DH-179アヌビス
・フレキシブルモーションの紆余曲折
 フレキシブル・モーションは、もともとパイロットの操縦技術に依存するところが大きいシステムであった。
 稼働域の大きな腰部ブースターを制御するシステムが未完成であり、パイロットのマニュアル操作が多くの場面で必要なことが原因であった。
 多くの要素をマニュアル操作可能であることは使いこなせたならば、限りなく変幻自在、融通無碍に機動制御を行えるということでもあり、潜在能力は非常に高いと言われていた。

 一方でマニュアル操作の多さは操縦の煩雑さに繋がり、戦闘中の咄嗟の判断に対応しきれないと懸念は強く存在していた。
 低価格の中堅機というコンセプトもあり、実際の採用にあたっては立体攻撃機動をパターン化し、制御するシステムを搭載することになった。このシステムの開発は短期間で行われたものの、完成度は非常に高いものとなった。
 「パターン化」という言葉からネガティブに捉えられる向きもあるが、この立体攻撃機動のシステムには実に様々な機動パターンが入力されており、戦術の幅を狭めるようなものではない。一般的なパイロットであれば操作方法に煩わされることなく必要な機動パターンを呼び出せる為、戦闘判断に集中できることは大きなアドバンテージとなっている。攻撃性能については、トップクラスの傭兵のマニュアル操作とシステム補助による操作は互角である。
 ラストホープ島のドローム社において、フレキシブル・モーションのアップデートが可能になったこともあり、マニュアル操作の優位性は揺らいでいる。