艦上の魔獣! グリフォン
先日発売されたMSI社のグリフォンだが、比較的短い工期と枯れた技術による安さもあって人気沸騰中のようだ。最近高額な機体が多かった事もあり、買い控えていた層へのアピール力もあったと言う事だろうか。今回はその魅力に迫ってみよう。
まず、第一にKV初の水空陸対応と言う事が挙げられる。無論、水上での滞在は数分と短いのだが、それでも旧来のKVに比べれば格段の進歩だ。特殊用途にも拘らず、対コスト比では決して見劣りしない性能に目をつけたユーザーもいるだろう。
また、グリフォンの魅力のいくばくかは専用アクセサリの存在が占めている。尻尾マニアにたまらない形状と部位だけでなく、極めて強力なデータを誇っているのだ。非売品だが、他の用途に特化した換装型も存在するとMSI社の担当は言う。
追加生産も順調で、MSIは新春早々、嬉しい悲鳴に包まれているようだ。
謎の装置のその後を追う
参番艦にも搭載されると噂の『慣性制御装置』について、早くも続報が出ている。
未来科学研究所の副所長、鉄くず生産機と異名を取るジョン・ブレスト氏が、先日久しぶりに笑顔の記者会見を行った。正直いって、これほど笑顔が似会わない男性も少ないだろう。
それはさておき、傭兵諸氏には朗報である。驚くべき事に、『慣性制御装置』を鉄くずにする事はなかったようだ。実験経過は順調であり、その結果『慣性制御装置』と我らの『身近にある物』に共通点があるという発見が為されたと言う。
そのある物が一体なんなのかまでは言質を得られなかったが、彼が言う『身近にあるもの』から、我々は独自に大胆な予測を行ってみた。
地中海の極秘基地をスクープ!
フランスはトゥーロンの海軍基地沖に、突如として出現した浮きドック。弊社記者はこの中で作られているであろう物を大胆に予測した。ずばり、ユニヴァースナイト4番目の艦だ。
先ごろの作戦で奪取した物のいくつかがこの地に運ばれた事を、軍事筋は語る。本来ならば厳重すぎる機密事項が容易に手に入ることに疑念を抱きつつ、記者は現地へ向かった。
大きい。大きすぎる。それが最初の感想だ。これは隠そうとして隠せる物ではない。流石に近づく事は出来ないが、水平線上に存在する構造物は10kmはありそうに見える。
記者はユニヴァースナイト参番艦に体験乗艦した事があるが、それの比ではない。いったい何があそこにあるのだろうか。
ツーロンに滞在する事、一週間。取材費が底をつき掛けてきたある日、記者はふと寂れたバーに立ち寄った。汗と人いきれの中、地元の工事業者と名乗るスティーブ(仮名)に話を聞けた事は幸運だったとしか言いようが無い。
「あんた、色々とアレを嗅ぎまわってるらしいな」
開口一番、彼はそう言った。泥酔した様子のスティーブは、記者が否定するのも取り合わずに色々と語りだした‥‥。
港湾では、今日も物凄い量のダンプカーや生コン車が積み出されていく。まるでダムをダース単位で作るような光景だ。ミカエル。スティーブから聞いたのは、大天使の名だった。それはやはりユニヴァースナイト四番艦なのだろう。
記者はこれ以上の詮索をやめる事にした。身の危険ゆえではなく、愛国心の為である。
「ほどほどにしておけよ」
スティーブから聞いた最後の言葉が、ふと耳に聞こえた気がした。