MID NIGHT SUMMER
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7月30日の報告


【蟹、強襲!】
 強く襲うと書いて強襲と読む。
 傭兵の誰かがそう言っていた中、空線撮影班はその作業を着々と進めていた。
「それでは、ロング回しでやりますので、できるだけ空に浮いていてくださいね!」
 長く撮れれば、きっと報酬も上がる。そう信じているマリア(ga9180)が、まじめな顔をして片手を挙げた。それと同時に、空中でずらりと並んだKVの撮影に入っていた柊神・祢於(ga4633)が、急降下しながらカメラを回す。と、画面が切り替わり、ラストホープが移った。そこへ、国谷 真彼(ga2331)が、バックライトにスモークを炊いて、所属しているらしい小隊のシルエットを映し出す。
「神の力と称する影に、人ならざる力と、人の心で立ち向かう光があった」
 ばばーん‥‥と、効果音が入り、音楽が流される。並ぶ傭兵達の後ろから聞こえてきたのは、加恋(ga8052)の歌うOPテーマだ。その曲に乗るようにして、傭兵達の乗ったKVが次々と動き出し、天空に白煙の軌跡を描き出す。
 そのKVの中から、アクロバット飛行をする四つの機影。鳳 つばき(ga7830)、ノエル・イル・風花(ga6259)、リーゼロッテ・御剣(ga5669)、ユリコ・カトウ(ga8432)、如月(ga4636)
の操る機体だ。その機影は天空に1つの文字を浮かび上がらせる。すなわちつばき、ノエル、如月の描く『C・T・S』の文字。そして、編隊飛行を組んだリーゼとユリコの機影が、それを1つの大きなハートマークに包み込む。
『キャッチ・ザ・スカイ〜コードネームは地球SOS〜』
 如月が無線機のエフェクトをかけたボイスでそうコールする。そんな壮大なOP画像は、空の青さに溶け込むようにフェードインしていった。
 その、真っ白い画面が元に戻ろうとする中、聞こえてきたのは流れる水音だった。
「ふふふ〜ん♪」
 その水音に鼻歌が混じり、正体が次第に明らかになる。滴る水、長い足、真っ白なお肌。カメラが引いていくと、ちょうどシャワーからあがったばかりのさぁびすショットをお晒しの葛城・観琴(ga8227)さん。Iカップの豊かな胸が、世の男性陣にキョーレツなアピールって奴か、ぷるんとゆれている。どうみてもグラビアアイドルのプロモーションビデオな画像の中、ぶち壊すかのように、エマージェンシーコールが鳴り響いた。
「見てください、あれが‥‥あの“殻付き”がゆっくりと、しかし確実に向かってきています」
 画面が切り替わり、影守・千与(ga4725)がナレーションを入れる中、巨大な蟹が、その姿をゆっくりと近づけてくる最中だ。
「Program[Gr1.3]起動‥‥情報網構築‥‥データリンク開始します。これは‥‥!」
 かちっと緑色画面のスイッチを入れて、直後驚いた表情を見せる秋月 祐介(ga6378)。説明しよう。なぜかそこに居たのは見目麗しい女性陣ばかりだったからだ!
「をーほほほほほ! をーほほほほほ!!!」
 高笑いが響き渡る。その声の主は、シェリー・ローズ(ga3501)と、その部下であるバグアソング部隊‥‥通称呪歌隊だった。
「楽しかった、希望に満ちていた、あの頃」
 フィリス・シンクレア(ga8716)が、絶望に陥らせるような歌を流している。姉と、そして同じく歌歌い班の久野 凪(ga5321)と共に、周囲を洗脳するような歌を、公共電波に乗せていた。その電波で、操られちゃったらしい傭兵達。空中でアクロバティックな動きを見せながら、傭兵達へと反転する。
「ご主人様はボクを裏切ったッ」
 なぜかメイド服着用の部隊『月狼メイド隊』のリーダー、月森 花(ga0053)が、カメラ‥‥正確に言うと、その向こうにいると言う設定のかつてのご主人‥‥に、銃を向けていく。が、背後にはなぜかぬいぐるみさんを抱えた愛紗・ブランネル(ga1001)が、男の子なのにメイド服着せられて、がっくり肩を落としてちょうちん涙を流しているベル(ga0924)のスカート裾を引っつかみ、逃げられないようにしていた。
「ごっごしゅじn‥うぅ‥何で男の俺がこんな格好を、月森さん酷いです」
「アイシャ、たらばがにが食べたいー! ご主人様はほら、そこのキミ☆」
 これで見ている若い一般人の男性諸氏が萌え洗脳されちゃかどうかは定かではないが、カメラを搭載していた砕牙 九郎(ga7366)がぼそりと一言。
「せっかくわざわざアクセスロット空けてきたってのに、何だこのアイドル撮影会は‥‥」
 彼がぼやくのも当然で、カメラの中では『みんなのアイドル芽衣ちゃんでーっす! キラッ☆』とか言いながらウインクしている兎佐川・芽衣(ga4640)の姿が見える。ウサギのエンブレムがとってもキュート☆
「はいはい。プロモーション活動は別の所でお願いしますね」
 アシスタントのクールマ・A・如月(ga5055)が、マップに移した『配置表』にチェックを入れながら、無関係な写りたガールを下げていく。こうして画面が開けたところに移ったのは、傍らにエリク=ユスト=エンク(ga1072)を従えたルード・ラ・タルト(ga0386)だった。
「我が名はルード・ラ・タルト、バグアの王である! なぎ払え! 打ち落とせー! 粉砕するのだ!」
 普段から、たそがれの王様やっているルードさん、そのばさばさと風になびくマントを効果に取り入れるのは、朝飯前である。その合図を受けて、アクロバット飛行担当の叢雲(ga2494)が、隊員紫藤 文(ga9763)他と共に、自らの部隊『八咫烏』に指令を下す。
「わっ、バカこっちに来るなー!」
「‥‥王に触れるな、下郎!」
 あおりでルードが足を滑らせている。傍らのエリクがそんな事言いながら受け止めている所を見ると、役になりきっているようだった。
「ふん。航空隊ばかりにいい目はさせるか! ギガンプ! 餌だ! なぎ払え!」
 ゼラス(ga2924)が巨大カニに勝手に命名して、合図を送った。と、彼が率いる放課後クラブの面々が、KVに子蟹の張りぼてを付けた姿で登場し、いっせいに襲い掛かっていた。
「ふふふふ。みんな仲良くインド洋で海水浴させてあげる〜」
 フィオ・フィリアネス(ga0124)が、悪役らしくそう言っているが、ものはそう単純ではない。何しろ相手は大規模作戦を数多く経験している有名小隊だ。しかも、どう見てもネタな割には、傭兵達は本気でやりあっているのである!
「ハッハー! 壊れろ壊れろぉーーっ!!」
 さすがに信管は抜いてあるものの、戦闘にとち狂ったトリガーハッピーの様相で、弾切れ起こすまでばら撒いている近伊 蒔(ga3161)。中には石動 小夜子(ga0121)のように、羽付ゾウガメなんていう色物キメラを混ぜている御仁もいるが、たいていは絵上 成色(ga9494)のように、張りぼて装甲だ。
「第三ブリッジ大破! このままでは、機体が持ちません!」
 しかし、ピンチなのは傭兵達も同じである。ヤヨイ・T・カーディル(ga8532)がオペレーター役で悲鳴じみた報告を上げ、傭兵に挑んでいた初心者が白煙を上げた。攻撃力のない弾なので、機体に損傷はないものの、中の傭兵は今頃気を失っているかもしれない。
「――目標補足。“ティルフィング”セット・オフ‥‥‥‥るみ、行けるな」
「白桔梗と墨染――こうしてアンちゃんと肩を並べるのは久しぶりですね」
 数年ぶりに再会したらしいアンジェリナ(ga6940)と天戸 るみ(gb2004)が、敵役のオレンジ色HP‥‥に扮したミスラ・アステル(ga2134)を両側から挟みこむ。何とか巻こうとするミスラだが、本物と違って慣性制御能力がない為、追いつかれて撃沈マークを表示する羽目になっていた。
「中々やるな。これが、傭兵の戦い‥‥UPC正規軍の実力ってもんを見せてやる!」
 UPC軍から制服を借り、少佐の階級章‥‥っぽいものでもちろん偽物である‥‥をカメラ前に表示したレールズ(ga5293)が、自身の武器を撃ち込むと共に、エリアノーラ・カーゾン(ga9802)に合図を送った。
「ウジャウジャといるわねー、サクっと掃除できないもんかしら」
 あとでCG追加するらしいキューブに向けて、空砲を打ち込む彼女。乗っているこだわりの英国戦闘機に乗った空軍パイロットと言う設定だ。
「ちょっきんなー♪」
 御坂 美緒(ga0466)が、蟹のはさみを、乙女組オトメブラックこと小川 有栖(ga0512)に向けている。後方に居るはずの彼女だが、冷静にトリガーを引いていた。
「蟹鍋をしたいですね! 脚がとっても素敵♪」
 考える事は同じ。そう言って、即座に距離をとる彼女。そのまま、新条 拓那(ga1294)、愛原 菜緒(ga2853)らのカニにも銃弾を浴びせ、傭兵達は徐々に押し返していく。
「これは戦略的撤退だッ!!」
 中にはそう言って陣地に帰還しちゃう護郎(gb2018)みたいな奴もいるが、そこは演習なので、大目に見てあげよう。
 だが、そうも行かないのが、バグア側に回った傭兵さん達である。
「――地球の諸君‥‥お初にお目に掛かる。そして、さようなら、だ」
 UNKNOWN(ga4276)が、自前の悪役衣装でそう言って、女神砲と言う名の主砲スイッチをオンにした。とたん、密集していたそこを、青白い光が駆け抜ける。白鴉(ga1240)のような味方をも巻き添えにしながら、数多くの傭兵達がお空のお花になっていった。
「どうやら此処までか‥‥後は任せたぜ‥‥」
 ザン・エフティング(ga5141)‥‥行方不明
「後は任せたぞ‥‥先に逝って見届けさせてもらう!」
 アリス・ロックベル(ga8693)‥‥撃墜。
 他にも、笑顔で散っていく鉄 迅(ga6843)や、特攻したまま帰ってこないユージン・足羽(ga7682)等、被害は甚大だった。
 もっとも、本当に被弾したわけではなく、本人達は陣地に戻って、疲れた体を休ませ、別な作業に従事することになるわけだが。
「燃料入れ終わった機体は、モブ機の役おお願いしますー。長く飛んでいてくれれば結構ですのでー」
 狭霧 雷(ga6900)が、後ろの方に機体を下げる中、次々と補給に訪れる機体の補修や、陣地の整備を行うセン・カーン(ga6314)。
「カーン一族の本領発揮じゃ! 突貫! 突貫じゃあ!」
「おじい様は戦争が終わったらカーン建設でも作るのかしら。というか建設作業用KVってやはり色は黄色かしら」
 ハンマー片手にこんこん打ち込んで行く祖父を見て、ため息をつくゴエイ・カーン(ga6315)。もっと深いため息なのは、意外と陣地構築に人数が集まらなくて困惑している榊原 光(ga5904)だ。
「まったく。アレほど気は抜くなと行っていたのに!」
 そんな彼らが気合を入れて仕事をこなしている中、サーシャ・ヴァレンシア(ga6139)がふがいない部下に喝を入れていた。が、そこへミント(ga6290)、簡単な食事と飲み物を配りにくる。
「まぁまぁ隊長、落ち着いて。出番の終わった人は、これでも食べて、元気を出してくださいな☆」
 こうして、彼女らが補給に勤しんでいる間、本編では別なシーンの撮影に入っていた。
「おかしい。敵の攻撃が単調すぎる‥‥。まさか!」
 シャロン・シフェンティ(ga3064)が、気配を感じて天井を仰ぎ見る。と、そこには。
「ご明察‥‥」
「何ッ」
 そう言いながら、相麻 了(ga0224)がしゅたっと降り立ち、シャロンに当身をぶつけていた。
「我らは影。人の影たるもの。影は潜むものなり‥‥」
「うわぁぁぁっ」
 いや、彼ばかりではない。陣地のセットには、因幡・眠兎(ga4800)やオブシティン・バールド(gb0143)、烏莉(ga3160)等が潜み、補給をしている設定の傭兵達を次々と沈めていた。
「そんな! 兄さん‥‥どうして!」
 中には、家族がバグア側に回っているらしいエドワード・リトヴァク(gb0542)のようなタイプもある。そんな彼らの目の前に姿を見せたのは、大柄な二人の男性だった。
「ふふふ。それはだな」
「我ら、双子の」
「「操り人形だからだ!」」
 やたらとお肌とか歯とかいろんな所をテカらせながら、陣地の壁を突き破るようにして乱入するタイタス(ga6061)とゴリアテ(ga6067)
「息の合った」
「双子の敵役」
「「我らが努めようぞ!」」
 全身の筋肉を公共電波に陳列しながら、大胸筋等を膨らませる2人。一応、キャストの申請表には『ゾディアックの双子座』と書かれていたが、さすがに賞金画像とかけ離れすぎているので、ただの双子の敵キャラに落ち着いたようだ。
 色物の多いバグア。包囲網の狭まり、戦慄する傭兵。巨大なモンスターを攻略するのはやはり無謀だったと言うのか! 喝目して見よ! CM!

ぴんぽんぱんぽーん。
「バグア・キメラの駆除には、ぜひ『ウェスト研究所』へ一声おかけください。フリーダイヤル『ラストホープ』○○○−GA−0241まで」
ぽんぴんぱんぽーん。
「やはり宣伝には女子アナが一番だな〜」
 依頼主のドクター・ウェスト(ga0241)さん、流れている自分ンとこの研究所画像に、満足げな表情を見せている。もっとも、そのボイス担当な豊田そあら(ga4645)は、本業声優さんなので、アナウンサーさんではないわけだが、ナレーション入れられて満足そうだった。

 そして、CM明け‥‥。
「わぁ、待って待って撮影機! 攻撃しないでー!!」
 いつの間にか筋肉双子が倒されている。勢いで攻撃を食らいそうになったM2(ga8024)、あわててカニの中へ避難だ。こんな事もあろうかと、事前に内部撮影の許可は貰っている。
「中佐来てくれるかなぁ」
 リリアンのコスプレ‥‥いや、衣装を着た水理 和奏(ga1500)が、蟹の内部っぽいセットで、同じ様にゴスっとしたメンズの衣装を身に着けた棗・健太郎(ga1086)が、「くれるといいねぇ」なんぞと言っている。
「和奏ちゃん、カメラ回ってるよ!」
「あ、いけないいけない」
 暁・N・リトヴァク(ga6931)に言われて、あわててそれらしく背を伸ばす和奏。天小路桜子(gb1928)が、周囲に幻霧発生装置を使った。
「隊長が居ないと心細いよ〜」
 その先では、戌亥 ユキ(ga3014)が、隊長不在の不安さに押しつぶされそうになりながら、蟹に迫ろうとしていた。だがそこへエル009ノ1(ga6483)と、エル天(10)(ga6485)が立ちはだかる。こっちが本来の双子座役だったらしく、2人ともそれ相応の衣装を身に付けている。
「ミサイル発射! 全弾飛んでけ〜☆」
 そこへ、神崎・子虎(ga0513)が、H12ミサイルポッドをお見舞いする。しかも、神崎の側ばかりではない。反対側からも盛大にミサイルが飛んできていた。
「何っ!?」
「私のような者は他にも多数紛れている‥‥仲間を過信しないことだな、傭兵共よ」
 見れば、UPC側に紛れていたケイ・ホルウァンス(gb1829)が、傭兵達にミサイルをお見舞いしている。
「うーん。避け方考えた方がいいかもしれませんねー」
 もっとも、楓華(ga4514)にしてみれば、もう少し映画らしく避けた方がいいと思っているようだ。
「だったら、派手にお見舞いした方が良さそうだな。そ重たい大砲だが、こういう大砲こそ雷電にはふさわしい。吹き飛べや!」
 その演出案を受けて、緑川安則(ga4773)が、雷電に背負わせた大砲を、蟹に向けて盛大に解き放つ。爆発音が響き、蟹の入り口に巨大な穴があいていた。それを皮切りに、なだれ込む傭兵達。「やっぱり、来ちゃいました‥‥。俺も一緒に行かせてください隊長!」
 中には、虎牙 こうき(ga8763)のように、その時になって初めて、隊に合流できたものも居た。
「よぉし、手の空いてる奴は俺に続け!」
 リチャード・ガーランド(ga1631)が、雪村を盛大に振り回している。
「必殺! 雪村! 一刀両断!」
 雷電もいいが、この手ごたえもたまらない‥‥そんな事を考えているリチャード。
「油断しないで! 次、来るわよ!」
 レーザー砲で隔壁を破壊していたシャロン・エイヴァリー(ga1843)が、わらわらと現れる蟹の張りぼてを相手にそう言っている。それを相手にする結城ハニー(ga5427)は、KVを折り生身のまま覚醒して、獣人姿を晒していた。そんなハニーの回避力を挙げるため、飛龍(gb1982)が幻霧発生装置を作動させる。その霧が通路を包み込む中、現れたのは。
「竜着!」
 走りこんでくるバイクが、搭乗そていた小麟(gb1863)の身を包み込む。その勢いのまま、翔幻へと飛び乗る彼。変形したその先にあった大きな隔壁へとけりこむ。その向こうにいたのは。
「ふむ。こんなものなのかね? 失望させないでもらいたいものだが」
 エレナ・クルック(ga4247)演じるジャックである。なぜか水着の彼女、相手が変装の名人と言う事で、性別さえも超越してしまったようだ。その左翼側で、常夜ケイ(ga4803)が、かがみ込んだ形で置かれていたKVを起動させる。
「クルップ社の製品は威力が大きいですねぇ」
 そのまま、見せしめとばかりにG放電管の一斉掃射を、鼻歌交じりで食らわせるケイに、その品を宣伝材料にしようと持ち込んだランドルフ・カーター(ga3888)が呟く。周囲をまばゆい光が覆う中、AUKVに乗り込んだ須磨井 礼二(gb2034)、腕に仕込んだドリルを、エレナへと振りかぶった。
 だが。
「残念ながら、そうはさせない」
 冷静に、よく聞く声が聞こえた。煙のあがる中から現れた影。それは‥‥天衝のエンブレムをつけたままの漸 王零(ga2930)だった。
「聖闇の導きを忘れられたか、我等が王よっ!!」
 留守を預かっていたはずの葵 宙華(ga4067)が、動揺したように叫ぶ。だがそれを制したのは、今回は別の部隊に居たはずの終夜・無月(ga3084)だった。
「今回は、好き勝手やらせてもらおう。戦い奴もいるしな‥‥」
 王がそう言って、剣の切っ先を無月へと向ける。答えるように剣を抜く彼。無言で、一騎打ちの申し出を受領する。その剣を打ち合わすたび、がつんと火花が散り、力の大きさがぶつかり合うような気配が、周囲にも広がった。マジで遣り合っている‥‥そう感じるほどに。
 その戦いの余波は、周囲にも甚大な被害を及ぼしていた。気がつけば隔壁が吹き飛び、壁にひびが入っている。
「まずいわ。いったん退避した方が‥‥!」
「セット済んでます。これであとは火をつければカニ鍋の完成ですね」
 美空(gb1906)が脱出ルートを探す中、彼岸・桜(ga1873)が、爆破装置の起爆スイッチを見せる。だが、その時だった。
「そうはさせないぜ。圧倒的な暴力の前では戦略や物量なんて無意味だと悟るがいいわ!」
 ふふん! と鼻先で笑い飛ばしながら、ラウラ・ブレイク(gb1395)が、ちょうど王と無月に物言いを付けるかのように割り込む。そして、黒地に赤い虎柄KVで、四肢に取り付けたドリルを、目の前の傭兵達へと振り下ろす‥‥。
「く‥‥。ここまで来たと言うのに!」
 傭兵達がいるのは、まだ蟹の本の入り口に過ぎない。しかし、これ以上の破壊活動をするには高すぎるハードルが障害として立ちふさがっているのだった。
 そして。
「BOSS、傭兵達が内部に進入しました。しかし、例の存在はバレていないようです」
 そう言って、頭をたれる白水着姿のα(ga8545)。その背後に、識條 夢瑠(ga0330)のシルエットが浮かび、ようやく傭兵達にカットの声が飛んだのだった。

<担当 : 姫野里美>



●初戦
 演習を兼ねた撤退戦の撮影が開始されて暫く。
 その避難民の最後尾――と設定された地域――では、さっそくバグアによる攻撃が開始された。
『ふふふ‥‥ワレワレはバグアセイジンだ!』
 扇風機付きマイクを片手に、潮彩 ろまん(ga3425)が高らかに宣言する。
 黄色いマフラーを巻いた鹵獲KVを駆るイエローマフラー隊が一斉に地を蹴る。
「我が機槍、そう簡単に止められると思うな!」
 応じて小隊を展開させるのは、雪野 氷冥(ga0216)率いるフェニックス。後方の民間人の安全を守る為、最前線に展開、戦闘を開始する。敵に反撃の隙を与えぬ為、全力で攻撃を仕掛けた。
「長い一日になりそうだぞ‥‥」
 クライブ=ハーグマン(ga8022)が歯噛みする。独り言は、戦車部隊の砲撃音にかき消された。
「‥‥命の恩は、命でお返ししますっ!」
「確認した敵機を掃討する」
 荒志波 霧人(ga0414)や金城 エンタ(ga4154)など、遠距離型のKVは支援攻撃を開始し、前衛部隊の援護に掛かる。
 だが突然、かなりの戦力が遠方に姿を現した。
「普段は仲間だけど、今回は容赦なくいくよー」
 月狼の半分――もとい影狼を率いる十得・梨緒(ga0524)。殿部隊の中に月狼の残り半分を見付けると、各小隊長への号令以下、一斉に攻撃を仕掛けた。周囲には多数のHWが浮遊しており、かなりの大部隊だ。
「フフフ‥‥怯え竦んで縮こまって‥‥非情に無惨な断末魔を上げて逝って頂戴!」
 ワームやゴーレムを従え、皐月・B・マイア(ga5514)が前進する。
 これらを盾にした強引な攻撃にじりじりと後退するUPC。バグアだからこそできるやり方だ。
「アサルト1、出撃する‥‥!」
 剣野勇斗(ga8350)ら、ブラックアサルトの面々が敵の勢いを殺そうと展開する。彼等は前衛や後衛に別れ、陣形を組んでの戦いを演じてみせた。
「月狼第参中隊、これより楔形陣形で先行し敵を叩く!」
 その戦いで多少なりと勢いが減じたと見て、同僚達を前に、バーナード(ga5370)が叫ぶ。月狼所属の各機は素早く戦力を集中させると、一斉に反撃を開始しはじめた。迫るバグアを相手に中央突破を図ろうという構えだ。
 互いに手の内をしっている同士、激戦は必至だろう。
「きゃはははは! 何と手応えの無い遊び相手か!」
 鬼界 燿燎(ga4899)は遮蔽物に身を隠し、遠距離からの攻撃を加える。
 無人部隊を擁するバグア軍は自殺的な攻撃や友軍を盾として使う事も厭わず、数ではほぼ互角であったが、その攻撃力はかなりのものだった。
「一対一で戦っては駄目だ!常に多対一の状態を保たなければ勝てない!」
 シャーリィ・アッシュ(gb1884)の言葉に応じ、周辺の傭兵達が互いの動きを意識し、連携をとり始める。
「先行する味方を援護します。各機、一斉射撃!」
 セラ・インフィールド(ga1889)の指揮の下、ガーデン殿部隊が一斉に攻撃を加えた。
「バーベナ1より各機! 同小隊分隊と協力し、此処で敵を食い止めます!」
「バーベナ4より3へ、火線集中!分隊長殿を援護するぜ!」
「避難民をやらせるな! ‥‥バグアはついて来んじゃねぇ!」
 隊長の言葉に呼応して、ガーデン所属の九条院つばめ(ga6530)や東野 灯吾(ga4411)、風山 幸信(ga8534)といった面々が緊密に連携しつつ、攻勢に転じた。元々空海軍との交戦で足止めされ、数が不足がちだった事もあり、殿に襲い掛かったバグア軍は徐々に勢いを殺がれ始めた。
「敵の攻撃を受け流して、このまま押し留めますよ」
 飯島 修司(ga7951)が隊長を務める第二若葉隊は戦力を纏め、牽制を中心とした弾幕を張る。遅滞防御に徹した攻撃を前に、バグアの進軍は終に停止した。


「後方の攻撃は抑えたみたいね」
 ガーデン先行部隊を率いるメアリー・エッセンバル(ga0194)が、同殿部隊からの連絡を受け、まずは胸を撫で下ろす。しかしそのまま気楽に構える訳にはいかなかった。今まで共に戦ってきた傭兵達だ、これだけで終わるとは思えない。
『敵機発見!』
 機動小隊『修羅』のリオン=ヴァルツァー(ga8388)、美崎 瑠璃(gb0339)から入った突然の連絡。避難民達を護衛、誘導していた部隊、そしてその更に外延を固める迎撃部隊に緊張が走った。
「全機、迎撃準備!」
 エクスティ・レミントン(ga5106)の命で、ソーディアス隊が弾幕を展開する準備を整える。その通信に触発され、他の隊も次々に迎撃の準備を整え始めた。
「あらら、完璧な奇襲とはならなかったのね」
 とんでもないボンテージ姿の胸を揺らし、残念そうに呟くヴィス・Y・エーン(ga0087)。瞬雷はCadenzaの電子戦を全面的に支援していたが、奇襲を試みていた隊は数多い。どうしても、発見されやくすくなってしまっていた。
「しかし今更引き返す訳にもな。我らはCadenza‥‥人類に終わりを告げる部隊だ! ――穿ち貫け!」
 可能な限り姿を隠し、ゆっくりと忍び寄っていたバグア軍の一角が、全速力で先頭集団に接近する。と同時に、迎撃側のレーダーには、あちこちからバグア軍が接近する様子が見てとれた。
「こちらゲシュペンスト。是より子羊の首を刈り取りに行く」
「我らはCadenza‥‥人類に終わりを告げる部隊だドリル!」
 夜十字・信人(ga8235)や黒江 開裡(ga8341)だけでなく、彼等の隊では様々な悪役っぽいキメ台詞を準備していた。が、その回答は至極素っ気無いもので。
「えと‥‥わ、私はCadenzaが紅薔薇! 我々の前に‥‥うぅ、ごめんなさい‥‥」
 眼前を覆いつくす迎撃弾幕に、ミスティ・グラムランド(ga9164)が撃墜され、墜落していく。
「それじゃ、いっくよー♪」
 T−ストーンの御凪 由梨香(ga8726)が弾幕を張るが、その最中を強行突破するKVが一機。月神陽子(ga5549)の赤いKVだ。
「‥‥我が名は夜叉姫。人類よ、我が愛の礎となるために死になさい」
 ジャック・レイモンドの名を口にし、苛烈な攻撃を加える陽子。
 彼女は彼に拾われ、彼に認められたいと願い、絶対の忠誠を誓っている。
 配下のヘルメットワームは爆薬を満載したまま自爆攻撃を仕掛けてくる。その攻撃に防衛線の一角が怯んだ。そこへ、避難民を狙うハヤブサ特攻隊が殺到するが、そこへ遊撃部隊である暁の騎士団が割り込み、前進を阻止する。
「私には元救助隊の意地があるんだ‥‥だから、どんな事が有っても助け出すよ!」
 霽月(ga6395)のKVがヒートディフェンダーを構える。
 本来なら墜落者の救援に回りたいところだが、まだ緒戦。それも敵の攻撃は強力で、そんな余裕は無かった。
「UPCの犬共が‥‥見えない敵に怯えるがいい」
「一回エース達とガチでヤってみたかったんスよ‥‥!!」
 負けじと、Astraea属する不破 梓(ga3236)や六堂源治(ga8154)も攻撃を開始する。今までUPCに乱れが出るのを、じっと待っていたのだ。こうなると、部隊同士でも連携して一点へ攻撃を集中するバグア軍を前に、UPCは思わぬ劣勢を強いられた。
 彼等は数では勝っていたし、特別不手際があった訳でもなかったが、守らねばならぬものが多すぎた。
 彼等の後ろには数多くの難民が列を成している。
 プロパガンダ映画としての意味を抜きにしても、みすみす犠牲にする訳にはいかなかった。
「ここを通す訳には‥‥っ!」
 民間人へ向かう銃口の前に、咄嗟に身を挺すアイロン・ブラッドリィ(ga1067)。
 彼女の機体は、ゴーレムに鹵獲されてしまい、回収されていった。


●乱戦
「ハハハ、愚かな地球人共め、我々の負の力で粉砕してくれるわー」
 豪快っぽい笑い声をあげるのは、白野威 奏良(gb0480)。
 避難誘導されていた民間人に襲い掛かった、しっ闘士☆特戦隊。
「死にたくなければ根性入れて掛かってきな!」
 しまいには子供たちの乗ったバスまでジャックなんかしてみたり。
「待て待て待て〜い、にゃ!」
「むっ、何奴!?」
 バグアが辺りを見回したその時、七海 鉄斎(ga5260)がよぼよぼとビルを指差す。
「ふぉぉ!! あ、あれはっ!」
 五人の人影がビルの上にあった。
「マジカル♪レッド参上にゃ!」
 今声を上げたのは、西村・千佳(ga4714)だろう。
「マジカル☆ブラッド参上だコラァ!」
「マジカ‥‥」
 突然、爆発が起こった。口上の途中に攻撃されたのはバグア側。キメポーズの途中で、五人がひょいと見上げる。
「待たせたな、騎兵隊の到着だ!」
 生身のバグアをリニア砲やガトリングで散々に撃ち払い、麓みゆり(ga2049)、クラーク・エアハルト(ga4961)が颯爽と駆け抜けていく。多分五人組には気付いていない。
「‥‥」
「ひゃっは〜! 汚物は消毒だ〜!」
 ――と、そこに現れたいかにもな悪役、モヒカン(ga4695)がどうなったのか、皆まで言うまでも無い。
 ヒーローショーが繰り広げられている一方、真面目に民間人を守る戦いは依然続いていた。
 キメラ(きぐるみ)の襲撃を受け、逃げ惑う難民達。
 戦いへの恐ろしさから背を向けかけたラミア=I=バークレイ(gb1967)は、しかし、そこで辛うじて踏みとどまり、AU−KVに跨って戦場へ戻っていく。片や、AU−KVの特性を生かす為、シエル・ヴィッテ(gb2160)等は森林を中心に粘り強い戦いを展開している。
 今回の大規模演習は、ある意味、ドラグーンにとっても始めての大規模戦闘だった。

 ☆蟹工船☆のワタリ班は機動力を生かした遊撃戦力として駆け回り、ズワイ班の救助活動を支援する。敵を発見し次第急行して集中攻撃をかけるという手段は、小さな被害をカバーするには大いに役立った。
「背中は私に任せな。あんた達は目の前の敵に集中するンだよ!」
 覚醒し、姉御肌全開で船長を補佐するレーゲン・シュナイダー(ga4458)。
 彼女に限らず、皆それぞれに漁師っぽい格好で戦場を駆け回っている。蟹工船なのに何で陸で戦っているのかとか、細かい事を気にしてはいけない。
「もたもたしてると、後ろから突っ込まれるわ。一気に決めるわよっ!」
 ファルル・キーリア(ga4815)が地を蹴り、バグアの軍勢へ向かって加速する。
 雪風の各機がその後ろに続いた。向かう先は、コルカタへの退路を絶てる位置に展開していたバグアの一隊。
「蒼穹武士団の侍魂、とくと見よっ!」
 雪ノ下正和(ga0219)がヒートディフェンダーを掲げ、蒼穹武士団が負けじと雪風に続く。
 バグア軍が向かっていたのはカルカッタにある陣地構築現場。今頃、ガンアンツが全力でシェルター等を構築している事だろう。
 だが――
「発見されたみたいだな‥‥一旦後退する」
 足元に着弾した攻撃を見て、技術士官(ga9972)は機体を翻す。それと入れ替わるような僅かなタイミングで、雪風の各機が立ちはだかった。
『人類ニ未来ハナイ』
 平坂 桃香(ga1831)が合成音声で語りかける。
「悪の軍団め、我が刃の錆にしてあげましょう〜」
 棒読みがかなり厳しいのはティーダ(ga7172)。
 双方の言葉を合図に、人類、バグア側双方は散会し、戦闘を開始する。雪風は前衛機が切り込むと同時に後衛が支援し、それを繰り返す事で少しずつ圧倒した。死を恐れぬHWやゴーレムの攻撃にやや押される事はあったが、チームワークの面で勝っていた。
「きゃーっはっはっはっ! もっと美しく抵抗しなさい。せいぜいね♪」
 悪役然とした笑い声をあげるミッシング・ゼロ(ga8342)改めイネース・サイフェル。ゴーレムとキューブワームの更なる援軍を引き連れて現れた彼女を睨み、クリム(gb0187)は敵中央目掛け、無防備にも突撃する。
「これが、我の意地だ。覚悟しろ!」
「なっ――!」
 次の瞬間、クリムのKVからフレア弾の光が発せられた。


 一人の少女がバグアの攻撃に逃げ惑い、瓦礫に足を挟まれ、動けなくなっていた。
 そこへキメラが現れ、彼女に向かった牙を剥いた。
「ひっ‥‥!」
 と、土ぼこりを舞い上げ、現れる人影。
「どんな危機だって乗り越えられマース!」
 その人影は筋肉質で怪しげな訛りを話す2m近い長身の男、マイケル=アンジェルズ(gb1978)。覚醒状態の彼は、素早く瓦礫を取り除くが、キメラの攻撃に深手を負う。
「I love you forever!」
 少女に向けて親指を立てるマイケル。
「オッサン‥‥ヤバかったぜ! サンキュー!」
 スカート姿の少女‥‥じゃなくて少年のアレット・グリーン(gb1788)は親指を立て返す。
「‥‥オーマイガッ!」
 彼はそのまま事切れた。待ってましたとばかり、そこへ更に、虹色アフロにアロハシャツの漁師、空閑 ハバキ(ga5172)が現れた。そろそろ、もうどこからツッコんだら良いのか解らない。
 ちなみにこのシーン、後日カットされてしまう。
「俺等が来たからにはもう安心☆‥‥って、ちょっと待‥‥っ」
 カメラの前の彼をおしのけ、ルュニス(ga4722)が現れる。
「はぁ〜い、現場のるゅににんです」
 彼女はFM−Revのリポーターとして現地を訪れ、爆発や轟音に身を竦めながらもレポートを続けている‥‥とは言っても、本当に爆発が起こっている訳ではないので、全て彼女の演技によるもの。
「御覧下さい!」
 とか何とか指さす先には、逃げる民間人に襲うバグア、そしてそれを守るUPC軍の姿。桜里・椿(gb1215)やイーゲル・クレイム(ga8191)といった軍人役での出演者が、その様子を一層盛り上げる。
 そんな一角を担う夜修羅に、バグアの攻撃が殺到する。
 ゴーレムやHWを前に波状攻撃を繰り返し、攻撃下的な防御を展開していた夜修羅。
「演習だからと言っても、一切手は抜かないからね」
 ベルティア(ga8183)はそう言ってみせたが、彼等の機体は既にダメージが蓄積しており、攻撃を防ぎきれなくなり始めていた。
「あっ――」
 そして、ふとした拍子に、バグアの放ったミサイルが難民へと向かう。
 高遠・聖(ga6319)が女子供を乗せていた車が、その先にあった。彼は素早くハンドルを切るが間に合わない。その瞬間、一機のKVが間に割り込んだ。
 イシイ タケル(ga6037)のKVだ。
 KVは爆発し膝を折りながらも、敬礼をしながら倒れ込む。その様子へ、命喰(ga8264)は1コマ逃さずカメラを向けていた。こういったシーンには、編集でナレーションを入れる案もある。実際にどうなるかは解らないけれど。
「‥‥ふむ、こういう映像も悪くはないと思うのですが」
 普段と変わらぬ表情で、彼女はカメラから眼を離す。右手からひょいと蛇穴・シュウ(ga8426)が覗き込んだ。


●裏切り
『我々8246小隊は現時刻を持ってバグア軍となる。以上、通信終了』
 その通信は、突然の事だった。
 予備戦力として体力を温存していた8246小隊は、水上・未早(ga0049)から送られた一本の通信を最後に、突如としてバグアに寝返った。
「隊長、みんな‥‥どうして!?」
 ブレイズ・カーディナル(ga1851)が唖然と辺りを見回す。
 隊内に多少の混乱はあったものの、リディス(ga0022)率いる8246小隊は隊長の方針を概ね受け入れており、今こそ戦機と周辺の味方へ攻撃を開始する。
「どういう事‥‥」
 敵キメラから槍を引き抜き、後方へ振り返る刻・S・十六夜(ga2872)。
「前後を塞ぐというのなら、風穴を開けて押しと通るだけです!」
「やるからには、どんな奴だろうと徹底的に斬る‥‥ただそれだけだ」
 リゼット・ランドルフ(ga5171)が女だてらに強気な眼をみせ、仮染 勇輝(gb1239)は敵を切り払いつつ、突如として裏切った部隊の動きを警戒した。ガーデン先行部隊は未だ健在。情報網を介して伝わってきた内容に、隊長であるメアリーは眉をひそめる。
「内側から崩される訳にはいかない‥‥!」
 外からのバグアに手一杯ではあったが、彼等はやむなく、内なる敵へと銃口を向ける。彼等の部隊には、カメラ搭載型のKVが多い。突然の裏切りによって混乱する戦場で繰り広げられる、8246小隊との戦闘シーンは迫真のものとなった。
 ただし、双方共に撃墜者も多い。
「裏切り者が出ただと? それなら‥‥ここにいるぞ!」
 ベールクト(ga0040)のKVが地を蹴り、梶原 暁彦(ga5332)のKVを切り裂く。
「くっ、裏切りは8246小隊‥‥役目は果たしたぞ‥‥!」
 更に高瀬・由真(ga8215)のロケットランチャーを受け、彼の機は爆発した。内側からの襲撃であるが故に、どうしえても、無防備だった後衛部隊が集中砲火を受けてしまったのだ。
「これで立派なお尋ねものね‥‥この先大丈夫かしら?」
 由真はふと困った顔をしたが、これも仕事とすぐに割り切る。
 暫し続く銃撃戦、しかし、序盤こそ奇襲で優位にたった離反側だが、ガーデンやブラックアサルトは素早く体制を建て直し、逆撃に出る。こうなると包囲状態にある彼等の劣勢は必至だ。
「楽しければ良いのさ‥‥」
 一点に攻撃を集中し、離脱していく彼等。
 時を同じくして、避難民に紛れていた内通者の中からも、危険と判断した数名が脱出した。
 追撃する事は十分に可能であったが、指揮官ではなく、監督からストップが掛かった。裏切り者は最後に倒したほうが盛り上がるからだとか何とかがその理由らしい。
 戦闘は未だ続行中であったが、避難民達がコルカタに到着するまではもう少しだ。コルカタではガンアンツをはじめとする陣地構築部隊が、頑丈なシェルターや塹壕を用意して彼等を待ちわびている筈だった。


<担当 : 御神楽>


●放送開始
「FM−Revです! 戦闘の様子をおおくりしています! あの大きな塊がクラブワームです!」
 早川恵(ga4882)が倶利伽羅・狩倶(ga4724)が撮影しているカメラの前で風に飛ばされそうになる帽子を押さえ大きな声で叫んだ。
 戦闘区域より離れた場所からの撮影だが、クラブワームと呼ばれた巨大な影は恵の姿にも匹敵し、その大きさを伺わせる。
「我々人類はあの海から来る怪物に勝てるのでしょうか? あ! 今、UPC軍が攻撃を仕掛けていく模様です」
 恵を写していた狩倶のカメラは徐々に視野を拡大し、攻撃に向かうUPC軍を撮影していった。
 
●ゆけゆけ僕らのUPC軍
「フン、雇われ兵風情に、みすみす美味しいところをくれてやる義理はない」
 UPC海軍第29小隊【アクアリウム】を指揮する鯨井昼寝(ga0488)はコックピットで鼻を鳴らす。
 規律と統制こそが、唯一戦場で必要なモノというのが持論であり、勝手気ままな傭兵を昼寝は快く思っていなかった。
「隊長ー、もう少し傭兵達のことを信用してもいいんじゃないですか?」
 同隊で昼寝の右舷前方に陣取る鏑木 硯(ga0280)はそんな昼寝をなだめる。瞳にはそれなりに真剣な色が浮かび、双方の事を共に案じているのか、不安の色も少し浮かび出ていた。
「遊んでいないで敵のおでま‥‥しぃ!?」
 クールに決めていたゴールドラッシュ(ga3170)の声が裏返る。
 それもそのはず、大量のワームを引きつれ、その内一体の上にのっているDr.Q(ga4479)がカメラに映し出されれば驚きたくもなるだろう。
「ひゃっひゃっひゃっ。わしの可愛いワームを見てみるがいいぢゃろう」
 実際は艦船の甲板に乗っているだけであり、引き連れているワームは傭兵がハリボテをつけていたり、CGにより増やしている設定だったりするのだが。
「数が、追いつかない!」
 昼寝の狼狽した声が広がり、アクアリウムが集中砲火による洗礼を受ける。圧倒的な戦力差を前に、攻撃に飲み込まれた。
「しねぇぇえい!」
 演技が本気かわからないDr.Qを、アグレアーブル(ga0095)のKF−14に設置されているカメラが撮り続ける。
 気合の入ったマンタ・ワームによる魚雷攻撃を昼寝機が受け、
「隊長、危ないっ!」
 ジュエル・ヴァレンタイン(ga1634)が昼寝機の前に飛び出し、魚雷をテンタクルスで受け止めた。
 強固なテンタクルスも魚雷群の直撃には叶わず、海へと沈む。
 この結果が戦闘の口火となり、空母から出撃する【爆撃班】などバグア軍、UPC軍ともども乱戦に入っていった。
 
●ピンチ! 傭兵部隊
「ゲソクラッシャアァーー! 説明しよう。ゲソクラッシャーとは‥‥うごあっ!? ば、ばかなっ!」
 【ゲソレンジャー】は強襲しようとクラブワームへ突撃をかける、這い寄る秩序(ga4737)は高分子レーザークローによる突撃をクラブワームに仕掛けるが、【放課後Crub隊】扮するミニクラブワーム部隊により迎撃されてしまう。
 説明も半ば、比較的敵役のような声を上げ、秩序のW−01は倒れた。
 【放課後Crub隊】の勢いは止まらず、攻撃はそのまま他の面々へとも向かう。
「きゃぁぁ!? 私のゲソ足‥‥じゃない、偽乳がっ!」
「それよりも秩序さまを回収しなければ‥‥ミヅキ様」
 味方がやられたことよりも、自分が攻撃を受けてせっかくの虚乳がばれてしまったことを気にするミヅキ・ミナセ(ga8502)にユナユナ(ga8508)が突っ込みを入れる。
「くぅ、カニの足を一本くらい削りたかったのにっ! 覚えていろ!」
 多勢に無勢、勝ち目がないと見るや、捨て台詞を吐いて【ゲソレンジャー】は撤退にうつった。
 【ゲソレンジャー】を筆頭に、傭兵側でも海戦部隊はある程度組まれていたが、連携はヨーロッパ攻防戦に比べて薄いため次第にバグア軍に押されてくる。
 単純な戦力比で考えても、陸軍や空軍と比べて海軍は少ないのだ。
「水中救助部隊が動いているから、戦線を維持するわよ!」
 【LH水泳部】隊長の紅・サルサ(ga6953)が指揮する元、クラブワームから発生し上陸を狙ってくるマンタワームや、水中の陣地を確保するために巡回するメガロワームから【特殊部隊:零小隊】が構築している陣地を守る。
 負傷したUPC海軍や、傭兵達は【わんわんわんこ】による救助部隊によって回収されようとしていた。
「飛んで火にいるなんとやら‥‥悪には悪のチームワークがあるのですよ!」
 綾野 断真(ga6621)がサングラスのしたに不敵な笑みを浮かべ、救出に来た【わんわんわんこ】や【月狼】を【影狼】などを従えて奇襲をかけた。
 深海からの襲撃に大きなダメージを受ける。
「被害が大きい!」
「メーデー! メーデー!」
 訓練とは思えないほどの緊張した空気が戦場を駆け巡った。
 【榊分隊】が通信網を確保していたが、それもワームによる自爆作戦で崩れる。
「ジュエルさんが落ちたんです、今は傭兵とか軍人とか言っている場合ではありません。協力して体勢を立て直しましょう」
 エメラルド・イーグル(ga8650)の声に、【アクアリウム】も傭兵と協力する体勢を取り出した。
「さて、それじゃあバージョンアップしたテンタクルスのお披露目といこうか!」
 昼寝の双子の弟である鯨井起太(ga0984)が空を飛んで襲い掛かるマンタワームに水上へ浮き上がり、仁王立ちになってスナイパーライフルD−06を放つ。
 放たれた弾丸がマンタワームの翼を砕き、水中へ沈める。大きな水しぶきが上がった。
「海中に落ちればこちらのものよ」
 起太が落としたマンタワームに、退避中だった【ゲソレンジャー】のDr.ヘナチョコビッチ(ga4119)が試作ガウスガンで止めを刺す。
 こうした連携がところどころでとられるようになり、被害は少しずつ減っていく。
「はははっ、やりましたラルフ隊ちょ‥‥」
 だが、苦戦は変わらず、【月狼九番隊】で迎撃にでていた猫瞳(ga8888)がメガロワームに食いちぎられ海の藻屑となった。
「猫メェェェェェッ! くそっ! 月狼九番隊‥‥撤退だ」
 ラルフ・レインウォータ(ga8610)が部下の死を悔やみつつも、冷静な思考に従い撤退を指示する。
 レーダーには敵を示す赤のマーカーが多数表示されているのだ。
 このまま弔い合戦を挑んでも無謀でしかない。
 戦局はバグア側に大きく傾いた。
 
●現れる新型
 じりじりとUPC軍がバグア軍に押される中、一際目立つ機体が現れる。
「信号は味方!?」
 遠石 一千風(ga3970)が驚いた声をあげ、しかしその味方である筈の機体が放つ攻撃を受け止めた。
 敵といっても、それは真紅のKF−14。
 オリガ(ga4562)のKVだが、機体の各部からワームのような鋏や甲羅が張り付いていてどこかグロテスクな存在になっていた。
「味方が敵になっているなんて‥‥」
 予想外の敵、余りにも変わり果てたその姿に遠石は声が出なくなる。
 不気味なKF−14の目が鈍く光った気がした。
 この状況は危険だと、あっけにとられている遠石を呼び起こし、強襲部隊である【テンタコルス海兵隊】が彼を援護して離脱させる。
「規律や統制がない方が良く働くこともあるんですね、やっぱり」
 味方が救われた事を見て鏑木は安心した。
 しかし、敵の攻撃は収まらない。
 隊長機らしきの機体の周囲を飛び回り、爆雷する敵も現れる。
 また、こちらの空母から飛んだ爆雷機はすべて落とされていた。
 もうだめかと思っていたとき、空中を一機だけ灰色の機体が横切る。
『援護に来ました! 皆さん撤収してください!』
 GIN(gb1904)が外部スピーカーの音量目一杯に撤収の伝令を叫ぶ。
 一際目立つUPC軍の新型KV、新クラスと共に配備された『翔幻』が空中にて旋回を繰り返していた。
『幻霧発生装置作動!』
 戦闘機形態のまま、GINの翔幻が特殊な霧を派生させ、広範囲を包んで視界を覆う。
「雇われ兵に借りを作るなんてね‥‥撤退だよ!」
 昼寝は舌打ちしつつUPC海軍すべてに連絡をし、ここはやむを得ないと一時撤退を開始する。
 体勢を立て直し、反撃のチャンスを作るためここは退くしかないのであった……。
 
 
<担当 : 橘真斗>




 空に雲が浮かぶ。青い上空の約半分が白く覆われていた。しかし空の8割が雲に覆われていなければ晴れだという。だがそれは釣りを楽しむ人々には絶好の天気だった。
「最近暑いからなぁ。昔は多少過ごしやすかったはずなのに」
「地球温暖化とかってやつでしょ? 戦争なんかやっている暇あらへんのにな」
 暑さ避けの麦わら帽子を少しあげ、一人の釣り人が空を見上げた。相変わらず雲はゆっくりとその場に留まり、カモメは釣り人達を避けるように沖合の海で漁に勤しんでいた。しかしその一方で港の屋根の上で羽を休めていた海鳥達は、バケツに入れられた魚に狙いを定めていた。
「何か狙われているような?」
「戦争のしすぎちゃう?」
 これまで釣り人役を演じていた沖 貞肋(gb0648)と篠原 悠(ga1826)だったが、海鳥達の視線に殺気に近いものを感じていた。だが一般人を演じていると立場上、台詞的におかしいと感じて言い直す。
「バグアも釣りでもしたらいいのにな」
「ひょっとしたら暑さを紛らわせるために、どこかで泳ぎでもやっているかもあらへんよ」
「その姿を思い浮かべると滑稽だな」
 軽く肩を竦めて笑う沖。視線を沖合の方に浮かべ、カモメの方へと視線を向ける。それらも暑さに強いのか、それとも単に食欲旺盛なのか今でも狩りを続けている。
「元気なもんだ。カモメには戦争が関係ないのだろうか?」
「そんなことは無いでっしゃろ。少なくとも狩場は減ってると思いますよ」
「そうか、だからカモメ達も必死なのか」
「でしょうなぁ」
 その時だった。今まで狩りを続けていたカモメが一斉にその場を退散したのだ。
「どうした?」
 見上げると、港の屋根の上にいた海鳥達もいつの間にか姿を消している。代わりに雲の割合が増えていた。積乱雲が周囲を囲むようにあたりに建ちこめている。釣った魚を入れていたバケツの水にも波紋が起きていた。
「何が起こっている?」
「ちょっと海の様子もおかしいな」
 糸を戻してみると、釣り餌が全くつつかれた様子も無くぶら下がっている。そしてブイの浮いていた場所には円ではなく、もっと巨大な円周状の波紋が広がっている。
「帰るか」
「だな。雨が降りそうだ」
 雨を確かめるように右の手の平を空に向ける沖、しかし伝わってきた感触は手の平への水の感覚ではなく、足元からの地面の振動だった。
「何、これ?」
「‥‥」
 藤原も異変に気づいたのか、沖ではなく海の先の水平線に目を向けていた。そこに見えたのはバグアの大群だった。

「――よし、いい絵が撮れた。撤収するよ〜」
 カメラ片手に祈良(gb1597)が高らかに宣言した。その言葉と同時に俳優である沖と藤原も撤退を回避、レフ板を持っていた的場・彩音(ga1084)も逃げ始めた。同時に防衛役として回っていた月影・白夜(gb1971)達月狼部隊とその撮影役であるトリストラム(gb0815)が出撃する。
「頼んだよ、いい絵撮ってやるから」
 手を振るトリストラム、それに気づいたのかパイロットである月影は一撃煙幕を張った。

 今回の撮影はあくまで戦闘がメインと言われている。目的が世論統制にあるのだからしかたないのかもしれない。だがただ単に戦闘ばかりを流しても単調になると感じた一部の能力者達が、独自に撮影を開始したのだ。

 一方、その頃港はラストホープから運ばれていた輸送物資で煩雑な状況になっていた。映画の撮影ということで、普段使わない港は人であふれている。参加者は能力者だけではなく、監督等映画関係者まで含めれば相当な数になる。一応この場もそこそこ広い敷地がある筈なのだが、それでも溢れ出る一歩手前だと言わざるを得ない。
 その中、捜し物をするように村雨 雷牙(gb1625)が人混みを横切っていく。
「何か食べ物の輸送品あるか?」
「食料? あることはあるが何するつもりだ」
 自分のKVで運んできたばかりの荷物の伝票を整理しながら、紫藤 武(ga9977)は答える。多めに食糧の配給を貰おうという魂胆ではないかとも考えた武藤だったが、相手が能力者であることを確認し、話を聞くことにしていた。
「炊き出し作りたいんだ。映画のシーンでも使いたいしね」
「そういうことなら協力しようか。大した材料はないが、みんなお腹をすかせているのはまちがいなさそうだ。それにいつもと違う場所にいるっていうことだけでもストレスになるからな」
 遠目にはオブライエン(ga9542)が民間人を誘導するシーンが撮り始められていた、数シーン後にはそっちを回すべきだろう。
「炊き出しですか? それなら私も手伝いますよ」
「それなら俺にも手伝えそうだな‥‥」
 村雨の呼びかけに郭桃花(ga3104)、藤枝 真一(ga0779)も賛同。即席での炊き出しが開始されたのだった。

「何かいい匂いするな」
「炊き出ししてますからね。貰ってきましょうか?」
「頼もうか」
 炊き出しでの料理の匂いに釣られてか、負傷兵の状態も向上していた。看病を担当していた鷹司 小雛(ga1008)や姫藤・蒲公英(ga0300)は笑顔を売りに看病していたわけだが、どうしても人の手には限界がある。だが食べ物を口にするだけで、人々も落ち着きを取り戻し始めていた。その様子をはカメラに押さえていく。レフ板も無ければ煙幕など特殊な演出も無い、だが佐々木優介(ga4478)はCGを使うつもりも無かった。ありのままの香り、ありのままの声、ありのままの笑顔をレンズに納めていく。実際に使われなくともメイキングビデオに使えればいいかというぐらいの考えだった。正直綺麗と言える風景ではなかった、先ほどの釣りのシーンと比較すれば人も荷物も多くありすぎて雑多なイメージしか浮かんでこない。しかしだからこそ現実味のある、人間臭い映像になっていた。
「姉ちゃん、もう一杯頼めるか?」
「食べすぎは身体によくないです。物足りないくらいがちょうどいいんですよ」
「死んだら食えないんだぜ、今のうちに食わせてくれよ。それとも帰ってきたらデートでもしてくれるかい?」
「戦場でデートの約束すると死亡するという迷信がありますよ」
 中年の兵士の口車を鷹司は巧みに交わす。兵士の方も駄目で元々と考えていたのだろう、無理と判断すると笑顔で誤魔化し、その場を去っていった。姫藤も兵士に迫られていたが、同様に交わしている。映画的には多少ロマンスがあった方がいいとも思った佐々木だったが、それ以上は追求しないことにした。

 炊き出しがひとまず落ち着いた頃、俳優陣は再び撮影の準備に取り掛かった。熱帯地方特有の暑さのために普通のメイクでは汗で流れてしまう、流れないようメイクするのはそれなりに難しいことだった。
「任せて」
 言葉すくなにKOKUI(ga7499)は自前の5つのメイク箱を取り出す。ただ元々無口なKOKUIだけでは作業が進まないため、伊佐美 希明(ga0214)が援護に入り、メイクを施していった。
「よくできるね〜」
「昔から、こういうことは得意だったからね」
 KOKUIの代わりに俳優陣とコミュニケーションをとる伊佐美、だが内心では少なからず焦りを感じていた。理由は時間だった。
 正直時間的にそれほど余裕は無かった。先ほど迎撃部隊が出たが、いつ包囲網が突破されるのかわからない。それに編集点とするためのナレーション等を撮る作業もまだ残されている。勿論ナレーションは後撮りすることも可能ではあるが、現場で撮った方が臨場感があるのは事実だった。そう主張し、ナレーションの準備に入る藍晶・紫蘭(ga4631)。元放送屋としての血が騒いだのか、自分で原稿を起こし一人で読みの練習に入っている。その様子は裏方役に徹していた伊佐美やクララ・ハミルトン(gb1945)から見ても真剣なものだった。
「なんだか、とても真剣そう‥‥」
「マスコミはね、マスゴミなんて言われても現場を捨てちゃいけないのよ。常に現場の雰囲気を伝える、そのために私は生きてるの」
 クララの漏らした僅かな呟きにも、藍晶は鋭い視線を向け簡潔に答える。だがそれを一緒に聞いていた伊佐美の耳には、クララに答えるためというより自分自身を戒めるために言葉にしたようにも聞こえていた。何か声をかけようとする伊佐美、だが何と声をかけようかと悩んでいる間に藍晶の方が場所を変えてしまっていた。
「どうかしましたか?」
 入れ替わるようにやってきたリネーア・ベリィルンド(gz0006)が尋ねる。
「何だか‥‥みんな真剣です」
「そうね、みんな真剣。たまには羽も伸ばしたいけど、おかげでUPCはここまで持ちこたえているから仕方無いわよね」
 困ったような表情を見せ、リネーアは答える。ユニヴァースナイトのオペレーターも務めている彼女だが、今は雑用のため外に出ているところらしい。本当はお酒でも飲みたいのかもしれない、そんな事を考えた伊佐美だったが、今の彼女の頭にも、ユニヴァースナイトとの連絡用と思われるインカムを見て苦笑を浮かべるしかなかった。
「この撮影が終わったら、また騒ぎたいわね」
 そう言って立ち去ろうとするリネーア、しかし数歩進んだところで再び足が止まる。
「どうしたの?」
 メイクを終え台本の読み合わせを始めようとしていた藤原が問いかける。映画に集中させるために嘘をつこうかとも考えたリネーアだったが、思い直して本当のことを伝える。
「アラブ戦線の通信に異常が発生しているらしいわ、連絡がつかないみたい。今確認しているけど、何かあったと見るべきだと思う」
 そう答えながらラビットイヤーαの高川くるみ(ga4672)、木野菜種(ga4678)に確認を求めるリネーア。しかしそれだけではまだ足りないのか、足早にユニヴァースナイトへと戻っていく。不安を掻き立てないようにと敢えて走ることはしなかったリネーアだったが、伊佐美やクララは見えなくなるまでリネーアの背中を見つめることしかできなかった。

 その後、ミハイル中佐から全軍に連絡が入る。手の空いている者は一旦ラストホープに戻り、アラブ戦線の偵察に向かってくれということだった。


<担当 : 八神太陽>


<負傷者一覧(次回は考慮して行動すること)>
(死亡者)
猫瞳:ga8888


(重傷者)
紅・サルサ:ga6953
要:ga8365
クリス・フラウト:ga7247
Dr.ヘナチョコビッチ:ga4119
這い寄る秩序:ga4737
ミヅキ・ミナセ:ga8502
ユナユナ:ga8508
マリア・ベースハート:ga7273
キラ・ミルスキー:ga7275
ノーラ・シャンソン:ga7276
クラリス・ミルズ:ga7278
ベッキー・エマーソン:ga7280
アヤカ・ステラマリス:ga8848
威龍:ga3859
烈飛龍:ga5901
ジュエル・ヴァレンタイン:ga1634
氷雨・翡翠:ga1860
ダグラス・コール:ga3315
マートル・ヴァンテージ:ga3812
リヴィエラ・トゥルビナ:ga4038
エルフレッド=ノア:ga4281
篠森 露斗:ga5125
黒須 露斗:ga8199
雨竜 尊:ga8415
グラム・ニード:ga7028
月詠子萌:gb1658
山田ヨネ:ga8471
イカヤキング:ga6332
榊徹:ga9616
久野 凪:ga5321
飯田・よる:gb2078
リュス・リクス・リニク:ga6209
ジョン兄さん:ga8809
竹林娃鳥:ga4534
ヴィオラ:ga6064
神塚柚:ga4348
十六夜 勇加理:ga4677
レベッカ・ジュール:ga7039
エリザベス・シモンズ:ga2979
石動・悠一郎:gb1888
ドクター・ウェスト:ga0241
朧 幸乃:ga3078
如月・由梨:ga1805
ロッテ・ヴァステル:ga0066
リリアーナ・ウォレス:ga0350
御影・朔夜:ga0240
エレナ・クルック:ga4247
シェスチ:ga7729
クラリッサ・メディスン:ga0853
愛輝:ga3159
伊河 凛:ga3175
藤宮紅緒:ga5157
玖堂 鷹秀:ga5346
シエラ・フルフレンド:ga5622
ラシード・アル・ラハル:ga6190
佐倉祥月:ga6384
ラピス・ヴェーラ:ga8928
月夜魅:ga7375
稲村 弘毅:ga6113
みづほ:ga6115
白鐘剣一郎:ga0184
幸臼・小鳥:ga0067
篠森 あすか:ga0126
藤田あやこ:ga0204
ヒカル・スローター:ga0535
伊藤 毅:ga2610
熊谷真帆:ga3826
三島玲奈:ga3848
ランドルフ・カーター:ga3888
加賀 弓:ga8749
ナナヤ・オスター:ga8771
櫻小路・あやめ:ga8899
三枝 雄二:ga9107
李 舞亞:ga9858
新条 拓那:ga1294
月影・透夜:ga1806
崎森 玲於奈:ga2010
如月・彰人:ga2200
翠の肥満:ga2348
叢雲:ga2494
リヒト・グラオベン:ga2826
終夜・無月:ga3084
ノビル・ラグ:ga3704
南雲 莞爾:ga4272
木花咲耶:ga5139
レールズ:ga5293
雪村・さつき:ga5400
緋沼 京夜:ga6138
アンドレアス・ラーセン:ga6523
レイアーティ:ga7618
緑川 めぐみ:ga8223
カイ・ミスト:ga8240
キラ・ジェネシコフ:ga8267
乙:ga8272
ステア・シェリンドン:ga8275
楠・甲:ga8276
ヒシウ・ツィクス:ga8287
The SUMMER:ga8318
魔神・瑛:ga8407
香坂・光:ga8414
魔宗・琢磨:ga8475
須藤・明良:ga8652
斑鳩・八雲:ga8672
レティ・クリムゾン:ga8679
里見・あやか:ga8835
アルヴァイム:ga5051
雑賀 幸輔:ga6073
イリアス・ニーベルング:ga6358
佐倉霧月:ga6645
ユリコ・カトウ:ga8432
柚皓 寛琉:ga8921
音影 一葉:ga9077
ベルディット=カミリア:gz0016
煉威:ga7589
ヒューイ・焔:ga8434
使人風棄:ga9514
神威 翼:gb0182
須佐 武流:ga1461
如月:ga4636
ハルトマン:ga6603
狭間 久志:ga9021
影守・千与:ga4725
アンジェリナ:ga6940
美弥:ga7120
水無瀬 凛:ga7300
炎帝 光隆:ga7450
神楽・ホウリ:ga7620
アリス・ロックベル:ga8693
マリア:ga9180
ビリー城戸:ga5595
ハワード・ラヴクラフト:ga4512
秋月 祐介:ga6378
マーガレット・ラランド:ga6439
龍零鳳:ga2816
紅露:ga4649
ジャック・フォルズマン:ga7692
リアリア・ハーストン:ga4837
里見・さやか:ga0153
ファルロス:ga3559
リャーン・アンドレセン:ga5248
リサ・クラウドマン:gz0084
小麟:gb1863
鮫島 流:gb1867
霧島 和哉:gb1893
美空:gb1906
柿原 錬:gb1931
矢口一路:gb1940
チェスター・ハインツ:gb1950
嵐 一人:gb1968
護郎:gb2018
須磨井 礼二:gb2034
篠森 大和:gb2064
七海・シュトラウス:gb2100
UNKNOWN:ga4276
宗太郎=シルエイト:ga4261
真田 一:ga0039
煉条トヲイ:ga0236
霞澄 セラフィエル:ga0495
赤霧・連:ga0668
水理 和奏:ga1500
小鳥遊神楽:ga3319
王 憐華:ga4039
キョーコ・クルック:ga4770
藍紗・T・ディートリヒ:ga6141
ノエル・イル・風花:ga6259
ヤヨイ・T・カーディル:ga8532
タリア・エフティング:gb0834
鈴原浩:ga9169
月城白夜:ga9285
聖昭子:ga9290
天狼 スザク:ga9707
グレッグ・ノルフィ:ga9730
ゴリ嶺汰:gb0130
フィオ・フィリアネス:ga0124
ハンニバル・ラプター:gb0655
アリス・L・イーグル:gb0667
桐生 水面:gb0679
金城 ヘクト:gb0701
前田 空牙:gb0901
ラウラ・ブレイク:gb1395
月島 瑞希:gb1411
海堂静音:gb1478
東 冬弥:gb1501
紫東 織:gb1607
クウヤ・クレイメンス:gb1726
ケイ・ヴォルグ:gb2154
神薙ルナ:gb2173
狭霧 蓮:ga0213
ミハエル・クロイツ:ga0283
春風霧亥:ga3077
五十嵐 薙:ga0322
霧島 亜夜:ga3511
ロバート・ブレイク:ga4291
豊田そあら:ga4645
常夜ケイ:ga4803
忌瀬 神門:ga4905
神崎・子虎:ga0513
チャペル・ローズマリィ:ga0050
劉・黒風:ga5247
結城ハニー:ga5427
霧島 ケイナ:ga5808
榊原 光:ga5904
クリスティーナ・ロート:ga0619
セン・カーン:ga6314
旭:ga6764
霞 燐:ga6901
ジャクソン・ウェストフ:ga7009
黒川丈一朗:ga0776
ユウ・エメルスン:ga7691
M2:ga8024
ジョン・J・ルーキン:ga8106
アロンソ・ビエル:gz0061
佐柄 麟:ga0872
風見 蒼:ga8219
ガイン・ハイリロード:ga8372
上ヶ崎 丈二:ga8399
鈴木紅葉:ga8448
乾 幸香:ga8460
漸 王零:ga2930
近伊 蒔:ga3161
沖 良秋:ga3423
緑川安則:ga4773


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