バレンタイン中止のお知らせ
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作.加倉祭


※この4コマはフィクションです。
 
バレンタイン中止のお知らせ

●えらいひとの事情
 UPC本部、作戦会議室。
 スクリーン一杯に提示される戦況を一目見て、オリム中将は思わず感嘆した。
「ほう。これは‥‥」
 続けて唸るブラッド准将。他の将官達も、口々に感想を呟く。主な武器はハリセン、エアガンの類とはいえ、バレンタイン・チョコレートの争奪戦は一種模擬戦の様相を呈している。
 推進派、中止派共に死力を尽くし、あの手この手で目的達成を目指しているのだから、白熱するのも当然と言えば当然だ。
 ただ問題は――
「しかし、圧倒的ですね」
 ブラッド准将の言葉に、オリム中将が頷いた。
「人数の差もあるのだろうが‥‥作戦的にも推進派の方が一枚上手のようだな」
 表示される戦況に続けて、次々と戦闘の様子が映し出される。
 個人的な技量を含め、一部では中止派が優勢となった箇所もあるが、基本的には推進派有利だ。二人が述べた通り、人数差だけに拠らない圧倒的な勝利と呼んで良いだろう。
 唯一中止派が優勢を占めたのは、図書館における中止派の攻撃に関してのみ。
 それにしたって、推進派による攻撃も成功している訳で、図書館全体で言えば引き分けである。
「お茶が入りましたのー」
 がちゃりとドアを開くのは、今回のイベントを提示した背の小さな青色ツインテール。彼女はてきぱきと茶を並べると、会議室の様子を確認して、こそこそと退席していく。
 湯飲みを手に、モニターを眺める将官達。
「まぁ‥‥今のところ、良いストレス発散になっているようだが」
「重大な問題も起こっておりませんしな」
「おおむね、ルールも守られています。大丈夫でしょう」
 ま、死人が出たではなし、バグアが何か仕掛けてくる様子も無い。下手に関わって痛い目を見る事もあるまいと将官達は乾いた笑みを浮かべた。
 一方、ブラッドとオリムは二言三言、感想を交わしたが、それ以上特に喋るでもない。
 やはり、根が軍人なのか。
 チョコの行方も程ほどに、それよりも双方の作戦や、個々人の戦法が気になって仕方が無いらしい。ただ、チョコを巡る大騒ぎを真面目に観戦している様子は、傍目には何だか可笑しくも見えた。


●フィールド某所
「シット! ここまで差が付くとはな!」
 バリケードの裏から弾幕の向こう側を覗き込み、傭兵が嘯く。
「ここを突破されたらおしまいだぞ。こんな事なら推進派に賭けるんだったぜ」
「ばか。まだ後半戦が残ってるわ!」
「そうよ! 戦う気の無い奴は私のケツでも舐めな!」
 口々に気勢を上げてはみるものの、中止派の旗色はどうにも悪い。殆どの傭兵は、辛うじて確保している拠点に立て篭もるか、散り散りに逃げて推進派をかく乱するので精一杯であり、起死回生の一手が無ければ、このままジリ貧だ。
 ある者は恋人達への嫉妬から、またある物は世界中の子供達にチョコを配る為。まだ膝を屈する訳にはいかない。
「俺‥‥このイベントが終わったら――」
「ばっ、それ以上言うな! やめろ!」
 こうなると、玉砕覚悟の突撃か、奇襲中心のゲリラ戦か――いよいよ追い込まれている。戦況がこのまま推移すれば、敗北も時間の問題だった。
 一方、ダンボールのバリケードを睨みつける、推進派の傭兵達。
 一部では獅子奮迅の活躍を見せた中止派傭兵が居たとの話もあって、優勢ではあっても、油断や隙を見せる様子は無い。
「油断してはいけません。私達が優勢とは言え、相手は同じ傭兵です」
「その通り。奴等の強さは俺ら自身が良く知っている」
 しかし、優勢を優勢として生かせぬでは傭兵の名が廃る。何より彼らには、バレンタインを楽しむだけの心の余裕があった。
「どうする? やるか?」
「寡兵とはいえ、強行を仕掛ければこちらもタダでは済みません」
「何を言う。この勢いを殺す必要は無い!」
 勢いにのって一気に畳み掛けるべきか。それとも、有利であればこそ慎重に行くべきか――有利である事に変わりないとは言え、悩ましい。そしてまた、一部傭兵は日和見を決め込みつつも、参戦すべきタイミングを伺ってもいる。
 よしと、推進派の指揮官はメガホンを手にする。
「貴様らは完全に包囲されている。もはや活路は無い。諦めて投降しろ。義理チョコぐらいはくれてやる」
 無言のバリケード。
 返事は、頬を掠めるBB弾だった。
「‥‥素晴らしい答えだ。ならば容赦せん。義理チョコ弾装填。男の娘隊、前へ!」
 その言葉を耳にして、中止派の傭兵達は、バリケードの中で拳を握り締める。
「奴等、もう勝った気でいやがりますね」
「らしいな。では教育してやるか」
 指揮官が、立ち上がった。
「これより敵中突破を企図する。上官命令である。死ね! 死んで、一人でも多く本隊に合流しろ。バカップル共に正義の鉄槌を! 突撃!」
 号令一下、数に劣る中止派がバリケードを蹴破り、一斉に突撃を開始する。
 争奪戦の行方は、まだまだ予断を許さぬ状況にあった。


●踊る傭兵見る傭兵
「おぉっと、静寂を破る突然の衝突ゥ!」
 マイクを掴んだ傭兵が、口角泡を飛ばして叫ぶ。
「派手になってきましたね〜」
 たったと走ってくるや、勢いよく解説席へ飛び込むロッタ。今までどこへ行っていたのやら。他にも、大勢の傭兵達が解説やアナウンサーとして推移を実況し、実況席周辺では、傭兵を中心としたスタッフが駆け回る。
 結局のところ世の中というものは、何だかんだでバランスが取られているもので、馬鹿騒ぎに巻き込まれるのは嫌いでも、観戦するのは大好き、という者は多い。それに、単なる祭りとのんびりするのも悪くない。
 勝負も程よく盛り上がってきた。
 今こそ掻き入れ時。
 いたいけなカモどもから、ありったけの金を巻き上げるのだ。
「えー、ホットドッグに焼きそば、ポップコーンはいかーっすかー!」
「新設の観客席だよ! 恋人割引も利用してね!」
「さぁさぁ、中止派の勝利に賭けるヤツは居ないか! 今なら配当は――」
 観戦席で響く、物売りの声。
 彼らはどこからともなく沸き出ては、観戦者を相手に軽食を裁いて行ったかと思えば、仮設ステージを準備してコンサートまで開く勢い。
 拍手すら送りたくなるほどのしたたかさだ。
「お嬢ちゃーん、こっちはサイダーみっつ」
「はぁーい」
「おぉっ、押し返したぞ!」
「やっぱ作戦勝ちだよね〜」
 傭兵達は準備された仮設カフェやら、観戦席やらに陣取って、彼らから軽食を買いつつ、直接、或いはモニター越しに競技の様子を眺める。客層は恋人同士から独り身、老人子供と様々で、観戦で盛り上がる者達も含め、争奪戦喧騒どこ吹く風で結構優雅。
 もちろん、彼らの中には、売り上げを募金に充てようと目標を立てている者や、あるいはイベントへの興味がそもそも無い真面目な者達もいる。
「しかし、けっこう一方的だなぁ」
「この勢いなら、もう決まったよーなもんかな?」
 大勢の戦況を見れば、やや盛り上がりに欠けるかもしれない。
 もちろん、このバレンタイン・チョコレート争奪戦は元々、大事になるぐらいならとレクリエーション化させたもの。盛り上がらねばならない必要も無いのだが、しかし、折角なら白熱したほうが良いと思うのもまた人情。
 残るは後半戦だ。はたしてこのまま推進派の圧勝に終わるか、或いは中止派が巻き返すか‥‥
「さぁ、これで○時間経過! いよいよ盛り上がってきたぁ!」
 アナウンサー席の傭兵が机の上に立ち上がる。
 嫉妬と愛とお気楽と。
 闇鍋同然の激戦は、いよいよ後半戦に突入した。


●第2フェイズの概要
勝利条件:チョコレートを自チームの陣地に、より多く運びこんだ側の勝利
 チョコレートは各フィールドに1個ずつ存在し、合計で3個存在する。
  推進派陣地 ULTショップ
  中止派陣地 港(チョコレートを運んできた輸送船)
チョコレートの外見:ひと抱えほどある段ボール状の容器
 多少のことでは潰れない頑丈な素材が使われ、ハートのマークが描かれている。

●第1フェイズの報告
広場‥‥推進派が広場中央部、ならびに周辺の要所の占拠に成功。
  広いだけでなく、噴水や階段、周辺の林など地形の変化もそれなりに多く、
  陣取りに勝利した推進派はこれらの地形を積極的に利用可能である。
図書館‥‥両派の熾烈な戦いの末、両派共に重要部分の占拠に失敗。
  3ヶ所のフィールドの中でもっとも入り組んだ地形をもっていた図書館。
  ここを占拠した側は圧倒的なアドバンテージを得ると思われていたが、
  状況はイーブンである。
ドローム社‥‥激戦の末、推進派が滑走路中央部の占拠に成功。
  滑走路であるので、これといった遮蔽物がない広く平坦なフィールドである。
  その為、この場所の占拠による地形効果は薄いが、
  最初にチョコレートを確保できる推進派の有利には違いない。


OP執筆 : 御神楽
Event illust : 竜生真希



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