HF-041-GrExa 天(TIAN)
●C.Or.E ver2.0
 C.Or.E ver2.0は従来のC.Or.Eに推進力を加えコクピットブロックごと戦場を離脱できるように改良したもので、非常時における乗員の安全性を重視した設計である。
 ただし、推進力があるといっても、あくまで緊急離脱用のものであり長距離飛行の用はなさない。それでも、降下するだけの脱出装置に比べて脱出したパイロットの安全を確保しやすいものとなっている。

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●航空特性
 翼を有さない為、従来の機体とは航空特性が若干異なる。両腕部の主推進器の角度を変更する事で機動する。
 ベクタードスラストとは異なり、付け根の部分から稼動するため360度自由な角度変更を行う事で旋回や高度変更、加減速に使用されている。
 また既存の機体比べて機体各部の姿勢制御スラスターが多く、その依存度が高くなっている。大幅な軌道変更は両腕部を用いるが、それを補助する細やかな動作には機体各所の姿勢制御スラスターを利用する。
 両脚部の主推進器もある程度の角度変更は可能だが腕部程の自由度は無い。

 推力で飛翔するという事は奇妙に思えるかもしれないが、極論すればミサイルと同じであるし、相対的に翼の小さなKVの事例は少なくない。

 試作機の段階では可変翼を搭載し両肩に推進器が取り付けられていたが、噴射方向の調整次第で同等の性能を得られる事から現在の形になった。

●姿勢制御装置
 この機体の姿勢制御機関は、未来研協力の下にバグア襲来以前に実用化されていたハイパーゴリックエンジンにSESを付加したものを搭載している。
 推進剤に関しては旧来通りのものでは毒性が強すぎるため、新たに調製された毒性の小さい推進剤を用いている。飲んでも安全とは言い難いが、ラフな取扱いに十分耐えうるものとなっている。
 機体開発が終盤に差し掛かった時点でエミオン技術による新型宇宙用スラスターを未来研が開発しているという話が出てきた。
 この技術は全メガコーポレーションへと基礎技術提供を行うという話になっているが、特性の違いこそあれ、大局的な効率では大きな差がなかった為、天ではそのままハイパーゴリックエンジンで完成にこぎつけている。

●推進装置
 推進系にはアークジェット等の電熱加速型エンジンの理論を基礎とし、SESの補助を組み込んだSESアークジェットと呼ばれる推進機関を搭載している。
 理論としては高性能バッテリーによる電力によるアーク放電を利用し、推進剤を加熱し噴射する事で推力を得る方法である。
 アーク放電にSESを用いる事で必要な電力を低減し高効率な推進システムとして完成している。
 従来のジェットエンジンが発電機を兼ねていたのに対して大量のバッテリーを搭載する必要があるが、推進機関そのものは小型軽量な為に相対としての重量は大差ない。
 なお、アークジェットを支える高性能バッテリーは己丑北伐における敵戦略兵器「雷光石」を鹵獲して研究した結果によるところが大きい。
 雷光石は未来科学研究所が接収して研究を進めていたが、奉天北方工業公司も独自に確保して研究していた為、一歩先んじたという印象である。

●駆動装置
 駆動系はモーターや従来のアクチュエータ類を最低限の搭載に留め、四肢等の稼動にはメトロニウムを一定比率で配合した特殊合金による人工筋肉を利用している。
 人工筋肉が電気刺激を加える事で収縮する事を利用したもので、生物同様に伸縮を利用した駆動システムとなっている。
 従来装備していたモータ類を排除したのは想定する積載重量に対して力不足な点が否めなかった事による。
 モーターが間接ごとに独立しておりダメージコントロールが容易なのに対して、人工筋肉は機体内における占有率が高い為に相対的な被弾率が高い。かつ、一部のダメージが機能停止に繋がる為、ダメージコントロールが難しい。
 しかし、柔軟であるとはいえ均質な金属であり、それそのもの耐久力はモーターに比較して高い。

●装甲パージ能力「D.Re.Ss」
 奉天機としては比較的普通の機体だが、奉天らしい機動性を最重視し装甲は不要といった設計思想は生き残っており、外部装甲は二段階に排除する事が出来る。
 1段階では最低限の装甲は残されるが、全て排除した場合骸龍に匹敵する脆さの変わりに圧倒的ともいえる機動力を手に入れることが出来る。
 この特殊機構は「Defensive armor Remove System」、通称「D.Re.Ss(ドレス)」と呼ばれる。

●謎の発光現象
 人型形態時における機首部の発光は意図したものではなく、SESへのエネルギー循環路の一部が反応した結果。
 発光する理由は不明だが機体には何ら影響が無い為特に変更は加えず、装飾として利用している。