名古屋防衛戦
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12月7日の報告12月4日の報告

「来たぞ」
 頂に雪を抱えた山々に姿を隠しつつ、倶利伽羅・狩倶(ga4724)はチームを組む影守・千与(ga4725)に連絡を取る。
「団体さんのお目見えだ」
 連絡を受けた影守が居合わせていたヘルム1所属のZEROこと稲葉 徹二(ga0163)に連絡、そこから稲葉の所属するヘルム、そして各隊へと連絡が伝えられる。まるで水が流れ出すように広まっていく情報、そして補給を終えたKVが一機また一機と太陽を背にして山々へと飛んでいった。
 
「これより函館方面からの援軍に攻撃を開始する。WIZARD隊突入!」
 オルランド・イブラヒム(ga2438)の掛け声に倣って、彼率いるWIZARD隊が弾ける様に飛び出していく。彼ら、彼女らの目的は函館方面のバグアヘルメットワーム援軍の本体への合流阻止。総数24名の大部隊が隊を組んで、北へと飛んでいく。
「皆はん一生懸命戦ってそろって帰りましょうな」
 WIZARD第2小隊所属の蒼華(ga3534)が確認するように明るく伝える。しかしその明るさが、今回の任務の難しさを表していた。

 補給が望めない地点でのドックファイト、しかも敵は質で上回るヘルメットワーム。数で勝るとは言えど、勝てるかどうかの保証は無い。まして揃って帰られるかの可能性となると、神のみぞ知る領域だ。
 しかし、やらなければいけない時もある。LuckyDaysのBlueRoseことナレイン・フェルド(ga0506)も全員生還を謳いつつ、他の隊員とともにギガ・ワームの後退阻止を目指し、南へと飛んでいる。
 そんな彼ら、彼女らの心の拠り所はQuenaことホアキン・デラ・ロ・サ(ga2416)率いるカルヴァリオ、ZEROこと稲葉率いるヘルム、Maritaimeこと千葉・達哉(ga4916)率いるUnicorn、そして敢えてチームに所属せず個人で動く補給部隊だった。

 補給と一口に言っても守るべきものは多い。1つに弾薬、弾数の少ないロケット類の補充が勝敗の行方を左右することもあるだろう。
 次に岩龍、ここで計器類の異常により墜落しては先に逝った故山本准尉に会わせる顔が無い。
 そして最後に情報、現在状況が分からなければ戦いづらいものである。そこで補給部隊であるカルヴァリオは岩龍の護衛をしつつ、索敵も行っていた。そしてアイロン・ブラッドリィ(ga1067)を始め、多くの無所属補給部隊が各部隊間の連絡を取っていた。
 そんな遊軍兼補給部隊に連絡が入る、ウランバートル方面の援軍を叩いている【海神】からの連絡だ。それは一部のヘルメットワーム達が強行突破を試みているということだった。

 【海神】は三間坂京(ga0094)、汀祐作(ga0463)、建宮 潤信(ga0981)、田沼 音羽
(ga3085)、建宮 風音(ga4149)、小塚・雄吾(ga4303)の総勢六名のチーム。小型のヘルメットワームは2分隊で殲滅し、中型以上は牽制するという作戦を全員で守っていた。時に機動戦技教導隊を始め、ブランドン・ホースト(ga0465)などチームの支援を目的に個々で動く遊軍部隊とともに中型ヘルメットワームも撃墜に当たっていた。しかしバグアの方も能力者達の手を悟ってか、質で勝ることを活かして強行突破を目指してきたのだ。
 機動戦技教導隊の波状攻撃の前に、何割かのヘルメットワームを足止め、撃墜したものの、残りの部隊を打ち漏らす結果となった。加えて、まだ何体かのヘルメットワームが足止め役としてKVの相手をしている。追撃は不可能だった。
 時を同じくして函館方面からの援軍部隊も特攻をかけてきた。迎撃に当たっていたWIZARDなどの部隊もウランバートル迎撃軍と同様に足止めを喰らっている。函館迎撃軍後方を守っていた吾妻 大和(ga0175)、間 空海(ga0178)もブーストとそれぞれのスキル、アグレッシブ・ファングとブレス・ノウで何体かのヘルメットワームの足止めに成功するものの、何割かのヘルメットワームの通過を許してしまっていた。

 各迎撃軍突破部隊を叩くため、『閃華』、『炎虎』、『デザイア』が迎撃に当たる。『閃華』は真田 一(ga0039)、シェリル・シンクレア(ga0749)、楓華(ga4514)、羅・蓮華(ga4706)の4人編成。『炎虎』は御山・アキラ(ga0532)、風宮・閃夏(ga4632)の2名。『デザイア』は終音(ga1955)、神居悦子(ga3505)、横森 隆(ga4910)、ライラ−ル=クレスト(ga4911)の4名。そしてこれに補給部隊のカルヴァリオ、ヘルム、Unicornが数名の援軍を送り迎撃態勢を整える。
 『閃華』は2トップ2バックスのフォーメーション。全機でミサイル、ロケット弾を打ち込んだ後にトップの真田と羅がガトリング砲片手に接近戦を試みていた。
 『炎虎』は風宮が牽制しつつ、御山がロケット弾とガトリング砲を時にアグレッシブファングを乗せつつヘルメットワームを攻撃していく。
 『デザイア』は横森がスナイパーライフルで遠距離より攻撃しつつ、ライラールがバルカンで牽制。そして終音と神居が近距離、接近戦を担当している。
 そして各チーム間の穴を埋めるようにファルロス(ga3559)、レイモンド・ディーン
(ga0621)ら援軍部隊が周囲の動きを見つつ、敵の足止めに働いていた。
 突破されれば後退阻止部隊が挟み撃ちされるとあって、各部隊足止め、撃墜を目指していく。しかしヘルメットワームの方も遠く函館、ウランバートルから駆けつけ消耗しているにも関わらず、果敢に突破を試みている。それはまるでギガ・ワームの危機を知っているかのような動きだった。能力者達の弾切れ、補給の隙を付いてヘルメットワーム達は更に防衛ラインを通過していく。

 一方、プライウェル作戦の主軸たるガリーニン突撃の方は順調に進んでいた。後退阻止
に当たっていたLucky Daysや単機のKVも適宜補給を受けつつ、脱出路を画策するキメラやワーム達を一体ずつ確実に撃破していく。
 後退阻止のバグア軍は死力を尽くして襲い掛かってくるものの、KVと戦おうとするため相手にはしやすかった。消耗こそ激しかったものの、第一フェイズでの戦いは確実に能力者達の中で経験値として刻まれている。
「雨が降りますよ‥‥銃弾の雨ですけどね」
 消耗の激しい前衛部隊の交代を促すように、水鏡・シメイ(ga0523)が後方からホーミングミサイルの雨を降らせる。合わせる様に響月 鈴音(ga0508)が高高度からのスナイパーライフルでワームを仕留めていた。
「無事生還できそうですね」
 そこに伝令が飛ぶ。函館、ウランバートルからのバグア援軍が後方より迫っているというものだ。

 足止めを行っていた一部バグアを撃退し、函館方面迎撃に当たっていたWIZARD隊、そしてウランバートル迎撃に当たっていた海神、機動戦技教導隊も強行突破を目指すヘルメットワームに猛追をかける。
 しかし機体性能ではヘルメットワームに軍配が上がるため、差が縮まることは無い。日本海を渡り、かなりの長距離を移動しているにも関わらず、ヘルメットワームはそれほど消耗している様子はなかった。更には能力者達の第二防衛網も破り、合流を間近に迫っている。数にして約100、援軍総数の約3割だ。
「挟み撃ちか‥‥」
 報告を受けた後退阻止部隊は適宜補給を済ませて迎撃態勢を整える。しかし背後からはギガ・ワームの進路を求めて、死力を尽くして攻め立ててくる。最悪撃墜される可能性もあった。プライウェル作戦の主軸はギガ・ワームの撃墜、今ここで命を賭ける訳にはいかない。 
 多少数を減らしたものの、約80ヘルメットワームの通過を許してしまったのだった。 
 約2割のバグア援軍の合流を許したものの、能力者達の被撃墜数は0。全体としてみれば悪くは無いだろう。一息ついていた能力者達の下に、本部から連絡が入る。プライウェル作戦第3フェイズの作戦の話だった。

【担当 : 八神太陽】


●名古屋〜UPC本部周辺
 それまでの静けさが嘘だったかの様に、バグア軍の攻撃は開始された。
 上空のギガワームから、突如として夥しい数のワームとキメラが降下してきたのだ。
 3方面に別れて襲来した敵軍の向かう先は、UPC本部のある名古屋市街、ガリーニン発進基地となる中部国際空港(セントレア)、そしてなぜか本部からやや離れた某施設。
「休む暇がありませんね‥‥まぁ休むつもりもありませんが」
 雲霞のごとく降下してくる敵軍を眺めやり、8246小隊所属のリディス(ga0022)がつぶやいた。

 前回、能力者たちに予想外の苦戦を強いられた教訓からか、バグア側も陸上型ワームを主力とする精鋭を惜しみなく投入してきた。今まで見たこともない新兵器が使用され、迎撃に向かった正規軍の戦闘機や戦車を紙細工のごとく破壊していく。
「1、2、3…多すぎて数えられません〜」
 本部周辺の防衛を担当する『リンディ』所属のフランネル(ga4869)が半泣きで叫ぶ。
 それでも、ここを突破させるわけにはいかない。
 他に本部と周辺施設の防衛にあたるのは主に404隊、リンクス隊、『ガンアンツ』『ソーディアス』『リンディ』『ヘイムダル』等の各隊だった。
 また主戦場からやや離れた小牧山では、大曽根櫻(ga0005)率いる櫻小隊が敵の侵攻を防ぐと共に負傷者救護にあたる手はずになっていた。

 一度はバグア軍を撃退したことで傭兵たちの間に漂っていた楽観ムードも、敵側による新兵器の投入により消し飛んだ。それでも彼らは塹壕に潜み、建物の陰に身を隠し、狙撃や不意打ちを駆使して異星人の攻勢を耐え凌いだ。
 ジーラ(ga0077)もまた不利な白兵戦を避け、物陰からの狙撃に徹した。
「全くデカブツばかり‥‥まぁ狙うのには苦労しないけどね」
 比留間・トナリノ(ga1355)率いるガンアンツ隊は、前回も功を奏した粘り強い塹壕戦で敵軍をよく食い止めていた。
「出てきたところをカモ撃ちです、うっうー!」
 穴蔵から銃を構えてほくそ笑む彼女の傍らでは、フェブ・ル・アール(ga0655)が呑気に鼻歌など歌いつつ地味な塹壕掘りにいそしんでいる。
 穴掘りといえば、一部の能力者が白兵戦兵器であるドリルを土木用の掘削機と混同し、坑道を掘り進み敵を奇襲しようと試みた。当然、ドリルが地面深く突き刺さったところでKVは急停止。身動きできなくなったところを集中攻撃され、搭乗者は脱出したものの機体は破壊されてしまった。誠に残念なことではあるが、この経験を糧に彼らには今後の活躍を期待したい。

 もちろん果敢に肉弾戦を挑んでいった者も少なくない。
「全軍抜刀っ、全軍突撃っ!!」
 雪ノ下正和(ga0219)の号令の下、『蒼穹』部隊が人型形態のKVにディフェンダーを構え、勇猛なる白兵戦を展開する。
「ショータイムだ、踊るぜベイビー!」
 友軍の支援弾幕の中から飛び出したブラッディ・ハウンド(ga0089)が不意打ち・奇襲の繰り返しにより確実に敵を仕留めていく。増加装甲×3で防御を強化したツィレル・トネリカリフ(ga0217)もまた、切り込み役として敵陣に突入し名古屋市突入を図るキメラ群を蹴散らした。
「思う通りになんか、させてやるもんか!」
 実崎 知花(ga0233)はバルカン砲でキメラの数を減らしつつ、タイミングを見計らいチタンナイフでワームに肉迫した。

 しかしながら、誰もが戦場で英雄として輝けるわけではない。古井安男(ga0587)は本部前に地味なキャラ有志を募り「やられキャラの叫び大会2」を開催。
「バグアに負けない体を作るんだ。それ! 明日のためにエンヤコラ!」
 と一同で歌いつつ乾布摩擦した。意味不明の行動ではあるが、これも彼らなりの魂の叫びとしてここに記録するものである。

 それにしても、なぜ敵は本部に兵力を集中せず「例の施設」に固執するのか? 不審を覚えたレイラ・ブラウニング(ga0033)はそれとなく探りを入れようとしたが、そこで人型形態を取った最新鋭機「バイパー」50機から成る正規軍の精鋭部隊に制止された。
『この施設は我々が守る。諸君らは敵軍の侵攻を食い止めておればよい』
 無線を通して感情を押し殺したような指揮官の声が伝わる。その後、レイラの他何人かの傭兵が施設の内情を探ろうと試みたが、皆同様に追い返されてしまった。

●遊撃戦
 同じ頃、『Tier』『ひよこ隊』『チーム榊』『ソーディアス』『月狼』『Garm』『ハイエナ』他の各隊は、名古屋市から国際空港にかけての広大な戦線を遊撃軍として駆け巡っていた。
「ガチの殴り合いでは頑丈なR−01の方がいいってな!!」
 緑川安則(ga4773)がブレイクホークを振い、敵陸戦力を駆逐していく。
 榊兵衛(ga0388)が得意の槍術で敵をなぎ倒し、倒れた相手に威龍(ga3859)がとどめを刺した。

 敵は大型キメラやワームばかりとは限らない。井筒 珠美(ga0090)、鷹司 小雛(ga1008)らはあえて歩兵として市街地で待機、中小型キメラを掃討し友軍支援に徹した。
 正規軍からは「民間人の避難は完了した」と通達されていたが、ウエンディゴ(ga4290)は仲間たちと連携して戦いつつも、念のため逃げ遅れた市民の保護に努めていた。
 対照的に八神刹那(ga4656)は心底愉しそうにKVの吶喊を繰り返し、当たるを幸い敵を葬り去っていく。
「ハッ、この程度じゃ全然足りねえよ! ‥‥あー、降りて戦いてぇ」
 本当に降りて戦った者たちもいる。
 当初は航空支援で敵密集地を狙い撃ちしていた御影・朔夜(ga0240)は、弾が尽きるなり地上降下、以後は人型形態による白兵戦に切替えた。あるいは地上戦でKVの弾が尽きた葵 宙華(ga4067)はすかさず機体から飛び降り、銃撃による白兵戦に転じた。
「転生してから殺りにきなっ!!」

 名前こそ可愛らしいが、相麻 了(ga0224)率いるひよこ部隊の奮戦も特筆すべきものがある。部下たちを率いて音もなくキメラを襲い、巨漢の狙撃手ミハエル・クロイツ(ga0283)のバックアップも得て容赦なく屠る。まさに現代の忍者部隊といえよう。

 質量共に前回とは比べものにならぬほど増強されたバグアの攻勢に、ファファル(ga0729)は待ち伏せの狙撃と味方への援護射撃を繰り返す一方、『月狼』総隊長の終夜・無月(ga3084) へさらなる支援砲撃を要請した。
 潰しても潰しても、際限なく攻め込んでくるバグア軍。改めて異星人の脅威を肌に感じつつ、それでも傭兵たちは一歩も退くことなく応戦を続けたのである。

●ガリーニン、発進せよ!
 名古屋市周辺で激戦が続く一方で、おそらく「プライウェン」作戦の帰趨を決するであろう重要な、もう一つの戦いが始まろうとしていた。
 知多半島から伊勢湾に突き出た中部国際空港(セントレア)である。
 G4弾頭搭載のガリーニン出撃基地となる以上、バグア側もギガワーム防衛のため総力を上げて巨大輸送機の離陸阻止を図るのは明らかであった。
 空と陸からは各種ワームが、海上からは水中型キメラが、滑走路とガリーニンを狙って陸続と攻め寄せてくる。
 拠点防衛を任されていたのは、『放課後』『黒狼』『ガーデン』『Erfolg』『フルーツバスケット』『白と黒』を中心とした各隊だった。
「此処から先は、一歩たりとも通さんっ!」
 亜鍬 九朗(ga3324)がKVのドリルをかざして身構えた。
 海面から鎌首をもたげるシーサーペントの群に対し、空からミサイルとレーザーをこれでもかとばらまいた月薙・赫音(ga1628)は、KVを人型に変形させて滑走路に着陸、そのまま陸上防衛についた。
「生きてるヤツ等は援護しろぉっ! 奴等にここを明け渡すなぁっ!!」
 同じく人型形態を取った須佐 武流(ga1461)のKVが上陸してくる大型キメラをレーザー、ガトリングで牽制、間合いを詰めて槍で攻撃。
 常滑方面から向かってくる陸上型ワームに立ち向かい、宇佐見 香澄(ga4110)と佐間 優(2974)が拡散フェザー砲に装甲を焼かれながらも、ガトリング砲を乱射して食い止める。
 そこに柚井 ソラ(ga0187)の駆るKVが空からミサイルを放って援護した。
「皆さんがここまで守ってきた空港‥‥絶対に壊させはしません!」

 ブースター庫付近を守っていた夏 炎西(ga4178)は、城壁のようなシャッターが開き巨大輸送機がゆっくりと滑り出すのを目撃した。
 ついにG4弾頭の搭載作業が終わり、ガリーニンが再び飛び立つ時が来たのだ。
 バグア軍はもはや他の空港施設などには目もくれず、姿を現した巨人機にその攻撃を集中した。対する能力者たちも、滑走路上に集まり敵の猛攻を一手に引き受ける。
「ガリーニンは作戦の要、ここが正念場だ! 絶対に飛ばしてやるぜ!」
 醐醍 与一(ga2916)がツインドリルでワームの土手っ腹に風穴を開ける。
「飛んで、私達の想いと共に!」
 ロッテ・ヴァステル(ga0066)も3体の僚機と連携し、群がるキメラを迎え撃つ。
 そのときワームからガリーニンを狙って放たれた収束フェザー砲を、八田光一郎(ga0482)のKVが盾となって受け止めた。機体は大破するも、辛うじて脱出に成功する。
 やがて滑走路を走るガリーニンの巨体が浮き上がり、遊撃部隊からも駆けつけたKV数十機に護衛され離陸した。
 コクピットの窓からほんの一瞬、地上の能力者たちに敬礼を送るツォイコフ中佐の姿が過ぎる。
「飛べガリーニン! ‥‥そして行け! 俺達の勝利の為に!」
 ゼラス(ga2924)が声の限りに叫んだ。

 ガリーニンを無事空へ送り出したことで、空港守備隊はひとまずその任務を全うした。
 しかし名古屋市周辺では、未だにUPC日本本部、そしてバグア軍の真なる戦略目標と思しき「重要施設」を巡る両軍の死闘が繰り広げられている。
 名古屋防衛作戦「プライウェン」は、いよいよ最終局面を迎えようとしていた。

【担当 : 対馬正治】


 さて、陸上部隊が滑走路を必死の思いで守っていた頃、そのターゲットであるギガ・ワームを相手取る傭兵達も、激しい戦闘を繰り広げていた。
 なにしろ、まるで蜘蛛の子を散らすように、無数のヘルメットワームが出撃し、本体であるギガ・ワームを護衛しているのだから。
「愛莉の可愛さにはギガ・ワームだって夢中だもんね。こっちだよ〜」
 コクピットからは見えないはずだが、神崎・愛莉(ga3993)はそう言って、お手手を振るように、KVを左右に振っている。
「行くぞ‥‥」
「おうっ。『緋色の閃光』の速さ、見せてやるぜ!」
 その間を縫うように、佐嶋 真樹(ga0351)が、ガトリングとミサイルを撃ちつつ、空中機動から可変してディフェンダーで攻撃、再び可変しての一撃離脱を繰り返す。また、霧島 亜夜(ga3511)も、ブーストでギガワームに接近し、誘導方向の反対側に煙幕弾発射しては、→ブーストで基地へと帰還していた。補給と情報交換を行う為だ。
「これがホントのワームフィッシング、なんちゃって☆」
 平坂 桃香(ga1831)が、ギガワームの腹部に回り、ワームの発進しているいわゆる口の部分に、ミサイルとスナイパーライフルを乱射する。と、ワームがさせまいと近づいてきたが、桃香、撃墜ポイントに向かい全力逃走。
「貴様の相手は俺たちだ。余所見などしている暇はないぞ! ペガサス分隊各機、目標ギガワーム。部隊の全火力を一点集中し、敵を引き付け誘導する!」
 そのワームをお出迎えするペガサス分隊。隊長である白鐘剣一郎(ga0184)の命に、5名の隊員が、それぞれの装備でもって、いっせいに攻撃をしかけている。メンバーはエクセレント秋那(ga0027)、エスター(ga0149)、朧 幸乃(ga3078)、春風霧亥(ga3077)、レイニー・フォリュオン(ga3124)だ。
「ギガ・ワームの無敵神話は今日で最後にしてやるさ! 覚悟しやがれ!」
 エミール・ゲイジ(ga0181)率いるアングラー隊が、ギガ・ワームの腹へと一撃を食らわせる。こちらの部下は8人。雲を隠れ蓑に、高火力の仲間を援護している戌亥 ユキ(ga3014)等、様々だ。
「隊長、気をつけてください。あんまり近づくと、レーザー撃たれます」
 ランドルフ・カーター(ga3888)が、突撃しながらも距離を測っていた。と、彼が警告した刹那である。
『目標より高エネルギー反応! 皆! 何か来るわ!』
 本部からミクの声が聞こえた瞬間、ギガ・ワームからびしゅううううう! っとまばゆい光線が放たれる。その盛大な威力は、周囲にいたKVに甚大な被害を及ぼしていた。
「く、この機体では戦闘活動は不可能か‥‥。帰還するぞ」
 剣一郎だけではない。部下達の機体も、その光線によって、装甲値がかなり削られている。それは、アングラー隊も同様だ。
「了解、隊長、煙幕使いますが、よろしいですね」
 ロバート・ブレイク(ga4291)が煙幕を使う。もう1人の煙幕係ハワード・ラヴクラフト(ga4512)は、エミールの機を庇った為か、すでに煙幕すら発射できない状態だ。
「充分生きた。覚悟は完了。願わくば若人が私の真似をしないことを‥‥」
「残念ながら、死ぬのはまだ早いんですよ」
 味方の盾になっていた蔀式(ga4920)は、そんな彼らの盾となったせいか、もっとボロボロだ。彼は、落ちようとしていたハワード機を庇うようにしているが、やはり2人とも次回出撃は不可能だろう。
「さすがにあの砲撃を受けたら、この機体でも持たんぞ。傭兵達、きっちり仕事してくれよ。出撃!」
 だが、そのかいあって、ギガ・ワームは予定通りの地点へとたどり着いていた。名古屋から75km、ちょうど岐阜南部にあたる位置に到着した所で、ツァィコフ中佐がそう命じ、ガリーニンを出撃させる。
「ギガ・ワームを見ていると、肉まんが食べたくなりますわね‥‥」
 戦闘機形態で、ワームをスイーパーしていたMIDNIGHT(ga0105)がそう呟いた。どうやら、あの形状が肉まんに見えるらしい。彼女を始め、傭兵達がそれぞれの手段で、ガリーニンの周囲へと展開する。
「ボアー小隊各機。ガリーニンの護衛に回る。出来る限り先行し、偵察的なポジションに。発見と同時にミサイル発射、後他部隊と合流しろ。以上だ」
 アルミア・エルミナール(ga0041)が小隊の面々にそう命じていた。それを受けて、従妹のミア・エルミナール(ga0741)とシア・エルミナール(ga2453)が、ガリーニンのすぐ近くでミサイルと煙幕を放つ。
「こちらノーベンバー。オラトリオ各機へ、_我が隊はガリーニンの左翼に付く。後方から狙撃。接近した敵にはレーザー。以上だ」
 天上院・ロンド(ga0185)もまた、部下3名と共に、攻撃を開始する。結城 朋也(ga0170)は、潤・アレクサンドル(ga0177)とペアを組み、ギガ・ワームの護衛に回っているワーム達を切りに行く。
「いいかい? 準備はいーかい皆? よーし一発目からギンギンだよドミノライン♪」
 藤田あやこ(ga0204)が歌うようにそう言って、部下6名に命を下した。まず、切りこみ隊長の常夜ケイ(ga4803)が、キャル・キャニオン(ga4952)と共に切りこみ、あいた所に藤田以下、熊谷真帆(ga3826)、三島玲奈(ga3848)が、デルタ編成でレーザーをぶっぱなし、その間にエルガ・グラハム(ga4953)が、下からスナイパーライフルを撃っている。だが、相手ワームも黙ってはいない。この日のために温存しておいたらしい新型兵器でもって、ガリーニンを狙う。乱戦になりつつあるガリーニン周辺。
「やらせるかっ!」
 Zephyr隊を率いる鷹見 仁(ga0232)が、ガリーニンの上で部下に指示を飛ばしている。エル1(ga1874)からエル8(ga1881)の各機が、それぞれの手段で、ワームを撹乱していた。
「ガリーニン被弾! あ、また! 皆さん良くがんばってはいますけど、やっぱり相手のレーザーが避けきれないみたいです!」
 ウェスト研究所の国谷 真彼(ga2331)が、悲鳴じみた報告を上げてくる。エカルラート(ga1323)が、それを単独行動者に教え、その間に、伊集院・まりあ(ga4744)と伊集院・帝(ga4745)が撹乱。それでも、激しい攻撃にガリーニンは数多く被弾していた。
「虎の子G−01発射! ポチッとな〜」
 所長のドクター・ウェスト(ga0241)が、腹に抱えておいたミサイルを発射するが、それでもなお、ギガ・ワームも周囲に展開する中型ワーム達も健在だ。
「零各機! 最大火力で弾幕展開! 時間を稼げ!」
 緑川 安則(ga0157)が部下達に激を飛ばす。既にガリーニンは満身創痍と言って良いだろう。エンジンの灯火も小さく、消え入りそうになっている。これ以上の損傷は、絶対的に避けなければならなかった。
 とにかく撃って撃って撃ちまくるジンクード・フィアルグ(ga0291)。ミサイルとガトリングで時間を稼ぐリチャード・ガーランド(ga1631)。とにかく弾幕を張ることに専念するフォーカス・レミントン(ga2414)等様々だ。
『ガリーニン、損傷率65% 加速エンジン点火』
 もはやエンジン停止寸前にまで陥っていたが、それでも一本残しておいた加速ブースターで、他機体がひきつけていたギガ・ワームに突撃するガリーニン。
「僕は・・・止まらない。どちらかが壊れるまで‥‥走り続けるんだ‥‥!」
 それを受けて、安藤 諸守(ga1723)が、ヒステリックに叫びながら、敵に襲い掛かる。しかし、中型ともなると、ワームは中々根を上げない。体当たりするその代償は、煙を上げるKV。
「俺は平和主義なの! こんな所で死んでられねぇよな!?」
 炎上ぎりぎりで、字夜・由利奈(ga1660)が、後方に引っ張ってくれた。それでも、安藤機は次回の出撃は出来ないだろう。
「射撃は苦手なんだがな!」
 四の五の言っていられない九条・命(ga0148)が、_チーム<FANG>を率いて、ワームを仕留めにかかる。命が初撃で出鼻をくじき、九条・運(ga4694)が次撃と牽制を担当。トドメ役が確実に撃てる様に相手の足を止める。そこへMAKOTO(ga4693)が先の2機の攻撃で怯んだ相手にミサイルを打ち込んでいた。
「蹴散らすぞシオン、後ろは任せる!!」
 相方のシオン・パスカル(ga4764)にぶつぶつ言われながら、藤村 瑠亥(ga3862)も、宙に弾丸の弾を降らせる。沢辺 朋宏(ga4488)率いるPHR隊が、2機または3機の合計5機で、中距離から後方の射撃をすれば、霞澄 セラフィエル(ga0495)達5人もまた、特攻を支援していた。
「アクアリウム、フォーメション展開。発射前に、先制の一点集中を狙う!」
 鯨井昼寝(ga0488)が、空は渡さないとばかりに、隊を率いてフォーメーションを組む。ちょうど矢印の形に展開するそれは、鋒矢型と呼ばれていた。先頭が昼寝、その後に鏑木 硯(ga0280)、
鯨井起太(ga0984)と続き、左側に遠石 一千風(ga3970)、右側にゴールドラッシュ(ga3170)が展開している彼らは、昼寝の合図で、いっせいに弾丸を降らせた。
『G4、射出。搭乗員は、バイパーで脱出。援護してください』
「もとよりそのつもりだ!」
 桜神羅 乃衣(ga0328)率いる天衝偵察班:天神が、彼らをエスコートするかのように迎えに行く。その直後、だった。
『G4、着弾します! 対ショック用意!』
 かっとまばゆい閃光が放たれる。だが。
「敵艦沈黙! 航行不能状態に陥った模様! どうやら、引付が完全ではなく、射程の少し外で命中した模様!」
 識條 夢瑠(ga0330)が、状況を全体に報告する。見れば、ギガ・ワームは上空からうごかず、爆弾を抱えたまま停止していた。
「敵全機、ギガ・ワームの周囲に展開しつつあります。ギガ・ワームの防衛にあたるようです」
 久遠 里奈(ga0329)がそう報告してきた。
「よし、これよりナデシコ各機は、ワームの迎撃にあたる。オブシダン、翠漣、援護を頼む」
「了解!」
 GG(ga4213)率いるナデシコ小隊が出撃して行く中、足立幹也(ga1947)率いるオブシダン小隊、葵 コハル (ga3897)率いる翠漣が、彼らの援護にあたっていた。
 と、その時である。
「空神隊より各機へ! 山脈方面から、敵の大規模な援軍!」
 空禅(ga4927)が、隊へ警告を発した。見れば、山の向こうから多数のヘルメットワームが姿を見せる。どうやら、アルプスでのおさえがきかず、それなりの援軍がギガ・ワームの援護に向かってきたようだ。
「天衝隊各機へ。援軍がなんだ。我が隊の底力見せてやる。全軍‥‥総攻撃!!」
 総隊長、漸 王零(ga2930)の突撃命令が下された。彼を守護する盾部隊が、ブーストをふかし、弾幕を張る中、待ってましたとばかりに、煉条トヲイ(ga0236)率いる迦楼羅隊、そしてキリト・S・アイリス(ga4536)を頭とする閃天隊が、その牙を剥く。
 だが、その時だった。
『東京方面から、高速で接近する物体あり! コード不明! ‥‥バグアの新型です!!』
 着艦まで2分。まるで吹き抜ける黒き風のようにKV達に向かって突っ込んでくる黒い機体があった。ガリーニンの前方で露払いしていた都合上、その最前線にいた迦楼羅隊と閃天隊が、まずその槍玉に挙げられる。
「なんだこいつは?!」
 それは能力者たちにとって驚愕であった。バグアの新型機‥‥全身を黒一色で統一したそれは、KVから放たれる射撃を軽々と回避し、次々に機体を撃墜していく。
「被撃墜増加! 1、2‥6‥‥だめです、KVでは補足できません!」
「なんだってんだこいつは! まさか‥‥東京の!」
 司令部から悲鳴があがっている間にも次々と煙をあげながら落下していく機体。
「ブーストでも追いつけないなんて‥‥」
 水理 和奏(ga1500)、アリス(ga1649)、小田切レオン(ga4730)、ハイル・ミクシア(ga4549)、OZ(ga4015)が生贄になった。
「えぇん、中佐と約束したのに〜!!」
 小さな体で接近戦を挑んでいた和奏の損傷が特に酷い。泣きそうになる彼女。
「約束してても、守れない時がある。それが戦争ってモンだ。無茶はするな」
「‥‥はぁい」
 トヲイに援護されつつ、帰還する和奏。
「辛いのは、隊長の方なんだけどね‥‥」
 折れた迦楼羅の翼。世の中、そんなに甘くない事を知っているアリスが、そう呟いた。そんな中、新型機の性能を見極めていたアグレアーブル(ga0095)が、こう報告してくる。
「敵新型機は、ワームのほぼ倍の速度を誇っているようです。どうしましょう?」
『航空軍に戦力が整うまで、積極的な攻撃を控えて下さい』
 本部の移行をミクが伝えている。
「だそうだ。各機、損傷した機体の回収に回れ。KVは直せるが、人の命は治せない。以上だ」
 このまま終わるかと思った名古屋防衛線。だが、敵の思わぬ反撃により、傭兵達は歯噛みしながら、その攻勢の手を止めざるを得ないのだった。

 【担当 : 姫野里美】

※今回の被撃墜者は以下の通り。
次回作戦に出撃することができない。

銀野 すばる(ga0472)
辻峰・鏡花(ga1870)
八田光一郎(ga0482)
和紗・束紗(ga0011)
安藤 諸守(ga1723)
混沌(ga3040)
レトウィー・リショウ(ga3662)
御神村小夜(ga4655)
蔀式(ga4920)
ハワード・ラヴクラフト(ga4512)
水理 和奏(ga1500)
アリス(ga1649)





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