北アフリカ進攻作戦
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北アフリカ進攻作戦 第3フェイズ終了直後の状況

●訃報
 アフリカ進攻作戦の成功と引き換えに、1人の将軍が死んだ。
「バリウス中将が‥‥。そうか」
 UPCアジア軍の前線指揮官である椿・治三郎中将は、訃報に一瞬浮かせかかった腰を、再び椅子に沈ませる。確か、バリウスは45歳の彼よりも10年程は年長だった筈だ。それにしても、まだ若い。
「惜しい、方を亡くしたな」
 戦闘集団としてのUPCを実質的に切り回しているのは、彼ら前線の中将クラスである。理由は幾つかあるが、最大の物は『KVというおもちゃのような新兵器やUFOが敵という馬鹿げた状況』について行けるだけの柔軟性を、大将達の多くが持ち合わせていなかった事に有る。
 政治的力量と言う事であれば、北米のヴェレッタ・オリム中将に伍するべくは無いにせよ、歴戦のバリウスの存在感は中将たちの中で一種独特の物が有った。この損失は、欧州軍にとってだけでなく、UPC全体にとって間違いなく大きなものだ。
「参番艦はイギリスを出港したか。沖田艦長らしい」
 まだ修理は完全ではないはずだが、あの老軍人は座して友軍の危機を見過ごせなかったのだろう。そう思いながら報告を読み進めていた椿は、読み終えてから瞑目した。
「何と言う事だ‥‥」
 最後の段落に、恐るべき内容が書かれていたのだ。バリウスはただ死んだだけではない。その亡骸を、敵に確保されたのだと言う。その事が意味する内容に思い至り、椿は背筋を嫌な寒気が伝うのを自覚した。
「ウランバートルの動きに注意しろ。ロシア側の防衛状況は敵に筒抜けのはずだ」
 北伐作戦直後のように、北進するか。あるいはアジア側に向くか。いずれにせよ、アドバンテージは敵に有る。欧州軍は、時をかけて再編成を試みなければならないだろう。部隊の配置、指揮官の性格、向こう数ヶ月の行動方針など全てが、敵の手に落ちたのだから。

●北米の決断
 同時刻、同じ報せを受け取ったオリムも、期せずして椿と同じ行動を取っていた。瞑目し、死者に5秒を捧げてから、大西洋方面の部隊へ指示を飛ばす。その最中に、現地のハインリッヒ・ブラット准将からの直接通信が入った。
「ブラット准将。話は聞いた。暫くはそちらにいるのだな?」
 チュニジアから、欧州を通ってきたのであろう映像は荒い。オリムが口にしたのは形式的には質問だが、中身は確認だった。バリウスが死んだ今、欧州軍を立て直すにはブラットは必要なはずだ。少なくとも1ヶ月、あるいは2ヶ月。
『ユニヴァー‥‥ イト弐番艦‥きな損傷を‥‥には時間が掛か‥‥』
 額に包帯を巻いたブラットが、弐番艦の大破を告げる。オリムは淡々と事実を受け止めた。状況は思ったよりも悪い。もちろんバグアも無傷には程遠く、要塞『α』と二隻のギガワームを始めとしてアフリカ北部の敵戦力の多くが失われたようだが、それで人類側が失った物が戻るわけではない。
「判った。可能ならば回収し、補修の上北米に戻れ」
『了‥‥必ず回収‥‥8月には‥‥をつけ‥‥』
 8月。原子時計ことブラットがそういうのならば、それが必要な時間なのだろう。2ヶ月の間、北米は弐番艦を欠いたまま持ちこたえねばならない。幸いにして、北米で勝利を重ねた現状、多少の余裕はあるのだが。
「マウルに、宜しく伝えてくれ。それと、できれば何か仕事を与えてやって欲しい」
 通信を終える前に、オリムは思い出したようにそう伝えた。おそらく、あの娘は消沈しているだろう。そこからどれだけ早く立ち直れるかが、指揮官としての資質だ。
「それと、甘やかさないでくれ」
 そう言うオリム自身が彼女に配慮を求めていた矛盾を指摘はせず、ブラットは苦笑を浮かべてから通信を切った。




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