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シェイド討伐戦

●ロサンゼルスの状況
 ――2008年11月
 能力者の協力もあり、遂に完成形にまで至ったユニヴァースナイト弐番艦(以下、UK2)。
 また、UK2のパーツ輸送を巡る戦いの最中、ゾディアック旧山羊座のジャック・スナイプ討伐など、当時のUPC北中央軍の挙げた成果は、目覚ましいものであった。
 このこともあり、勢いづいたUPC軍と北アメリカの人々は、「次はバグアに奪われた失地の奪還を!」と唱え、遂に北米軍を中心に作戦が練られることとなる。
 そんな時、ヨーロッパでグラナダ攻略の動きが高まり、そちらへ注目せざるを得ない状況になった東海岸側の北米バグア軍。
 これを好機と見たヴェレッタ・オリム大将(当時、中将)は、UK2を用いた失地奪還の目標を『ハリウッド(=ロサンゼルス)』と定めるのだった。

 当時、ロサンゼルスはバグアの侵入を許してしまっていた競合地域であり、完全なバグア支配地域ではないものの、競合地域であるが故に、ハリウッドで映画が作成できない状態であったことは記憶に新しいだろう。
 しかし、建国から200年余りという歴史の無い北アメリカにとって、映画は他国民では想像出来ない程重要な存在なであり、北アメリカの数少ない『歴史』ですらあった。
 そのことからも、失地奪還が北アメリカ人の士気を大いに高めると言う点については、想像するに容易い。
 こうして、現在に至るロサンゼルスの平穏を取り戻したのが、ロサンゼルスからバグアを掃討し、ハリウッドの映画製作を取り戻した『Hw(ハリウッド)奪還作戦』であり、これが開始されたのが2008年11月の中旬であった。

●Hw奪還までの経緯
 さて。まず、本作戦を語る上で多くの傭兵諸君に予備知識として知ってもらう為にも、Hw奪還までの経緯を記すとしよう。
 閲覧者のうち、このHw奪還作戦には直接関わった者も多いかもしれないが、再び振り返ってもらえると幸いだ。

 当時、ハリウッド奪還の為計画された主な作戦は、『リッジウェイ中隊による橋頭堡作成(*1)』、『サンディエゴ防衛ライン形成』、及び『ロサンゼルス市街地バグア掃討作戦』の3本柱であった。
「傭兵の数が不足しているだと? ふん、不足しているのはバグア側とて同じだ。可能な限りかき集めてこい!」
 グラナダ攻略作戦とほぼ同時並行して行われた本作戦。さすがに大きな戦場が2か所に分かれた影響は大きく、初期の段階では満足なスタートを切ったとはいえない状況。
 しかし、橋頭堡作成の指揮を直々に執ったヴェレッタ・オリムの貢献もあり、その作戦は除々に形を見せてくることとなる。


「橋頭堡‥‥あれに攻撃が及ばないようにしないとね」

 Hw奪還の為、最も重要視されていた依頼。それが、リッジウェイ中隊による橋頭堡作成だ。その中でも、特に激戦を経験したのが、獅子座ルウェリン・アプ・ハウェル率いる舞台と激突した者たちであろう。
 よもやFRが出現するとは思いもしなかった参戦者も多く、赤い殺翼との熾烈を極める戦闘では、その第2次的被害として、一般人8人程の犠牲者を出してしまうこととなる。
 が、ここで注目すべきはこの8人と言う数であった。数多のKVを鉄くずに変えてきたFRを相手に、結果として犠牲者の数を1ケタに抑え、本命の全長数キロに及ぶ巨大橋頭堡は、 何と約数十メートルの被害しか出さぬ程。
 消耗戦となりつつも、FRを錬力不足へと導き、橋頭堡への爆撃を一度だけに留めた傭兵達には、紛れもなく『作戦成功』が垣間見えた瞬間であっただろう。
 また、この橋頭堡作成はその重要性からも、先述したようにオリム当時中将が率先して関わっていた作戦でもあった。普段は傭兵に厳しく接する彼女だが、傭兵の頼もしさを再認識する結果と無事なったのではなかろうか。


「FRもあんたも残しておけば多くの命が失われる。だから刺し違えてでも墜としてみせる!」

 次に、サンディエゴ防衛ライン形成についてだが、こちらは主に最前線での衝突と、その周囲におけるバグア勢力との対峙が顕著であった。
 橋頭保とメキシコバグアの基地を挟み、互いにぶつかりあう場所となっていたここサンディエゴ。
 ジェームス・ブレストも参戦した防衛ラインの最前線より後方では、撃ち漏らしを掃討する部隊が展開。前線と後方による壮絶な火力合戦は、サンディエゴの大地に数多の血を流すこととなる。
 また、このサンディエゴ近郊において、UPCに大きな衝撃を与えたのが、現蠍座エヴァ・ハイレシスの誕生だ。
 該当作戦で確認される前から、度々人類側にその姿を見せてはいた彼女。しかし、エヴァがFRに搭乗した姿が目撃されたのはこれが初めであり、操縦が拙なかったとはいえ、本来のFRの制圧力を再確認させるには十分なものであったろう。
 然しながら、結果として終わってみれば、防衛ラインでは何機かのHWの逃亡こそ許したものの、FRは撃退、ステアーとは痛みわけと、後の作戦に向けて確実な一歩を踏み出す成果となるのだった。


「魚座‥‥何という傍迷惑な! 絶海の孤島に塔を築く位の甲斐性を持て!」

 橋頭堡作成、サンディエゴ防衛ライン形成。どちらも大切な作戦だが、やはり人類側がハリウッドを奪還する為に避けては通れぬ道。それが、ロサンゼルス市街地のバグア掃討である。
 ここでは、魚座アスレードを始め、敵新勢力トリプルイーグルが1人、アルゲディの出現など、他戦場区域に勝るとも劣らない激戦区となっていた。
 ゾディアックの中では生身での目撃も多いアスレードだが、該当作戦中にも生身での登場となった彼。最終的に体力の消耗した能力者達を後に、不気味な笑いと共に消え去った彼は、現在でも最大レベルで警戒が必要とされている人物だ。
 また、作戦の微かな綻びを突き、依頼遂行中の傭兵を重傷においやったアルゲディ。彼らトリプルイーグルの動向も、現在ゾディアックと並行して目下調査中とのことである。

(※1)交通路を連絡する架設構造物を援護する為、その前方及び必要個所に建設する、陣地ないし拠点のこと。

●Hw奪還を経て
 上記の流れを振り返り、改めて当時のHW奪還作戦が如何に熾烈を極めたかについては、想像に容易いだろう。
 だが、それでも粉骨砕身の勢いで任務を遂行した傭兵達。全作戦が終わってみれば、結果的にはどれも一定以上の成果を収め、Hw奪還への成功に多大な影響を与えたことは、言うまでもない。
 そして――2008年も終わりへと向かい始めた頃。
「諸君らに嬉しい報せだ。我々は、遂にハリウッドの解放に成功した! 今は勝利の美酒に酔いしれるが良い。UPC北中央軍を代表して、諸君らの働きに感謝する!」 
 高らかに告げたヴィレッタ・オリムの一言は、戦いに傷ついた傭兵達の指揮を奮い立たせるには十分なものであった。
 そう、主砲に対衛星砲SoLC(自由の女神砲)を据えるUK2も参戦したハリウッド奪還作戦は、遂にUPC本部から成功の2文字が掲げられたのだ。
 この現実を突き立てられた北米西海岸のバグア勢力は、止むなくサンディエゴ方面へ後退。UK2もロサンゼルス空港を拠点に待機することとなる。こうして、人類はハリウッドの大地に、再び自分たちの旗を突き立てることに至るのだった。

  ――しかし
 時は流れ、2009年6月。UPC北中央軍は、五大湖解放へ向け再び軍を動かすことになる。
「忌々しい人類どもめ‥‥。やはり此処を押さえんと欲するか」
 競合地域からそう遠くないものの、一応の平穏を取り戻し、映画撮影なども活発に行われている最中にあったハリウッド。
 だが、今回の大規模作戦の準備に伴い、ここロサンゼルスからも兵力が割かれることになっていた。
 しかし、これにより懸念されるのが、バグア側からのロサンゼルスへの再侵攻である。
 と言うのも、ロサンゼルスは中米のバグア軍、及びエミタ・スチムソンのシェイドに狙われているという経緯があり、戦力が空白化してしまえば、その隙をエミタが見過ごすとは思えないからだ。
 これに伴い、ロサンゼルスには民間人の疎開勧告が出され、『傭兵に対してロサンゼルス防衛の任務が命じられることとなった』本作戦。
 おそらくロサンゼルスに限れば、その編成は過去のどの大規模作戦よりも、傭兵中心のものとなってくるだろう。
「全傭兵に告げる。何としてでも我々人類の領土を護りぬけ! 都市一つの防衛をお前たちに全面的に任せるのだ。何としてでも期待に応えてみせろ!」
 かくして、再びヴェレッタ・オリム大将を始めとしたUPC北中央軍を中心に、血で血を拭う争いは北米大陸にて胎動を始める。
 幾度もの戦火を経て、最後にかの大陸に足をつけることを許されるのは、バグアと人類、果たしてどちらになるのか。
 覚悟が出来たものから歩みなさい。漠々たる道に続く勝利を得る為に、『War ofindependence』、作戦開始――

執筆 : 羽月渚