PT-120ニェーバ
●斜め45度  ニェーバは宇宙用KVである。加えて、同社初の高級機でもある。
 その為、開発担当者は細部までキッチリとした設計を施しており、品質管理もプチロフとしては最高水準である。
 にも関わらず、実際に完成した機体には、例のジンクスがしっかりと継承されているという噂が瞬く間に広がった。本当にジンクスが存在するのかは不明であるが、少なくとも搭乗経験者の体験談から統計を取ると50%くらいの確率でジンクスが成功しているとされている。
 担当者としてもこれはまずいだろうと原因を究明するもはっきりとした成果は得られず、上層部に報告すると、これ自体はマイナス点にはならないからそのままでいいとまで言われる始末。
 これには開発担当者も困惑の色を隠せなかったらしいが、現場からは「こうでなければプチロフじゃない!」と高い評価を得る要因にもなっている。
 ただ一つ言えることは、仮にこのジンクスが効果を発揮しなかったとしても、ロシア将兵はコンソールを叩いただろう。
 ジンクスとは、そういうものだ。

●ストームブリンガー
 初期のロジーナに搭載されていたこの特殊能力だが、ニェーバには別案でこの能力を搭載する計画も存在した。
 といっても、これはあくまで類似スキル。4発式のエンジンによる膨大な出力を利用して強引に機体性能を引き上げるといった能力であった。
 ‥‥では、ロジーナに搭載されていたストームブリンガーとはなんだったのか。
 一説によると、ストームブリンガーはドローム社へ送り込んだ産業スパイが入手した情報を基に独自技術を加えて完成させたものであるとか、バグアの襲撃にかこつけてこっそり盗み出した空戦スタビライザーを改造したものだとかいう話も存在するが真実は定かではない。
 手っ取り早いのは当時ストームブリンガーに関わった技術者に話を聞くことだろうが、彼らは現在プチロフの主要人員からはほとんど外されており、どこで働いているかの情報も得られない。
 一つ言えることは、閑職に飛ばされたくなければこの件に関してはあまり首を突っ込まない方がいいということなのかもしれない。

●高級機ゆえに
 今まで低価格〜中堅の機体を中心に開発を手掛けていたプチロフだったが、このニェーバでついに高級機の開発にも着手することとなった。これにはメルスメスのコロナ、銀河のタマモ、ドロームのクルーエル、そしてMSIのヴァダーナフと‥‥相次いで各社が高級機の開発を始めたことに上層部が危機感を感じたことに起因すると言われている。
 そんな経緯で開発されたニェーバにも、性能をオミットした本国仕様の開発が検討されていた。
 しかし、元々高級機であるため多少性能を落としても高いことには変わらなかった。
 その為本国では指揮官機や精鋭部隊用として少数が採用されるにとどまっている。