その長大な砲身を、敵へと向けている。指揮官であるGG(ga4213)は、TACネーム:クルツを名乗り、各機へと通達する。
「アマテラス各機へ。碁連と連携をとり、損壊率60%以上で本部へ補給回復せよ。以上だ」
 その命を受け、信楽有馬(ga2985)が、援護射撃を撃っている。TACネームはアリエスだ。
「俺は自分の力で道を開く!! 貴様らごときに俺の邪魔などさせはしない」
 ルドア・バルフ(ga3013)が、大枚はたいて手に入れたステルスフレームを利用し、後ろから忍び寄り、ブレイクホークでたたっ切っている。その姿、死神の如し。その彼が撃ち漏らした敵を、TACネーム:アヤノの七瀬(ga3121)が、スナイパーライフルで援護していた。レヴィイ・リー(ga4634)も同じ戦法だ。彼のみならず、アマテラス隊もまた、損傷率70%で補給・回復に向かっている。
「みんなで力を合わせれば、奴らなんかに負けるはずない!!」
 TACネーム:白猫の五十嵐 薙(ga0322)がそう言った。その間に、天衝遊撃班:翠漣が攻撃を開始する。近接部隊の得意な彼ら、それぞれ背中あわせになりながら、小隊長の支持を受け、連携へと加わっている。翠漣隊もまた、損傷率7割を越えた時点で、修理補給へと戻っていた。
「我は負けない。皆と共に明日を掴むために!!」
 それを援護する龍零鳳(ga2816)。手薄な彼のところに、天衝護衛維持班【真紅】がかけつける。
「私たちの希望を落とさせるわけには行きません!」
 TACネームは、その名の示す通り『紅』の彼女達は、岩龍近くに敵がいないのを見て取り、手薄な護衛班に参戦する事に決めたようだ。こうして、主に近〜中距離間の敵を攻撃していたそこへ、真紅の炎に照らされた翼が舞い降りる。
「此処から先は、虫一匹通さん。迦楼羅の翼‥‥折れる物なら折ってみろ‥‥!」
 その翼‥‥天衝護衛班・迦楼羅を指揮するのは、煉条トヲイ(ga0236)。狙いを定めた彼の機体が、ブーストをふかした。
「Welcome to 地獄の一丁目!さぁ、イカしたゲームの始まりだ!」
 ケラケラとそう言う小田切レオン(ga4730)も、トヲイに倣っていた。彼らもまた、他の機体と共に、損傷率70%を越えた時点で、補給へと戻っている。
「何とか持ち直したか‥‥」
 小隊の間を飛び回り、彼らが撃ち漏らしたワームを撃墜して回っていた総隊長殿がそう判断する。何しろ天衝隊は、総勢30名あまりの傭兵大部隊である。戦闘機換算で1000機にも相当する大規模な増援に、劣勢になっていたUPCが、次第に押し戻して行く。
 このまま、防ぎきれるかと、誰もが思った刹那。
「おかしい。やはりワーム達は、本部以外の場所を狙っている‥‥」
 天衝隊の総隊長が気付く。ワーム達着陸しようとしているポイントは、本部より、少し離れた場所だった。
 と、その時だった。本部より少し離れた場所から、盛大な光線が、ワームをなぎ払う。レーザー、いやワーム達が使うビームに良く似た荷電粒子の束は、瞬く間にワームをなぎ払っていた。
 だが。
「やはり、出てきたか‥‥」
 ぎりっと唇をかみ締める総隊長殿。その対角線上に、巨大なワームが姿を見せていたからだった。

<報告者 : 姫野里美>




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