ラスト・ホープ | 本部 | 兵舎 | 広場 | 研究所 | ショップ | 図書館 | ドローム社 | 遊技場 | 情報サイトに戻る

" target="_blank">mypage
" target="_blank">" width="130" height="180" border="0" id="bustup"/>
己丑北伐‐瀋陽解放作戦
<最後の発電所>
 突然起動した、瀋陽地下、第五の発電所。
 この局面になるまで起動されなかったそれは、相応のリスクを伴う代物だった。計測される数字からはじき出された結論は、暴走。
 あまりに過剰なエネルギー放出は需要を越えて余りあり、しかも制限が出来ない物と推測される。
 最終的な計算結果を目にしたUPC司令部は目を疑った。
  『周囲を巻き込む暴走まで、2時間』
 展開した部隊の撤収は間に合うはずも無い。司令部は、この情報を前線に伝えると共に、攻撃の継続を指示した。
 つまり、2時間以内に地下の発電施設を破壊すればいいのだ。
  『司令部ハ依然ココニアリ。諸君ノ奮励ニ期待スル』
 その通信が打電されたのは瀋陽のすぐ外の仮設指揮所。発電所が暴走したならば、諸共に吹き飛ぶだろう場所だった。                                        Illustlator:うしまる
●作戦詳細
【瀋陽解放作戦】
 人類側は、瀋陽市街地の過半の制圧に成功しました。
 4か所の火力発電所のうち2基を破壊、残りの2基も供給を中止した模様です。
 その過程で、シェイクのユダは撤退、第一発電所にいたドリスも撃破されています。
 最後まで防戦を指揮していたハルペリュンは司令部を放棄し、瀋陽北部へ防衛ラインを移動しました。
 しかしながら、『瀋陽北陸空軍基地』を中心に、バグア残存戦力は交戦の構えを崩していません。
 また、偵察部隊からは、同基地の『雷公石』発射装置に動きがあるとの情報も入っています。

 敵戦力は数を減らしましたが、多くが有人機ゆえ、有機的な持久戦に持ち込まれれば厄介です。
 空軍基地への途上の武装ビル、出撃ハッチはいまだに稼動していると報告されています。
 作戦範囲が北部城壁のアグリッパの制圧範囲に含まれるため、引き続き空爆には注意が必要です。
 『北陵公園』には多数のマグナムキャットが確認されており、ここが出撃地である可能性があります。
 公園の貴重な文化遺産はすでにバグアによって破壊されています。
 しかし、足元が安定しない為にKVでの侵攻が困難な上、文化遺産がすでに破壊されているとはいえ、KVで踏み荒らされることは瀋陽市民の感情に配慮が必要です。


・第3フェイズの目標
 瀋陽よりバグア戦力を撃退し、『瀋陽北陸空軍基地』を速やかに制圧してください。

<1.戦闘>
 通常の敵戦力との戦闘が中心となります。
 敵部隊や防衛機構を撃退し、『瀋陽北陸空軍基地』を陥落させるのが主目的です。

<2.精鋭機対応>
 バグア軍の精鋭機との戦闘を行います。
 単機〜少数で際立った動きを見せるエース機やビッグフィッシュ・タロスに対処するのが主な任務です。
 確認されている著名な敵は、ハルペリュンの本星型ヘルメットワームのみです。

<3.歩兵戦闘>
 生身での戦闘を行います。
 北陵公園に存在すると思われるキメラの出撃拠点を制圧、破壊する事が期待されています。
 本戦場における主役はKVですが、支援を行います。


<4.後方支援>
 補給、整備、医療、救難などの後方支援任務です。
 広範囲を対象とした通信、管制、情報なども後方支援に含まれます。
 狭い範囲(部隊内、前線で目の届く範囲)での通信、管制、情報などの任務は戦闘や精鋭機対応の選択肢中でも対応可能です。

<5.精鋭対応・歩兵>
 役割は歩兵戦闘と同じで、比較的強い敵を相手にします。
 実力があれば自動判定部分で高い功績点を得ることができますが、実力が足りなければあっという間にやられてしまうでしょう。

【地下潜入作戦】
 突入部隊は、瀋陽地下に存在した発電施設の更に先に延びたケーブルを発見しました。
 その報告が司令部へ届いた頃、瀋陽市の地下に巨大なエネルギー源が突如確認されます。
 UPCは、それが地下に隠されていた発電施設と断定し、その過剰な放出量から暴走状態と推測しました。
 そのエネルギー量は極めて大きく、『雷公石』や市内動力へ供給しても余剰が存在する様子です。
 計測される数値が上昇を続ければ2時間でピークに達し爆発、瀋陽市街は甚大な被害を受けるでしょう。

 潜入部隊の主要な目的は、地下の発電施設を発見、停止させる事です。
 その出力からバグア製と思われる為、制御方法は不明。破壊以外の停止方法は選択できないと思われます。
 KVが侵入できる太い地下通路も、途中までは続いていると推測されますが、発電所自体への直接攻撃が可能かは不明です。

・第3フェイズの目的
 瀋陽の地下に潜入し、最後の発電施設を破壊してください。

<1.戦闘>
 KVに搭乗して地下に潜入します。生身の部隊の侵攻を支援するのが任務です。
 【地下潜入作戦】では描写上の主役は生身、AU-KVの参加者となります。
 場合によってはKV参加者の描写がない場合もございますので、あらかじめご了承くださいませ。
 なお、この選択肢に参加PCがいない場合には正規軍がこの任務にあたります。

<2.精鋭機対応>
 <1.戦闘>と同様に地下通路へ突入しますが、タロス等の新鋭機が出現した場合に優先的に対応します。
 【地下潜入作戦】では描写上の主役は生身、AU-KVの参加者となります。
 場合によってはKV参加者の描写がない場合もございますので、あらかじめご了承くださいませ。
 なお、この選択肢に参加PCがいない場合には正規軍がこの任務にあたります。

<3.歩兵戦闘>
 生身、AU-KVにて地表付近の確保された地区から更に地下へと潜入します。
 目的の発電施設に向けてのびている通路は大小さまざまです。
 多数の罠、キメラや強化人間による妨害が予想されます。

<4.後方支援>
 補給、整備、医療、救難などの後方支援任務です。
 広範囲を対象とした通信、管制、情報なども後方支援に含まれます。
 狭い範囲(部隊内、前線で目の届く範囲)での通信、管制、情報などの任務は歩兵戦闘や精鋭機対応の選択肢中でも対応可能です。
 直接交戦以外で、迅速な展開や制圧の助けになる事が期待されます。

<5.精鋭対応・歩兵>
 地下通路へ突入し、ゾディアックなどの強敵が出現した場合に優先的に対応します。
 この方面で遭遇を予想される著名な敵は、退却した甲斐・蓮斗とシェイク・カーンです。


入力締切は11月25日朝9時!
 プレイングを提出する
 


●重武装要塞都市・瀋陽の実態

 瀋陽は旧名を奉天と呼び、その名のとおりメガコーポレーション「奉天北方工業公司」の創業の地です。
 かつては本社機能や工場などもこの地にあり、都市そのものを対バグア兵器として運用する「対バグア要塞都市」構想によって都市計画を行っていました。
 これらはいずれもナイトフォーゲルの実用化以前のものであり、この都市に配備されていた「対艦弾道ミサイル」なども含めて、対バグア兵器の開発に試行錯誤していた時代の産物であると言えます。
 なお、奉天は瀋陽がバグアによって奪われる危険性が高まってきた時期に重慶に本社機能を移転して言います。


【瀋陽市街地・概要図】

より大きな地図で CTS‐地球SOS‐瀋陽解放戦 を表示


【瀋陽の長城】
 瀋陽を取り囲む大城壁です。約82kmの長大さを誇ります。
 高さは平均して20mの高さを持つ堅固なメトロニウム製の構造物となっています。
 内部は何層かに分かれており、多数の大砲や機銃、ミサイル発射筒などを備えています。
 最上層は高速道路となっていおり、緊急時には戦車や自走砲、自走対空砲なども配置する計画であったそうです。

 築城したのはメガコーポレーションの奉天ですが、現在はバグア軍が改良を加えて戦闘能力が向上しているといわれています。
 特にバグア対空管制装置である【アグリッパ】の設置も行われているとの情報もあり、瀋陽市街上空の防空態勢は鉄壁であると予想されています。


【武装内蔵ビル】
 ヘルメットワームとの市街地戦闘は、KV登場以前には今以上に苦しい戦いとなりました。
 狭い市街地であっても自在に動き回るヘルメットワームに対して、戦車などによる正面からの攻撃では対抗できないものでした。
 そこで奉天が考えたのが、兵装内蔵ビルです。
 高層ビルに偽装した武装プラットフォームを建設し、市街地に侵攻してきたヘルメットワームに対して奇襲を仕掛けることがコンセプトとなっています。
 この武装内蔵ビルについては、奉天陥落時に資料が紛失しており、どのビルが武装内蔵ビルになっているか、人類側からは判断がつきません。
 

<写真:武装内蔵ビル 奉天のパンフレット『世界一安全な都市・瀋陽へようこそ』より>


【巨大地下格納庫&通路網】
 瀋陽の地下には巨大な格納庫が存在している。
 これにより、戦車から戦闘機サイズの機動兵器(バグア軍ではヘルメットワームやゴーレム)を大量に格納、整備することが可能になっています。
 また、それらの格納庫をつなぐ地下通路網が互いに連絡できるようになっているのに加えて、市街地の各所にやはり偽装されたエレベーターや出撃用ハッチが設けられています。
 コンセプトはやはり市街地戦闘における奇襲攻撃であり、ヘルメットワームなどの死角からエレベーターで出撃した戦車部隊が一気呵成に攻撃を行うというものです。
 攻撃後は再び地下に身を隠して、別の出撃ポイントへと移動する。
 こちらも軍機故に設計データなどのバックアップが限られていた為、どこにどのような出撃用ハッチやエレベーターがあるのかははっきりしていません。
 バグア軍が増築している可能性も否定できません。

 また、地上と地下階層を隔てる装甲板は非常に分厚い為、KVの武装による掘削は難しいだろう。
 内部構造物自体はバグアが改良していない限りにおいては、破壊可能であると思われる。


<写真:出撃用エレベーター 奉天のパンフレット『世界一安全な都市・瀋陽へようこそ』より>

【バグア軍歩兵】 11/11更新
 歩兵といっても、強化人間やバグア兵であり、個々の戦闘力は能力者に匹敵、あるいはそれ以上です。
 瀋陽方面では武装に統一感があり、司令官の用兵の在り方が見えてくる。
 

 瀋陽の長城に潜入した部隊が交戦したバグア軍歩兵です。
 写真は強化人間が着用していると思われる黒いバグアスーツ。
 これ以外に青や赤が確認されているが、それらの色のスーツでは“中の人の形がおかしい”という目撃情報も得られています。
 瀋陽方面のバグア軍の中では、黒や赤はバグア自身が使うものであると思われ、“中の人の形がおかしい”のは中身がエイリアンタイプのバグアである為でしょう。
 いずれにせよ、こうした敵を見かけた場合、キメラとは比較にならない強敵であると注意してください。

【市街の民間人について】
 瀋陽においてバグアに支配される形で居住していた民間人は、現在はバグア軍の手により疎開させられている。
 営口市近郊において保護した民間人の話によると、あえて近親者をバラバラの疎開地へと連れていくものであったという。
 疎開と言えば聞こえはいいものの、ジャッキー・ウォンの悪趣味な実験の一つであるともっぱらの噂である。
 ただし、これは不幸中の幸いであろう。少なくとも民間人を気にすることなく、戦闘を行うことができるのであるから。


【イラスト : 上から平岡正宗、同上、彩樹】

●瀋陽方面の状況
 UPC軍発表、敵軍の数字には大きな誤差の可能性有
 味方情報に欺瞞や戦闘推移による誤差有

敵戦力
・バグア再侵攻軍
 極東ロシアに向けて、北上していましたがハルビンの防衛部隊を残して瀋陽に転進。
輸送艦(ビッグフィッシュ)× 60〜100
小型HW× 200〜400
中型HW× 100〜250
大型HW× 80〜200
本星型HW× 40〜100
陸上ワーム× 300〜
タートルワーム× 100〜
レックスキャノン× 300〜
アースクエイク× 30〜
キューブワーム× 200〜
ゴーレム× 150〜
キメラ× 20000〜(計測不能)


・バグア軍瀋陽防衛部隊
 シェイク・カーン直轄部隊
 強化人間、バグア兵による有人機の比率が高いと思われる。
輸送艦(ビッグフィッシュ)× 120〜300
小型HW× 300〜600
中型HW× 200〜550
大型HW× 80〜250
本星型HW× 40〜100
陸上ワーム× 1400〜
タートルワーム× 1400〜
レックスキャノン× 100〜
アースクエイク× 100〜
キューブワーム× 500〜
ゴーレム× 250〜
キメラ× 3000〜
アグリッパ× 3〜12
タロス× 300〜

・別方面からの援軍の可能性アリ。
 確認され次第、情報を追加する。


味方戦力/情報欺瞞の為、情報誤差あり
・UPC東アジア軍(アジア各方面から増援の予定)
J-11H× 1000
J-11C× 1500
J-10B× 3000
J-7改× 200
F-16改× 100
F-CK-1改× 80
99式戦車改× 25000
バチューシャ× 20
サイレントキラー× 150
エピメーテウス× 30
UPC艦艇多数
ナイトフォーゲルS-01× 30
R-01× 60
H-114× 100
HA-118× 100
LM-04× 80
F-108× 20
H-223A× 200
H-223B× 200
陸軍・機械化師団(兵員数)× 400000

・UPC極東ロシア軍(ハルビン方面展開)
Mg-21-92× 47
Mg-31× 150
Mg-29× 280
Su-27× 400
Su-27SM× 24
Su-30MK× 10
Su-37× 2
T-80UM2× 50
T-72BM× 150
T-90S× 70
バチューシャ× 20
Ka-5× 20
M-28N× 40
M-24VP× 500
旋龍× 100
ナイトフォーゲルPT-034× 112
PT-054× 90
PT-054K1× 10
H-114× 42
H-223A× 30
陸軍・機械化師団(兵員数)× 200000


・UPC援軍(中国以外の東アジア軍、戦略軍、特殊作戦軍など)
F-15GJ× 500
Su-27SM× 24
Su-30MK× 10
旋龍× 100
エピメーテウス× 100
ナイトフォーゲルXA-08B× 112
XF-08D× 70
XF-08B× 50
GFA-01× 30
GFA-01S× 10
H-114× 52
H-223A× 70
その他KV混成× 130

●瀋陽の軍団

●中国〜瀋陽バグア司令部
「個人的には、いまグレプカを使うのは早すぎたと思うがね。あれは万一地球人がこちらの手に負えなくなったとき、最後の『保険』にするつもりで計画したものだったが」
 空間投影式モニターの中で、カメル基地の司令官席に戻ってくつろぐシモン(gz0121)がいう。
「――まあウォン統治官を通しての要請とあっては、私も断れんが」
「いいえ、あの砲撃は効果甚大でしたわ。古代ギリシアの王ディオニソスは廷臣ダモクレスに王の権力と隣り合わせの危険を知らしめるため、糸で吊った剣の下に座らせたといいますが‥‥今のUPC上層部の連中は、まさにダモクレスの心境そのものでしょう」
 口許に手を当て含み笑いを浮かべつつ、シェイク・カーン(gz0269)は答えた。
「これで奴らは天空からの劫火を怖れ、地上部隊を集中運用することができなくなることでしょう。後は分散した部隊を各個撃破していけば良いだけです」
「それは結構だが‥‥グレプカ自体、まだ試作段階だという事を忘れないで欲しい。砲身の冷却や遠隔制御による反射衛星の角度調整など、まだ色々と問題があってな。短時間の連射はできないし、命中精度もいまのところ大規模な固定目標に命中させるのが精一杯だ」
「狙って当てられないなら、あたる場所に敵をおびき寄せるまでです。それに、もともとあなたのいうように『保険』なのですから、その存在の誇示することの意味のほうが大きいのですよ」
「そうあって欲しいものだな。では、必要ならば発射を要請してくれ。貴官が中国占領地域の新司令官に就任する朗報を楽しみに待っているよ」
「ご協力感謝しますわ、シモン司令。そしてウォン統治官にもよろしくお伝え下さい」

 通信が切れると共に、画面は中国東北部から極東ロシアにかけての戦況を示す戦略地図へと切り替わった。
 シェイクの顔から笑みが消え、冷ややかな無表情で眼鏡を光らせながら、じっと画面を見上げる。
「とはいえ‥‥遼東半島に橋頭堡を築かせてしまったのは失策ですね。あのエミタ・スチムソン(gz0163)達が『人類に絶望を与えて成長を促す』などとつまらないお題目さえ唱えなければ、グレプカで半島ごと消滅させてやったものを‥‥」
 バグア的合理主義者であるシェイクにしてみれば、地球人とは有益な生物資源であり、有り体にいえば「家畜」である。家畜は慎重に管理し、バグアの指導のもと優良種として育成するのが最も効率的なのだ。
 かつてバークレーがインドのある町を威嚇射撃で壊滅させるのに反対したのも「無意味で非生産的な破壊」だったからに過ぎず、逆にいえば合理的な必然性さえあれば、人類側都市の一つや二つ地上から消し去るなど、彼女にとって何ほどのこともない。
「まあグレプカの存在でUPCも自らの無力さを悟ったことでしょうし‥‥あとはしぶとく抵抗する連中をいかに効率的に『間引く』かの問題ですね」
 そしてしばし考えこむ。
 現在の状況にあって、優先すべきはやはり瀋陽の防衛だろう。
 できればこの機会に極東ロシアも占領したかったが、こちらの方は引き続き「雷公石」による通商破壊を繰り返せば、いずれ訪れる冬将軍が開拓者達を更に疲弊させてくれるに違いない。そして瀋陽攻略部隊を退けてから、じっくり料理すれば済む話だ。
 ここで焦っては、バークレーの二の舞を踏むことになる。
 アジア圏総司令官のジャッキー・ウォンは同じバグアから見てもどこか捕らえ所のない人物であるが、少なくとも性急に即物的な戦果を要求するタイプではないようだ。
 つまり、別に大勝利を得る必要など無い。今はただ瀋陽を守りきれば、あとは熟した果実が落ちるがごとく、自ずと戦略的勝利が転がり込んでくるのだから。
「ロシア方面への北上はひとまず中断し、瀋陽に兵力を集結させましょう。重武装要塞都市・瀋陽、せいぜい利用させてもらうわ」

 シェイクが護衛の兵を引き連れ、瀋陽地下の巨大格納庫のキャットウォークに出ると、眼下には従来型のワーム・ゴーレムはむろんのこと、新たに配備された量産人型ワーム「タロス」多数を含む軍勢が、彼女の出撃命令を待って整然と待機していた。
 無人機の比率は小さく、有人機用に幾分だがチューンされた機体が多い。
 前衛は強化人間を主軸とした部隊、その後衛に若いバグア達の部隊が並んでいる。
 前衛の強化人間達は、バークレーの元にいた頃から集め続けてきたヨリシロ候補、優秀な家畜達である。
 後衛のバグア兵の多くはまだ地球で適当なヨリシロを見つけられず、シェイクが率いる遊撃隊メンバーと同じく様々な形態をとったエイリアンタイプだった。シェイクが優秀なヨリシロを餌に自らの勢力に組み込んできたバグア達である。
 これこそ待ち望んでいた光景。長らくバークレーのお目付などと不遇をかこっていた彼女が、初めて自分の集めてきた人材達を、己が軍団として意のままに動かせる立場についた。
「‥‥ステアーやシェイドによる個体依存の戦いはもう終わりです。そんなものに頼らずとも、適切な戦力に適切な戦術を合わせればよいのです」
 ゾディアックのような飛び抜けた実力者は、この軍団にはいない。だが、かつて人類が対峙した、どの大規模作戦よりも有人機の数は多いだろう。
 彼女がバークレーのもとにいた頃から集め続けてきたヨリシロ候補達。
『この戦いで生き延びた個体にはヨリシロとなる栄誉を授けましょう!』
 長い雌伏の時が終わった歓喜に胸を膨らませ、バグアの女司令官は母星語で叫ぶ。
『――そして、この戦いで戦果をあげた同胞には新たなヨリシロを!』
 母星語を解するバグア兵達の間から、一斉に歓声と雄叫びが上がった。
 一方、彼女の言葉を理解できない強化人間達は一瞬戸惑いを見せた後、とりあえず後衛のバグア兵に合わせて拳を突き上げ、ぎこちなく気勢を上げる。
 その様子がひどく滑稽に思えて、シェイクは甲高く笑い声を響かせた。