20××年4月、地球は未曾有の危機にさらされていた!
人々の前に突如現れた異世界からの客人。だがそれは、決して友好的なものなどではなく、人に属するもの達に、隷属を命じたのだ。
そこに反論の余地などない。従わねば死あるのみである。
だが、人々は簡単には屈しなかった。持てる能力を駆使し、その異星人達に対抗したのである。
そして一年後。
途中色々あったりなかったりしたが、人々の特殊能力は、異星人の組織『ドローン』と対抗するまでに成長していた。
これは、その戦いの模様を収めた、一部始終のリプレイである!
「おーほほほほほっ! おーほほほほっ!!」
戦の狼煙が上がる中、耳に響く笑い声。見れば、どうみても中年のおっさんっぽい怪人を従えた巨乳のお姉さんが、良い感じに高笑い中。
「よくぞここまできたわね。エイプリジャー! けどここがあなた達の墓場となるのよ。行け! 怪人エチゴヤ親父!」
ネーミングがそのままなのは、名は体を表すと言う日本のよくできた格言のせいだ。
当然、その後方で高笑いをしているナイスボディの巨乳姉ちゃんと言えば、大体予想が付くと言うもの。
「ははっ。必ずやミユ様のご希望通りに!」
そう、どういうわけか某社の社長さんにそっくりである。
「ふふ、困ったおてんばさんだね。そこの魔法少女、見苦しいのを排除してくれたまえ」
そんなこと言って、無駄にマントをばさぁっと広がらせつつ、紅茶なんぞを嗜みながら、これまたどこかで見たことのある人物が現れた。クラウドゲームススタッフ間で扱いやすさナンバーワンを誇る『まぁ伯爵だから良いか』でおなじみ、カプロイアはくし‥‥長官である。
「だからボクはおと‥‥」
で、ご指名を受けたどこかで見たことある女の子みたいな子は、困惑しながらそう言った。良く見れば貧乳と言う奴である。
「おーほほほほっ! お前ごとき小娘が何を言っていると言うの」
ミユ様、聞いちゃいない。怪人エチゴヤ親父を、GOGO! と蹴飛ばしている。笑顔で。
「ああっ。ミユ様もっと踏んで〜」
「ええい、妻子もちの親父が何を言うかー!」
げしげしとヒールがぶっとんでくるが、親父はなんだか悦に浸った表情だ。よく見ると、いわゆる戦闘員の方々が、順番待ちをしている。
「ふふふ、人気モノのようだねぇ。ミユくんは」
「私は部下を厳しくしつけているだけですわっ」
長官に言われて、ぽっと頬を染めるミユ様。長官が何で前線に出てるんだとか、親父はそんなキャラだったっけかとか、ミユツンデレキャラ化してね? とか言うツッコミは、無論却下である。
「あんた! しっかりやんないと、今日のご飯はないよ!」
「むう、母ちゃんか。しょうがない、これも嫁と子供の為だ。お嬢チャンには悪いが、ちょっとどいててもらうよ」
エチゴヤ親父、どうも家族が応援に来ているらしく、ミユの足元から起き上がり、魔法少女へと向かう。
「だから女じゃないってバー! ボクはリアンって言うんだよ! ‥‥はぁ、もういいです」
ずいずいと詰め寄られ、魔法少女が泣きながら杖を振るうと、杖先から何かが飛び出し、ミユに虐められる順番待ちをしていた戦闘員がばたばたと倒れた。が、エチゴヤ親父はそんな事ではびくともせず、逆に魔法少女の首根っこを捕まえてしまう。
「わーーん。これだからいやだったんでば。みんなー。この暑苦しいおっさんをやっつけてー!」
早々に諦めちゃった魔法少女リアン、そう言うと、画面に向かって助力を求める。
さぁ出番だ! 宇宙に散らばる戦士達よ! 我らが同胞と母なる地球を守るため、この理不尽な異世界からの侵略者を倒すのだ!
寺網戦隊エイプリジャー! 毎週水曜午後7時より絶賛放映中!
君も、主役の座を掴み取れ!
「‥‥なんだねこれは?」
「新番組だそうです」
※エイプリルフールは終わりましたが、もろもろお許し下さい。
執筆 : 姫野里美
Event illust : 加倉祭