五大湖解放戦
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2月19日の報告

 【空港占拠】


●ミッドウェー空港攻略
 シカゴ市上空、ユニバースナイト。
 この空中空母は、今、人類の存亡を賭けて戦う能力者たちの砦となっていた。
 補給の完了した攻撃部隊が次々と発艦してゆく。
 作戦の第二段階オヘア、ミッドウェー両空港の解放を目指す数百名の能力者が行動を開始したのだ。

 ミッドウェー空港に向かったのはその内の約45名。
 チーム榊、Erfolg、シャスール、ガーデンの4つの隊を中心とした約20名が正面から攻撃を挑む。
「‥‥支援攻撃は任せて!」
 クラリッサ・メディスン(ga0853)が高分子レーザーを放つと、ゴーレムの一機に命中し態勢を崩させる。
 続いて、小鳥遊神楽(ga3319)、烈飛龍(ga5901)らの射撃が開始され地上のゴーレムは防戦態勢に入る。
「我が槍に賭けて、お前らをここで滅する!」
 榊兵衛(ga0388)は機体を変形させるとユニコーンズホーンを構え敵中へ殴り込みを掛ける。
 戦場では数字には現れない『勢い』が存在し、初撃において打撃力を敵に見せることは重要であり、そうした勢いは戦局全体の行方を左右することもある。兵衛は指揮官としての重責を感じながらも己が力を信じ前線に立つのだった。
「――アザミは勝利は花だ。鮮やかに咲け!」
 膝を突くゴーレムに立ち直る隙を与えずにリュイン・カミーユ(ga3871)の振るうディフェンダーが突き刺さる。  装甲は貫かれ、機体に大きな亀裂が走る。刹那、ゴーレムは爆発する。
「ここからが本当の勝負‥‥と言ったところだね。さ、ガンガンいくよ!」
 犬塚 綾音(ga0176)らミッドウェー方面を選んだガーデンのカメリア小隊とグラジオラス小隊の一部の面々が一斉に陸戦を挑み、性能で勝るゴーレムに対して優位に戦いを進める。

 戦闘の混乱に乗じて空港への潜入に成功していた能力者の一人、狸穴 凡太(ga4653)が髑髏マークがあしらわれた筒状物体にリード線とデジタルタイマー付き‥‥みるからにレトロな時限爆弾の前に立って大粒の汗を流していた。
「ありゃりゃりゃりゃ、こいつはでっかい花火を見つけちまいました」
 タイマーの時間は減少を続けており、何とかしないと空港が爆破されてしまう。そして恐らくは同じようなものが複数仕掛けられていることが想像できた。
 凡太は慌てて通信する。
「サイエンティストの方はいませんか?」
 潜入した他の能力者の力を持ってしても、タイマーを解除する事はできなかった。
 限られた時間の中で作業を行うにはサイエンティストの力を借りなければならなかった。
 ミッドウェー空港方面へ向かったサイエンティストは僅かに5名。
 空港内への潜入を試みた者は1人も居なかった。
 しかも、即座に行動可能な者はチーム榊のクラリッサとErfolg所属の綾波 結衣(ga4979)、リヴィエラ・トゥルビナ(ga4038)3人のみである。
 他、2名は補給物資の護衛にあたっており、呼ぶには時間がかかりすぎる。
 その時だった。
 ゴーレムと戦う能力者たちの前にシェイドに似た機体が姿を現す。
 最前面に出てきたそれは、リュインの機体を軽く弾き飛ばすと、残ったゴーレムに統率を与え、劣勢な戦線を押し戻しにかかる。
 潜入した能力者達が見守る中、減算方式のタイマーの残り数字はどんどん少なくなってゆく。
「は、早く誰か来てください!!」
「私が行きます!」
 結衣はディフェンダーを構えると、ゴーレムを避けるように駆け始める。
「お前ら! 援護射撃だ!」
 リヴィエラの号令でErfolg隊が射撃を開始する。弾幕に援護された結衣はひたすらに進む。
 しかし、弾幕を回避したゴーレムの一機がが剣を振り上げて結衣に迫る。
「私に出来るのはこれくらいかしら? 急ぎなさい!」
 クラリッサの援護の一撃が道を開く。
 仲間の援護を受け結衣は空港内へと向かう。メイグス空港爆破の二の舞いは御免である。

●オヘア空港へ
 一方、オヘア空港へ向かった154名の能力者を待ち構えていたのは、バグア軍主力部隊であった。
 恐らくはシカゴの殆どの戦力が集結していると思われる規模である。近づくにつれ能力者たちは激しい対空砲火とヘルメットワームの迎撃に晒される。そして、ダメージによる撤退を決めていた者達が一機、また一機と後方へ下がってゆく。
「全機、まだいけるね? このまま一気に追い出すよ。俺達の蒼空を取り戻そう!」
 新条 拓那(ga1294)が放課後クラブのチームメイトへ呼びかけると、高空から低空のヘルメットワームに照準を合わせる。
 しかし、次の瞬間、ヘルメットワームの編隊は、高度差を使った彼等の戦法を読んでいたかのように一気に距離を詰めてくる。
 そして、後方を飛んでいた岩龍に虹色の光線が集中する。
「うわっ!」
 空間 明衣(ga0220)が悲鳴を上げる。
 機体損傷のアラームが鳴り響く。装甲の半分が軽々と吹き飛ばされていた。
 装甲だけで済んだとはいえ、続けての被弾を許せば長く持たない事は明白であった。
 『岩龍』は援護に優れた機体ではあるが、自身の回避力・装甲は非常に脆弱であり、運用には注意が必要なのだ。 「うわー!! すごいいっぱいいる。ええい、全部倒してやるわっ」
 愛原 菜緒(ga2853)がホーミングミサイルを放ちながら明衣の援護に入る。
 中・長距離射撃を主体とした戦闘を計画していた放課後クラブの13機へ、ヘルメットワームは接近戦を挑んできたのだ。
「菜緒! 慌てるな! 1対多数を忘れるな!」
 ゼラス(ga2924)が呼びかけながら高分子レーザーを放ち味方を援護する。刹那、彼の機体をすり抜けるように飛来したロケット弾が後方炸裂しヘルメットワームを弾き飛ばす。
「自分は初参戦なんで、まぁせいぜい死なないように戦わせてもらいますぜ」
 一匹狼の戦いを続けていた周防 誠(ga7131)からの援護であった。
 ヘルメットワームは前方のオヘア空港から続々と新手が登場しており、高空から低空まであらゆる高度から自在に攻撃を仕掛けてくる。
 空中からオヘア空港を目指す攻略部隊の全てが前進を阻まれ、激しい戦いが繰り広げられ、戦線はじりじりと後退を余儀なくされる。
「抑えきれ! 突破されれば、総崩れだぞ!」
 勢いに乗るバグア軍は能力者たちを殲滅せんと更なる攻勢を仕掛けてくる。
 しかし、バグア軍が勝ちを急いだことが、能力者に思わぬチャンスを与えることになる。
 オヘア空港から戦力を大量に出撃させたことにより、肝心のオヘア空港周囲の防備が手薄になったのある。
 乱戦をくぐり抜けた別動隊がオヘア空港の上空に到達すると、そこには巨大なドームが建設されていることが確認できた。
「炎の扱いはお任せアル」
 速度を落としたR.R.(ga5135)は猛烈な弾幕のダメージを受けながらもフレア弾の投下する。瞬間、地上に巨大な焔の帯が現れ、周囲をを焼き尽くすように拡がってゆく。
 この焔は降下地点を決めかねていた能力者たちへの格好の目印として機能する。
「カルヴァリオ07[Unsung]‥‥エスコートは紳士の嗜み、と」
 アルヴァイム(ga5051)がオヘア空港へ降下して行く地上部隊を見送ると、低空からも迫るヘルメットワームへ向けてバルカンを放つ。
 対空砲火は依然激しく、ヘルメットワームは続々と現れる。
「集団戦にて制地制空権を奪取せよ!」
 ホアキン・デ・ラ・ロサ(ga2416)がカルヴァリオ隊に向けて檄を飛ばすが、既に集団の内部に浸透しているヘルメットワームに対しては実行不能な指示であった。
「大丈夫、きっと今度はうまくいく‥‥!」
 秋川洋子(ga5559)里見・さやか(ga0153)大島 菱義(ga4322)らの声が空しく響く。
「カルヴァリオ2〈FATTY〉、難題歓迎、無茶上等! 行くぞおッ!」
 翠の肥満(ga2348)の放つロケット弾が派手な弾幕を作りだし、この空域で唯一G-43に搭乗していた風(ga4739)も健闘を続ける。
 混乱した状況でありながら、ギリギリでカルヴァリオ隊が上空を抑える中、地上での戦いも苛烈さを極めて行く。  総勢21名からなるチーム『ラビットイヤーα』は、そんな情勢の中、援護に徹し、攻撃を受ける仲間たちの情報を能力者に向けて発信し続ける。‥‥迫りくる敵機との防衛戦を繰り広げながら。

●ミッドウェー空港占領
 オヘア空港への降下作戦が繰り広げられているころ、ミッドウェー空港では結衣による時限爆弾のタイマー解除作業が始まっていた。
 危険を顧みずに潜入した者たちの活躍により、数個の爆弾が発見されており、サイエンティストである結衣はそれを手早くを解除してゆく。
 何個目かのタイマーを解除したところで、空港の各所から爆発の焔が次々と巻き昇る。
 バグア側にタイマー解除が露見したのか、それともタイムアップなのかは分らない。
「お嬢さん! そろそろ潮時のようだ」
「戦死は覚悟だけで充分だ!」
 エミール・ゲイジ(ga0181)が言うと、緑川 安則(ga0157)続ける。
 こうして潜入したアングラー隊、ガーデン隊、チーム零のメンバーは脱出を開始するのだった。
 空港から火柱が昇った。
 瞬間、能力者たちと戦闘を繰り広げていた指揮官機らしき機体がゴーレムと共に後退を開始する。
「するべき事はできたか?」
 去りゆく敵機をみつめ烈飛龍(ga5901)が呟くのだった。
 機を逃さずに零部隊を中心とした能力者達がミッドウェー空港修復を開始し、物資を運び込む。
 潜入部隊の活躍により、ミッドウェー空港の爆破は限定的なものにとどまっており、補給基地としての機能はすぐに果たせそうだった。

●戦いの行方
 オヘア空港方面の戦いは激しさを増し、戦線は次第にシカゴ市方面へと押し戻され始めていた。
「負けない‥‥勝って、生き延びてみせる!」
 蓮見 円(ga4620)はDeltaの仲間たちと共にヒット&アウェイに徹しながら戦い続けていた。
 バグア軍はゴーレムやタートルワームをはじめとする新型機を惜しみなく投入してきており、各所で激しい格闘戦が繰り広げられていた。そして、撤退の機を失って残骸と成りはてたKVも見られるようになってきた。
 空中でも乱戦に巻き込まれた岩龍が次々と撤退し、戦闘を続ける部隊の弾薬も心細くなり始めていた。
「舞台も戦場も、役割を演じる事に変わりありませんわ」
 富垣 美恵利(ga4872)の通信が戦場に響いた。秩序を失わない者、させられる仕事ではなく、与えられた役割の意図を理解し行動できるものこそが、困難な任務を達成に導くのである。
 そこに、ミッドウェー空港占領の報が飛び込んでくる。
「強いぜ! でもな絶望しか齎さないアンタらなんざ、この星には必要ねぇンだよ!」
 聖・真琴(ga1622)が叫ぶ。
「仲間の受けた痛み、万倍にして返すっ!」
 アルタ・クラウザー(ga6423)が残り少なくなったレーザーを放つ。
 オヘア空港へ到達できたのはカルヴァリオ隊、チーム零、ハイエナ隊のメンバー達であり、行動の中心は攪乱を意図したものであった。その為、数の上のでの戦果は大きくない。しかし、バグア軍を混乱に陥れるには十分なインパクトを持っていた。
 優勢に戦いを進めていたバグア軍が突如の後退を始めたのだ。
 そして、ミッドウェー空港方面からの加勢も加わり、攻勢に転じる。
 オヘア空港正面への戦力不足から一時は戦線の崩壊危機にあった。
 しかし、死を恐れずに戦った者達が居た。
 混乱の中役割を見失わない者達が居た。
 そして、誰もが自分の限界を感じたとき、信じる仲間に想いと力を託した。
 オヘア空港の奇襲を達成した者達が、ある者傷つき、ある者は機体を失いながらも誰も欠けるこなく奇跡的に帰ってくる。
 能力者としての誇りを、地球人類反抗の狼煙を守った喜びと誇りを胸に、誰も微笑んでいた。


<執筆担当 : 加藤しょこら>

【陸軍補助】

【シカゴ解放戦】陸軍侵攻

●攻撃開始
 タートル・ワームの砲撃に足止めされ、シカゴまでまだ200km。砲撃によって一時は崩れていた陣形を持ち直したバグア軍は、シカゴからの部隊と合流し、渦となって能力者の前に現われる。
「さて、忙しくなりそうだ‥‥」
 呟く大田川・龍一(ga0260)。電撃進軍の目論みは外れたとはいえ、陸軍のシカゴ到着がこの作戦の成否を担っているといっても問題はない。
 敵が体制を建て直し、ヘルメットワームとキメラの群を再投入してきた以上、このまま膠着状態を続けることは、能力者にとってすなわち敗戦を意味することになる。
 第二作戦は、まずキメラとヘルメットワームを一掃し道を切り開く。そして、タートル・ワームのプロトン砲を破壊し、突撃するという作戦に決定された。勿論補給路の確保、整備士、治療班などの活躍も期待されている。
「出撃する‥‥! まずはタートル・ワームまでの道筋を確保する」
「シカゴまで行きたいだけなんですけどね‥‥素直に通してもらいますよっ!」
 瑞浪 時雨(ga5130)と黒崎 美珠姫(ga6666)が口火を切り、再び平原で戦いが行なわれる。空と陸とでタートルワームまでの道筋をふさいでいるワーム・キメラの撃破‥‥危険な役目だが、恐怖に足がすくんでいるようでは前に進むことすらできない。
『GOOOO!!!!』
 タートルワームの砲火がジリジリと機体を焼く中、M1型戦車とKVの援護射撃に守られ、空を舞う。農耕地帯とだけあり、遮蔽物もなく、空にはさまざまな光が飛び交い‥‥爆音と共に彩られる。
「まったく、次から次へと!」
 陸上では九十九 嵐導(ga0051)が吐き捨てるように放った言葉と共に、ガトリング砲を連射していた。
『GFYAOOOO!』
「テレビゲームじゃねぇんだからちっとは遠慮しろって言ってるんだ。こちとら多く倒しても報酬はふえないんだからよ!」
 コクピット内部まで響いてくる耳障りなキメラの悲鳴に、要 雪路(ga6984は)カメラアイにこびりついた、視界を覆い隠す鮮血を拭うと、機体に抱きついてきた有機体を拳で殴り飛ばす。
「こちらナオミ。援護する!」
 ナオミ・セルフィス(ga5325)も彼の横につき、しつこくしがみついているキメラを斉射によって撃ち払う。無線から雪路の『機体に傷がついた!』という苦情も聞こえてきたが、彼が先ほどまで釘付けにされていた地点をプロトン砲が焼き払った直後には、感謝の言葉が聞こえてきた。

『諦めるのだ‥‥人類よ。そもそも戦いは‥‥』
「煩い! 巻き返す! ここから一歩も通さない!」
 時折唐突に無線に乱入するブライントン博士の録音放送を紫藤 才(ga7156)は叫び声と共にかき消すと、蛙のように飛び掛ってきたワームをディフェンダーで一閃する。
 足と平衡感覚を失ったワームはその場で転倒し‥‥もう一方の足で紫藤へと跳躍する!
「伝説の右ーーー!!」
 だが、ワームがとりつく直前、ガス・ケット(ga6443)とブラケット・スチール(ga6468)の拳がコンビのKVストリートファイターよろしく、その拳でワームの装甲を打ち抜く! 光を失い、動かなくなるワーム。

「下は派手にやっているな」
 弾き飛ばされたワームの破片を視界に、『IMP』のジーラ(ga0077)はスナイパーライフルD−02で補給路の急所となる場所に入り込むワームを撃墜していく。
「さて、今回も『IMP』らしく、ね!」
 その意気込みで、司令官機や、陣営などに大きな被害も出すこともなく、補給路を確保。
 補助班の活躍は、前線で戦う対タートル・ワームの班にも空戦班にも良い影響を及ぼすものだ。地盤が堅いと、動きもスムーズになる。

「亀なんか怖ないでーっ! パチキかましたるーっ! ほな、いけぇ!!」
「キメラは援護班に任せ一気に駆けていく! いいな!」
 キメラの壁が薄くなってきたことを確認した要 雪路(ga6984)が煙幕を張る。
 そしてそのタイミングを見計らっていたかのように『月狼』、『魔弾』、『IMP』、【8246隊】、『櫻小隊』、『ワプス隊』などの各隊が華麗な連携で、タートル・ワームへと接近していく。

「なんだか、亀退治の専門家になった気分ですね」
 特筆すべきは、【8246隊】の水上・未早(ga0049)の弾幕の張り方だ。試作型G放電装置の特性を把握した戦法は、タートル・ワームのプロトン砲の砲撃妨害に一役買っていた。
「後に続く者の道を拓く‥‥小隊全機突撃! 一機も欠けないでよっ!」
「ちょっと命がけの突入ね〜」
 ロッテ・ヴァステル(ga0066)が言うと羅・蓮華(ga4706)が言葉を繋ぐ。
 こうして、多くの攻撃隊が攻撃班がタートル・ワームに攻撃を集中させる。
 ヴィス・Y・エーン(ga0087)が先陣をきって攻撃を仕掛けると、
「ボク達の結束力を甘くみないでよね!」
「皆が頑張っているんですもの、私も頑張らなきゃ」
 月森 花(ga0053)、Laura(ga4643)達が後に続き盛大な弾幕を展開する。
 タートル・ワームはひるみ、周りのキメラはなすすべもなく焔に焼かれるばかりだ。

●空を駆る者
 青空。そこに飛行機雲。
  約30機の編隊を組む若葉隊とヘルメットワームの編隊が正面からぶつかり合おうとしていた。
「まずは露払いをさせてもらおう」
 オルランド・イブラヒム(ga2438)が言う。
「やれるだけの事をやるのが傭兵‥‥それだけだな」
 榊原 光(ga5904)はそう言うとトリガーに手を掛ける。
 力と力の激突。
 生きて帰れる保証はなかった。
 しかし、その事に怖気つくような者はいない。
 篠森 あすか(ga0126)が号令をかけると一斉にレーザーが放たれる。
 刹那、ヘルメットワームからも一斉に虹色の光線が放たれる、光の帯は次々と若葉隊の各機を捉え、ダメージが刻み込まれてゆく。
 しかし、ヘルメットワームの側も若葉隊のレーザーの前に大きく態勢を崩していた。
「みんな、1機でも多く墜として陸軍の連中に楽させてやろうぜ!」
 岡村啓太(ga6215)はそう言うと、態勢を崩したヘルメットワームにホーミングミサイルを放つ。
 ヘルメットワームは若葉隊の編隊の中に入り込んでくると、戦いは、格闘戦へと変化する。
「俺はもう子供じゃない。ううん。子供でいちゃいけないんだ」
 チェルト(ga6638)はそう言うと、ヘルメットワームに追いすがりバルカンを放つ。
 侵略者から空を取り戻すため、誰もが必死に戦っていた。

●運
 有利になっていても、被害が出るのは戦争の常である。それは避けがたい運命といえるだろうか。
「はいはーい、ニュースのお時間ですにょ〜」
 現地リポートを心がける【FM−Rev】。そのリーダー格のルュニス(ga4722)が、リポーターの様子がおかしいことに気づく。
「おーい、あまり近づいちゃだめだって〜。電波届かなくなるからぁ」
「といっても、この範囲でないと、しっかり中継できません〜」
 答えていたのは、クールマ・A・如月(ga5055)だ。どうも、かなり危険な所で中継をするらしい。
「‥‥もう、気を付けてね!」
「了解!」
「草稿も整ったし、いくよー! 」
「はい! 受け取りました。いきます!」
「こちら【FM−Rev】です。シカゴ解放戦の陸軍進軍について‥‥」
 ルュニスが番組を開始し、状況を報道していく。
「最前線のクールマさん!」
「こちら、現地のドン亀中継は‥‥あ‥‥」
 クールマが何かを言おうとしたときだった。マイクが切れる音が大きく響き、残るのはノイズのみ。
「クールマさん! クールマさん!」
「‥‥プロトン砲に撃墜されたよう‥‥です。彼を抱えて‥‥退避します!」
 別の隊員の声。
 流石にプロトン砲を回避する方が基本得策だ。庇おうとするよりかは、だ。彼女のジャーナリスト魂を讃える。
「こちら『わんわんわんこ』救助手伝います〜」
「了解‥‥。ありがとう『わんわんわんこ』。気を付けて戻ってきてね。まったくもう無茶しちゃって。‥‥やっぱり、これぐらいの勇気が無くちゃ、現地レポはつとまらないかぁ」
 クールマが生きていることは良いことだと、ルュニスは思った。
 流石に、まだタートル・ワームのプロトン砲が圧倒的だという情報にはなるだろうか。

●補給地域と治療棟
 補給地域では慌ただしさが増していた。
「一番数の多いKVはこっちに移動させて! 少ない方はもう少し奧!」
「はい。ホーミングミサイルどれだけ要るの?」
「6機」
「はいよ! つぎ、あの魔弾機の補給はまだ?」
 明星 那由他(ga4081)が、整備ラインを計画立て、其れを各整備員に配って作業をしていた。羽曳野ハツ子(ga4729)やファルル(ga2647)も整備に回っている。
「軽い者から先に!」
「こっちの機体はすぐ行けそうだよ!」
「OK」
 やはり被害や損傷が激しいのは、タートル・ワームと戦っている隊のKVだ。
「これは、かなり傷ついているねぇ。整備班、デトロイトまで運んで!」
 素早く診断し、別の機体の整備にまわるファルルであった。
「助かります。すぐ判断できる人が多いと」
 明星がファルルに言う。
「そっちも計画配置してくれたおかげで、整備が楽になってるわ。ありがと」
 と、簡単な会話をかわし、また自分の作業へと戻る。
 傭兵達に支給された食料も、前回と比べると軽くグレードアップされている。おにぎりにお茶、サンドウィッチに紅茶と、しっかりマッチしたものだ。補給を受け、再出撃可能な者はそれにかぶりつき、愛機へと乗り込み出撃した。

 治療班棟。そこも再び戦場となっていた。次々とけが人が運ばれてくるのだ。
 姫藤・蒲公英(ga0300)とパティ・グラハム(ga7167)、大曽根カノン(ga4936)や大泰司 慈海(ga0173)が一生懸命にけが人の治療を行っていく。重傷には錬成治癒を施し、包帯を巻く。けが人が多いため、他の人も手伝いに忙しい。
「消毒液が‥‥、不足しているわ」
「もって‥‥きます‥‥」
 慌ただしく、けが人と少しの怪我なので再出撃する人が入り交じる。
「もって‥‥きました」
「ありがとう。まだまだ人は来るよ」
 4人に汗がにじむ。
 ここは戦場でも安全な場所とはいえ、まだ油断できない。
「また重傷者!」
「いきますよ! 緊急オペ!」
「はい!」

●タートル・ワーム戦
 キメラもヘルメットワームも退けられ、タートル・ワームの勢いも、牽制や煙幕などで衰え始める。
 彼岸・桜(ga1873)が煙幕を張り、急降下でフレア弾をタートル・ワームに落とす。
「亀のバーベキューです!」
 煙幕が一気に火柱に変わる。
 フル・リュミナス(ga4152)も同じようにタートル・ワームに向かってフレア弾を撃つ。空から地上への攻撃は、相対速度の為、実質的なダメージを与えられない状態にあるが、真下に急降下すれば、フレア弾という武装は強みを持つ。元々、この武装は、壁などを破壊するために使われる。それの応用だ。実際の効果はどうか目視だけでは不明だが、最悪敵陣地をひるませる程度の効果は持っているだろう。
「これで、狙いやすくなった。蒼月、プロトン砲を破壊する」
 宗太郎=シルエイト(ga4261)がタートル・ワームのプロトン砲を狙い、無力化させ、後続の直接攻撃とレーザー砲所持者に任せるため、一度離脱する。
「月狼各隊、こちら蒼月、1体無力化!」
「ヘリオス確認、他隊も無力化に成功。しかしまだ健在のワームに注意」
 ヘリオス――皐月・B・マイア(ga5514)が戦況を細かに報告していく。
 そこで一気に3.2cm高分子レーザー砲の一斉射撃が行われた。タートルワームは四肢を収納して耐え切ろうとするが、衝撃にこらえきれずに弾き飛ばされる。
「弱ったやつを仕留めるぞ!」
 ビームコーティングアックスを持ったKVを駆るのはヴァイオン(ga3812)だ。その重たい斧で、タートル・ワームを甲羅ごと切り裂いた。
 【8246隊】のレイラ・ブラウニング(ga0033)とベールクト(ga0040)達が一撃離脱の戦法でワームを弱め、最後にベールクトがショルダーキャノンでタートル・ワームを弾き飛ばす。
 空に打ち上げられ、着氷したワームは、そのまま氷を突き破って湖の底に沈んでいった。

「ふはは! この亀め! お前達は砂浜で産卵だけすればいいのだ!」
 メディウス・ボレアリス(ga0564)が3.2cm高分子レーザー砲を乱射する。かなり前の戦いか何かで酷い目にあったからか、このワームに対して憎悪が激しく、鬼気迫るものがある。
 援護射撃とも本命攻撃ともつけがたい。当然、他のレーザー砲、水城 凍也(ga6892)による上空からの試験型G放電装置でワームは足止めを喰らっている。彼女1人でやっている訳ではない。他の無所属能力者達の連携のたまものでもある。
「タートル・ワームの沈黙を確認! 憎悪に燃えるのはいいが亀のライフは0だ、次の目標を狙え」
「分かった! 次どこだ!!」
 凍也の言葉に、メディウスは周囲を見回す。
「その前に、もうエネルギーが尽きかけているはずだ。補給を受けるべきだと思うぞ?」
 南雲 莞爾(ga4272)が諌める。
「む。それもそうか。」
 2人のKVから、残燃料のエンプティ警報が鳴る。
「メディウス、補給のため離脱する!」
「南雲、メディウスの補給離脱の援護をする」

「うおおおっ! アグレッシブ・ファング!」
 撤退する二機を狙おうとしていたワームに対して、リィデス(ga0022)と森木 久美(ga4642)が雄叫びと共にKVで突撃を敢行する。
 地響きと共に傷ついていたワームの甲羅が砕ける。
 ワームは断末魔を上げて、最後のプロトン砲を撃つものの、二人に当たらない。だが、そこまでだ。そこで二機のKVがエネルギー切れを告げた。
「援護するから補給に戻れ!」
「了解‥‥離脱します」
 今度は慎重に、退避していく。
 一方、運が悪かった者もいた。KVスピアで突撃したイグニス(ga6033)は、幸運にもワームの脆い部分を貫通させるも、敵の突進で刃の甲羅にKVが串刺しにされ、KVが大破。
 そこでタートル・ワームは沈黙する。幸いにも彼は生きているが、脱出には時間がかかりそうである。そのまま滞在するのは、爆死もありえるため危険だ。
「『わんわんわんこ隊』です。一度脱出を試みてください!」
「りょ、了解‥‥」
 彼は何とかKVから降り、戦場から離脱し、救助班に救助されていった。
 しかし、彼の勇気をたたえることは出来るだろう。

 ベル(ga0924)は援護射撃を繰り返し、煙幕を張り、高分子レーザー砲でワーム群と交戦をおこなっていた。
「煙幕の向こうから熱源観測! これは‥‥!」
 同チームの隊員と連携をもって戦っていたが、煙幕の向こうから放たれたプロトン砲の砲撃にさらされ、腕の間接が溶解する。
「この! どこだぁ!」
 そして仕返しとばかりに、同じく煙幕の向こうの相手にレーザーを撃つ。
 あがる爆炎‥‥どうやら自分の運も捨てたものではないらしい。
「月影、整備のために戻る」
「‥‥月狼第壱中隊三番隊、全員補給整備で帰還する!」
「こちらワプス、補給援護で援護射撃する」
「了解。協力に感謝する」
 無線での通達。
 ワプス隊の協力を受け、月狼第壱中隊三番隊は無事帰還できた。

●進軍、その先には
 タートル・ワーム群は、UPC群の構攻勢を受けて撃退、あるいは後退されていった。
 シカゴの南部が制圧された報告もあり、バグア軍の足並みはそろわなくなった。その状況もあって、陸軍はシカゴまで50kmの地点まで進軍していた。

 しかし、岩龍や偵察の各部隊から、不穏な情報を受け取り、一度進軍を止める。
「50km付近にキメラ、ゴーレム多数。あれは‥‥シェイド‥‥?」

『違うよぉ。これはステアーっていうんだ。‥‥よくぞここまできたUPC軍よ、だが、この私、リリアン・ドースンがいるからにはシカゴまではたどり着かせないぞ‥‥ふふっ、どう、悪役っぽかった?』

 無線に割り込んできた声は‥‥まだ、年端もいかない少女のものであった。


<執筆担当 : タカキ>

 【ワシントン先遣部隊撃破】

 UK周囲の傭兵達は、数々の被害を出しながらも、何とか緊張感を保っていた。と、そこへ、警告音が鳴り響く。直後、現れたのは増援と思しきワームの大部隊だ。
「UK、こちらNEMO、敵編隊を迎撃する、目標のデータをおくれ」
 単独機の伊藤 毅(ga2610)が、管制のミクに尋ねた。程なくして、ミクから進路と目標の指示が飛んでくる。どうやらあれが、ワシントンからの先遣部隊のようだ。
「よし、ちょっとは役に立たないとな」
 敵を見つけた瞬間、御東間・益零(ga0357)、佐岳師祐子(ga4931)ら、大部隊所属ではない面々が、切りこみ役と言わんばかりにつっこんで行く。グレネードやミサイルが、まるで糸を引くように飛び交う中、天衝偵察班【天神】小隊長の桜神羅 乃衣(ga0328)が、未所属の各機に通信を送った。
「情報網【天の糸】形成します。部隊所属でない方は、通信範囲内に入ってください!」
「了解。ワームはお前さん方に任せるぜ」
 その通信を傍受していた、ジャクソン・ウェストフ(ga7009)が、周囲に居たキメラに、爆撃を開始する。
 だが、向こうも黙っているわけはなく、ワームを相手取っていた閃天の前衛、神楽克己(ga2113)と、キリト・S・アイリス(ga4536)の2人を、強制帰還の憂き目に合わせていた。
「やばっ‥‥」
「くっ‥‥すみません、下がります」
「皆さんこっちへ! 補給は早めにお願いします!」
 誘導するリリィ・S・アイリス(ga5031)。KVで弾薬の補給は難しいが、損傷を受けた機体の回収なら、フリーの身分でも出来る。1人でも多く救いたいから。
「偉い人が昔に言った! トン! トン! ワシントン!!」
 そんな彼女と入れ替わるようにして、閃天の後ろからこっそりと、天草・渉(ga0015)が、ミサイルをぶち込んでいる。一件、冗談に見えるが、トンに合わせてミサイルを撃っているところを見ると、リズムを取っているようだ。
「傭兵ども、本艦はこれより、艦首大型粒子砲を発射する! もっとも試作型だがな、正射されることを祈っておけ!」
 そんな中、天の糸を通じて、UKのツァィコフ中佐から、警告が放たれた。
「‥‥3‥‥2‥‥1 撃てぇぇぇぇいっ!!!」
 カウントは5秒。その直後、まばゆい光が、あたりを包む。巻き添えをそれほど注意していなかった5機ほどが、ジリジリと機体を焦がされた。
「ワーム、なおも健在。敵損傷率1割。各機、掃討に移ってください」
 リーゼロッテ・御剣(ga5669)が、発射後の戦況を報告してくる。それを聞いて、第二ラウンド開始とばかりに、九条・命(ga0148)率いるチーム<FANG>が追撃にかかる。彼がバルカンで行く手をさえぎり、九条・運(ga4694)がライフルで援護、トドメをMAKOTO(ga4693)が刺していた。
「足止めいくよっ! 攻撃用意はいい?」
 抜けてきた敵は、イヴ・ヴィオレット(ga3579)と御影 葉澄(ga3577)、秋篠 小雪(ga3578)が囲い込む。しかし、敵もただやられるばかりではない。撃墜こそされなかったが、彼女達を重傷へと追い込む。
「オラトリオ隊各機へ、我々は引き続きUKの直衛に付く。善戦を期待します」
 その壁を抜けてきたワームを、天上院・ロンド(ga0185)率いるオラトリオ隊が迎え撃った。前後2列のフォーメーションを組み、2段攻撃をする彼らだったが、やはり無傷とは行かず、チームメイトの、高木・ヴィオラ(ga0755)、高木・リート(ga0757)、兎佐川・芽衣(ga4640)が重傷だ。3人とも前衛担当なので、味方機を庇ったのだろう。
「UKには近づけさせませんっ」
「必ず、護ってみせます!」
 たまに、抜けてくるワームがいる。それを、すぐ近くで護衛していた新居・やすかず(ga1891)が止めに行き、蒼井(ga2848)が庇う。盾になった蒼井が大破していた。
「ユニヴァースナイトへの最終ラインは割らせません!!」
 櫻小路・なでしこ(ga3607)の属する天衝隊【朱翼】が、KV主砲の下へと集結していく。それを見た同じ天衝隊【紅天】班の葵 宙華(ga4067)が檄を飛ばした。
「気合一閃、天衝出陣!」
「了解。【蒼帝】に半端な奴は誰一人いねぇ、安心しな」
 答えた別班‥‥【蒼帝】小隊長OZ(ga4015)が、ガトリング砲をワームに向けて放つ。それに倣い、影 皐月(ga4950)が、影のように付き従いながら攻撃するが、彼は損傷率30%を超えてしまい、怪我をするハメに。
「こちら月天、これより朱翼を援護する」
 【朱翼】班の援護を担う【蒼翼】班。その小隊長である千道 月歌(ga4924)が、通信機越しにそう言いながら、周囲の敵に牽制弾を放った。
「――手は綺麗に、心は熱く、頭は冷静に」
 部下であるクロード(ga0179)が、御華薙 刀也(ga5160)と共に、追撃へ移る。
「天衝隊ばかりに、美味しい思いはさせないわ。ここは通行止めにさせて頂きます、お引取り下さい!」
 アリオノーラ・天野(ga5128)が、シーヴ・フェルセン(ga5638)と共に、ジャミングを中和しつつ、バルカンを放つ。さすがに無傷とは言わなかったが、チームメイトのラルス・フェルセン(ga5133)が援護してくれたおかげで、何とか撃墜されずに住みそうだった。
 こうして、傭兵達が徐々に有利さを勝ち得ていた時だった。
「旅風より本部へ! 高速で接近してくる機体がある! 確認してくれ!」
「天の糸より各機へ。これは‥‥シェイド!?」
 識條 夢瑠(ga0330)が、警告を放つ。だが、とき既に遅く、依然助けられた恩義からか、UKを庇った霽月(ga6395)が大破していた。
「……新たなる翼を以って、渇望の王は怨敵を討つ。それだけだ……!」
 崎森 玲於奈(ga2010)が、新品の武装をシェイドに撃ち込み、迎撃を試みる。爆音と共に漆黒の機体は炎に包まれ、能力者は拳を握り締める。
(「その程度で堕ちる機体だとでも思ったか!?」)
「早‥‥っ!」
 だが、爆炎の中から現れたのは以前と変わらぬ姿を保ったシェイド!
 張り付かれたジーン・ロスヴァイセ(ga4903)は、言葉を最後まで喋ることもなく被弾する。
「“悪評高き狼”を甘く見るなよ…!」
 その隙を付いて、人型へと変形した御影・朔夜(ga0240)が、雪村を叩き込む。手ごたえはあった。それでも、シェイドはその身を揺るがせはしない。
「人類は追いかけられるばかりじゃ無いんだよ、バグア共」
「‥‥緋2。キョーコ・クルック行くよ!」
 緋隊の寿 源次(ga3427)と、キョーコ・クルック(ga4770)が、果敢に攻めるも、蹴り飛ばされ、怪我をしてしまう。
「こんな所で終わるわけにはいかないので、な!」
 その彼らが、帰還する時間を稼ぐ為、牽制弾を放つルイス・ウェイン(ga6973)もまた、盛大に吹き飛ばされていた。
「守るより攻めろが家訓ですわ!」
 人型へと変形したセリア・E・ロア(ga4457)が、ブースターを吹かせながら、ディフェンダーで切り込む。しかし、シェイドの動きは早く、捕らえきれずに被弾してしまった。
「ゼファー各機へ。まともにやっても勝ち目はない。釣るぞ!」
 鷹見 仁(ga0232)率いるチーム【ゼファー】が、彼の合図で、シェイドを包囲しにかかる。数の多い彼ら、四方八方を取り囲み、シェイドの動きを封じようとする。
「上手く行くといいですけどね」
 エル天(10)(ga6485)がそう言う中、仁は合図を出す。ちょうど彼の機体へ誘導するように、道を開き、そこへシェイドを誘い込むように。
「シェイド、逃がさない‥‥そう言ったはずだ!」
 開いた道へ、彼はディハイングブレードを振り下ろした。がきりっと金属音がして、思い手ごたえが伝わる。アップになったシェイドのコクピットに移る京太郎の姿。冷たい瞳は、何を考えているのか、まるでわからない。
「スマートに行きましょうか」
 京太郎の口元がそう言ったように見えた。直後、仁は大きく吹き飛ばされ、エル009ノ1(ga6483)にぶつかりそうになってしまう。慌てて体制を立て直して振り返れば、シェイドは既に囲みを突破し、距離をとっていた。
「やはり佐渡か‥‥。UPCのデータベースでは、確かNASAの関係者だったと聞いたが‥‥。能力者ではないんだったよな?」 「それであの動き‥‥。どう考えても、昼寝が聞いてきたデータと違うわよ」
 Y字型陣形を組んだアクアリウム。その一員である鯨井昼寝(ga0488)とゴールドラッシュ(ga3170)が、手に入れた京太郎のデータを、天の糸へと流す。
「おかしい‥‥予想スペックよりも‥‥遅い?」
 昼寝が呟く。そのデータには、京太郎は元々技術者だったと記されていた。だが、今のシェイドは、つついては引き、引いてはつつきの繰り返し。 おかげでこちらにも、被害は少ないのだが、逆にせっかく攻撃を命中させても、連続攻撃には繋がらず、相手にもあまり被害を与えていなかった。
「いー加減決着つけようじゃない!? あんまりしつこいと嫌われるよっ!!」
 痺れを切らした葵 コハル(ga3897)がG放電管を使った。と、シェイドはその場に留まらず、無理にでも逃げようとする。ばちばちと、火花が散った。
「そうか‥‥。奴、まだ回復しきって居ないな‥‥。よし、天衝隊、何とかして奴を取り囲め!」
 総長代理として、命を下す煉条トヲイ(ga0236)。
「任せろ。こんな事もあろうかと、こんな事もあろうかと、こーんなこともあろうかとぉ! 秘密兵器を用意しておいた!」
 西研のドクター・ウェスト(ga0241)、通信機のボタンをぽちっとなーとばかりに押しながら、所員にG放電管を発射しろと伝える。こちらも、所員を2名失っている。仇は、取らねばなるまい。
「計算上、この機体配置なら全機のG放電の射程に入る」
「墜とされた戦友達と故・ブライトン博士の仇を討たせていただく!」
 ロバート・ブレイク(ga4291)と、ランドルフ・カーター(ga3888)が、ドクターの攻撃が当たり易い様、両側から発射していた。そして、半ば引き摺り下ろすように、シェイドを地面すれすれへと誘い込む。
「…いいわ、地獄を見るまで…相手になってあげる。和奏ちゃん、いくわよ」
「中佐のおじさん…あの時は敵わなかったシェイドを、僕達で今度はきっと…!」
 アリス(ga1649)が、帯電粒子砲を、動きの止まったシェイドに浴びせかけた。そこへ、水理 和奏(ga1500)が、動きを阻止するかのように、雪村で切りつけた。
 だが。
「‥‥なめるな」
 シェイドのコクピットで、そう口の形が動いた。
「俺を踏み台にしたァッ!?」
 それを証明するかのように、這い寄る秩序(ga4737)が、蹴り飛ばされる。
「上等だ。伸るか反るか…チャンスは一瞬。活路は無理矢理にでも切り開く!!」
 動きの鈍ったシェイドに、ブースター込みの雪村を切りつけるトヲイ。その時だった。
「‥‥ブライトンのじじぃからか。撤退とはな‥‥この程度の抵抗を予想できないなら、最初から出撃させるな」
 コクピットからエネルギーガンで京太郎を狙っていたウェストには、そう聞こえたような気がした。撤退していくシェイド。
 直後、本部から警告が鳴り響く。
「‥‥傭兵さん達に緊急報告。ギガワームがワシントンにおいて稼動準備を開始したとのことです!」
 動揺が走る。その間に、シェイドは速度を上げ、ワシントンに向かってしまうのだった。

<執筆担当 : 姫野里美>  


 【シカゴ市街地敵殲滅】

 シカゴ郊外にある旧メイガス空港、かつてはその名の通り空の窓口としての機能を果たしていた同空港だが、五大湖解放戦第一段階にバグアの作戦において破棄、爆破された場所であった。
 しかし爆破されてはいるものの、場所的には悪くない立地条件にある。何より滑走路だけでも機能を復帰できればオタワ、デトロイトからの援軍が期待できる。そこでUKに積み込んである補給物資等を利用して、KVを使っての修復作業が開始された。
「燃料には各自気をつけて、それとワーム見つけたら逃げちゃってね」
 カーラ・ルデリア(ga7022)率いるハニービー部隊は、周囲にバグアの姿がないかを絶えず警戒しながら、UKからメイガス空港へと補給物資のピストン運搬を行っていた。
 本来ならバグアの姿を確認次第撃破したいところではあったが、敵が中々姿を見せず、持久戦を選んだからである。
 そのため、バグアの姿が見えない間に、工作部隊は出来る限り作業を進めておく必要があった。
 だが、バグア以外の危険が皆無と言うわけでもない。バグアが埋めていったのであろう、地雷と爆破の影響で、破壊された建物の瓦礫が周囲に残っているからである。そしてキメラやワームが時折仕掛けてくる攻撃の度に、作業の手は止まってしまうのが現実だった。
「うっうー!!」
 バグアの出方に、ガンアンツ隊長である比留間・トナリノ(ga1355)は少なからず苛立ちを感じていた。狙撃を成功させるためにも、冷静に振舞おうと務める彼女だったが、敵は時に空中、時に地中と神出鬼没であるため、狙撃のベストポジションが確保できないでいたからである。何体か仕留めてはいるが、それでも仲間の報告を受け、現地に到着する前に敵が姿を消すことも少なくはなかった。
「焦れても出てきませんよ」
「むしろ焦らすのが目的ですから」
 隊員である草壁 賢之(ga7033)や燕のキャル・キャニオン(ga4952)が読書や紅茶をすすめるが、いつ敵がくるか判らない状況で休憩できるはずもなかった。陸軍が到着していれば数に物を言わせることも可能となるが、無い物を強請っても徒労でしかない。次の段階に入るまでには到着してほしい、と願いたいところだが、それさえも保障は出来ない状況である。
 常に周囲を警戒しなければならない緊張感が空港を包む。そんな中、ハニービー所属のクラウディア・マリウス(ga6559)が付近の全能力者通達に対し呼びかける。北部から押し寄せてくるバグア軍を押し留めていた市街地戦線部隊が、一部敵の通過を許したため、増援となる可能性が高いということだった。

 その頃市街地では、押し寄せるバグア軍にヘイムダル、アイギス、飛槍、ファフニール、イエローマフラー、ヒヨコ隊といった各部隊が、ゴーレムやタートルワームを主力とした敵バグア軍に苦戦を強いられていた。
「進行ルートに敵対勢力確認…攻撃を開始します!」
 アイギス第一小隊フロントアタッカーである夕凪 沙良(ga3920)と援護に入る白鴉(ga1240)、続いて第二、第三小隊と波状攻撃、砲撃援護で敵を各個撃破していく。そして状況を見つつ撤退補給、その間を他の隊が補うという形で陣形を組んでいた。当初はそれで凌いでいた、だが途中から様相が変化する。バグアが戦法を変えてきたために。
 数に余裕のあるバグア軍は、やがて能力者側が波状攻撃を仕掛けてきていることを確認すると、時にゴーレムを、時にタートルワームを前線に押し出してKVの補給を促し、部隊変更の隙を狙って一気に攻勢を仕掛け始めてきたのだった。

「LuckyDays等遊撃部隊がある程度数を減らしてくれているみたいだけど、それでもかなりの数がくるみたい」
 能力者達に危険を伝えるクラウディア。ゲリラ戦法を使ってくる空港近くに潜むバグアにすら手をこまねいている状況の中で、敵の増援が望ましくないことはその場にいた全能力者が理解できることだった。
「なら合流前に修復させればいい。さあアリの様に働こうじゃないか」
 雨霧 零(ga4508)が呼びかける。敵の狙いは恐らくメイガス空港復旧阻止、しかしゲリラ戦法を使うということは時間稼ぎしかできないということを意味する。そして敵に増援が来るということは空港復旧阻止を本格化するということであり、能力者達のとるべき最善策は増援前に復旧させてしまうことに他ならない。だがそれはバグアの標的になりかねないということになる。
「それしかないみたいねー。アメリカ来てまで土木作業、更には命をかけることになるとはねー」
「周囲の警戒を強化しつつ清掃作業ですね」
 嘆きつつも賛同する時雨・奏(ga4779)、キザイア・メイスン(ga4939)らガンアンツ工作部隊。それも仲間を信頼しているからこそのことだった。
「ちなみに現在の戦線状況は?」
「かろうじて戦線は維持しているみたいね、こっちの援軍にまわろうとした人もいるみたいだけどちょっと無理みたい」
 クラウディアに状況を確認するを求めるフリューゲル(ga6829)、そして答えを聞いて肝を据えた。
「工作も重要任務です、いやむしろ最重要任務かもしれません」
 そして再び作業を再開するのだった。

 一方の市街地部隊の方は、抜かせまいと各チーム間の連絡を密に取り始めた。補給物資はUKに積み込んであったため多少の余裕はある。だがいつまで続くか分からないこの戦闘、無駄にする訳にはいかなかった。
 そこでタートルワーム、ゴーレムといった大物はヘイムダル、アイギスといった大型のチームが担当。そして残るワームやキメラを他の能力者達が撃破していく。だが明確な終了条件のない戦闘は目に見えない疲れとなって能力者達の体を蝕んでいった。
「今ので何体目だ?」
「五体目くらいじゃないか?」
 ヘイムダル所属の沢村 五郎(ga1749)、大山田 敬(ga1759)は目の前のタートルワームを撃破しながらそんな会話を行っていた。ヘイムダルがとったのは白兵部隊と狙撃部隊に担当を分担、白兵部隊がおびき寄せて狙撃部隊が十字砲火するという作戦だった。当初は撃破数を数えていたが、敵の数に底が見えない以上数が見えても仕方ないことを悟ったのか、三体目以降を数えるものはいない。
「次来るぞ、援護を頼む」
「了解、高いところからお待ちしてますよ」
 加えて、ヘイムダルは空港制圧を第一にしていた。そして予定通り空港付近の制圧を行ったうえで市街地戦に参加したはずだったのだが、再度空港付近でもバグアの攻撃が開始したという。後顧の憂いを絶つ意味でも応援に駆けつけたいところだったが、ある意味バグアに足止めされている状態である。
 またキメラ、ワームを担当する単機部隊はUNKNOWN(ga4276)の元で敵弱体化を狙っていた。倒すことできればそれに越したことはないが、深入りをすれば取り返しのつかないことになりかねない。それで留めは飛槍、ファフニール等のチームが担当、それでも対応しきれなかった所を遊撃部隊であるLuckyDaysが潰していくという形で対応していく。

 作戦開始から三時間が経過した頃、空港滑走路の八割が暫定的なものではあるが、使える状態まで持ち直していた。それを支えたのはバグアが襲撃をかけてきても作業の手を緩めなかった工作部隊と、彼ら彼女らを身をもって守った護衛部隊。
 バグアが襲撃すれば作業の手が止まる、そしてバグアが破壊していけば再度修復を行わなければならない。加えて前線部隊も精神的疲弊を起こし、UKに積んであった補給物資にも限りが見え始めている。この悪循環を断つためにはメイガス空港が復帰し、オタワ、デトロイトから援軍なり補給物資が到着できるようになるしかなかった。
 当然バグアは工作部隊を中心に攻撃を展開する、だがしかしこれが一つのきっかけとある。バグアの狙いが絞れたことにより護衛がしやすくなったからである。
 そして更に二時間後、途中からほぼ不休で進められた滑走路整備が完了し、デトロイトから補給物資を積んだUPC軍の輸送機が到着する。突貫作業で進められたメイガス空港が暫定的ながらも復旧した証拠だった。それを機に前線部隊のバグア軍も撤退開始、当初何らかの作戦かと怪しんだと考えたものもいたが、奴らが再び攻撃に転じることはなかった。
 一度UKの滞在するメイグス空港へと戻る能力者達、戦った場所こそ違えど一つの作戦に従事した仲間であることに違いは無く、お互いの健闘を称え合い始める。
 そしてUK艦長であるミハイル中佐から全能力者に対し連絡が入る。誰もがねぎらいの言葉だと思った、事実半分はねぎらいの言葉だった。だがもう半分はテレビを見ろという通達だった。
 すぐさまテレビが運び込まれ、画面が映し出される。悪い予感に駆られながらもテレビを探す能力者達、そんな彼ら彼女らの前に映し出されたのは、二ヶ月前名古屋防衛戦でも姿を現したブライトン博士だった。
「‥‥諸君らが本気で私達に抗うつもりであることに、私も少なからず驚きを感じずにはいられない。だが私は慈悲深い存在、未だ愚考を繰り返す諸君に二つの選択肢を用意した。一つは日出る処より来る箱舟に身を委ねること、二つ目に日没する処より来る影に飲み込まれること。好きな方を選ぶが良い。繰り返そう‥‥」
 それは新たな戦いの幕開けだった。

<執筆担当 : 八神太陽>


※負傷者一覧
大破・重体(次回出撃不可)
リュイン・カミーユ(ga3871)
ホアキン・デ・ラ・ロサ(ga2416)
風 ga4739
ディノ・ストラーダ(ga0225)
高橋鳴尋(ga1816)
レミナー・ジェルニール(ga4974)


機体大破(次回その機体のみ出撃不可)
クールマ・A・如月(ga5055)
イグニス(ga6033)
御東間・益零(ga0357)
佐岳師祐子(ga4931)
伊河 凛(ga3175)
蒼井(ga2848)
霽月(ga6395)
ジーン・ロスヴァイセ(ga4903)
ルイス・ウェイン(ga6973)
榊兵衛(ga0388)


重傷(出撃可能、生命力減少に注意)
ベル(ga0924)
メディウス・ボレアリス(ga0564)
森本 久美(ga4642)
南雲 莞爾(ga4272)
神楽克己(ga2113)
キリト・S・アイリス(ga4536)
御影 葉澄(ga3577)
秋篠 小雪(ga3578)
イヴ・ヴィオレット(ga3579)
高木・ヴィオラ(ga0755)
高木・リート(ga0757)
兎佐川・芽衣(ga4640)
新居・やすかず(ga1891)
影 皐月(ga4950)
アリオノーラ・天野(ga5128)
シーヴ・フェルセン(ga5638)
二階堂 審(ga2237)
崎森 玲於奈(ga2010)
寿 源次(ga3427)
キョーコ・クルック(ga4770)
エル4(ga1877)
エル11(ga6486)
エル12(ga6488)
エル14(ga6545)
這い寄る秩序(ga4737)
グラットン・S・彩(ga1321)
葵・純(ga5462)


 




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