ナイトフォーゲル VS COP

戦闘能力を比較

 兵器であるKVの本懐である戦闘力の比較だ。
 COPKVの性能はベースとなったKV本体の性能に上乗せして、最適化された武装、機体を大幅に再設計した「COP規格」が適用され、その性能は高い。
 一方の通常KVの戦闘能力は装備変更が可能な柔軟性がある。依頼に適した装備はカタログスペックを超える性能を与えてくれる。
 また、COPKVの固定兵装はゼカリアの主砲などよりも、密接に機体と一体化している。この為、未来科学研究所ではマッドな実験踏み込んだ強化が出来ない。うっかりすれば機体ごとくず鉄になりかねない。
 具体的にはCOPKVの武装は補助アイテムを使って強化することができず、COPKVの装備は強力ではあるが早い段階で強化の限界を迎える。
 成長性と多様性、戦術レベルでの戦闘能力は、どうやら通常のKVに分がありそうである。
 ただし、金欠気味の正規軍にとっては多様な武装も、高いレベルの改造も無縁の存在であるので使い勝手のよい機体という意味で、戦略レベルの戦闘能力ではCOPKVに軍配あげたい。

乗り心地

 この項目にデジャヴを感じる方は本誌の古い読者様であろう。そう、リッジウェイとM1戦車を比較した時にも乗り心地の検証は行ったのだ。
 乗り心地は相変わらず大事なんです!
 さて、その乗り心地であるが、COPKVの乗り心地ははっきり言って悪い!
 コスト削減戦闘能力に重点を置いている為で、与圧は低めに設定され、エアコンはパイロットより内装品保護を重視、といった具合。搭乗にはパイロットスーツの着用が必要だ。コクピットそのものも新たに搭載された機材で狭苦しい。
 一方の通常のKVは、その気になれば普段着でも搭乗可能なレベルは旅客機並みの快適さ。これは特別な訓練を積んでいない傭兵でも、すぐに乗り込めることを想定してのこと。機体から下りてすぐに戦えることも想定している。また、最近のKVはAU-KV対応がデフォルトなので操縦席は広々としている。おまけにULTでは、傭兵にある程度のコクピットの改造を認めている為、基本的にパイロット毎に使い心地がいいように調整されている。中には魔改造を加えてオーディオの搭載、リクライニングシート、冷蔵庫、お菓子の棚などが常備されている機体があるという噂も‥‥。真偽のほどは不明だが、それだけ余裕のある設計ということだろう。
 この勝負、COPKVに勝っている要素は一つもありません!
COPKVは図のように武装が前腕に固定される
 ただし、金欠気味の正規軍にあっては「軍服に体を合わせろ!」といった具合で(以下略)

かっこよさ

 戦争は格好じゃない?
 いやいや、しかし、古くは中世のナイトやサムライの使った美麗な鎧、サーコートや陣羽織、近いところではUPC以前のアメリカ海軍において特別塗装機があった事例など、戦う兵士の士気に少なからず影響を与えてきた。
 ULTでは意識的にそうした士気向上を狙っているようで、エンブレムの導入や機体外観の改造について非常におおらかだ。こうしたかっこいい機体の活躍はそのまま新しい傭兵志願者を呼び込む広告塔になるのだろう。
 一方のCOPKVは実は通常のKVほど派手な改造が出来ない。なぜかと言えば、再設計によって施された「COP規格」の幾つかが大きく外観を変えてしまうと機能しなくなってしまうからだ。それくらいCOPKVはカツカツの設計によって性能を向上させているのだ。具体的にはCOPKVでは機体設定の申請が出来ないのだ。
 S-01もR-01もフェニックスもそれぞれかっこいいKVである。だが、傭兵の機体の多くがパーソナライズされている状況の中で「みんなと横並び」ではちょっと物足りないかもしれない。
 かっこよさの勝負、これも通常のKVの判定勝ち!
 ただし、金欠気味の正規軍にとっては格好に予算を(以下略)

限界領域

 COPKVでは武装は前腕部に固定される形状をとる。この為、パイロットの武術的な素養を活かしづらい。手首の返し、スナップが剣技において重要であることは経験者であれば何となく理解いただけるだろう。
 技術者は心配無用としているが、
限界領域での武道家の勘といったものが決して気休めでないことは戦場に立った者ほど感じてはいるのではないだろうか?
 それはオカルトではなく、経験に裏打ちされた無意識下の判断と言えるだろう。
 ただし、金欠気味の正規軍に(以下略)

傭兵向けの機体か?

 結論としてCOPKVは自由さこそが強みである傭兵達の機体には適さないだろう。
 自分の意思で依頼を選択し、様々な戦場で様々なバグアと向かい合う傭兵にとって、依頼毎に最適化された兵装を選択できないことは、機体の性能やパイロットの実力を十分に発揮できない可能性を孕む。
 とはいえ、基本性能は全体的に底上げされており、その特性を理解している傭兵が使う分には必要十分の性能を提供してくれるだろう。逆に様々なKV用装備の特性を熟知していない新人傭兵にも、オールインワンのパッケージは「とりあえずの機体」として悪くない選択肢かも?

量産機がいるから
  KVがかっこいい!

 だが、最後にあえて言わせてもらおう。
 COPKVとは、まさに「量産型」なのである。個々の戦闘では光るものが無くとも、大きな組織システムの中で円滑に機能することが求められた存在である。
 そこに浪漫や燃えを見出せまいか! いや、見出すべきだ!
 そして、そんな量産型たるCOPKVがあればこそ、
個々の傭兵の専用機である
  ナイトフォーゲルは
      スーパーロボット

として燦然と輝くのである!
 
            めくる

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