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●ロシア全体の戦況
ロシア国内の利用価値のある都市や施設はバグアの占領下にあります。
ただし、広大な国土に都市や街、施設が点在しているロシア、とりわけシベリア以東においては、占領地域や競合地帯に分類されていてもバグア軍が必ずいるわけではなく、小規模な部隊が点と点を結ぶ形でそれぞれの拠点を占領しているにすぎません。
このため、競合地域にも人類側の拠点は存在し、各地の拠点をめぐる攻防を繰り返しています。
この状況は昨年、傭兵達によって輸送任務を兼ねたロシア横断偵察の際にも確認されています。
ロシア軍主力はモスクワを守る形で配備されており、ウラジオストック付近にはロシア極東軍が展開しています。
極東ロシア軍は、ロシア中央部をバグアに占領された事から補給が断たれ劣勢にあります。ロシア軍を母体としたUPC軍はバグア軍の中東迂回軍の攻撃を受けて分断され、モスクワ周辺を防衛する本国軍と極東に展開している極東軍に分断されてしまいました。
現在、ロシア中央部の要所はバグア軍の占領地域になっており、東西の連携は完全に分断され、連絡も他国経由でしか行えない状態です。
極東軍は補給が途切れて日干しになり、本国軍は大出血しつつ、モスクワ方面にじわじわと押されているという、絶望的状況です。
特に本国側においては、バグアの陸上戦艦による攻勢が強くなっています。
●極東ロシアの実情
広大な永久凍土に包まれた酷寒の極東ロシアは3月にはいっても氷点下10度以下を平均最高気温とする地域が多く見られます。
街や鉱山などの施設は各地に点在するのみで、人口密度は極めて低い地域です。。
それはバグア軍についてもいえることであり、小規模な部隊が点在する街や施設に駐屯し、相互に点と点と結ぶことで支配地域、ないし競合地域を形成しています。
今回の情報がもたらされたサハ共和国付近は、冬季の降水量が少ない為、積雪は多くはありません。
首都ヤクーツクにおいて3月の平均最高気温が氷点下14度、最低気温は−27度達します。
今回の情報にあったウダーチヌイに至っては−15度から−34度にも達します。
能力者であっても、防寒の備えが重要になってきます。
この地域における交通は主として空路によるものが多く、点在する街には空港が存在しているケースが多くあります。もっとも、それらの空港の多くはバグアによって占領、ないし破壊されていることでしょう。
空路に次いで、河川の利用が重要な交通手段となります。夏季には水路として船が多く利用され、冬季は凍結した河川が幹線道路として機能します。
この地域にはダイヤモンドをはじめ、様々な地下資源が眠っており、まったくの手つかずの資源があるとも言われいます。しかし、永久凍土での採掘には高い技術力が必要であるうえに、バグアとの競合地域が多いことから、現在操業中の人類側施設は人類側勢力圏のごく一部に限られています。
●プチロフ社 ※3/17更新!
ロシアのメガコーポレーションであるが、正確にはロシア南部にある巨大な軍事工場群の総称であり、『プチロフ工業地帯』とでもいうべきものである。
本来「プチロフ」はひとつの工場名に過ぎない。しかし、この工場群からの兵器輸出を取り仕切る企業はわかりやすさからプチロフを看板としている為、メガコーポレーション「プチロフ社」のイメージが定着している。
この工場での労働環境は劣悪を極めているといわれている。それと引き換えに生産力は工業の心臓部を失ったアメリカの失速もあって世界最大になりつつある。そして、それがロシアや途上国での戦線を支えているという事実が存在する。
生産される物品は粗製乱造の代名詞だが、もともと設備の統一されない精度もまちまちな諸工場での生産を考えており、構造の簡素化や工数の削減で雑な使用や整備にも耐えるようなつくりのものが多い。
劣悪な環境においても確実に作動する、それがプチロフ製のクオリティである。補給の滞っている極東ロシア戦線の抵抗は、同社の存在抜きでは語れない。
一方で英国王立兵器工廠のワイバーン開発時に提供したIRSTなど、少数ながら高品質の製品も生み出している。
現在、プチロフ社が開発したナイトフォーゲルは複数機種が存在するものの、多くはロシア国内の正規軍、ないし途上国のパルチザンなどに供給されており、傭兵向けのリースには供給されていない。
これは傭兵の戦闘参加スタイルが理由となっている。ラストホープで手厚いKV運用体制の支援を受けることでき、世界各地の各戦線の必要に応じて派遣される短期任務の多い傭兵にとって、劣悪な運用環境での稼働率を売りとするプチロフ製KVの重要性は薄いとのULTの判断があったとされている。
もっとも、それは表向きの理由であり、プチロフ独自の経営方針や政治的な思惑が強く存在したこともまた事実である。
今回、極東ロシアにラインホールドが移動したことで、この地域が大規模な作戦が展開することは避けられない情勢である。
現在、ロシア本国軍はモスクワ方面でのバグア軍による攻勢が続いており、援軍が出撃できる状況にはない。極東ロシア軍自身もバグア軍の侵攻により、本国からの補給路を断たれて疲弊気味であり、北米や北極経由のほそぼそとした補給でどうにか勢力圏を維持している状況である。
ロシアが今回の極東ロシアの危機に単独で対処しきれないことで、人類全体の危機を理由にUPC北中央軍がロシア軍を含むUPC北方軍に対して大きく介入することは避けられない情勢となっている。
プチロフではこの状況を、自社が独占している現在の兵器市場に対する重大な危機と感じているが、一方でこれを機会に市場拡大に打って出るべしとの意見も強くなっており、ULTへの武器供給などが盛んに検討されている。
プチロフ社のナイトフォーゲル
・PT-034ナーシャ
プチロフ社が開発した初期のナイトフォーゲル。
性能はR-01よりも劣るが、悪条件下のメンテナンスであっても稼働し要求通りの性能を発揮する。また、機体そのものも操縦に癖のあるR-01よりも取り回しやすく、十分な訓練を行っていないパイロットであっても使いやすい。
まさにプチロフ社の特性を体現したような機体で、極東ロシアをはじめ、途上国のパルチザンや民兵によって運用されることが多い。
R-01、S-01を標準運用している傭兵にとっては、岩龍のような特殊機能を持つ機体でもない為、特殊な状況でもない限り搭乗する機会のない機体であると思われる。
しかし、極東ロシアにおいては戦友として肩を並べる可能性が高いだろう。
<写真 : 雪原で作戦中の能力者。能力者といえども防寒具は必須となるだろう>
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