KSF-001スフィーダ
●スフィーダ開発の経緯
 スフィーダ開発に際しては、カプロイア伯爵が社員に対して演説を行ったというのが語り草となっている。
 その内容は要約すると

「宇宙とは未知の戦場である。
 であれば、そこに向かう宇宙用KVとは何か。
 それは未知の恐怖に立ち向かう挑戦者であるといえるのではないだろうか。
 そんな機体を、我が社が率先して開発しないでどうするのか!」

 といったものである。
 もちろん、この演説だけでカプロイア社全体に宇宙機開発の機運が高まったというわけではない。
 カプロイア社は初期のKV開発競争において出遅れ気味だったという経緯があったため、一部の社員には宇宙に戦場が移っていくこのタイミングで宇宙機体を販売することでシェアを獲得したいという思惑もあった。
 だが、カプロイア社の大部分は職人気質である。この演説が彼らになんらかの影響を与えているのは間違いないだろう。

●外観へのこだわり
 元々、当機の姿勢制御は反動推進スラスター方式によって行われる予定だったが、カプロイア伯爵たっての希望でエミオンスラスター方式に変更されている。
 これには、性能云々以前に
「見た目の美しさを大量につけたスラスターで崩したくないから」
 という理由も含まれているらしく、ある意味で伯爵らしい意見であるともいえる。
 また、全体のすらりとしたラインを維持する為に、相対的にコクピットを小さくしようと機体が巨大化させたとの説もある。
 結果として直立時の全高がS-02の1.5倍という巨体と化したスフィーダであったが、変型方式により飛行形態での収納スペースはS-02などと大きな差はなく、運用上の支障は最低限となっている。

●スフィーダとガネット
 スフィーダは先行しているドローム、プチロフ、銀河とは違い、未来科学研究所の「宇宙戦闘機理論」を採用していない独自の宇宙規格を採用している。
 既に先行する宇宙用KVが成功を収めて、実際に宇宙で必要とされる宇宙船機能の見極めが容易になったこともあるが、そもそものスフィーダの開発コンセプトがガネットに対するインスパイアである為、そもそも「宇宙戦闘機理論」とは基礎から違う設計が行われている。
 KS-123ガネットは、元々カプロイア社の設備を使ってスッチーこと、スチムソン博士が開発した機体である。
 常識を突き抜けた天才にして異星の存在・エミタ金属でもある現在のスチムソン博士の開発したガネットは、人類の理解が及んでいない点も少なくない謎の機体でもあった。
 しかし、スチムソン博士が自社の設備内に残した多くの資料を前に奇才カプロイア伯爵が黙っているはずもなかった。
 カプロイア伯爵は、ガネットの謎を奇才の発想で次々と再解釈していき、まとめあげられたのはスチムソン博士の再現ではなく、伯爵自身の新しい理論であった。
 ガネットとスフィーダはまったく違う特性の機体になっているのはこうした背景による。
 共通する部分としては、変形機構はガネットとスフィーダで同じ系統のものとなっており、滑らかな人型での動作が可能という点で共通している。