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●新型ワーム、その姿
それは、巨大なキノコと言ってよかった。
形は、巨大なキノコを機械化したようなもの‥‥と言って良いだろう。
バグアの兵器は、この巨大キノコに限らず、生体兵器‥‥と言って良いものだが、今回もまた、そのようなものに近かった。
傘の部分に黄色い小型アンテナが複数生えており、傘を閉じたベニテングダケと言った風情である。
彼らは、北半球を中心に飛来してきた。気温が下がったのは、さほど影響はないかもしれないが、ちょうど重なる時期に、空から舞い降りて来たのだ。
人々は最初その存在に畏怖した。だが、キノコからは何も仕掛けてこなかった。戸惑いはあったものの、そのうち人々はただのオブジェとして認識した。その事件が起きるまでは。
ある日、UPCの調査員が、やってきた。明らかにバグアの品だと思われるそれを調べるのは、UPCでもULTでも同じである。
結構な力を持つサイエンティストだと聞いた。その彼が、連れてきた部下達と共に、調査用らしき機械を持って、キノコに近づいた瞬間、そのキノコが動き始めたのだ。
戦闘が、始められたように見えた。研究員達が、警戒して銃を抜き、それと同時にキノコから細かい胞子のようなものが撒き散らされる。それは、研究員達の機器、銃器の周りを漂った。まるで、本物の胞子のように。
そして、刹那。
研究員達が向けた銃の相手は、味方であるはずのお互いの身だった。ただのまやかしならば、一発撃てば収まるはずである。だが、一向に同士討ちをやめない。そう‥‥怪我をしたとしても、目を閉じていても。
こうして、彼らが重傷を負い、そして相手もまた倒れ、満足げな笑みを浮かべながら地面に倒れ伏した時、ようやく傘は閉じた。そして、止めとばかりに、その先端部分が青白く光る。まるで、それが役目だといわんばかりに。その直後、記録用カメラが破壊されていた。
回収された彼らは口々にこう言った『まるで相手がバグアの研究員に見えた』と。
その後の傭兵達による調査の結果もあり、この幻覚は、視覚にのみ介入すること、胞子によって何らかの影響があることなどが明らかにされた。
この結果、UPCはこのキノコをバグアの新兵器として認識。マインドイリュージョナー‥‥略称MIと名づけ、警戒するよう呼びかけた‥‥と言う。
<写真:マインドイリュージョナー>
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