FPP-2100 ペインブラッド
・特徴的な変形機構
ペインブラッドの変形機構は、DH-179アヌビスの実戦資料を元にさらなる機能の分化が進められている。とりわけ推進系は本体から外部化されている。
歩行形態の機能は人型である本体部分に、飛行形態の機能は外部装甲を兼ねたシュラウド部分に、それぞれ纏められており、それぞれの形態で互いに干渉する部分が減らされる工夫が施されている。
これによって自由度の高い設計が可能となっている他、複雑な変形過程が少なく整備工数も小さくなっている。

一方で、この変形方式は形態によって使われない部分、デッドウェイトが多くなることが指摘されている。
その為、今後のKV全てがこの方式に置き換わるわけではないが、利点と欠点のバランスを鑑みながら今後も発展していくものと思われる。

・パラジウムバッテリー
ペインブラッドのもう一つの特徴は独自規格のパラジウムバッテリーが搭載されていることである。
元来体積比にして莫大な水素貯蔵量を誇るパラジウム、それを肺胞状の水素吸蔵合金として加工する事で、KV用の水素タンク兼補助動力としている。
これは通常動力(SES搭載エンジン)とは別に強力なパワーソースが用意されているということであり、フォトニッククラスター、強化型SES増幅装置『ブラックハーツ』の使用を可能にしている。
通常のSES兵装に比べ莫大なエネルギーに支えられたフォトニック・クラスターは、広範囲の敵を一度に攻撃する事が出来る非常に強力な武装となっている。
しかし、パラジウムバッテリーの併用による出力は過大気味で制御は難しく、フォトニッククラスターとブラックハーツは使用の度に機体の(更に言えばSESの)寿命さえ縮めるとさえ言われる。
これらの要素からペインブラッドのSES機関は、機体規模に比して耐久性に難があるとされている。消耗部品の交換が頻繁であるが、整備工数が少ない変形方式との相性によって補われている。

・イジェクションポッド
一度暴走事故を起こした装置を源流に持っている事もあり、過多とも言えるプロテクトが施される事となった。その結果生まれたのが、専用の防護機能である。
フォトニック・クラスターの余波、パラジウムバッテリーの膨圧事故に備え、緊急時はコクピット周辺の装甲ごとパイロットを排出、退避させるシステムになっている。
尚、先行してのリリースとなったグリフォンがコクピットに持つイジェクションポッド(緊急離脱用ポッド)は、このポッドを応用した物である。