次期中規模KV計画

 GFA-01シラヌイはNMV計画、すなわちNext Middle-scale Vogel(次期中規模KV)開発計画である。
 長期間にわたる慎重な調整強化によって飛び抜けた性能を持つKVを使用している傭兵エースパイロット達。
 彼らの活躍は人類の戦線を支える重要な力であるが、一方で彼らと新人傭兵の間にはどうにも越え難い先行者利益の壁が立ちはだかっていた。
 もちろん、どのような事業でも先行事業者がシェアを拡大することは資本主義の節理であるが、先行者にも大きなリスクがあることもまた節理である。技術の進展による設備更新は、先行者不利益であると共に後発優位である。
 なにより先行者の切り開いた道が、後発の進みやすい道をなるのである。
 GFA-01シラヌイをはじめ、ムラサメ(真ミカガミ)ガンスリンガースカイタイガーなどのそれぞれに個性的で優秀な機体であり、いずれの機体も現在までの水準を大きく上回る性能に達している。
 その性能の秘密は先行者たる傭兵達の機体に施された機体強化の失敗と成功の実績を集積したことによるものなのである。
傭兵の強化によるカスタム雷電  

シラヌイの一般型とS型の違いは主として頭部形状である

銀河重工全社体制の最終調整

 シラヌイの採用が銀河重工に伝えられると、銀河重工は全社体制でシラヌイへの支援を開始した。
 その中で新たに採用された試作型AEC(アンチ・エンルギー・コーティング)に「XF−09B」用に研究されていた超伝導コーティングの試作型が導入されていることも、銀河重工内の部署の枠を超えた協力があってのことである。もちろん、完成型へのデータ収集という目的もあるだろう。
 当初、計画されていた「対レーザーコーティング」は特殊な専用塗料を使用する為、機体に全面的なカラーリング変更はもちろん、エンブレムのペイントも施せないものであった。しかし、エンブレムペイントから始まり、機体の全面的なカラーリング変更などを好む傭兵に対して、それらを全面的に禁止する措置は機体の売上に大きな悪影響を及ぼす可能性があるとして、ペイントを制限しない試作型AECへ変更されたのである。
 こうした銀河重工の全社体制での協力によって、GFA-01シラヌイは屈指の高性能機となったのである。

シラヌイ・S型
     開発の経緯

 シラヌイの限定生産モデルであるS型の開発はシラヌイの基本性能の
高さと汎用性に着目したUPC軍が同機のバリエーションとして指揮官用の機体を発注したことに始まる。
 戦場での命令系統の確保の為にC4I(C命令、C統制、C通信、Cコンピューター、I情報)機能の強化が行われた。それに際して通信装置、コンピューターの処理能力の大型化は消費電力の増加を招くことになった。
 強化されたアビオニクスへの電力不足を解消する為、より強力なエンジンに換装して補うことになったが、結果として大きな余剰出力を得ることに成功した。
 余剰出力は戦闘能力強化につながり、S型は性能向上型という側面を手に入れることになる。
 初めから性能向上型を目指した結果ではなかった為、シラヌイの売りであったバランスや操縦性が犠牲になっている。パイロットを選ぶ機体となっているが、その分、現行の高級機群を上回る戦闘能力を誇っている。
 シラヌイ・S型には当初の目的通りにC4I機能を強化しているS型甲、C4I機能強化をオミットして単純な性能を向上させたエースパイロット専用機としてのS型乙が存在しているが、形式番号上は区別されずに「GFA-01S」で統一されている。
 概ね傭兵が使っている機体がS型乙であり、正規軍パイロットが使っている機体がS型甲と考えて問題はないだろう。



一面に戻る
CTSに戻る